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『ペガサスの白い羽』 作者:高凪 クレハ / 未分類 未分類
全角2788文字
容量5576 bytes
原稿用紙約9.2枚
 「コレ、あげる。」
まだ年端も行かぬ少女が、薄汚い白い布カバンを差し出した。
「67ハン。67ハン入ってるから、お願い。そのお馬さんと交換して!」
 寂れた町の大通りを、大きなトラックがやかましい音を立てて進んでいた。
その横を、この幼い少女は息を切らせて走ってきた。仕方なく、そのトラックの
運転手はブレーキを踏んだ。どうやら目的は、このトラックの荷台に積んである
天馬の像らしい。
「でもよぅ嬢ちゃん、これはこれから捨てる像だぜ?本当に要るのか?」
運転手は少女に尋ねたが、彼女はただまっすぐ手を突き出して、カバンを握って
いるだけである。
「もっとお金がかかるんだったら持ってくる。だからあたしにちょうだい」
少女は真っ直ぐ運転手を見詰める。何故だかは分からないが、その意思は不動の
岩のようだ。
「……どうしてこれが欲しいんだ?」
「どうしても」
運転手は窓から顔を出して、荷台の方を見ながら呟く。
「……こいつはもう用なしだ。もう廃棄場に捨てられる他に道はねぇんだ。
だったら嬢ちゃんにあげちまったほうが、こいつにとっても幸せなんだろうな」
「だから!いくら払えばいいの?」
少女は驚くほどの大声をあげた。運転手はしばらく考えてから言った。
「……いらん。いくらも要らんよ。タダでいい。俺の仕事が楽になるだけだ」
少女の顔がほころんだ。何がそんなに嬉しいのか、こんな古く錆びた軽い像を
どうしてそんなに欲しがるかは全く理解が及ばなかったが、ただ1つ、彼女は
幸せそうだった。
「このお馬さん、生きてるみたいだから」
「…あ?今何か…」
「さっきどうしてって聞いたでしょ。……生きてるみたいなんだもん」
                                     
 少女とその仲間が、子供たちだけで住んでいるビルの廃墟の入口前に、その
天馬の像は置かれた。後ろ足を地面に据え、前足を高く掲げ、顔は遥か彼方を仰いでいる。
「……これ、本当にマオがもらってきたのかよ」
仲間のひとりである短髪の少年が、いぶかしそうに尋ねる。
「うん、本当だよ?優しいおじさんがね、くれたの。」
「……ふぅん……邪魔、だなぁ…」
ソバカスだらけの少年が、呆れたように言う。
「別にリョウが何言ったって気にしないもん!これは、あたしのなの」
マオという名の少女が、そっと天馬のたてがみをなでる。精一杯の爪先立ちで
やっと手が届いた馬の背を、丁寧に丁寧になでていく。
                                     
 日が沈んで、夜が来た。空は曇りで、月も星も見当たらない。
廃墟の町は、あたりを取り巻く静寂のせいでいっそう薄気味悪くなっていた。
もちろん、少女やその他の少年たちにとってはこれが日常であり、自分たちの故郷であるのだが。
 …その夜彼女は、天馬の足元で眠りに就いた。
                                     
 何故か目は冴えていた。暗闇のはずなのに、今日は曇りのはずなのに、それなのに空は一面星の絨毯だった。
見上げる先には天馬の姿があって、たてがみが微かな風になびいていた。
 ……たてがみが、なびいていたのだ。
少女は跳ね起きた。馬が動いている!!彼女は昼間よりももっと背伸びをしようとした。
「こんにちは。えっと…あたしは、マオです」
そうやって耳元で囁いた。あんまり大声を出すと他の皆が起きてしまう。ドキドキ
する心臓をおさえて、馬のたてがみに手をのばす。
柔らかい。指の間をすり抜けていってしまいそうだ。
彼女はその馬をもっとよく見ようとした。顔を見て、生きているのかを確かめようとした。幸せに満ちた顔で、少女は馬を見上げた。
 その少女の顔に、一粒の水が落ちてきた。それから続けて2、3…と。
「え?どうしたの?」
少女が尋ねる。すると馬は悲しそうに言った。
「泣いているんだ」
「どうして?どうして泣かなきゃいけないの?」
彼女の幼い頭には、恐れなどなかった。馬が喋るだの、泣くだのということは全く
気にしていないようだ。ただ、彼女の胸を一杯にしているのは、純粋な哀れみのみだった。
「悲しいから、泣いているんだ」
天馬はどこまでも哀愁を帯び、また優しさにあふれた声で囁いた。
「もしかしたら、嬉しいのかな。分からないけど」
一呼吸おいてまた話し出す。
「僕はどうしてここにいるの?僕にはお父さんやお母さんがいたはずなんだ。
なのに、どうして?」
天馬はひどく悲しそうに、また少年のような口調で言った。
「……ねぇ、お馬さん」
少女は尋ねた。彼女でも理由のわからない涙を、一杯にためて。
「お馬さんは、飛べるの?」
                                     
 次の朝、明るい朝陽が少女のまぶたを突き刺した。
「あれ…、もう、朝?」
「寝ぼけるなよ、もう太陽は高いよ」
リョウが言った。少女は眠い目をこすりながら、一本足が欠けた椅子に掛けてあったタオルを取る。
「……顔、洗ってくる」
「気をつけろよ」
バケツを持ってだらだらと歩く少女の脳裏に、あることがよぎった。
「……ねえ、あたしのお馬さんは?」
「は?そんなもの、あったかよ」
「忘れたの?この入口に、昨日置いたじゃない…!!」
少年たちは、揃って顔を見合わせる。少女は泣きそうになりながら叫ぶ。
「あったんだから!本当に!すっごくキレイで、生きてるみたいな!」
少年たちはケラケラと笑い、少女は涙声で訴え続ける。
と、突然、少年たちの笑いが消えた。少女の後ろを唖然としてみている。
「あのう…仲間に、入れてくれないかな…」
少女の後ろから声がした。少年たちと歳はそう変わらないだろう。
少し長めのこげ茶色の髪のその少年の顔には、まだあどけなさが残っていた。
「えっと、誰ですか?」
「仲間に入れてくれないかな」
少年はさっきよりも強い口調で言った。
「…僕は、ジンって言います」
しばらく、沈黙が漂った。突然の訪問者に皆戸惑っているのだ。
数分の時間が流れた後、その空気を破ったのは少女だった。
「あたしは、マオって言います!そこの髪の短いヤツがシュウ、ソバカスのヤツが
リョウで、その隣のヤツが…」
「あ、とにかく、ジン…だっけ?も、こっち来いよ!」
シュウが言った。ジンは笑って、「ありがとう」と言った。
そして、マオとすれ違う瞬間、彼は耳元で囁いた。いつか聞いた、哀愁を帯び、
優しさに溢れた少年らしい声で。
「ありがとう。空が飛べて、本当に楽しかった」
                                     
 ジンはそのまま速足でシュウたちの元へ行ってしまった。少女は、信じられないというふうに目を見開いて、それから顔をほころばせて、振り向いた。
「あたしも!」
2003/09/01(Mon)16:01:10 公開 / 高凪 クレハ
■この作品の著作権は高凪 クレハさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
初めましてこんにちは。高凪クレハです!
今回が初投稿ですvv
なんだかだらだらと長い上にわけ分からない話ですが・・・。精進します。


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