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『あいつはBLUE。第4章』 作者:竜紀 / 未分類 未分類
全角1574.5文字
容量3149 bytes
原稿用紙約6.4枚

第4章




ブルーの手が、私の手からすっと、自然に離れた。

「ブルー・・?」

ブルーは、笑顔を見せて、ベンチに座った。


「なぁ、雅って、いくつなの?」

「・・・小5だよ。ブルーは?」


ブルーは、また私の手を優しく握った。


「俺ね、中2。雅と、3つも離れてんな。でも、そんなの俺には関係ないよ。
絆があればね。」

ブルーは私の手を握ったまま立ち上がって、そのまま私も立たせた。


「・・・何?ブルー。」

ブルーが、もうはや出ている月光に照らされて、更に綺麗に見えた。
剣一とは大違いだ。


「行くよ。」

「どこに?」

「雅を送って行くの。風が雅をさらったら、俺が困るからな。」

ブルーはそう言って歩き出した。


公園を出ると、そこには剣一が立っていた。
剣一は、私を見つけると、慌ててかけよった。

「雅っ!」

剣一はブルーと私の繋がれた手を切り離すように私を引っ張った。
そして、もの凄い剣幕で、ブルーの目の前に立った。

「ちょっと!剣一!?」

剣一は私の声も聞かず、ブルーを睨みつけて、屁っ放り腰のくせにちょっとかっこつけて剣一とは思えないような表情を見せた。

「お前、誰だよ?」

ブルーはクールな表情で、剣一のもの凄い剣幕すら気にとめていなかった。

「神平青。そっちは?」

「いっ、市井剣一。雅の兄だよ!お前、雅に何するつもりだったんだよ!?それとも、もう何かしたのか!?お前は、雅の、その・・その、何だよ!?」

剣一はちょっとビビっている。
もの凄い剣幕が、だんだん崩れてきて、いつもの間抜けな顔になっている。

「俺?俺は、雅が神だとしたら、俺はその神の信者。
俺は雅を信じてる。俺には雅が必要なんだ。
別に、雅には何もしてねぇよ。手も出してねぇし。
ただ、雅の真っ直ぐな目を、拝見させていただいただけ。」


ブルー・・・。

違うよ。

ブルーが神様なんだよ。
私が信者。

私だって、ブルーを信じてる。

だって、こんな会ったばっかりなのに、こんなにブルーを信用出来てるんだもん。

何でかなぁ・・。

何かね、私が、ブルーを必要としてた。

今も、これからもきっと、ううん、絶対に、ずっと・・。


「なっ・・!何が、何が信じてる・・だよ!うちの雅を勝手に信じてもらっちゃ困るね!雅も雅だ!いきなり家を飛び出して、こんな得体の知れない奴に会うなんて、どうかしてる!」

剣一・・。
ありがとう、剣一の気持ちは、ちゃんとわかってる。

でもね。
私には、ブルーが必要なの。

「ごめん、剣一。私には、ブルーが必要なの。
ブルーのこと、大事に思うの!
だから、こっちに居る間は、ブルーと一緒に居させて。」

剣一の目は、どんどん強くなっていく。
私に向けられた視線が、私のこと考えてくれてるって、よくわかるよ。


「・・・っ。雅、お前・・。」

ブルーは、剣一をじっと見た。
剣一は、ブルーの目をしっかりと見れずに、少し目線をはずしていた。



「・・・わかった!わかった、わかったよ!俺は、雅のよき理解者、そしてよき兄として、その、神平って奴に会うのを許可しますっ!
俺だって、恋くらいしたからな。
いや、今だってまだまだ青春だけど!
・・・とにかく!
良い恋をしなさい!それから、そこの、お前。
神平って奴!お前ね、雅に変なことしたら、俺が許さねぇからなっ!」


剣一っ・・!
さすが、さすが剣一だよ!
間抜けだけど、私、やっぱり剣一のこと良い奴だと思う!


「剣一っ!ありがとっ!」

ブルーは、ふっと微笑んで、剣一を見た。

「お人よしは、損だよ。」

ブルーはそう一言言って、剣一の手に、私の手を触れさせた。


「気をつけて帰んなよ。」

剣一はそう言って、私達に背を向けて歩き出した。
後ろ向きで私達に手を振ると、そのまま一回空の月を見て、前を向くと、振り返りもせずに、真っ直ぐに歩いて行った。

2004/01/19(Mon)21:22:07 公開 / 竜紀
■この作品の著作権は竜紀さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
またまた更新が遅れてしまってすいません!
前のでレス下さった方、ありがとうございました。
これもレス下さると嬉しいです。
また更新が遅れてしまうかもしれませんが、
読んで下さると嬉しいです。
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