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『出席番号一番!』 作者:トミィ / 未分類 未分類
全角3291.5文字
容量6583 bytes
原稿用紙約11.5枚



季節は、春。



桜が舞い、新しい制服を身にまとい友達と歓喜したり笑顔があふれている。そう、入学式だ。
だがそんな周りの雰囲気と裏腹に、一人の男子生徒が大きな紙の前で仁王立ちしていた。その顔はもちろん、怒りに満ち溢れている。

「ちくしょ〜・・・またかよ。」
そう言いもう一度紙を見ると今度は呆れたような顔でため息をついたのだった。

その紙にはこう書かれていた。

平成十六年度県立中学校新入生クラス表

1年1組
1、相葉 寛太
2、伊藤 亮

相葉寛太。それが彼の名前だ。ごく普通の県立中学校の新入生だ。だが彼には自分が一番嫌なことがあった。それは・・・。

―――ずっと『出席番号一番』と言う事だった。



「お〜い、寛太」
ため息をついている寛太を呼ぶ声。寛太がそっちを見ると彼と同じように新しい制服を着た少年が立っていた。
「あぁ・・・テツか」
「いつも通り一番か?・・・やっぱり。」
テツが紙を見てすぐに答える。
「お前は何番?」
「最後から二番目」
うらやましいか、と言いながら笑う。彼の名字は吉田。吉田テツだ。
「な〜んで俺は一番なんだよ!ムカツク!」
「相葉だからだろうが。頭文字が『あ』、そして次が『い』。もうあきらかにあなたは出席番号一番ですっていうような名字だな」
ハッハッハと笑い、背の低い寛太の頭の上に手を置く。
「いいじゃねえか一番でも。俺は時々一番がいいと思ってるけど?」
そう言うテツに寛太はすごい形相で見る。
「何が一番がいいだ!?あれのどこが・・・」
「お〜い、テツ〜。」
寛太が出席番号一番説を語ろうとしたら、寛太とまったく正反対のトーンの声が聞こえる。
「ああ、ユウ」
テツが言うとスカートをはためかせにっこりと笑う。そしてテツの隣りに並ぶ。
「・・・あいかわらずそっくりだな。お前ら」
寛太は2人の顔をまじまじと見て言った。

ユウとテツは双子だ。顔も身長もまったく同じ。髪の長いユウがテツと同じぐらい髪を切ってテツと同じ服を着たらまったく区別がつかないだろう。もちろんのことテツと名字が同じということだから・・・
「出席番号はいつも通り最後だったよ〜!」
「ケンカ売ってんのか、お前」
憎めない笑顔で言うユウに寛太は凄い顔でにらめつける。
「いいじゃんか、誰も寛太くんの名前のこと噂してないし。別にこまることでもないじゃんか。」
「それがこまるんだよ・・・最高に!」
ユウとテツはもう止められない寛太の話を刃向かわずに聞くことにした。


「小学校の時、卒業式の練習ってあっただろ?」
「あたりまえにあったな。たしか俺と寛太は1組で・・・」
「わたしは二組!でも寛太くんとは委員会がいっしょだったりしたから話はしたよね〜」
「話が反れてる。ちょっと黙っててくれ」
ユウがどんどん違うはなしをしていくのをテツが止める。
「とにかく、あったんだ。その時さ・・・」
「その時?」
「・・・俺、みんなの前に立たされたんだよね・・・」
そう嘆くといっきに表情が変わる。
「しかもみんながやっていないことを俺はやらされる!俺は一番最初だから間違えてばっかでずっと前にいるし!」
「寛太・・・」
「俺は人の前に立つの大嫌いだ!なのに俺が一番前にたつ時間が長い!」
「あの・・・寛太くん」
ユウが止めようとするが、まったく聞いていない。いつも笑顔のユウがすこし表情が変わる。そんなユウを見てテツはため息をつく。
「それに成績表をもらうのも俺が一番最初だし!それに・・・」
「そろそろだまれ」
温厚なユウがすごく低い声で寛太の話をさえぎる。寛太もユウの声以外にもおそろしい顔の表情を見て話を止める。
「・・・とにかく、とってもこまってるんだね!」
さっきとは裏腹にとても・・これをキャピキャピというのだろうか、そんな声で言う。
「あ、ああ・・・」
さきほどのギャップをみて寛太は驚いている。そんなユウを何度もみているテツはすこしため息をつく。
「・・わかったから、クラスに行こう。もうほとんどいないぞ」
ハッと周りをみるとほとんどの新入生の大群が学校に入っている。三人は大急ぎでその大群を追った。


