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『背信のラプソディー』 作者:財満悦博 / 未分類 未分類
全角4768文字
容量9536 bytes
原稿用紙約17.25枚
思えばあのころは みんな狂っていた。
自分の感情に任せて ラプソディーを奏でていた。


「序曲」

彼は死んだ。

彼の母は泣き崩れ、父は涙をこらえて立っていた。
医師は「不思議だ。若くして突然死だなんて……」と呟いた。
そして僕らもそこにいた。
勇太はすすり泣いていた。
匠は唇を噛みしめていた。
そして僕はといえば……ただ立っていた。
何が何だか分からなかった。

僕はしばらくして気づいた。彼とはもう二度と会えないってことに。
僕はみんなの涙に耐えられなくなった。
涙はもう二度と見たくなかった。足は自然に病室を飛び出していた。
全速力で走って、やがて病院が見えなくなった。
やっと涙が溢れて来た。耳がジンジンする。
「賢人、待てよ!!」
匠と勇太が息を切らして僕を追ってきた。
「幸来とは、もう二度と会えない……」
「そんなこと、もう言ってもしょうがないでしょ!」
勇太が顔をくしゃくしゃにして叫んだ。
僕たちは号泣した。

夕日は僕たちの涙を見ても何も言ってくれなかった。
そして僕らを残して勝手に沈んでしまった。


あれから一週間。僕らは4人でよく遊んだ河原に寝ころんでいた。
「なぁ、人間ってどうして死ぬんだろう。」
匠の発言に僕らは無言で考えた。
「……生まれたからでしょ。」
勇太がそう発言した。
「それが一番言えるかな。」
匠が呟いた。
「でも……俺、死にたくないな。
 母ちゃんや父ちゃんに悲しい思いさせるのが、辛いよな。」
「コウキはどうして病気で死んだんだろう。僕らは死なないのに。不公平だ。」
僕はコウキを「幸来」と呼びたくなかった。
だって、コウキに幸せなんか来なかったから。

コウキは小さいころから変わり者で、父さんや母さんさえも彼を嫌っていた。
僕らはそんな仲間外れの彼をかわいそうに思い、積極的に仲良くしようとした。
思えば、コウキはよく「この世に未練なんかない。」とか
「人類ってなんて卑怯なんだ!!滅ぼしてやりたい!!」とか言っていた。
虫眼鏡でアリを焼いてみたり、カエルに花火を食わせてみたりと、
残忍なことも平気で出来る、暗い陰を背負った子どもだった。
そしてコウキは昨日の夜突然ぶっ倒れて、あっというまに死んじゃった。
死因は、突然心臓が止まる「心不全」だそうだ。
未練なんかないて言ってたから、バチが当たったのかもしれない。
コウキ、かわいそうに。

「そうだ!」
僕は芝生から跳ね起きた。
「なんだよ?」
「タイムマシンに乗って、コウキを助けに行こう!」
「おまえ、ドラえもんの見過ぎ。」
匠が僕をあきれ顔で眺めた。
「タイムマシンなんてあるわけないだろ。
 仮にあったとしてもどうやってあいつを助けるんだよ。」
「だからさ、僕たち医者か発明家になるんだ。
 そしてタイムマシンに乗ってコウキを救うんだ。」
「や、やめようよ、賢ちゃん。僕らには無理だよ。」
勇太は力無くうなだれた。
「いや、やってみないと分からない。
 勇太はコウキを助けたくないのかよ!!」
「……分かったよ。やれるだけやってみよう。」
「よし、じゃあこの夕日に誓おう。
 全員手をかざして夕日に叫ぶんだよ。
 『我ら3人は 将来親友コウキの 命を救ってみせます』ってね。」
そして僕らは河原に整列し、声をそろえた。
西の太陽が赤々と輝き、僕らの友情を称えているかのようだった。

「アレグロ」


僕はその日から狂ったように勉強した。
学校のテストの点はぐんぐんのびた。
医者になってコウキの命を救う、という使命があったから。

匠は発明家になると言っている。
小学生向きの科学雑誌に載っていた、
「タイムマシンは実現するか」という連載を何度も読み返し、
要点をノートにまとめていた。
その記事は『光速より速く進む乗り物は、未来へ進む。
光速より遅く進めば、過去に行かれるかもしれない。』と言っていた。
しかし、父さんに聞いてみたら一言
「その説明はインチキだよ。賢人、お前、時速1kmで歩いてごらん。」
と言われた。このことは燃えまくっている匠には言わないでおいた。

