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『白梅』 作者:SARA / ショート*2 リアル・現代
全角1580文字
容量3160 bytes
原稿用紙約4.45枚
小説を書くには東京へ行かなくてはならない、と物書きの男は少年の時から堅く心に誓っていた。
 白梅 

 小説を書くには東京へ行かなくてはならない、と物書きの男は少年の時から堅く心に誓っていた。日本の真中から文化の人は生まれる。小説家は勿論、あらゆる芸術は人に打たれて強くなり、世間へ認知されるようになる。だから男は地元を出るため猛烈に勉強した。そうして望んだ大学へ合格し、北の方からはるばる上京してきて一人暮らしをすることになる。しかしここ一カ月の間、男は大学へ行かなくなっていた。
 その日、男は日が暮れてから目覚めた。寝ぼけ眼で窓の外を見やると、既に西の空が暗くなっていた。腹の音が鳴り、冷蔵庫を開く。しかし食料は勿論、酒の一滴も入っていなく、ブゥンと冷凍する音が空箱に響いた。財布を開けば小銭が数枚音を立てるだけで、札入れには山の様なレシートと避妊具が入っている。どれも飢えを凌ぐ物ではないと男は低い声で笑い、畳の上へ寝転がった。胸ポケットを探すと服の上へ煙草が一本転がり落ちた。
 部屋の掃除をしたのは何カ月前だったろう、その時は女が来るからせっせと部屋を片付けた。それなのに今は綿埃の塊が部屋の隅にごろごろ転がっている。元来おれは掃除が好きな性質なのに、一人暮らしの生活がおれを自堕落な男に変えてしまったのだ。男はそう思い、くしゃみを一つして水鼻をトレーナーの袖で拭った。
 男は高校時代に書きためた小説を大学に入ってから推敲して、次々と公募の文学賞へ投稿した、しかし、結果は芳しくなかった。大賞をとった奴らの作品を読んではみたが、大したことないじゃないか、その上、同級の友人は既に何かしらの賞をとっていると聞いた。おれはこんな所で立ち止まっている場合ではないのに一体何をしているのだろうか。
 男は起き上がると、最後の一本である煙草に火をつける。手元が一瞬に明るくなり、白い煙が一筋部屋に漂った。
俺は賞をとることに意固地になっているのか、それとも周りを認めさせたいが故に頑なになっているのか。しかし、誰にも読ませずに自分一人で書いてきた時の方が今よりもよっぽど楽で没頭出来たように思える。人がいると分かった瞬間から、俺は自分を意識しすぎているのか。様々な状況で目的も違う同世代の人間の集まった大学は、俺には合わないのではないか。では、俺は何のために東京へ来たのだろうか。
 吸い殻が何本も溜まった灰皿へ男は煙草をぎゅっともみ消した。そして財布も持たずに下は寝間着のままコートを羽織って、部屋を出た。
 手すりを片手で掴みつつ階段を降りた。一車線の道路に車は一台も走っていない。歩道にも男の他には影を落とすものは誰もいない。息を思い切り吸い込むと、目の覚めるような冷え込んだ空気が体中に沁みわたる。正面から一台の車が走って来て、前照灯で男の全身を照らし出し、やがて通り過ぎて行く。排気ガスの曇った匂いが辺りに漂う。男は街灯の下まで歩いて行き、そしてその場で蹲った。
 このまま車に轢かれて死んでしまえれば、どんなに楽だろうかと今は思う。けれど今はそうでも、明日が来て、それを何度も何度も繰り返して死ぬまでこのまま俺は生きて行くのだろうか。
 ふと甘い香りが男の鼻孔をくすぐる。男は顔を上げた、匂いの正体は身近なのに、どこにあるのか分からない。この匂いは何だ、立ち上がり辺りを見回す。すると街灯の後ろに、梅の花が咲いていた。枝にぽつと咲いた花は、小さな雪洞(ぼんぼり)のようだ。淀んだ空気の中で、散り際の梅の香りが辺り一面に漂う。吹き抜ける風に一枚の花弁が目の前にひらひらと舞い降りる。男は慌てて腕を伸ばす、しかし花弁は手の中へとらわれる事もなく静かに地面へ落ちた。
 男の脇を一台の自転車が走る。自転車は男に見向きもせずに通り過ぎ、そうして花弁を飛ばしていった。
                                      
 了 
  
2010/05/15(Sat)18:44:38 公開 / SARA
■この作品の著作権はSARAさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
掌小説「白梅」第二稿です。色々なひとの意見を取り入れて加筆修正いたしました。
この作品に対する感想 - 昇順
あれ? 落ちは? 

