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『急ぐ理由』 作者:弥生灯火 / ショート*2 リアル・現代
全角1170.5文字
容量2341 bytes
原稿用紙約3.45枚
数分で読み終わる短い作品になります。

 暮れなずむ夕陽を背に、ひとりの女性が流れていました。
 三十代の半ば頃でしょうか。肌は白く美しいといえましたが、とりたてて美人というほどでもありません。
 身を装う衣服もありふれたもの。繁華街を進むその彼女の姿は、どなたが見ても一介の主婦といったところでしょう。
 すれ違う通りの人々も気にすることはなく、いえ、ただひとりの幼女だけが興味深そうに目で追っています。
 ですけど彼女の方は気づくことなく、ある一点のことだけに突き動かされ心を急がせていました。

 そう、彼女は急いでいました。急ぐ理由があったのです。
 初めて接する景色には目もくれず、流れる風のように身体を進ませる彼女。記憶の隅に残っている住所を頼りに、でも迷うようなそぶりは見せずに、一心に急いでいます。離れて暮らす夫のところへと。

 彼女は気がかりを抱えていました。
 この地には仕事で単身移り住むことになった夫がいるのです。結婚して彼女と共に生活を過ごしたのは数年でしたが、少々頼りなく、ついていないといけないという気持ちにさせられる夫でした。
 朝はきちんと食事を摂っているのだろうか。偏ったものばかり食べていないだろうか。洗濯物のたたみ方を知っていただろうか。寂しがり屋のところがあったけれど、元気でいるのだろうか。
 もしも夫が彼女の心中を読み取れたなら、「おいおい、俺は子供かよ」と呆れたことでしょう。

 夫の借りるアパートに到着し、彼女はまず台所に向かいました。1Kという間取りなこともあり随分と手狭です。連絡もせず訪れた妻に対し、夫は驚きつつも首をかしげていました。
 そんな夫に構わず、丁寧ではないけれどしっかり洗ってある食器類を眺め、彼女は小さな冷蔵庫を開けます。中に入っていたのはレトルト食品が主ではありましたが、しっかり野菜も数種類入っていることに安心を覚えます。次いで彼女が向かったのは、二層洗濯機が設置してあるベランダ。汚れ物は溜まっておらず、物干し竿や手すりにも埃は堆積していませんでした。
 ユニットバス、衣装ケース、寝具と順番に確認していく彼女。どれもが共に暮らしていた時のように清潔に保たれ、整理して収められています。だんだんと彼女の、その表情はどこか憑きものが取れたように晴れやかになっていきました。

「おい、一体どうした?」
 彼女は夫の声に少しだけ、ほんの少しだけ残念な表情を灯します。でもすぐに柔らかな笑顔を浮かべ、玄関へと向かいました。
「待てよ、もう帰るのか。一晩ぐらい泊まって――」
 背中に投げられる夫の言葉。身体をすり抜けて、消えていきます、彼女と共に。
 呆然とたたずむ夫のもとへ、彼女が事故に遭い意識不明のまま、今しがた亡くなったという訃報が届いたのは数分後でした。

 彼女には急ぐ理由があったのです。どうしても、どうしても……
2016/02/14(Sun)18:41:17 公開 / 弥生灯火
■この作品の著作権は弥生灯火さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
前作『白日夢』からは久しぶりの投稿になります。
「心残り」をテーマとして書いた作品ですが、前作同様に夫婦間の愛情も感じて頂けたなら幸いです。
読んで下さった方に感謝を。
この作品に対する感想 - 昇順
愛が好きだ。愛の話が読みたい。と、常々欲している狸としては、このタイプの奥様はウルウルなのですが――いかんせん、このアイデアで4枚弱は、短すぎると思います。前作ほど話のうねりが少ないのでよりショートに、そんな意図とも思えますが、うねりが少ないからこそ細部に愛を宿らせないと、ショート・ストーリーではなく『粗筋』になってしまいます。
狸としては、このモチーフだと、逆に前作の倍くらいは書きこみが欲しいと思いました。
2016/02/22(Mon)05:58:570点バニラダヌキ
バニラダヌキさんへ
感想ありがとうございます。
短かったですか。貴重な感想、感謝します。
文章が長いと粗が見えるのでなかなか書けないのですが、頑張りたいと思います。
2016/02/22(Mon)21:50:590点弥生灯火
 はじめまして。作品を読ませていただきました。

こういうモチーフのお話はわたしもとても好きです。なにかを夫に伝えて消える、とかではなく、ただ、なにも語らず夫の生活を心配してゆく、という、さりげなさがすごくいい。まず冷蔵庫、洗濯物、と気にしていく順番がいいですよね。やっぱりご飯が一番気になるんですよね。ちゃんと食べてるかな、って。わたしも彼の冷蔵庫を開けた時、ブロッコリーとかトマトとかホウレン草とか、緑黄色野菜が入ってると安心するので、よくわかるし、とても自然に思いました。