「2人はクラス、どこだ?」
自分の両脇を歩いてる2人に聞く。そう言うと2人はいっしょに顔を見合わせると、ユウは大笑いしはじめた。
「ははははは!寛太くん、しらないの!?」
「笑うなユウ!し、失礼だぞ・・・くっくっく」
そんな2人の状況をみてとまどう寛太。
「何がおもしろいんだよ!」
「くっくっくっ・・・だって・・・同じクラスだぞ?俺たち」
「え?」
テツの意外な答えに寛太はすっとんきょんな声をだす。
「あ、そっか!」
ユウはそう言いポンっと手を叩く。
「いっつも一番だから後の方見てないんだ!」
ユウが明るい声で言うので、テツはこらえていたがいっきにふきだす。
「アハハハハハ!もう寛太最高!」
2人の行動をポーッと見ていたが、理解ができて顔を真っ赤にさせる。
「もう・・・もう・・・・」
人でごったがえている廊下の天井を見上げて叫ぶ。

「出席番号一番なんて、大っっ嫌いだ〜〜〜〜!」

公衆の前で出席番号一番大嫌い宣言をする寛太に2人はおどろくばかりだった。



「びびった・・・まさか叫ぶとは」
「人前に出るのが嫌いな寛太くんがねぇ〜」
2人はさきほどの廊下から逃げ出して(さっきは玄関だった)一年生の教室の階まで真っ赤な顔の寛太をつれてにげてきたのだ。
「で、大丈夫か?寛太」
「これで大丈夫かなぁ・・・」
2人に心配されている寛太はもう顔は赤くないが、人が近寄りがたい顔つきで周りをガン付けている。2人も話し掛けるのがためらうほどだ。
「きっと一番でもいいことはあるぞ」
「そうだよ!出席番号一番をずっと続けることができるのは意外に思い出に残ると思うよ!」
2人が慰めようとする。だが寛太はうつろな目で2人を見る。
「そんなふうに思って良いことなんてひっとつも無かったぞ」
そう言い2人から顔をそむける。2人は顔を見合わせどうしよう、といわんばかりに困っている。
「え・・・っとあ!クラスについたよ!」
ユウが話を変えようと思い言う。双子と暗い寛太は入っていった。

中はザワザワとしていて、知らない顔や何度か見たことがある顔が見える。
「寛太はここだろ?」
テツがドアのすぐそばの席を指す。寛太はまたため息をつく。
「わかってるよ・・・それぐらい・・・」
「やば・・・ごめん!俺らは窓際だからがんばれよ!」
2人は寛太を置いて自分達の席に行こうとする。
「あっ、ユウちゃん!」
2人は足をとめ、声のするほうを見る。ユウはそれをみて表情を明るくする。
「美奈子ちゃんじゃんか!同じクラスだったんだ」
「うん、よろしくね」
「おい、ユウ」
寛太がユウを呼ぶ。さっきまで話していたユウが寛太のほうを見る。
「なに、寛太」
「彼女・・・誰?」
寛太が聞くとユウは寛太とテツにも見えるように彼女の前に立っていたのでどく。
「彼女は秋葉美奈子ちゃん。私とテツといっしょの塾なんだ。たしか・・・西小だったよね?」
そう言うと美奈子はうなずきにっこりと笑う。
「よろしくね、寛太くん」
さっきユウが寛太と呼んでいたからか、寛太の名を言い笑顔でいう。そんな美奈子をみて寛太は怒ってもいないのに顔を真っ赤にさせる。そんな寛太を見てユウはにやっと笑い美奈子に聞く。
「そういえば美奈子ちゃんって女子の中で出席番号何番?」
「え?一番だけど」
美奈子がそう言うと寛太は驚いた顔で美奈子を見る。
「へ〜そうなんだ。寛太も『相葉』だから一番なんだ。仲良くしてあげて。」
「なっ・・・ユウ!」
寛太は怒りかけたがユウはテツをつれてもう窓側の席へと逃げていたのだった。まだ赤い顔の寛太をじっと美奈子は見つめていた。
「あっ・・・その・・・変な意味じゃなくてその・・・」
なんとか理由を言おうと思ったが、美奈子はまた笑顔で寛太を見ていたのだった。そんな彼女をみて寛太は初めて思ったのだった。



ああ・・・一番でよかった!―――と。




だが彼は数日後、席替えがあるとは思いもしなかったのだった・・・。



2004/03/13(Sat)21:25:55 公開 / トミィ
■この作品の著作権はトミィさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
どうも、トミィです。まず最初にお詫びを・・・。
前の作品は削除させていただきました。もうしわけございません。また書ける時がきたら書きたいと思います。
では今回の作品について・・・。
もう春なのでこんな感じの作品にしてみました。おもしろいかはわかりませんが・・・。
読んでくださってありがとうございました!
それでは、次回作で!
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