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『笑顔の宝 ホントの宝 三話』 作者:悠里 / 未分類 未分類
全角1391.5文字
容量2783 bytes
原稿用紙約5.2枚
『お兄ちゃん、おはよう』

何気なく交わす、いつものメール。
そしていつもの返事。

『おはよう、柚華。今日も暑いね』

そう、いつもの会話。
何も変わらない。
いつもの楽しい会話。

『お兄ちゃん、もうすぐ学校始まるね』

『俺は大学だからね。まだ一ヶ月あるよ』

何気ないメールだよ。
楽しいよ。
でもね……複雑……。
だって……私は、彼に恋をしているから。

『お兄ちゃん、私ね……』

言いかけてやめる。
恥ずかしいから?? んんん。違う。怖いから。
告白って怖いでしょ??
それもあるけど、つい最近まで知らない人だったし、今でも顔分からないっていう状況だし。
顔なんてどうでもいいんだけどね。だって、お兄ちゃんはお兄ちゃんだもん。私の大好きなお兄ちゃん……。

『ん?? 何??』

お兄ちゃんからの返事に戸惑い、とっさに打つ。

『んんん。何でもないよ』

と。
私って、こんなに弱い人間だったっけ…??
こんなに意気地なしだったっけ……

『そっか。あ、用事が入った。またね、柚華♪』

『あ、うん。いってらっしゃい』

彼は携帯を持っていない。
パソコンでメールをしてくれている。

 何もない空虚感。
私って、ホント、こんなに弱かったかなぁ……??
いつも意地張って、堂々としてるのに。
部活でも、一年のリーダーを務めるぐらい強くいるのに……
クラスでも、強がってるのに……
……これが本当の私なんだね。
弱っちいこの私が……本当の私なんだね。

『柚華さ、最近なんか……落ちてない??』

『どういう……こと??』

『ヘコんでるっていうか。部活も上の空じゃん??』

『ん……ちょっとね』

友達とのメールは、だいたいこんなもん。
心配してくれるのは嬉しいけど、相談なんてできないよ。

 私は一度、裏切られたことがあります―――――

相手はお母さん。
愛をくれてるって思っていたのに、ただ利用してただけ。
お金儲けに利用してただけ。
お金儲けに失敗すると、すぐに怒鳴って、家から追い出す。
泣いて、泣いて、泣いて……泣く事を忘れるぐらい泣いた。
涙が涸れて、もう出なくなった。
そして母さんは……私から弟を奪って出て行った。

 それ以来、ヒトを信用することができなくなった―――――

だから、友人に話しても裏切られると思っている。
結局、トモダチってのは上辺だけ。
中身からのトモダチなんていないんだよ。
ヒトはいつも一人なの。
生きるも死ぬも……ね。
……そう、彼のことも、心から信じていない。
お兄ちゃん!! とは言っているけど、信じられない。
嬉しいメールとかもくれるけど、信じられないよ。

 だから笑顔を忘れていたの―――――

……お兄ちゃん、貴方は私を裏切らない??
お兄ちゃん、貴方は私を妹としか思っていない?
お兄ちゃん、私の気持ち、受け止めてくれる……??

怖くて伝えられない。
怖くて、怖くて、怖くて……

逃げられる道じゃないって思う。
だけど……どうしても逃げちゃうよ。
裏切られることはもうイヤだ。
嫌われることもイヤだ。
だから逃げるんだ。

私は笑顔と言う宝を取り戻しました。
それが本当の……宝なのでしょうか……。
私の本当の宝物は……笑顔なんでしょうか……

『ただいま、マイハニィ♪』

再び届いたお兄ちゃんからのメール。
私は思い切って聞いてみた。

『お兄ちゃん、貴方は私をどう思う??』


                        つづく
2003/11/30(Sun)00:00:16 公開 / 悠里
■この作品の著作権は悠里さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
はい、意味不明失礼です…(汗)
頑張って書かせていただきました。
読んでいただければ光栄でございます♪
えっと、今回は恋愛要素を含んだお話です。恋を知らない、愛を知らない少女と、優しい男性のお話です♪ 

 それでは、皆様もご執筆頑張ってください☆ 失礼致します☆
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