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『潮の降る町(保留中)』 作者:天野橋立 / ファンタジー リアル・現代
全角7450文字
容量14900 bytes
原稿用紙約20.95枚
浜津市の沖に浮かぶ海底炭鉱の島「青松島」を舞台に展開する、平成の初め頃を想定した現代ファンタジー小説。(内容調整のため一時保留中ですが、間もなく第三章後半まで更新します)
プロローグ 海上都市

 彼女を乗せたバスは午後九時ちょうどに、終点の旅客船ターミナル前へと到着した。島に帰る最終の船が出るぎりぎり五分前の時刻だったから、彼女はあわただしくバスを降りて乗船口へと急いだ。もちろんバスの乗客全員が乗換えを終えるまでは、船は出ない。彼女もそれを知ってはいたが、自分のために船の出航が遅れることになるのは、気が進まなかった。
 老人や子供連れもいるバスの乗客が、全て乗換えを完了するには時間がかかり、実際に船が出港したのは予定時刻の七分遅れになった。定員百名と比較的小ぶりな旅客船は、浜津の町との別れを惜しむかの如くゆっくりと桟橋を離れ、それから沖合に向かって徐々に速力を上げ始めた。もう明日の朝まで、この船がここに戻ってくることはない。

 船が去ったのを見届けるかのようなタイミングで、桟橋に並ぶ灯りが沖側の端から順番に消えて行き、最後にターミナルビルのネオンが落ちた。ターミナル前に佇むバスの、黄色いウインカーの点滅だけが、港の位置を示していた。後部のデッキでその様子を眺めながら、今日もちゃんと間に合ったなと、彼女は安堵のため息をついた。
 海面にキラキラと映っていた町の夜景が次第に遠ざかり、頭上の青白い蛍光灯だけでは足元が薄暗く感じられるようになってきた頃、彼女はデッキを離れて客室へと入った。島までは、まだ三十分はかかる。アルバイトの立ち仕事で疲れた体を休めたかった。
 間接照明で落ち着いた雰囲気の二階客室内は人もまばらで、座席は座り放題だった。少し眠ろうかと、騒がしい野球中継を映しているテレビから離れた席へ向かって歩き出した彼女の背中に、誰かが声を掛けた。
「郁代!」
 振り返った彼女は、そこにTシャツ姿の佐山理奈を見つけた。島から同じ大学に通っている数少ない友人で、朝は時々一緒に登校しているのだが、帰りの船が同じになるのは珍しかった。
「相変わらず、帰るの遅いじゃない。今日もバイト?」
 理奈は、屈託のない笑顔を浮かべて言った。顔がいくらか赤らんでいるようだ。
「うん、バイトの帰り。理奈は飲み会だったっけ、今日は?」
 郁代はそう言って、理奈の隣に腰掛けた。ソファーのようなふわふわの座席に、体が沈み込む。
「そうだよう。法律学科の男の子達と合コンさ」
「楽しかったみたいね」
「うーん、微妙ねえ。盛り上がったことは盛り上がったんだけど、何かちょっと距離があるって言うか。やっぱり真面目な奴ばっかりなんだよね、うちの学校の男どもは。勉強ばっかしてきたからああなるんだ。ま、一応メルアドだけはゲットして来たけど」
 ひとしきりぼやいた後、理奈は郁代をにらみつけた。
「あんただってそうよ、真面目すぎるんだから。大体、わざわざバイトなんてする必要ないじゃない。何て言ったって、あんたは炭鉱長のお嬢さんで……」
「もう、理奈ったら飲みすぎじゃないの。私に絡むのやめてよ」
「誰が酔っ払いだって?」
 理奈はぷはーっとばかりに、郁代に息を吹きかける。
「うわ、酒臭いよ」
 彼女は思わず、苦笑いを浮かべて体を反らした。

 船の緩やかな揺れ具合の心地よさが眠気を誘ったのか、やがて理奈は郁代の体にもたれかかるようにして眠ってしまった。逆に寝ることができなくなってしまった郁代は、仕方なく窓の外を眺める。真っ暗な海の向こうにわずかに見えるのは、あちこちに点在する小島の集落の灯りだけだった。
 ガラスに映る自分の横顔に、幼いときに見た母親の顔を思い出して、郁代はふと懐かしいような気持ちになった。自分の肩で寝息を立てているショートヘアの理奈が、まるで子供のようにも思えて来る。
 テレビの野球中継が終わり、ニュース番組が始まった。東北地方での水害の映像や、十二党連立政権の支持率急落についての解説をぼんやりと眺めていた彼女だったが、アナウンサーが三つ目のニュースを読み上げ始めた途端、その表情が硬くなった。炭鉱業大手の北洋炭鉱が事実上倒産したのだという。
 十数前の坑内爆発事故以来、徹底した経営合理化を行い、安価な輸入炭との競争を続けてきた北洋炭鉱だったが、政府の援助が打ち切られたこともあって、ついに閉山せざるを得なくなったのだった。地域経済に深刻な影響が出ることになるため、緊急の対策を行うことを検討しているという知事の声明を、アナウンサーは神妙な顔で読み上げた。
 いよいよ次は、と郁代は思った。私たちの島の番かもしれない。もしそうなれば、あの場所に住む人々の生活は一体どうなってしまうのだろうか。
 今この船が向かおうとしている先、彼女が住む青松島は、二十世紀も終わりに近いこの現代において、日本最大の海底炭鉱の拠点として全国にその名を知られていた。島の経済はそのほぼ百パーセントを炭鉱に、つまり炭鉱長である彼女の父の会社の収益に依存している。もしその炭鉱が閉山するようなことがあれば、島の暮らしはたちまちのうちに全面崩壊することになるはずだった。

 立ち込めてくる暗澹たる想いを振り払おうと、もたれかかった理奈の体を慎重に押しのけて、彼女は席を立った。通路を、今度は船の前部デッキへと向かう。そこからは、もうかなり近づいて来ているだろう島の全景が見えるはずだった。
 ドアを開いて外に出ると、潮の香りがする風が、彼女の長い髪をくしゃくしゃに乱した。船の進む前方には、暗い海。そしてその向こうに、島の姿があった。
 いくつもの高層ビルが、海の上に寄り集まって建っている。その数は二十を下らないだろう。無数の窓には煌々と灯りが点り、海面を照らし出していた。まるでどこかの都会を一部切り取ってきてそのまま海の上に浮かべたような島。それが彼女の島だった。青松島とは皮肉な名前だ。遠い昔はその名の通り、岩山の上に松の木が青々と繁る風景が見られたのだろう。しかし今や島の本来の地面は、全て建物に覆いつくされ、松などどこにも見当たらない。
 まさに海上都市とでも呼ぶべきそのビル群のほとんどを、集合住宅の建物が占めていた。そこには炭鉱関係者を中心に七千の人間が暮らす。人口密度は東京二十三区の十倍、島を一つの町と考えれば世界一の密度を誇っていた。
 この暮らしが、全て消え去ってしまう。そんなことが本当に起こり得るのだろうか。彼女は信じられない気持ちで、海の真ん中に幻のように浮かぶ街の夜景を見つめた。

