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『夢人 第二章』 作者:棗 / 未分類 未分類
全角880文字
容量1760 bytes
原稿用紙約3枚

「旅立ち」


…自分としては格好よく切り出して見たものの。
ボクたちはしゃがみこんで、ケラケラと笑いあっているだけだった。何でかは分からない。

そして、暫く当初の目的を忘れてワイワイしていたが、僕は本題に切り替える事にした。
「さて、旅に出るといったものの。どうするか?」
賑やかなムードが一変した。

シ――――ン。

その気まずい沈黙を明るく破ったのは、フィルが鞄を漁るガサガサという音。
ガサガサという音が静まると、ニッコリ微笑み、取り出した物を僕の前でゆらゆら揺らす彼女がいた。
「カルル!あたし地図帳持ってきてたのよ♪使って使って〜!」
シェルも鞄を漁り、黒い筆箱を地面に置いて言った。
「俺、筆箱に方位磁石のキーホルダーが付いてる」
何だか胸がわくわくする。旅って楽しいかも、という思いを精一杯込めてボクは二人に呼びかけた。
「じゃあ、何処に行くか?」

シ――――ン。

…地図帳を眺め回すしかなかった。

目移りしてしょうがない。遠いあの町に行こうか?思い切って船で川を渡ろうか?それとも手頃なあの村にしようか?今景気が良いあの国まで長旅をしてみようか?

すると、シェルが沈黙を切り開いた。彼の目も、ボクと同じように爛々と輝いていた。
「そうだ、隣町のペルガンに行かねーか?俺の親戚も居るし…そこに一旦頼って見ようぜ」

ペルガンは、港町だ。埋め立てられた海岸には沢山のビルが行儀良く並び、若々しい笑い声が溢れている。もちろん外交も多く、これから旅に行く場所を決めるには丁度良い場所だ。

ボクはあの町があんまり好きではなかったけど、ジェリーはいつも、「ペルガンに行きたい」と駄々をこねていたっけ?
ふ、と笑いがこみ上げ、ボクは高らかに言った。
「よーし、そうしよう!そうしよう!」
ボクは、多分壊れていたのだろう。二人は少し気遣いがちだった。

そんな訳で、行き先についての討論は終わり、ボクたちは大して必要の無い方位磁石を見ながら、ああでもないこうでもないと言い合いながら、前へと進んだ。

ペルガンの街で、僕らは運命と対峙しなければならないなんて事は、全く知らないで。
2003/11/13(Thu)19:21:38 公開 /
■この作品の著作権は棗さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
この作品の方向性が完全に定まりました。
軽く20章は行ってしまいそうな予感です(汗)どうか、愛想を尽かさずに見守ってやって下さいv
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