 ただ、確かにちょっと短いかなあ、という気がします。わたしの場合、登場人物の性格や生活がとても気になる達なので、この奥さんのことを考えちゃいました。
 冒頭で「どなたが見ても一介の主婦」とあるので、キャリアウーマンというよりは、専業主婦とか、スーパー辺りでパートをしてる女性を思い浮かべました。そして、最後に気にかけるのが夫であることから、「この女性に子供はいないんだろうな」と想像します。
 そうすると、「この様子だと仕事も子供の受験もなさそうのに、寂しがり屋だとわかってる旦那さんを一人で単身赴任させるのは何故だろう?」という疑問が浮かんでくるんです。「ついていけないという気持ちにさせられる」と一応の理由はありますが、実際問題、なかなか難しいところですよね。単身赴任だと若干手当ては出るけど生活費は別々に暮らすほどかかるし、マイホーム購入後? でも結婚して数年で単身赴任ってあるから、可能性低そうだなあ、とか。あとは両親の介護とかかなあ。あ、数ヵ月の単身赴任の予定がずるずる少しずつ伸びて、気づけば何年も、ってパターンもありますね。
 すみません。勝手にいろいろ妄想しちゃいました。
 勿論、家庭によっていろんな事情がありますよね。貞淑な、いかにも主婦と言った女性が一人残って暮らしていても、それ自体は不自然ではないと思います。ただ焦点をこの女性に当て、このシンプルな物語を描こうとすると、女性のイメージが定まらず、物語に溶け込みにくくなるように思います。しようと思えば上記の通り、いろいろ想像できるけど、それは作品から導かれた想像というよりは、読者の創作に近いのかな、と。
 そうすると、折角美しい愛の物語なのに、視点がぶれてしまって、勿体無いように感じました。

 例えばこれが旦那さん視点だったら、同じくらいの分量、情報量でも、だいぶ変わってくるのではないでしょうか。野菜炒めでも作ろうかなあ、牛丼でも買って済ませようかなあ、と思っているところに突然連絡もなく現れる奥さん。久しぶりの家庭料理が食べられる!と思ったのにそのまま帰っちゃってがっかり……的な視点が入ったりして(ほんと勝手にすみません)
あと、ちょっと嫌なことを言うと、もしわたしの彼がここまでちゃんと暮らしてたら、「浮気してるかな」「女の人連れ込んでる?」って疑うと思うんですよね。この作品にそんな裏は勿論ないと思うのですけれど、女性の心の動きとして、そんなに不自然な考え方じゃないように思います。
とは言えこの女性がそんなことを心配してたら作品の雰囲気が壊れちゃうし。旦那さん視点にすることで、それも解消出来るんじゃないかな、と思いました。

それと、もう一つだけ、これは好みの問題かもしれないので読み流して頂けたらと思うんですが、「ただ一人の幼女だけが」とありますが、この幼女という言葉に、何となく引っ掛かりました。
不勉強なのでわたしが間違っているのかもしれませんが、あまり耳慣れない言葉なんですよね。インターネット上では時々見かけますが、(わたしが)物語であまり使われているのを見た記憶がないというか、あまりイメージの良くない言葉というか……あくまで、わたしがそう思うだけなのですが……。
うーん。この上品で古風な語り口には、幼児、幼子、子供、の方が似合うような気が、しました。や、ほんとに好みの問題かもしれませんが。

 作品の持つ雰囲気、モチーフが非常に好みでしたので、ついいろいろと勝手なことを申してしまいました。お気を悪くされたらごめんなさい。
 またいつか、次の作品も読ませていただけたら嬉しいです。
2016/04/27(Wed)09:56:530点夢幻花 彩
初めまして、荒屋敷ハコです。
小説を読ませていただきました。
丁寧な口調で良いと思いますが、どうせならもっと徹底した方が良いと思います。例えば「だろうか」のところを「でしょうか」にしたり。体言止めもあまり合わないと思います。
あと、このオチだとショートととしてのインパクトは低いです。なので、この夫婦の背景をもっと掘り下げて、短編程度にのばしてお涙頂戴ものにした方がいいかなと、思います。
2016/05/01(Sun)17:12:270点荒屋敷ハコ
夢幻花 彩さんへ
読んで頂きありがとうございます。
感想にあるとおり短い、短すぎる作品でして、その分読んだ方の想像力に頼っている作品なんだと思ってます。
ですから夢幻花さんのように色々と想像を巡らせて貰えると助かり、とてもありがたく嬉しかったです。

余談になりますが、今作は下書き段階で男性の方の視点から描いた作品でした。その時は男性が突然やってきた奥さんを見て、
浮気でもしているんじゃないか? と訝しんだりする描写をしていました。結局今作は女性の視点で書き上げることとなりましたが、視点の違いで同じストーリーでも異なる印象を与えることは多いですから、これからも色々と考えて書いていきたいと思います。

幼女、については、幼子でも良かったかもしれませんね。特にこだわりがあっての表記ではありませんでしたから。今後の参考しますね。

ではでは、感想ありがとうございました。
2016/05/04(Wed)01:32:040点弥生灯火
荒屋敷ハコさんへ
読んで頂きありがとうございます。
短い、短すぎるというのは自分でもそう思います。その短い文章の中でも指摘を受ける箇所があったようで、精進したいと思います。
感想を読む限りでは、あまり想像させられなかったようなので、もう少し想像させられるように描きたいと思います。
ではでは、感想ありがとうございました。
2016/05/04(Wed)01:33:160点弥生灯火
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