と、言うのが自分の正直な感想です。 
こんな素人が言うのも厚かましいとは思うのですが、素直にそう感じました。 
設定自体は、詳しくよく分かりましたし、主人公が現在どう言う状況なのかも分かりましたが、でも、……残念ながらよく分かりませんでした。 

文章自体は、非常に綺麗で上手くまとまっているのですが、やおい(山無し、落ち無し、意味無し)で、何を主題にしているのかがよく分かりませんでした。 
自分的には、始まりの部分で期待した部分があったので、あまりに短くて肩透かしを食らった気分です。 1200字以内に書く事を目標にしているなら、まぁ……。 仕方無いかもしれませんが……。 

ごめんなさい!(汗
あまり気を悪くしないで下さいM(。。)M
私的には、この作品がつまらないとかじゃなくて、もうちょっと長くして意味や落ちをつけて欲しかったなぁ……。 と思ったのです。 
文章などを見れば、難しい揶揄などが散りばめられていて、とても上手でした。 多分、私より十段階くらい上です(笑)

割と散々なことを告げましたが、次回作、期待しております。 
頑張って下さい。 では^^
2010/04/21(Wed)13:57:560点赤釘春流
>>赤釘春流さま
横レスで申し訳ないのですが、これは心象風景を切り取った一種の文学的スケッチとでも言うべき作品ではないでしょうか。このような作品に「落ち」があっては全くおかしいし、挫折しかかっている作家志望の男のある一瞬の姿を描くと言う主題もかなりはっきりしていると思います。短さゆえに、イメージの一瞬のきらめきのようなものも感じられて、かなり良く書けている作品だと僕は感じました。
プロットやキャラクターばかりが重視されるエンタテインメントだけではなく、文芸作品も色々読んで勉強されれば、小説に対する理解の幅も広がると思います。もっとも僕も、偉そうに言えるほど古典文学を読んではいない(「城の崎にて」さえ最近まで読んでませんでした)ので、何言ってんだお前はと言われれば返す言葉は無いのですが(笑)
2010/04/21(Wed)21:50:310点天野橋立
すみません、評価を入れるのを忘れていました。
2010/04/21(Wed)22:01:191天野橋立
文学的スケッチですか……。 
うぅ……、理解の幅が少なくて申し訳ありません。 
2010/04/21(Wed)22:07:550点赤釘春流
どうも、鋏屋です。御作読ませて頂きました。
丁寧な作りで心情を上手く出しているなぁと思いました。ちゃんと言葉を選んで書いているようなのでとても安心して読めました。ただ物語の感想はちょっと無理かなw まあ、それを欲している訳で話さそうですしね。

赤釘殿も別に謝ることではないような気がしますよ。人の感性にとやかく言うのは私は好きではありませんし、受け取り方は人それぞれで良いんですからね。正直私もオチが欲しいと思ったしw 極めて短い文学的スケッチが小説なのかつーのも微妙なところじゃないですか? 規約01-1の受け取り方も微妙ですからね。物語と思い読んでしまって肩すかしを食らった感があると言う赤釘殿の話しもわかる気がします。感想として間違ってないと私は思いますよ。そもそも厳密に言うと規約違反でしょ。5枚以下では分類をSSにするのがここのルールだしw
2010/04/23(Fri)14:35:250点鋏屋
>>赤釘春流さま
他の方の感想に意見をつけるというのは、マナー違反だったかもしれません。大変失礼しました。
ただ、赤釘さんが確か作家志望とどこかに書かれておられたと思ったので、この世界には物語性をあまり含まない、描写のみによって構成される小説もたくさんあるのだ(言い換えれば、物語は小説を前に進ませるための一要素でしかないという考え方がある)と言うことを知っておかれたほうがプラスになるのではないか……などと思い、差し出がましいことを申し上げた次第です。
こちらこそ申し訳ありませんでした。
作者さまにも大変後迷惑をおかけしました。
2010/04/23(Fri)20:18:010点天野橋立
いえ、こちらこそ申し訳ありませんでした。 
それと、暫く気づかないで放置していてすみません(汗
差し出がましいだなんてトンでもないw
むしろ嬉しいです。 自分の知らない世界がまだまだたくさんあるのだなぁ、と今回の事で非常に身に染みました。 
他の方の感想に意見をつけるのは、確かに余り気にそぐわない方もいらっしゃるとは思いますが、私は平気です(笑)
世間知らずの私に丁寧に教えて下さり、ありがとうございました。 


そして、この白梅の作者様。 ここを雑談の場と化してしまった事、本当に失礼しました。 
2010/04/29(Thu)10:39:400点赤釘春流
[簡易感想]
2010/05/25(Tue)01:04:230点匿名(無記名)
[簡易感想]
2010/05/25(Tue)01:05:070点匿名(無記名)
上2つ間違えました。
作品、これはこれで人生の断片が見えてきて良いと思います。
ただ、題名には白梅の印象が薄いかなと、登場が唐突すぎて……。
主人公の男が田舎で白梅と関係があったりする描写があれば、もっとよかったとおもいます。
2010/05/25(Tue)01:11:170点匿名
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