オリジナル小説 投稿掲示板『登竜門』へようこそ! ... 創作小説投稿/小説掲示板

 誤動作・不具合に気付いた際には管理板『バグ報告スレッド』へご一報お願い致します。

 システム拡張変更予定(感想書き込みできませんが、作品探したり読むのは早いかと)。
 全作品から原稿枚数順表示や、 評価(ポイント)合計順コメント数順ができます。
 利用者の方々に支えられて開設から10年、これまでで5400件以上の作品。作品の為にもシステムメンテ等して参ります。

 縦書きビューワがNoto Serif JP対応になりました(Androidスマホ対応)。是非「[縦] 」から読んでください。by 運営者:紅堂幹人(@MikitoKudow) Facebook

-20031231 -20040229 -20040430 -20040530 -20040731
-20040930 -20041130 -20050115 -20050315 -20050430
-20050615 -20050731 -20050915 -20051115 -20060120
-20060331 -20060430 -20060630 -20061231 -20070615
-20071031 -20080130 -20080730 -20081130 -20091031
-20100301 -20100831 -20110331 -20120331 -girls_compilation
-completed_01 -completed_02 -completed_03 -completed_04 -incomp_01
-incomp_02 -現行ログ
メニュー
お知らせ・概要など
必読【利用規約】
クッキー環境設定
RSS 1.0 feed
Atom 1.0 feed
リレー小説板β
雑談掲示板
討論・管理掲示板
サポートツール

『自分の価値 〜ライアの死〜』 作者:神無陰 聖夜 / 未分類 未分類
全角1463.5文字
容量2927 bytes
原稿用紙約4.75枚
「───了解、すぐに救護班を送る。通信終了」
 通信機を再び戻すと、一通りの応急処置を施し、マトスを休ませる。一応、応急処置をしたものの、足の怪我はとてもひどく、肉は溶け、血は噴き出し、パックリと骨が覗いていた。また最悪なことになかなか血が止まらない。
 しかし、後輩がやられたのにあわてることも無く、また、モンスターに対してまったく怒りや憎しみを持つことなく、ただ淡々と任務をこなす自分、感情の無い自分がそこにいた。
「すいません先輩・・・」
 マトスが静かに呟く。
「ん、あぁ。気にするな」
 無感情にアースは返事をする。
 この仕事もだいぶ刺激がなくなってきた。
 アースは煙草に火を付けようとし、ライターが無いことを思い出した。
 同じことの繰り返しだ。
 何の変哲も無い世界へ送られ、野放しになって暴れているモンスターを見つけ、ただ倒す。
 ライアにも最近会っていない。
 四人で一つだったあの仲間たちも、みんな死んだ。今では仲間の死因すら、もう思い出せない。
 そして自分は今、何の変哲も無い世界に唯一存在している。
 救護班がやがて到着し、マトスを本部へ連れて行こうと、担架に乗せようとしている。
 アースは石に座ったまま動かない。
 風が、一陣の風が彼の全身を撫でるように吹き抜いていく。
 彼は一枚の古びた写真を取り出した。
 仲間たちが写っている。皆笑っている。
 アースは手に力を込め、その写真を破り捨てた。
 友情は廃れ、消えた。
 愛情も廃れ、消えた。
 世界までもが、廃れて崩れようとしている。
 写真の欠片が風に乗ってアースの傍から離れていった。
 もう何も残っていない。
 自分の存在すら怪しい。
 残るのは虚無だけだ。残っているのは・・・何も無いという事実だけ。
 世界は疲れ果て、崩れ去ろうとしている。
 俺は何をしているんだ。
 アースは立ち上がると、自分の愛用のオートバイで自分の所属する隊の本部へと戻った。


 荒野の中にポツリと、壁は砂がこびりつき入り口までボロボロになり、自動ドアとしての機能をしていない。話に聞くと、もとは白く清潔な病院だったらしいが、世界が崩れ去るとともに軍に基地として引き渡された。
 そんな本部に戻ったアースに、同僚からいきなりこんな話を聞かされた。
「残念の知らせだ・・・ライアさんが死んだよ。例の病原菌でな、全身が朽ちて・・・いま、とくに遺体を引き取る人がいないからこっちへ持ってこさせたぜ・・・いつもの場所にな」
 しかし、同僚からの知れせにも、アースは心を動かされなかった。
 ただ一つ、静かに頷いただけ。

 
 気づいたらアースはいつもの場所、約束の場所へ来ていた。・・・今はライアの墓がある、大きな枯れた桜の木下。
 頭の中、記憶の中ではアースの名を呼ぶライアの声がする。
 アースがその声に振り返ると、ライアがこっちに走ってくる。
 桜が咲き乱れ、風が舞い、地面も空も桜の花びらでピンク一色だ。
 ライアは何も言わず、頬を紅潮させながら、ゆっくりとアースにライアお手製の銀のネックレスとつける。
 アースは、銀のネックレスの中央に刻まれているアースとライアだけのマークを力強く握り締める。
 幸福が二人を祝福する。
 ・・・しかし、そんな世界は終わった。
 アースはライアからもたっら銀のネックレスをはずし、ライアの墓に立っている十字架にかける。俺にはもう、それをつける資格はない。
 アースは、ライアに別れを告げると、休むために自分の部屋へ戻った。
 また一つ、冷たい一陣の風が吹いた。
2004/01/01(Thu)21:53:56 公開 / 神無陰 聖夜
■この作品の著作権は神無陰 聖夜さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
いやぁ、前書いた作品は一瞬で過去のものとなってしまいましたね。
・・・も少しだけ続きます。
この作品に対する感想 - 昇順
感想記事の投稿は現在ありません。
名前 E-Mail 文章感想 簡易感想
簡易感想をラジオボタンで選択した場合、コメント欄の本文は無視され、選んだ定型文(0pt)が投稿されます。

この作品の投稿者 及び 運営スタッフ用編集口
スタッフ用:
投稿者用: 編集 削除