「ほら、理奈起きなよ。もう着くよ」
 間もなく船内に戻った郁代は、理奈を揺すぶり起こした。
「うーん、あと五分だけ」
 理奈は目を閉じたまま無邪気な笑顔を浮かべて、座席のふかふかの背もたれにほおを押し付けて見せる。
「家で寝てるんじゃないんだから」
 笑いながら、郁代は複雑な気分になる。理奈はさっきのニュースを見ていない。いや、見ていたとしても何とも思わなかったかも知れない。島の人達は、「大鍋炭」――鍋島炭鉱株式会社の安泰を信じていた。他の炭鉱が閉山になっても、ここだけは違う。世界一の品質を誇る無煙炭を産出し、対岸には大規模製鉄所群や火力発電所が立地する人口七十万の一大工業都市、浜津市という大消費地がある。何より、鍋炭のバックについているのは帝国・鍋島の二大財閥をルーツとする日本最大の企業集団である、帝国鍋島グループだ。閉山など、考えられない――。
 しかし郁代は、父から断片的に聞く話によって、実態がそんなに甘いものではないことに気づいていた。倒産した北洋炭鉱だって、元々は住菱財閥系の名門企業だったのだ。

 郁代たちが乗降船口から短いタラップを渡って桟橋に降り立つと、目の前には島のシンボルとでも呼ぶべき、縦坑櫓の巨大な鉄塔がそびえ立っていた。地下六百メートルまで降りるリフトの昇降を、この櫓が支えているのだ。櫓は広告塔を兼ねていて、「帝国ルームエアコン」という文字のネオンが輝いていた。
 本来、石炭の積み出しが主な目的である港の周辺には炭鉱関連の施設が集まっているため、社員以外の一般住民は立ち入ることが出来ない。そのため、船を下りた乗客たちは、地下道を通って炭鉱施設エリアの下を潜り抜け、住宅ブロックへと向かうことになる。郁代と理奈も、他の人たちと一緒に照明もまばらな階段を降り、アーチ状の天井とコンクリート打ちっぱなしの壁がむしろ「トンネル」と呼ぶほうがふさわしいような地下道を歩く。ぞろぞろと歩く顔ぶれはいずれもどこかで見かけたことのある人ばかりだ。郁代の顔を見て、会釈する人も多かった。彼女も丁寧に頭を下げ返して挨拶する。子供の時から身についた習慣だった。
 さすがにこの時間にはシャッターが下りているが、一応この地下道内にはラーメン屋や喫茶店、靴屋などの店舗も幾つかあって、「港通り地下街」というしゃれた名前も付いていた。浜津駅前辺りの本物の地下街とは比べるのも馬鹿馬鹿しいほどの規模だが、それでもこの狭い島の中では貴重な商業地だ。これも、限られた場所を最大限に使うための知恵であった。
「島にもさ、せめてモスバーガーとかミスタードーナツくらいあったらいいのにね。こんなしけた商店街じゃなくてさ」
 ハイヒールの硬質な靴音をトンネルに響かせて歩きながら、理奈が言った。
「無理だよ。ミスドなんて、浜津にだってそんなにお店無いじゃない」
「それにしたってさ、ここなんか子供の時からずーっと同じ店ばっかだよ。いい加減飽きちゃうよ」
「贅沢言わないの。私たちなんか、まだ恵まれてるんだよ。毎日浜津市内に行けるんだから」
「だから言ってるんだよ。島にずっと居る子たちからしたら、やってられなくない? これじゃ、みんなここを出て行っちゃうじゃない」b
 理奈の言うことにも、一理はあった。実際、最近は高校を出ると、浜津を飛び越して東京や京都の大学に出て行ってしまう子も増えている。しかし郁代には、たかがミスタードーナツ一軒で彼らを引き留められるとも思えなかった。
 地下道内に幾つかある出口の一つの前で、理奈が立ち止まった。アーチ型をした出口の横には、ペンキで「十一」と書かれた白いアクリル板がはめ込まれていて、背後の電球の灯りでぼんやりと光っている。彼女が両親、それに高校生の妹と住む集合住宅は、ここから階段を登った上に建つ十一号棟、通称「事務屋棟」だった。ここには、主に炭鉱管理の事務に従事する、ホワイトカラー寄りの社員が住んでいた。
「それじゃ郁代、また明日ね」
 理奈は案外しっかりとした表情で、手を振った。船で眠ったおかげか、酔いも醒めかけているようだった。
 これなら一人で階段を登らせても大丈夫だろうと、郁代もじゃあねと手を振り返し、再び暗い地下トンネルを歩き出した。

 通路の突き当たりの階段を登ると、地下道はお終いだった。ここからは、島のメインストリートになる。しかしメインストリートとは言っても、両側をビルに挟まれた、細い路地のような通りに過ぎない。日光が差し込むのも、正午に近いわずかな時間の間だけだ。もちろん車は通れないから、島内では屋根つきの三輪バイクが輸送手段の主力となっていた。
 山側に建つビルとビルの間には、上方へと伸びるいくつもの狭い階段があった。岩山の上にビル群が密集して建っている、と言うのがこの島の本来の地形だから、その麓にあるこの通りを外れようとすればどこへ行くにも階段を登ることになるのだ。それが嫌なら、反対側にある海に落ちる外はない。
 その階段の一つ、ひときわ真っ直ぐに街の高みへと続く階段を、彼女は上り始めた。階段沿いには、ビルへの出入り口がいくつも並んでいた。岩山の斜面に重なり合ったビルとビルの関係は複雑だ。下のビルの4階が上のビルの1階とつながり、そのビルの5階がさらに上のビルの2階とつながっている。雨の日でも、そんな迷宮のような建物の中を上へ上へと登って行けば、濡れずに頂上へとたどり着くことも可能なのだ。しかし初めてこの島を訪れた者が、つながり合った建物の中にもし一歩でも入れば、自分が今果てして何号棟の何階にいるのか、たちまちのうちに分からなくなるに違いなかった。島に慣れた郁代であれば、もちろん道を迷うようなことはなかったが、それでも窮屈で歩きにくい建物の中にわざわざ入ろうとはしなかった。ビルの壁面に取り付けられた街灯と、無数の窓から漏れる明りで、足元も暗くはない。
 息切れしてくるのを我慢しながら登り続けるうち、やがて郁代は全てのビルを見下ろす、島の頂上部まで登り切った。階段は終わり、そこにはごく狭い平地があった。頑丈な石塀で囲まれたその平地に、彼女の住む家である炭鉱長社宅は建っている。島に着いてから、ずっと人工物の上を歩き続けてきた彼女の足は、その玄関の前で初めて自然の地面を踏むことになった。
 誰もがビルの一室に住む島において、炭鉱長社宅は唯一の完全な一戸建てだった。神社やお寺でさえもビルの屋上に建てられているというのに、この家だけは地面の上に直接建っている。特権階級と見ないでくれ、と言うほうが無理と言うものだ。郁代はこの社宅に象徴される自分の立場を常に意識しながら、島に来てからの十五年間を生きてきたのだった。