勇太も発明家になるらしい。
彼は少し変わった趣向で「ドラえもん」のビデオを必死で見ている。
「バック・トゥー・ザ・フューチャー」などのSF映画も
「欠かせない情報源」らしい。

3人とも一月前とは別人のようだった。
中学受験も大学受験も全て成功し、大人になっても僕らの熱い想いは変わらなかった。
しかし、そんな僕らが、大学卒業の5年後、
大きな挫折を味わうこととなるのだった。
そのころ僕は大学病院の外科医長として活躍し、
匠と勇太は共同の研究所を持って、タイムマシンの開発に必死だった。

一本の電話が入った。匠からだった。
「賢人か?匠だが、タイムマシンは……無理だ。」
「なぜだ!」
僕は受話器に向かって怒鳴っていた。
「だって、理論的に無理だ。
 いろいろ実験をしたけど、過去になんて行けるはずがないんだ!!」
僕は喝を入れた。
「やれ!必ず実現させるんだ。実験のエネルギーを10倍にしてみろ!
 あの夕日に誓ったのを忘れたのか!」
「……分かったよ。」
匠は弱々しくそう呟いて電話を切った。
冗談じゃない、今更無理だと。今までの苦労はなんだったんだ。
遊びもなにも全部捨てて、コウキを助けることだけに
専念した努力はなんだったんだ。

発情期のネコに噛まれた親子の怪我の治療をしていると、
また一本の電話が入った。
「T大大学病院ですか?こちらは救急車ですが、
 危篤の急患を運びたいのです。手術台の用意お願いします。」
「了解。」
僕は電話を置いた。
「至急、手術用具手配。」
「先生、私らは…。」
「アンタ方は大丈夫、それくらいじゃ死なないよ。」
ネコ親子をほっぽって僕は手術着に着替え始めた。
どんな患者だろう。まもなく担架が飛び込んできた。
そこに乗っていたのは…。
「匠じゃないか!」
僕は急いで駆け寄った。
「至急手術室へ。」
匠は全身に大火傷を負い服や髪が焼き切れていた。
僕は匠の胸に耳を付けた。
「心臓が弱っているぞ!強心剤注射だ!心臓マッサージをしろ!!
 人工呼吸だ!!」
「先生、もうだめです。オシログラフが…。」
「心臓切開だ!早くメス。」
「け…賢人。」
「先生、患者が先生の名を…。」
「匠!!」
匠は僕の方に手をのばしてきた。
「タイ…ム…マシンは…無…理だった…。すま…ん…。」
言い終わると匠は静かに手を下ろした。
「匠、しっかりしろ。」
「先生…オシログラフが…。」
僕はオシログラフを見た。すでにそれは水平な直線になっていた。


「この患者は、研究に資金をつぎ込みすぎて、生活も苦しいほどだったそうです。
 そして最後に行った実験で流す電流が強すぎて機械が燃え、
 自分も大やけどを負ったということですよ。」
助手が入ってきて僕にそう告げた。
「かなりの重傷でしたから先生の責任ではございません。」
…いや、僕の責任なんだ。
僕は医長室の椅子に座って外をぼんやりと眺めていた。
これまで僕は手術を失敗したことはなかった。
二度と人の涙を見たくなかったから。
しかし僕は匠を殺してご両親を泣かせた。
あのとき僕があんなこと言わなければ、
諦めていいと言っていれば…匠が死ぬことはなかった。
僕はコウキのために一生懸命になりすぎて匠を殺したんだ。
「じゃあなんだ!?コウキを助けようってのは間違いだったのか!?
 あのときの誓いを破れっていうのか!?」
僕は長年支えとなってきた夕日に向かって叫んだ。
「教えてくれ!僕はコウキを助ければいいのか!?
 それとも諦めた方がいいのか!?」
15年前と同じように夕日は無表情だった。

