オリジナル小説 投稿掲示板『登竜門』へようこそ! ... 創作小説投稿/小説掲示板

 誤動作・不具合に気付いた際には管理板『バグ報告スレッド』へご一報お願い致します。

 システム拡張変更予定(感想書き込みできませんが、作品探したり読むのは早いかと)。
 全作品から原稿枚数順表示や、 評価(ポイント)合計順コメント数順ができます。
 利用者の方々に支えられて開設から10年、これまでで5400件以上の作品。作品の為にもシステムメンテ等して参ります。

 縦書きビューワがNoto Serif JP対応になりました(Androidスマホ対応)。是非「[縦] 」から読んでください。by 運営者:紅堂幹人(@MikitoKudow) Facebook

-20031231 -20040229 -20040430 -20040530 -20040731
-20040930 -20041130 -20050115 -20050315 -20050430
-20050615 -20050731 -20050915 -20051115 -20060120
-20060331 -20060430 -20060630 -20061231 -20070615
-20071031 -20080130 -20080730 -20081130 -20091031
-20100301 -20100831 -20110331 -20120331 -girls_compilation
-completed_01 -completed_02 -completed_03 -completed_04 -incomp_01
-incomp_02 -現行ログ
メニュー
お知らせ・概要など
必読【利用規約】
クッキー環境設定
RSS 1.0 feed
Atom 1.0 feed
リレー小説板β
雑談掲示板
討論・管理掲示板
サポートツール

『あいつはBLUE。第3章』 作者:竜紀 / 未分類 未分類
全角1922.5文字
容量3845 bytes
原稿用紙約7.45枚

第3章


私はゆっくりと、何にも考えないで、マイペースに歩いて行った。

「はぁ・・。」


思わず溜め息をもらして顔をあげると、目の前にはあの公園があった。
気が付いたらそんな所まで来てしまっていたのだ。

ガサッ・・


頭上にある木を手でかきわけて、私はただ黙々と前へ進んだ。

昼来た時より、道が長いような気がした。



・・・青!


昼来たときと同じ湖の前の、あのときと全く同じ位置に青はしゃがんでいた。

青は、こっちを振り返ると、青がするとは思えないような、驚いた表情を見せた。


「っ、雅っ・・!」

青は立ち上がると、私の腕をつかんで湖から数m離れたベンチに座らせた。


「どうしたんだ?何か忘れ物か?」

青はベンチには座らず、ベンチの前に立って、私の目を見た。

私は小さく首を横に振って、下を向いた。

・・・青の視線が、突き刺さるようだったから。


「う、ううん。違うの、違うけど。あおっ・・じゃなくて、神平君こそ、どうしてこんな時間にまだ公園に居るの?」

青は、ふっと一瞬微笑んだ。


「別に。ただ、俺には居場所ってやつが、無いからさ。」


青の寂しそうな横顔が痛かった。


「・・・。どうして?どういう、こと?」

余り聞く話では無いってわかってたけど、聞かずには居られなかった。

私は子供すぎて、自分の気持ちを止める事が出来なかった。


青は、予想通り黙り込んでしまった。
でも、やっと口を開いたかと思うと、呟くように、ボソリと言った。


「・・・雅になら、言っても、言っても良いよな・・。」

そして、ゆっくりと話し始めた。


「俺、一人もんなんだ。ホントに、誰一人身寄りは居ないんだ。」

青の真面目な顔が、寂しそうで、少し怖かった。


「誰も、誰も身寄りは居なくて。でも、俺、小4までは親父と住んでたんだ。
・・・都会に、な。

親父は、俺が小3のときに、話してくれた。

俺のおふくろは、俺を生んですぐに、『旅行に行く』って行って、そのまま帰って来なかったんだそうだ。
俺は、生まれてすぐは、健康とは言えないような子供で、それがおふくろを苦しめたんだ、って。
俺のおふくろはすごくすごくデリケートで繊細で、ちょっとしたことでも心を痛めてしまうような、そんな心の弱い人間だったんだ、って。

俺が小4のとき、親父は都会の街に、深く深く染まってしまった。
心も魂も、全て売ったみたいに。
家に帰るのはいつも朝で、俺はしだいに不安にかられて、おかしくなったときもあった。

不安にかられた俺は、ある日、親父に聞いたんだ。

いつもどこに行っているのか、どうしてしまったのか、と。

親父は、俺にこう答えた。
『都会にはな、大人なところがあるんだよ。ちょっとしたことで金をもらえたり、ちょっとした金でそれ以上の物をもらえたりな。』

俺は、親父がどこで何をしているのか、すぐに想像がついた。
雅にだって想像がつくだろ?少しくらいなら。

親父は、だんだん帰って来る回数も減っていって、ある日、俺にこう言った。

『お前、最近ずいぶんと悩んでいるみたいだな。
・・・だから嫌なんだ。
お前は、母さんに似すぎている。
ちょっとしたことでウジウジ心を痛めて。
それを直せば、ちったぁ可愛がってやるってのにな。』

そう言って、その日以来、親父は帰って来なくなったんだ。

俺は、成り行きで施設送りになった。

それからは、俺の気は狂うばかりで、精神的にかなりダメージをくらっていた。親父のことで・・。

都会が怖くて、俺は施設から一歩も出れないくらいに、都会を恐れるようになっていた。
それで、施設の人に進められて、小6でここの町に来たんだ。
施設のおじさんの知り合いの、人の良いおばちゃんの家に住まさせてもらってな。

・・・雅。
俺は、雅が大事だ。

周りの奴らとは、騒いだり、音楽やったり、そういう仲間だ。

でも、本音は話せないんだ。
真実も、過去もな。

なのに、雅の真っ直ぐな目ぇ見ると、何でも話せる。

雅は、俺には必要な人間だと思うんだ。
雅と出会った事は、運命だと思うんだ。」




青は、真面目な顔で私をぐっと見た。

視線に押されたけど、私も青を見た。

まるで、ドラマみたいだ・・。


けど、真実。

青が、私にくれた、大事な真実なんだ。

青の手が、私の手に触れた。

私は、青の手をギュッとにぎった。

「ねぇ、私、神平君のこと、何て呼べば良い?」

青は、ふっと笑った。目は、寂しそうな表情を浮かべていた。

「ブルー。神平青って名前は、俺の過去を全部知っているから。
周りの奴も、皆そう呼ぶんだ。」


「BLUE・・。わかった。」

ブルーの手をずっと握って、静かな空気の中で、時間はただ過ぎていった。



2004/01/11(Sun)21:00:30 公開 / 竜紀
■この作品の著作権は竜紀さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
更新が遅れてしまってすいません。
読んで下さると、すごく嬉しいですw
ぜひレス下さいねw
レスを下さると、すごく嬉しいですw
この作品に対する感想 - 昇順
感想記事の投稿は現在ありません。
名前 E-Mail 文章感想 簡易感想
簡易感想をラジオボタンで選択した場合、コメント欄の本文は無視され、選んだ定型文(0pt)が投稿されます。

この作品の投稿者 及び 運営スタッフ用編集口
スタッフ用:
投稿者用: 編集 削除