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『笑顔の宝 ホントの宝』 作者:悠里 / 未分類 未分類
全角1013文字
容量2026 bytes
原稿用紙約4.4枚

 「はぁ…退屈」

パソコンを打ちながら、一回大きなため息をつく。

「柚華!! もう直ぐ電車来るよ」

「早くおいでよ」

駅のホームから、友人の愛と泉の声がした。
ノートパソコンを駄々草に閉め、彼女達の元へと駆けて行った。

「柚華ってさ、笑わないよね」

「なんで笑わないの??」

泉の後に続いて、愛もが私の顔を覗きこむ。
再びノートパソコンのキーボードから手を離し、彼女達を見つめた。

「意味はないよ。ってか、笑う意味ってなんなの」

そう言って、再び手をキーボードに戻しす。
打たれていく文字と共に、外の風景も変わっていく。
森が現れ、田んぼが現れ、大きなビルが現れ……

(この辺も……ビルが建ってきたなぁ…)

昔の風景を思い出しながら、窓の外を見つめた。


 あ…申し遅れました。
私の名前は柚華(ゆずか)。十六歳の女子高生。
今日は演劇の大会のため、少し遠出。
それでもパソコンは手放さない。

「また台本創ってるの?? 今回もアンタが書いた話だし、秋もそれにするつ もり??」

愛が笑う。

「もちろん。そのつもりさ」

パソコンの画面だけを見つめ、二言で返事を済ませる。

「今回の話さ、良かったよね。これのおかげで県大会までいけるんだから」

「ありがと」

今度は一言で返してやった。

 家にいても、学校にいても、常にパソコンを打っている私。
パソコン以外、何もいらない。
友達だって、別に大切だとは思わない。
でも、この子たちは私といつも一緒にいてくれる。
それは嬉しいことだ。

「あ、駅着くよ」

「あぁ」

パソコンの電源を消し、再び無造作に閉じる。
蒼い深い手提げの中にそれをしまい、携帯を出す。


『今駅に着きました。もう少しで会場に着きます』


先輩にメールを入れる。
そして再び胸ポケットに携帯をしまおうと思ったとき……

〜♪

「あ、柚華、メールメール」

「先輩か??」

私は再び携帯を開く。
記されたアドレスは、見たこともないもので。

「誰だ??」

「知らない人?」

「あぁ」

再び携帯の画面に目を戻し、メッセージを見てみた。


『こんにちは、初めまして』


「……?? 初めまして?? 小説のサイトの人か?」

メッセージの続きを見てみた。
批評と感想が書かれた、長いメール。

「へぇ。読んでくれた人がいたんだ」

『有り難うございます』


感謝の意を込めたメールを送る。

 このときは思いもしなかった。

 この返事が、私の人生を大きく左右するなんて……



2003/11/27(Thu)19:59:04 公開 / 悠里
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 初めまして、悠里(ゆうり)です。
今回初めての投稿です。
これからもたまに顔を出させていただくと思いますので、どうぞ宜しくお願いいたします☆
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