「コーダ」


===================================

コウキを助ける相談をしている僕らのもとへ、
15年前の姿のままのコウキが空からやってきた。
「コウキ!!生きてたのか。」
僕は驚いて言った。
「俺の名前はコウキじゃないよ。幸来さ。」
「君は幸せじゃない。だからコウキだよ。」
「いんや、俺は今とっても幸せさぁ。」
コウキは振り返って夕日を眺めた。
「俺を助けるためにおまえらがとってもがんばってくれてる、
 それに俺は大感動した。」
「…。」
「でも、もういい。
 俺を助けるために…匠、おまえが死んだことは俺、とっても悲しい。
 勇太、君が研究費を必死で集めてる姿を見ると、とっても悲しいんだ。」
「…。」
「タイムマシンを作ることは無理だよ。ちっぽけな人間が
 この雄大な時の流れに逆らおうなんて…所詮無理なんだ。
 死んだ人は生き返らない。そうだろ?」
「でも…。」
「もうやめてくれよ…。」
コウキが涙を流した。
(見たくない!!)
僕はそう思って目を背けた。
僕は人の涙を見たくないんだ!!
コウキはさらに大泣きした。
「分かった。やめる…。やめるってば…。」
僕らは同時にそう言っていた。
「そう…ありがとう。僕らは一生友達さ…。
 行こう、匠。」
「おう。」
コウキと匠は一緒に天へと飛び立っていった。
「元気でな…。」
僕と勇太はいつまでも手を振っていた。

===================================

翌朝僕は目覚めた。…夢だった。
しかし僕ははっきりとコウキの…いや幸来のいったことを覚えている。

僕は家に勇太を呼んだ。
「言いにくいんだけど…提案がある。」
「…僕にもあるんだ。」
勇太も言いにくそうにぼそりと呟いた。
「タイムマシン開発、やめにしないか。」
「さ、賛成。」
いやにあっさり決まった。僕は拍子抜けした。
「実は僕もそれ言おうと思ってたんだ。
 昨日不思議な夢見てさ…。」
「え、どんな!?」
勇太の発言に僕は驚いた。二人の夢は同じものだったのだ。
「不思議だなぁ。どうしてだろう?」
「僕、分かるよ。」
僕はあの夕日を見上げた。
「幸来が天からやってきて僕らに忠告したのさ。
 所詮人間には無理だってことに気づかせてくれたんだ。
 死者を生き返らせるなんて…。」


「愚かですな。人間どもって…。」
地上の2人の様子をモニターで見ながら、閻魔界の悪魔達は笑っていた。
「あいつらには全くといっていいほど論理性がない。天国があると思ってるんですな。
 我々がそういう夢を見せたとも知らずに。」
「幸来様が迷惑しておられたからな。夢を見せてやめさせたのだ。」
閻魔大王は得意そうに言った。
「おまけに意志の堅さがないな。
 幸来様を助けると決めたなら、なにがなんでも助けるべきだ。」
「そうそう。」
悪魔達は一斉に頷いた。
「人間がこの程度なら、地球侵略の日は早いぞ!おっと、そうだ。」
閻魔大王は思い出したように言った。
「今度から地球侵略の手ほどきをしてもらう幸来様だ。
 おい!酒盛りの用意!」
幸来は閻魔大王の広間にふんぞり返りながらやってきた。
「いやぁ、幸来様。わざわざ地球侵略のために死んでもらって
 すみませんな。」
「いいのだ。俺はもともと人間が大嫌いだから。
 喜んで手伝わせていただくぜ。」
見るからに凶悪そうな顔になった幸来は、血を飲みながら答えた。
「幸来様はあの連中が好きだったんですか?」
「ふんっ、まさか。」
幸来はペッと赤い唾を飛ばした。
「あいつらが勝手に大親友とかほざいてるだけだ。馬鹿者め…。」
「ところで、地球侵略にいたって、何か名案はありませんか?」
「そうだな…。あのお節介な賢人。あいつの職業は医者だったよな?
 人の命を助ける医者を全滅させたらどうだ?
 そうすれば人類破滅のときは早いぞ。」
「おぉ!!さすが幸来様。名案ですな!」
「ふん。どうってことはない。」
「では皆の者、乾杯だ!」
悪魔達は声をそろえた。
「閻魔界に幸せをもたらす偉大なる幸来様に、乾杯!!」
2003/12/25(Thu)23:12:08 公開 / 財満悦博
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■作者からのメッセージ
バッドエンドが好きだ。
この作品に対する感想 - 昇順
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