 引き戸をガラガラと開いてただいま、を言うと、住み込みのお手伝いさんである「婆や」が割烹着姿で玄関に出迎えに現れた。
「お帰りなさいませ、郁代お嬢様。遅くまで、お疲れになったでしょう」
「うん、今日は結構大変だったんだ」
 スニーカーの紐を解きながら、郁代はうなずく。
「お客さんも多かったし、ほら、店長。あの店長が無理ばっかり言うのよ。トロピカルフェアの期間だから、ハワイアンハンバーグの注文一人でも多く取って来い、とか。あれはとっても不味いのよ」
「まあ、まあ、それはさぞかし大変だったでしょう。すぐにおでんを温めなおしますからね」
「また、おでんなの。もう夏なのに」
 彼女は吹き出した。
「お父さんたら、ほんとにおでんが好きなんだから」
「『姫路ガード下』でしたか、あのおでんが懐かしいというお話を、今日もまたされましてねえ。何度目でしょうかね、あれをお聞きするのは。それで旦那様はやはりおでんがいいと」
ちょっと困ったように、「婆や」は微笑む。
 
 婆やの名は清と言い、郁代の母が亡くなった翌年、十三年前からこの家に住み込んでいた。今年で七十五になるはずだ。元々は、島で唯一の宿泊施設である「青松荘」で仲居をしていたのを、郁代の父がお手伝いさんとしてスカウトしてきたのである。郁代にしてみても、元号も昭和から変わったこの時代に「家には婆やが奉公しておりまして」などというのはあまりにも時代がかった話だとは思っていたが、それもやはり「大鍋炭の炭鉱長様」の威光の名残であると言えそうだった。

「やあ、今日も遅かったじゃないかね」
 郁代がただいま、と言いながら居間に入っていくと、飴色のソファーに座った彼女の父、取締役炭鉱長の真田善三博士が振り返った。応接セットの向こうに置かれた大型のブラウン管テレビは、まだあまり普及していないアナログハイビジョンテレビだ。画面に映し出されているのは、博士のお気に入りの番組である「世界遺産紀行」だった。
「おでんがあるから、婆やに温めてもらうといい」
 彼はにこやかにそう言うと、再びテレビに向き直った。
「これは、どこ? すごい町ね」
 父の銀髪越しに画面を見ながら、彼女は訊ねた。砂漠の真ん中に、古びた土色をした無数の高層建築がぎっしりと寄り集まって建っている風景が、映っていた。
「イエメンの『シバーム旧城壁都市』だよ。このビルは全部泥のレンガでできているらしい」
「ちょっとこの島と似てる気がするね」
「砂漠の真ん中と海の中、正反対みたいだけども、隔絶された場所に集まったビル群という点では似ているかもしれないね」
 博士はテレビを見つめたままうなずいた。
「もっとも、あちらの歴史は二千年以上、古代から連綿と続いてきた街だという点が全く違うがね」
「この島の歴史は連綿と続いてはいかないかしら?」
「どうだろうかね」
 博士は軽く首を傾げる。
「ねえ、お父さん。北洋炭鉱のニュースを見たわ。とても不安になったの。この島も、そのうちに駄目になってしまうんじゃないかって。お父さんの炭鉱は、大丈夫なの?」
 博士はしばらく黙り込み、ややあって口を開いた。
「それはなかなか難しい質問なのだよ。もちろんお父さんの会社は、炭鉱を閉山するつもりはない。会社の基幹だからね、閉山は即ち会社の終わりということになってしまう。しかしグループ本社は、恐らく炭鉱業などは危険で時代遅れだと思っていて、手を引きたがっているだろうね。採れる石炭の質の良さも、私の誇りである世界一の保安技術も、本社は興味が無い。そしてうちの会社は、グループ本社の意向に逆らい続けることはできない」
「じゃあ、やっぱりこの島も……」
「もちろん、今すぐにどうこう、と言う話は無い。郁代が心配するようなことはなにもないよ」
 島田博士は再び振り返り、目じりにしわを寄せて微笑みながら、力強くうなずいた。
「さあ、晩御飯を食べておいで。今日の婆やのおでんは、絶品だよ。あれなら姫路のガード下にも負けないな」

 遅い夕食を終えた彼女は、自分の部屋へと戻った。ドアを開いて、照明の消えたままの室内に入ると、正面の窓から島の夜景を見下ろすことが出来た。夜景とは言っても、急な斜面にあまりにも建物が密集しているために、眼下に街の灯が広がって――という風にはならない。足元にごちゃごちゃとビル群の明るい窓が折り重なり、そのすぐ先はもう暗い海という感じで、窓から思い切りジャンプしたら、街を越えて水面に飛び込めそうな気がするほどだ。
 そしてその海のずっと向こう、ほとんど水平線近くに並んで見える光点の列、あれが浜津市の市街地だった。あの町の灯が消え去ってしまようなことは、まずあり得ないだろう。それに比べて、この島の地盤の何と脆弱であることか。
 でも、今わたしが色々と思い悩んだところで、それが何になるだろう。とにかく今は、わたしにできる精一杯のことを続けていくしかないのだ。
 そう思いながら彼女は、彼方で眠りにつこうとしている都会、明日もそこで過ごすことになるはずのその町の灯りが、かすかに揺らめくのを見つめていた。

