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『卒業できずに』 作者:来夢 / 未分類 未分類
全角1035.5文字
容量2071 bytes
原稿用紙約4.3枚
高校一年生の時、私と彼女はいつも一緒だった。
教室移動の時、休み時間、昼食を食べる時、グループを決めるとき。
二人はクラスでは浮いていたと思う。お互いクラスの他の誰かと話すことはあまりなかったから。
私たちは学校の外では会わなかった。家が遠かったことと、お互いあんまり外で遊ぶことが好きではなかったから。
けれど一度だけ、クリスマスにおそろいの服を着て街に出た。二人とも好きな小さな雑貨屋さんを見て歩いた。
私は彼女の事が本当に大好きだった。
彼女と出会うまで洋画なんか見たこともなかったくせに、今では洋画しか見ない。紅茶だって飲めなかったくせに今では紅茶がない日が辛い。
私たちはその頃本当に二人だけの世界にいた。


高校二年生になって私たちは自然と話をしなくなった。
クラスのみんながあんなに仲良かったのに喧嘩でもしたのかと聞いてきた。きっと彼女にも聞いていただろう。
けれど私たちは喧嘩や言い争いなどした事がなかった。ちょっとしたすれ違いで、二人とも怒ったりすることもなく、私たちは簡単に壊れた。

二人は1人づつになっただけだった。
お互い仲のいい友達は出来ず、1人で行動するようになった。
教室移動の時、休み時間、昼食を食べる時も・・・。

私は何度かクラスの人にいわれたことがある。
「カナちゃんが1人で話しかけやすくなったよね」
「うん。ほらあの子キツイからさ」
「そう!! だから二人だと話しかけずらくて」
彼女は頭がよかったからそう見えるだけだと言おうとして、止めた。

私はまだ彼女が好きだった。
私よりも仲のいいこが出来るのが嫌だった。



卒業式が終わった。
早い三年間だった。
もう学校に用はない。さっさと帰ろう。泣いている担任の先生、写真を撮る生徒で誰も帰ろうとする生徒がいない教室を私は抜け出すように出た。

「ねぇ」
「え?」
振り返ると彼女がいた。
話すのは二年ぶりだ。

「ゴメン ちょっと話したくて・・・」
「・・・」

無視してるわけじゃない。言葉が出てこないのだ。


「あの頃はゴメンね」

だってあれは彼女だけが悪かったわけじゃないのに。

「じゃあ・・・」

待って。

「私もゴメン・・・!!」

本当はもっと早く話したかった。
修学旅行のとき。
進路の事。
親より先生より彼女と話したかった。


「うん」
そういって笑って彼女は手を振ってくれた。

涙が溢れた。




そこで目が覚めた。
・・・夢?
そうだ卒業式は三日前に終わっていた。


彼女とは話すことのないまま・・・。





2004/03/09(Tue)12:17:34 公開 / 来夢
■この作品の著作権は来夢さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
この前卒業式だったのでなんとなく思いつきました。
最後は暗いというかなんかもやもやした感じで・・・(^^;)
よかったら感想くれると嬉しいです(*^^*)
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