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『ファンタジー・サークル VOL.3』 作者:青井 空加羅 / 未分類 未分類
全角1327.5文字
容量2655 bytes
原稿用紙約4.55枚
 強風に銀色の髪が美しくたなびく。
『お前たちは私を倒すつもりなんだろう?
だが、ここは私の世界だ。お前たちに私の世界征服を邪魔させるわけにはいかない。』
群衆は静まり返っていた。
『本来なら私が自ら手を下すほどのことではないのだが、芽は早く摘んでおかないとな・・・。』
大魔王はおもむろに右手を掲げると空に器用に何かの紋章を描き始めた。
真っ赤な炎をまとって出現した紋章はやがて何かの物体を形づくり身長1メートルぐらいの醜い生き物が姿を現わした。
『お前たちはこれでお終いだ。行け!ゴブリン!』
ゴブリン、とよばれたそれは群衆を確認すると斧を振り上げ襲ってきた。
一人の少年が前に進み出る。
友達と一緒に来た小学生だろうか。
友達は怖がって後ろに下がっていた。
『ふふ、お前Lv1だぜ?僕が倒してやるよ。』
少年はそういうと向かってきたゴブリンを思い切り蹴飛ばした。
ゴブリンはぐひっ、とこれまた醜い悲鳴を上げると後方にふっとんだ。
「ふふ、ちょろいちょろい。」
少年が友達にVサインを送っていると、後ろから立ち上がったゴブリンが再び斧を振り上げていった。
「後ろ!」
誰かがそう叫んだが、間に合わなかった。
振り下ろされた斧は少年の頭に直撃し、誰もがゲーム・オーバーを予想したその後・・・。
 そこにはきょとんとする少年とゴブリンがいた。
少年はゴブリンの持つ斧を取り上げるとパキッと折った。
「・・・これ、発砲スチロールだぜ?」
「・・・ぶっ。」
群衆の間から歓声とともに笑い声があがる。
しかし大魔王は心中穏やかではなかった。
『・・・さすが、といったところか。しかしやはり勝つのは私だ。』
大魔王はそういうと突然群衆めがけて突撃した。
そう。彼をめがけて。
次々と弾き飛ばされる人々の先に彼はいた。
「・・・え?」
「・・・冴木君?」
二人が事の状況を把握できないままに大魔王は美久の目の前から徹を担ぎ上げると、小さくつぶやき、上空に舞い上がった。
『スリープス』
そう呪文が唱えられると徹の意識は遠くなり、眠りこけてしまった。
「ちょ・・・ちょっと!」
美久は慌てて追いかけようとするが、上空に舞い上がった大魔王はそのまま消えてしまった。
「・・・なっ何なの?」
群衆に動揺が走る中、再び空には青空が広がり、暗雲は消えた。
その途端、アナウンスが流れる。
『お知らせします。ただいまエラーが発生しました。
申し訳ありませんが、一旦みなさまをゲームから戻させてもらいます。』
少しあせっているように美久には聞こえた。
次の瞬間、美久の意識は再び無理やり深く沈まされた。

「何だったんだろーねー。あれー。」
「なー。何だったんだろーなー。これー。」
無理やり現実に引き戻された人々はあれやこれやとざわめきあっていた。
ヘルメットを外した美久もさっそく徹とこのハプニングを語り合おうとした。
「大魔王にさらわれた気分はどうだった?」
しかし徹はヘルメットをしたまま動かない。
「・・・冴木君?どうしたの?早くヘルメットはずしなよ。」
美久は無理やりヘルメットを外そうとしたが外れなかった。
「・・・何?いったい何がおこったの?」
恐ろしい大魔王のゲームが始まりのゴングをならしていた。


to be continue


2003/09/25(Thu)23:26:15 公開 / 青井 空加羅
■この作品の著作権は青井 空加羅さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
最近大学のガイドブックを大量注文しました。やはりきになるのは文学部。立派な小説家になりたーい!(願望)
でも親は絶対ゆるしてくれません泣。
勉強しなきゃ・・・。以上、小説を書きつつ思った事でした。
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