2016/09/16(Fri)23:42:25 公開 / 天野橋立
■この作品の著作権は天野橋立さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
2015/9/4
こちらの掲示板では三作目の、長編小説となります。姉妹編的な前二作はいずれも、ちょっと特殊な世界を舞台としたサクセスストーリー風青春小説で、地味ながらもそこそこ楽しんでいただきやすい感じだったと思うのですが、今回のはさらに地味な展開が続く作品になると思われます。
現在のこちらの状況だと、感想がほとんどつかないのを覚悟しなくてはならないと思って投稿を躊躇してきましたが、やっぱり投稿しないと書く気が出ないので、えいやとばかりに上げてみます。不人気でも、やれるところまではやってみよう。
昔からずっと書こうと思っていた内容で、しかしどうしても筆力が不足して書けなかったのですが、こちらで修業したおかげで何とか書こうと思えるようになりました。そういうこともあって、投稿することにしました。

2015/10/21
本編部分スタートです。主人公の堅上克利くんがようやく登場しました。
今度は外からの目で島を見る形で、しばらくこの展開が続くことになります。大事件は、当分起こりません。大丈夫かな、ほんとにこんなんで。
プロローグ部分もいただいた感想を基に、少しだけ手を入れてあります。

2015/12/9
第一章後半を投稿。数日前まで行ってた旅行中にもあちこち見直ししてたのですが、さすがにきりもないので。
これで一気に主要人物が揃った感じです。次回以降、本格的に島内の場面になります。さあ、果たしてこれをまともに書けるだろうか……。

2016/3/15
第二章前半を投稿。前作ほどは、間隔をあけずに更新するつもりでしたが、気付いたら年明けからこんなに経ってしまいました。
今回も、ストーリー的には特段の展開なしで、島の描写が続くだけの内容を果たして読んでもらえるものなのか、登場人物たちの個性頼みという感じです。

2016/3/21
いただいた感想に基づき、一部修正と加筆。なるほどさすがにそろそろ引きの部分を作らないと、まずいですね。博士のモノローグ部分を、予定より少し前倒ししました。

2016/4/30
第二章後半を投稿。相変わらずの島内ツアーの続きです。相変わらずこれが面白いのかどうかの確信が全く持てないのですが、書いている側としては大変楽しいので、これで行くところまで行きます。

2016/7/8
第三章前半を投稿。またまたちょっと間が空きましたが、半年以上平気で間が空いた前作に比べればこれでもまだハイペースということで、お許しください。
今回は浜津ターン。タイトル通り、少しずつ雲行きが怪しくはなって行きますが、基本的にはまだ平和な展開です。佐山理奈は、プロローグに出てきて以来の登場になります。
後半も鋭意執筆中ですので、何とかそんなに間を開けずに投稿したいと祈っています。
この作品に対する感想 - 昇順
地味どころか、別世界の描写を、わくわくと読み耽っている狸が一匹。
狸にとって、自分の知らない世界をきっちり道案内してくれる小説ほど、面白い小説はありません。まあ、その『きっちり具合』のバランスで、こうしたきっちりした世界に耽溺できるかできないかが決まるのでしょうが、狸には実に好ましいバランス感覚です。
しかし――これがファンタジーに繋がるのですか。どんな夢幻に、きっちり道案内してくれるんだろうなあ。わくわく。
2015/09/05(Sat)05:17:151バニラダヌキ
>>バニラダヌキさま
 さっそくの感想ありがとうございます。
 あのような世界遺産的物件が平成の現代にまで残っていたら、ということで、その様子を文章力のみで再現してみせようという小説なのでまさに描写が命、そこがダメならもうどうにもなりません。力不足でどうにもうまく書けず、かつて何度も断念したものなのですが、とりあえずプロローグ部分にはOKをいただけたようでほっとしています。
ファンタジー要素ですが……残念ながら、怪奇現象も起きなければ魔法も出てこない、しかしこの現代日本でこんなこと起こらんやろうという展開をやろうと思ってまして、そこが現代風ファンタジーと言うことなのですが、お気に召していただけるかどうか。何とか頑張ってみます。
しかし……やはり一人でも読んで下さる方がいると、次を書こうかというモチベーションは全然違いますね(笑)
2015/09/11(Fri)19:25:550点天野橋立
読みました。はじめは、旅情ミステリーのような雰囲気がありますね。なので、友人が何か訳ありなんじゃ?などと深読みしてしまいました。また、天野さんが、おっしゃっているように、風景や場所の描写にとても気を配って、細かく丁寧に書いているのが伝わってきます。前のお話しもですが、さまざまな乗り物が、印象的に登場しますよね。
乗り物好きな少年だったのでしょうか(^^♪ それと、テレビのニュースの内容が、ここまで詳しく書かなくてもよかったのでは?と感じました。それで、時代を表している、とかならすみません。読んでいて、そこだけ少しダレました。
これからは、炭鉱を舞台に壮大な展開が待っているんですかね〜まだ謎ですね。
そうそう、遅くなりましたが、他ページで代理で点数を入れて頂き、ありがとうございました。
点数の入れ方もOK!  感想は、今もらえたらラッキーぐらいですが、読んだはものの感想は面倒で、という方もいると思うので、きっともっと読んでくれている人はいるはず!そんな私も、周りから浮きまくりの自分路線まっしぐらですから。。。でも自分の書きたいものじゃないとね。
2015/09/12(Sat)16:23:241えりん
>>えりんさま
 お読みいただいて、感想もくださってありがとうございます。
 なるほど、旅をしているような雰囲気があるかもしれませんね。郁代にとっては単に家へ帰るだけかも知れませんが、そこに同行している視点はあくまで書き手である僕のものなので、僕にとっては確かにこれは別世界への旅なんだと思います。
 乗り物は子供の時から好きですよ。今は乗り物自体と、それを支えるインフラというか構造物のほうにも興味があって、前の架空索道なんか、その辺りの趣味が強く出てるかもしれません。この作品でも、その辺りは大爆発する予定です。
 ニュースの部分は……うーん、この作品世界の背景を示すと言うことと、今後この辺りの内用が重要になってくる前振りでもあるので、ある程度は詳しく書きたいところです。しかし、このプロローグ部分全体のふわっとしたトーンとちょっと合わないのかも。法律用語というか、堅めの単語を少し減らしてバランスを調整してみます。貴重な感想、ありがとうございました。もし良かったら、続きもお読みいただければ嬉しいです。

