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『8×8〜最期の告白〜 後編』 作者:Rue / 未分類 未分類
全角571文字
容量1142 bytes
原稿用紙約2.35枚
「やっぱり強いな、香は。」

ゲームを始めて十数分ほど経っただろうか。
あと3手くらいで香が勝つだろう。
俺は下を向いて、ずっと考えていた。
次の手じゃない。
香の「話したい」ことだ。

ゲームを始めてから香は一言も喋っていない。
ためらっているようにも見えた。
珍しいこともあったもんだ。
どんなことでもストレートに言う香が。

このままではゲームは終わらない。
俺はポーンを進めようと手を伸ばした。
その瞬間、香が突然口を開いた。


「亮・・・、わたし、ずっとあんたのことが好きだったの。」


あまりに突然だった。
俺は一瞬理解できなかったが、すぐに気づき、香のほうを見た。

香はいなかった・・・。

ついさっきまで、チェスをしていたはずだ。
外に出た様子もない。
部屋の中に隠れているのだろうか。
そう思って席を立ったとたんに、出入り口の扉が勢いよく開いた。

「亮!!」

健太だった。

「ど・・どうした?そんなに急いで・・・。」

俺は半ば混乱していた。
今日はいつもとは何かが違う。
突然なことが多すぎる。
そして、健太の言葉が追い討ちをかけることになった。


「香が・・トラックにひかれて・・・死んだ。」


俺の思考回路は完全に止まった。

何度呼びかけても、香は返事をしない。
何度探しても、香はどこにもいない。


ただそこには、チェス盤があるだけだった・・・。

2003/10/29(Wed)17:28:50 公開 / Rue
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■作者からのメッセージ
題名の「8×8」ってのはチェス盤のことです。なんとなくつけてみました。
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