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『天誅』 作者:明神 / 未分類 未分類
全角1165.5文字
容量2331 bytes
原稿用紙約3.4枚
      序章

まったく…いつもの事だが、しつこいにも程ってもんがあるだろう。あの野郎ども
斬っても斬っても這い上がってきやがる。愛刀の古一文字が錆付いたら、タダじゃおかねぇぞ。まぁ、俺に喧嘩を売った時点でタダじゃすまねぇけどな。
あぁ、あの野郎どもってのは、「音無し」ってやつらで、どうやら俺達人間の「負」の
心から生まれたらしい。やつらは数千年前から人間と対立してきて、何度もこの世界の支配権を取り合ってきたらしい。今んとこは俺達人間の世界が表に出てるが、
裏では「音無し」も、人間と同じ様な世界を作って、ちゃっかり生きていやがる。
おっと、こんな話をしてる間に、やつらが回復しちまった。さっさと片付けるとするか。

眼前で、五体の鬼が双眸をギラつかせて俺に睨みをきかせてやがる。
「音無し」の中級眷属、「天邪鬼」だ。やつらは、普通の二倍程の身長で、五指には
鋭く長い爪を持ってやがる。腕力も相当なもんだ。そして何より、回復力に長けていて、刀で斬った位じゃすぐに元通りだ。やつらに対しての対抗策、それは頭蓋を
ぶった切ることのみだ。
俺は集団に飛び込み、一番手前の奴との間合いを一気に詰める。「天邪鬼」は、その鋭い爪で横なぎの一撃を繰り出すが、疾風と化した俺には当たらない。
俺は腕の下を潜り抜け、跳躍しつつ顔面に斬撃を叩き込む。どす黒い薔薇が、
勢い良く咲き乱れる。着地すると同時に、叩き潰すような爪の斬撃が上空から振り下ろされる。俺は神速でステップを踏み、「天邪鬼」の背後に回りこみ、背後から
「天邪鬼」の両足を斬り裂いてやった。支えを失った巨躯は、無残に倒れ込み、腕を振ってもがいている。その瞬間背後からの殺気に気付いた俺は、もがく「天邪鬼」の腕をつかみ、思い切り背後に投げ捨てた。支えの無い巨躯は、中を舞い、
背後で俺を狙っていた「天邪気」に激突する。二本足で立つ巨躯は、それを払いのけるが、一瞬視界を失った。だがその一瞬が命取りだ。俺は疾風と化して一気に間合いを詰め、跳躍しつつ神速の突きを顔面に繰り出す。
「天邪鬼」は反応する間も無く、頭蓋の内容物を撒き散らし昏倒する。
さぁ残りは二対だが(足の無いやつは抜かすが)、こんな雑魚どもに時間を掛けてる
程、俺は暇じゃねぇんだ。俺は納刀し、二体との間合いを取る。
そして二体の一匹が動いた瞬間、脚力を爆発させ、瞬時に間合いを詰め、神速の
斬撃をやつらの顔面に叩き込んだ。二体の巨躯は、巨大な柱が倒れるようにして
昏倒した。
まったく…こんな所で無駄足を食らうなんて、ついてねぇな、俺も。
さっさと目的地に着かねぇと、また減俸だ。俺は急ぎ足で、目的地に向かった。
そういや俺の自己紹介がまだだったな。俺は「沖田清十郎」。
「無道塾」って組で、傭兵をやってる。藍色の着物が似合う、色男よ。
あぁ…また時間くっちまったよ…。 
2003/03/20(Thu)23:43:43 公開 / 明神
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■作者からのメッセージ
初めて小説を書きました。
続けられたら続けます。
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