ちなみにここは以前からジャンルを問わず結構なんでもありで、みんな自分路線みたいな感じだったので、それでいいと思います。「普段読まないジャンルの物を読んだら面白かった」とか、そういうのも勉強になる場なのだと思います。僕もここで初めてまともにラノベ読みましたからねえ。お互い、好きな物を書いて行きましょう。
2015/09/14(Mon)18:38:170点天野橋立
やあろりこんさん。おげんきですか。かみよるはげんきいっぱいです。
さあどうもお久しぶりです、神夜です。狸さんに引き続いて天野さんまで連載しとるやんけ!!言うんので、めっちゃ読んだ。読んだ結果として、相変わらずのまあスロースターターであられますこと。天野さんの長編は序盤から死ぬほど安定してるけど、物語的に序盤は地味やねん。退屈やねん。しかし後半からの展開が尋常でないほど面白いから読んじゃう悔しいびくんびくん。と言うことで今回は素直に今後に期待しよう。今後の展開がまったく読めないけど、否応無しに期待は高まるばかりです。
狸さんの連載もあるし、これも楽しみだしで、頑張って生き続けようと思う神夜です。
2015/10/08(Thu)19:41:240点神夜
か、神夜はん、あんた、あんた生きとったんか……。
と猿芝居はこの辺にしておきましょう。おなかをすかせた太郎くんが(花子ちゃんか)待ってるんだから、神夜さんは元気にサバイバルしておられるに決まってますな。いやいや、お久しぶりです。感想ありがとうございます。

いや、すみませんね。毎度のことながら、おなじみ地味なプロローグです。しかも今作は、ここからしばらくはひたすら前振りが続くばかりで、ストーリーが動き出すのは果たしていつになるやら…。それでも読んでいただけたというのは、ありがたい限りです。何とか投げ出さないでいただけるように、頑張ってみたいと思います。
間もなく次回更新もできそうですので、またお付き合いいただければと思います。クリスマスもまた何かやろうと思ってますので、もうちょっとだけ消えずに持ちこたえていてください。
2015/10/10(Sat)18:51:200点天野橋立
引き続き、濃密なリアル空間を楽しませていただきました。いわゆる無粋な『梗概』にまとめたらどのようなストーリー展開になるのか、まだ想像もつかない段階ではありますが、この密度で今後も狸の知らない空間を楽しませていただけるのなら、「1000枚でも2000枚でもドンとこい!」な心境です。
で……ああ、なんかすっげー懐かしい。海上都市といった大道具(?)は、狸には未知の物件ゆえ、おそらく『失われてゆくもの』の象徴なのであろうとは感じつつ、個人的にはただ新鮮なんですが、その他の小道具たちが無性に懐かしい。あれに見ゆるはカシオだろうか。そっちの小物はペンタックスのアレか。たぶん史上の実物をモデルにした仮想物件として描写されているのでしょうが、マビカに始まる怒濤のデジタル戦争に負けて落ちこぼれたアナログ古狸としては、この主人公たちの『これから感』に、当時の新入社員たちの若々しさが彷彿としたりして、複雑ながらに懐かしい。ああ、あの頃君は若かった。そして狸は馬鹿だった。
なんか話が横道に逸れて――ないですね。小道具だって、物語空間の大切な要素ですから。
ともあれ次回も、大いに期待してます。
2015/10/23(Fri)21:54:151バニラダヌキ
>>バニラダヌキさま
 今までの作品もそうでしたが、今作は「近過去(ただし架空)」を舞台にした作品と言う色彩がより濃くて、小道具類にも凝ってたりします。しかしカシオっぽい物件はともかく、この文章からだけでペンタックスっぽい物件だと分かるのはさすがにバニラダヌキさんぐらいかなと思いました。どちらも実名は出てこないものの、この後も繰り返し登場してもらうつもりです。
 ストーリーについては、さすがに大まかな構想はありますが、いつもの通り細かいところは自分でもまだ分からないので、想定外の展開をするのかもしれません。ただ、一応今後の展開につながる材料はすでに少しずつ仕掛けてはいます。ともかく、この世界をヴァーチャルリアリティぽく楽しんでいただけるように、描写は頑張って行きたいと思います。また、続きもお付き合いいただければ幸いです。
 
2015/10/29(Thu)18:59:310点天野橋立
あれ。いや動きはないんだけど、これは何だろう。『全体に』でも感じた、狸さんが解説してくれたけどよくわからん「何か」、まったくわからんし説明もできないが、それでもそれの気配が漂っている。
これはいかん。いかんよ。天野さんの長編でこんなとこで点数入れたくねえ。導入部分で入れたら後半どうなんだ。しかし入れたくねえんだけど仕方がない。今回は勘弁してやらあ。
なんかまったくわからないけど面白かったです。
2015/11/04(Wed)11:05:391神夜
>>神夜さま
 おお、良かったです。しばらくは(というか結構な間)退屈な展開が続くと思っていたので、神夜さんからは苦情が出そうだなあと思っていたところでした。良くは分からなくとも、面白かったと言っていただければ何よりです。
しかしその「何か」は何なんでしょうね。確かに「全体」の初期の頃も、バニラダヌキさんにも同じような感想をいただいたことがありましたね。これを完全に習得できれば、自在に面白いものが書けそうだとは思うのですが。
この調子で頑張って続きも進めていこうと思いますので、またよろしくお願いします。
2015/11/04(Wed)20:52:590点天野橋立
 拝読しました。お久しぶりです猫ですにゃん。
 青松島って読んでいるとなんだか軍艦島を彷彿させますね。ビルがいっぱいで、炭鉱って所が。そう思いながら読んでいたら不思議な哀愁を感じてしまって、妙に幻想的で心地のいい気分になります。何だろう。しばらく感想を書いていないせいで上手い言葉が思い浮かびませんが、新しいものに出会うわくわく感はあるけれど、なんだか懐かしくもあるという……。郁代ちゃんと克利君はいずれ出会うのかな。出会うはずですよね。期待を込めて座布団一枚。
2015/12/07(Mon)21:50:111水芭蕉猫
おお、お久しぶりです猫さま。お元気でしたでしょうか。感想ありがとうございます。
はい、青松島のモデルはまるっきり軍艦島で、ただしあの島が現代にまで無人にならずに残っていたら、というお話になります。懐かしいはずのものがそのまんま今も生きていて、というある種未知の世界を舞台としているので、新しいものと懐かしさがまじりあったように感じていただけたのかもしれませんね。
果たして二人が出会うかどうか、それは今後のお楽しみ……と引っ張るまでもなく、割とすぐにそうなるような気もしてますが、続きもお付き合いいただければ嬉しいです。
2015/12/08(Tue)21:43:220点天野橋立
拝読しました。水芭蕉猫ですにゃん。
そう書いたところでさて何と感想を書いて良いやらと困る猫一匹。というのも、カメラに関する知識まるでなしの私。こう言うところで何か食いつければ楽しいんだろうなぁと思うも、お船で遠足に対するわくわく感くらいしか感想をかける所がない悲しさよ。ともあれ、ようやっと克利君と郁代さんが出会えた!! これからどういう風に進展していくのかというのは非常に楽しみだったりするわけです。これから始まる長門島の大冒険(?)を楽しみに待っております。
2015/12/12(Sat)21:15:310点水芭蕉猫
いやもう個人的に大丈夫続きで困ってしまってわんわんわわんな状態です。正直、作品そのものに対する感想というより、そこに描かれた時代的事象そのものへの感慨が、澎湃として胸奥からウルウルウルウル湧き上がったり。でも、それだって立派な読書快感なわけで、今回も躊躇なく座布団投入。

もーずっぷし個人的な話になりますが、昔の職業柄、撮影ツアーの世話係とかで海を渡った(いやもちろん国内、伊豆七島あたりですけど)ことがあり、でも引き連れてったお客さんは大半が暇なお年寄り、各種高級一眼からライカやハッセルまで抱えてチーチーパーパーとハードの自慢話ばかり。まあ自分とこのお客さんだから文句も言えませんが、正直、オートボーイぶら下げたおばちゃんやジャスピン・コニカ抱えたおねいさんの相手をするほうが、ずっと楽しかったりするわけで。
で、結局、何が言いたいのかというと、こんなバラエティーに富んだメンバーの写真サークルを、ぜひ引率してみたかったなあ、と。中高年のシステム一眼や渋いライカのみならず、トリップ持ちのおねいさんからデジカメ少年、かてて加えてオート110ですもんねえ。狸もミノルタの110一眼(マーク2を持ってました)ぶら下げて、ぜひ長門島に上陸したかった。

なんか自分の思い出話ばかりになってしまいましたが、いいじゃないか楽しかったんだから、とゆーことで、次回からの波瀾万丈の島内探検や大ロマンスの芽生えを、わくわくとお待ちします。……ちょっと違っててもオールOK。
2015/12/12(Sat)22:23:241バニラダヌキ
更新分読みました。
天野さんてば、やっぱり好きな物が分かりやすいわ〜。今回はカメラちゃんですねえ。すごく筆がのって楽しく書いているのが伝わってきて、こちらも微笑ましくなります。
船の上で、サークルのメンバー達が集まっているところは、暖かい海風に乗って潮の香りがふわりと漂ってくるような感じがして、好きな場面です。前回は、炭鉱のニュースなどのお堅い話しがメインでしたが、今回はフォトサークルを通じて登場人物も賑やかになり、和やかな雰囲気でなごみました。
あと、ここで書いて良いのか分かりませんが、天野さんのブログの旅写真たまに覗いてますよ〜中々行けない遠い所が多いので、旅行した気分で癒されています。
それと最近、ここも少しづつ活発になってきているようで、嬉しいですよね。天野さん、この機会に何かクリスマス企画でもどうですか?(人任せ)今なら、人集まるかも。リレー小説とか。。あ、気にしないでくださいひとり言です。次回もまた、立ち寄りたいと思います。
2015/12/13(Sun)01:01:461えりん
>>水芭蕉猫さま
今回は主要登場人物となるフォトサークルメンバーの披露ということで、カメラの話題もセットで出てくるわけですが、この辺りは飛ばしてもらっても今後のストーリー的には全然問題なしですのでご安心ください。むしろ、遠足のわくわくを感じていただけたのなら、もう十分ありがたいです。次回以降も大冒険にはならずに、のんびり散策という感じにはなりますが、ちょっとだけ猫さまに喜んでいただけるかもしれない趣向がありますので、良ければまた続きもお付き合いください。

>>バニラダヌキさま
おお、なんと撮影ツアーのツアコンをされた経験までおありでしたか。ここに出てくるフォトサークルは、こういう写真サークルがあったら楽しいだろうなあと思って設定したメンバーだったりしますが、まあ現実にはこんな面白い人たちが集まるというのはなかなかないでしょうね。
おねえさんの愛機は最初おしゃれっぽいトリップ35にしたのですが、よく考えたらコニカじゃないとおかしいなと思って、同じ35でもジャーニーコニカに持ち替えてもらいました。しかし、どっちも旅行という名前のわけで、当時のことは分かりませんが、やっぱりライバル的な感じだったのでしょうか。実は60年代のレンジファインダーカメラで実際使ったことのあるのは、子供の頃に実家にあったヤシカ(ミニスターDという奴のようです)くらいで、本当のところは使い心地とかあんまり分からなかったりします。
オート110のほうは実際手元にあるわけですが(子供の時に憧れて、大人になって中古で買いました)、一度作中で活躍させてみたかったので、今回は主役級に抜擢しました。カメラが出てくる小説で、110フィルムが主役と言うのはあまりないだろうと思います。ちなみにミノルタのマーク2というのは、未だに現物見たことがありません。
……感想へのお返しだかなんだかわけがわかんなくなりましたが、そういうわけで、引き続きお付き合いいただければ嬉しいです。ぐだぐだですみません。

>>えりんさま
 続きを、読んでいただき、ありがとうございます。
 カメラは、あくまでフォトサークルのリアリティを出すための演出としてやむなく出てきているだけです……って、上のバニラダヌキさんへのレス見たら嘘なのバレバレですね。でも、昔のフィルムカメラはそんなに詳しくはないんですけどね。実はデジカメ世代なので。古いデジカメはかなり詳しいですけど。
 若干シリアスだったプロローグと違って、本編は楽し気なムードで書いています。まだまだしばらくはこんな感じですが、段々ストーリーが展開して来るとまた社会派ムードが出てくるかもしれません。そこに読者のみなさんを引っ張っていけるかどうか、というのが腕の見せ所ってことになるんでしょうね。
 クリスマス企画というほどではないですが、もう何年もずっと毎年、クリスマステーマのものを投稿しています。以前は他にも何人も投稿があって、ちょっとした祭り状態だったのですが、今年はどうでしょうね。良かったらえりんさんも何か一作いかがでしょうか。
 ブログ見ていただいてたとは、ありがとうございます。今年は特に旅行が多かったですからねえ…。町並みのほうも、小説と同じくらい力を入れてますので、ぜひまた遊びに来てくださいね。
2015/12/16(Wed)22:01:260点天野橋立
いやもう青松島の島内描写に関しましては、克明に書いていただければいただくほど、個人的にありがたい狸です。つまり、この島を徘徊すること自体が、狸にとって大いなる憩いであり、本作の要でもあるわけで。他の読者の方々の興趣の置き所は知らず、今回も、前回までの浜津市風景に輪を掛けて、まだ見ぬその地を存分に徘徊させていただきました。
しかし壮太君の壊れっぷり(?)には、仰天いたしました。変身後、もーまったく『彼女』になってしまっているので、一瞬、実は狸好みのロリだったのかと思ってしまったり。これが活字やPDFや青空文庫だったら、『彼女』に傍点を打ちたいところですね。
変身そのものには、その後の克利の反応も含めて、もーまったく異存がないのですが、唯一引っ掛かったのは、それに対する郁代さんの反応でしょうか。おいおい「フォトサークルのフォトってこういうものなのですね」で済むのかい、みたいな。まあそれはあくまで克利から見た推測であり、実は郁代本人は激しく内心でとっちらかっているのに、お嬢様育ちゆえ、はしたなく表情に出さないだけかもしれません。あるいはとことんお嬢様なので「まあそーゆー世界もあるのかもしんない」と、下々の奇態を大らかに受け入れているのかもしれませんね。
ともあれ、今回もフォトサークル御一行様にくっついて楽しく作品世界を徘徊しつつ、でもやっぱり一般的にはそろそろ全体的なストーリーに関わる『カマシ』を出さないとヤバいのではないか、などとも危惧しつつ、しかしそれでも狸個狸としては、このままの紀行ペースで一向にかまわなかったりして――うん、結局、次回も思う存分、天野様がやりたいようにやっていただければ大吉。
2016/03/20(Sun)21:18:361バニラダヌキ
>>バニラダヌキさま
 ずいぶん更新をさぼってしまいましたが、また感想をいただきありがとうございます。
 島について書くのは楽しいのですが、しかしまたなかなかしんどい作業でもあります。そんな中で、島の迫力に対抗するかのように、登場人物たちも暴走気味に色々やってくれまして、中でも壮太君がもっとも弾けてしまったようです。要するに何でこういう展開を書いたのか、自分でも良く分からなかったりしますが、読み返すとなかなか楽しいので、これでいいかなとも思ったり。
 郁代さんについては、困惑しつつも「そーゆーのもあるのね」と納得してる感じなんだと思いますが、少しだけ困惑の様子を表に出してもらうことにしました。
 また、バニラダヌキさんのおっしゃる通り、やはりあまりに展開がなさすぎるだろうということで、真田博士にお願いしてラスト部分に「引き」になるパートを少し加えました。もう少し後で出てくる展開につながる部分ですが、前倒し予告ということで。
 とてもやりたかったことを書いてるということで、基本やりたい放題のこの小説ですが、バニラダヌキさんの感想のおかげで脱線転覆を防ぐことができているような気がします。次回以降も、またお付き合いいただければ幸いです。春が来てまた書けるようになったので、少しペースも上げられると思います。
2016/03/21(Mon)13:42:350点天野橋立
 遅ればせながら拝読しました。水芭蕉猫ですにゃん。
 まるで島の中を散策しているみたいでした。軍艦島も町として機能しているときはこんな感じだったのかなぁと思いつつ。
 そのうち廃墟の軍艦島の方も行ってみたいのですが、この青松島のように町として機能している所も見てみたいなぁと夢想してしまいました。フォトサークルの皆様と一緒に散策をしている気分で読んでいるので、展開のあれやこれやはそんなに気にならなかったかな。あぁ、狸さんのようにちゃんとした感想が書けなくてもどかしいんですが、このお話って不可思議な魅力があるんですよね。うん、続きも楽しみにしております。
2016/03/26(Sat)21:51:470点水芭蕉猫
>>水芭蕉猫さま
 感想ありがとうございますワン。
 実際に町として機能している軍艦島(のような場所)で暮らしてみたい、という夢が僕にはありまして、この小説はその夢の脳内再現という面があったりします。変な話、ほとんどの人が軍艦島の廃墟という面にばかり興味を持つのが悔しくてならないくらいのレベルなので、まあ相当な思い入れで描写をやってます。うまく行ってるかどうか分からない……というか、まだもっとうまく書けるはずと思ってしまうのですが、一緒に散策してる気分になっていただけるということなら、そこそこには書けてるのかな? 安心していいでしょうか。
 劇的な展開で読ませる小説、という感じではないにせよ、そこはやはりそれなりの展開は予定しています。でも、単に散策気分を楽しんでいただけるようなら、それが一番嬉しいかも知れません。
 次回は比較的早めの更新ができると思いますので、また続きもお付き合いいただければ嬉しいです。
2016/03/29(Tue)22:50:190点天野橋立
読みました。『潮降町』(しおふりちょう?)とやらが出てきて、タイトルを思わせる町名にここで何かが。。と期待が高まりました。海の潮が降りかかるといっても、波しぶきがサラサラと降ってくるぐらいなのかなと想像していたら、昔店員さんが死んだこともある。。とのことで、え?そんなにすごい勢いで波がくるの、ととても以外な感じがしました。登場人物の皆さんも、穏やかな人達が多いので、海も穏やかな海を勝手に思い描いてしまったのかもしれません。勝手ついでに、壮太君=天野さんに一番近いキャラ、という気がしたのは深読みし過ぎでしょうか?
大きな展開はないですが、島内を探索したり、絶景を望んだりとゆったりしていていいと思いました。るるぶやじゃらんなどの旅行雑誌が読みたくなりましたよ。また次回おじゃまします。
2016/04/05(Tue)23:58:461えりん
>>えりんさま
 感想、ありがとうございます。そうですね、このまま穏やかなままで、とは行かない予定です。外洋のど真ん中にある島ですから、ひとたび嵐なんかが来れば自然の脅威とまともに向き合うことになるわけで、そういう孤立した場所に街があるということの面白さを書ければ、と思っています。
 ツアー感覚の内容がどんなもんだろうかと思っていましたが、まずまず好評なようでひと安心です。しかし壮太くん=天野説は残念ながら相当無理がありそうです。かわいいなあと思いながら書いてはいますけどね。作者の実物は気難しいおじさんです。
 次回も、旅行雑誌代わりにぜひお読みいただければと思います。にゃらんじゃないけど、どこかで猫も出したいな。 
2016/04/08(Fri)23:41:030点天野橋立
初めまして。
荒屋敷ハコと申します。
読ませていただきました。
少し読んだだけでも、小説の世界に引き込まれてしまいました。
私が産まれ育った所も元炭鉱の街で、懐かしさを感じました。最も私が産まれ時はすでに閉山してましたがね。老朽化と震災により、遺構は殆どなくなってしまいましたが。
続き、楽しみにしてます。

2016/05/02(Mon)13:30:311荒屋敷ハコ
前回に引き続き、きっちり脳内観光を満喫させていただきました。ビンボなのでG・Wにも遠出できない狸といたしましては、ありがたいかぎりです。
個狸的には、もーまったくこのままのペースで、この人々による浜津市や青松島巡りが続いても無問題です。そもそも、確固たる仮想空間をイラストや写真ぬきできっちり脳内共有できるなら、もう500枚でも1000枚でもドンとこい――そんな気分なのですね、話芸や文芸に淫する狸としては。
前回のヒッパリだと、やがては不穏な流れなども押し寄せてきそうな予感がしたりするわけですが――青松島よ永遠なれ、と祈りつつ、次回をお待ちします。
2016/05/05(Thu)00:08:111バニラダヌキ
>>荒屋敷ハコさま
 感想、ありがとうございます。
 かつて栄えた炭鉱の町、というのに憧れがあるのですが、実際に住んだことなどはないので、そのような町で生まれ育ったという方に懐かしさを感じていただけたというのは嬉しい限りです。それなりに資料を読んだりして書いた会があります。しかし、震災で遺構が無くなってしまったというのは残念なことですね。
 あまり展開に起伏のないお話ではありますが、引き続きお付き合いいただければ嬉しいです。

>>バニラダヌキさま
 大型連休も今日で終わりですが、今年もほぼ片道ワンコインくらいの範囲での外出に終始しました。おかげで、大混雑するような場面には遭わずに済みましたが。
 さて、今回もバーチャル観光を楽しんでいただけましたようで、嬉しい限りです。空間の構築にはもう全力を挙げている次第で、何だか人力飛行機で琵琶湖の上辺りを飛び続けているような気分ですが、今のところ何とか気持ちよく飛べている感じです。どこかで力尽きてドボン、とならないかはまだ分かりません。1000枚となると……さすがにドボンでしょうか。
 お話のほうもそろそろ、少しずつ雲行きが怪しくなりそうな気配ですが、基本的には仮想物件構築がメインの作品です。万一滅びるとしても、美しく滅びていくところを上映できれば、と思っています。
2016/05/08(Sun)17:37:350点天野橋立
こっちも読めずにすみません。
しかしこれはいいな。島観光も綺麗だしすべてが安定している。一応の動きはあるにせよ、物語展開がこれからどうなっていくのかが本当に楽しみだ。恋愛的な要素は詰め込まれているのだろうか。前作の例のクソアマ的なキャラは今の所いないから安心。
ただ読んでいて唯一気になったところを言っていいのであれば、姫は笑い転げたりしないで欲しかった。いやこれはもうただのイメージだしきっと天野さんも何か意図したところがあった訳でもないのだけれども、教授の話を聞いて笑い転げる姫、というのが自分のイメージとかけ離れていた。可愛いと言えばその通りなのだ。うん。でももっとおしとやかでもよかろう。よかろうっ!よかろうてっ!! ……そこまで言ったけど、いやこれが姫の素顔なのか。
2016/05/20(Fri)19:22:341神夜
>>神夜さま
 久しぶりの感想、ありがとうございます。しかしこちらの書くペースもあんまり速くなかったりするので、実は前回の感想をいただいてから、そんなに話も進んでいないという説もあります。案外、ちょうどいいタイミングで感想をいただいたような気もします。
 劇的な展開もない、どちらかというと神夜さんには退屈と言われてしまいそうな内容になっている気もしていたのですが、それでも「これはいいな」と言っていただけて、良かったです。前にも言っていただいた「何か」があるのかな。いやしかし、有希ちゃんの嫌われ方もすごい。クリスマス番外編のほうにもちょっと出そうかと思ったのでしたが、もし出してたら神夜さんにコテンパンだっただろうな。ちなみに主要人物たる女の子、間もなくもう一人出てきますが(というか、すでに登場してたりしますが)、果たして大丈夫かな。
 姫のキャラはなかなか難しいところですね。時々、普通の女の子っぽい姿を見せる、という線で行こうかと思ってますが、バランス崩してるのかも。もう少しこんな感じでやってみますので、やっぱり違和感があるようならまた指摘していただければありがたいです。というかつまり、神夜さん消えないで続きも読んでねっ! ってことなので、よろしく!

2016/05/22(Sun)17:36:090点天野橋立
[簡易感想]『……』といった沈黙が多く、暗く感じました。
2016/07/02(Sat)19:06:500点Loryn
あらあらあら、実はヘプバーン系の郁代さんじゃなく、モンロー系(あくまで推定)の理奈ちゃんが本命になるのか、克利君。まあ、そのほうが草食系の克利君にはお似合いな感じもするわけですが……しかし……臓物オムライス一択などとゆー大技をカマしてくる妖精系も、今後なかなか油断できない気がしますね。
ともあれ、ひとつの空間が美しく滅びていくためには、美しい過去――もとい、その時々の美しい『今』があってこそなわけで、たぶんこの物語は、そうしたものを紡いでくれるのだろうなあと期待しつつ、次回をお待ちします。
2016/07/14(Thu)05:01:201バニラダヌキ
>>バニラダヌキさま
 今回も感想、どうもありがとうございます。
 プロローグ以来、どこで出そうかと思っていた理奈ちゃんを、ようやく登場されることができました。郁代さんと比べてしまうと、克利君はどうも位負けというか平民感がしてしまうわけで、お相手役を務めるのはちょっと厳しいようです。理奈ちゃんとのコンビで(というか振り回されながら)島の姫を支えるような、そんな雰囲気になるような感じも漂っています。僕も舞台設定こそ主体的に行いますが、展開そのものは見守っているような気分です。しかしバニラダヌキさんのおっしゃる通り、このお姫様も案外一筋縄では行かないように思えますね。
 で、その舞台のほうにも段々不穏な空気が漂ってきてはいますが、まだすぐには急展開にはならない予定です。ただ、ここまでは平和な面ばかり見せていた青松島も、そろそろタイトル通りの別の顔を見せてくれるのではないかと思います。ここは書きたかったところなので、描写も頑張って書いていくつもりです。ぜひ、続きもお付き合いいただければ幸いです。
2016/07/18(Mon)17:29:440点天野橋立
[簡易感想]注釈の欲しい用語があって戸惑いました。
2017/02/16(Thu)10:58:120点Brandice
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