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『追悼(SS)』 作者:鮎音 / リアル・現代 ショート*2
全角1398.5文字
容量2797 bytes
原稿用紙約4.1枚
亡くなった祖父の葬式にて思う事とは何か
誰にでも苦手な人はいるものだ。
別にその人が嫌いというわけでもなく、その人が嫌な人というわけではないのに、どこか関わるのを避けようとする人である。
丁度良い言葉というのが思いつかないが、相性が悪いと言えばいいのだろうか。
理由もなく好きではないのである、かといって嫌いというわけでもない。
私にとって相性の悪い人は二日前に亡くなった祖父であった。
祖父は常にタバコの匂いがしていた。縁側に座って朝焼けを見ながら食事前に一本、次に夕焼けを見ながら一本を吸い、雨が好きなのか降るとやはり縁側で吸っていた。
だが、私はそんな祖父に近づこうと思わず母からお茶を持って行くように言われても何かと断っていた。縁側に座っている祖父の背中だけを見て、隣に座る事もなく、どんな表情をしているかも知ろうと思わなかった。何が楽しいのかと聞く気も怒らなかった。
そんな祖父は周りにも嫌われているわけではなく、むしろ好漢であった。気持ちの良い笑い方をする人で、あのような笑い方を屈託がないと表現するのだろう。自然と人が集まり、よく近所の人たちと楽しそうにしているのを見た事がある。
そして、それを示すかのように葬式には私の知らない人達が大勢いた。
惜しい人を亡くしたと悔やむ中年にさしかかった人、向こうで会えたらまた話そうと無理に笑う老人、とてもお世話になりましたと話す女性、溢れるように涙を流す人々。
私にはそれが出来なかった。
そんな私を勘違いしてか、誰かが「気丈な方ですね」と母に話していた。
どこか居たたまれなくなって自室に戻り、大きく息を吐いて椅子に腰掛けた。
窓から外を眺めると祖父の見ていた庭が目に入る。何が楽しくて見ていたのか今となっては聞く事もできない。
笑うとヤニのついた黄色い歯が印象的だった祖父。
そう言えば。祖父は元々あのようにタバコを吸う人だっただろうか。
一日に数本で歯が黄色くなるというのはなさそうに思える。だとすれば昔はヘビースモーカーで後から抑えたのだろうか。
しばらく考えていたがわからないので気になって自室を出て台所に立つ母の元へ向かった。
まだ外で祖父について話す人が大勢いるなか、追悼客へと出す食事を用意している母の傍で食器を洗いながら、話を切り出してみた。
「おじいさんって昔からタバコ吸ってたっけ?」
忙しそうに手を動かしながら母が「昔は凄い吸ってたわね」と話した。
それを聞いてやはりそうなのかと考える、スポンジに洗剤を染みこませながら「禁煙したって事?」と会話を続ける。
「あなた覚えてないの?」
と意外な事を言われた。
「何の事?」
「あなたがタバコ嫌いってお父さんに言ったのよ。それからね吸う数を減らしたのは」
思わず、持っていた食器を落としそうになった。
祖父の気持ちが縁側に座る小さく曲がった背中からにじみ出ていたような気がしたせいだ。もちろんそんなのは錯覚である。ただの勘違いだとわかっている、けれど頭の中に自室の窓が浮かんでいた。
私が窓を覗き、庭を眺めている祖父を見る、だけど顔だけが見れない。背中しか見えず、頭の部分から紫煙が風に溶けて消えている。小さく少し曲がった背中の向こうで祖父は笑っていたのか寂しくしていたのか。一体どんな表情をしていたのか、無性にそれを知りたくなった。
そう考えた時には足が縁側を向いており、追悼客の隙間から覗く目の前の風景には綺麗な夕焼けが入ってきていた。
2009/02/04(Wed)04:21:08 公開 / 鮎音
■この作品の著作権は鮎音さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
しんみりとした雰囲気と遠回りしながらも通じる不器用さっていいなと思いながら書いてみました。そういうものが伝われば幸いです。
この作品に対する感想 - 昇順
こんにちは!読ませて頂きました♪
相性が悪いと思ってた人から実は愛情を貰っていて、その人がすでに亡くなっていたら悲しいだろうなと言う気持ちは伝わってきたように思いました。文頭の1字字下げはしてあった方が読み易いです。
では次回作も期待しています♪
2009/02/04(Wed)16:48:320点羽堕
 こんにちは。
 しんみり。うん。そうですね、しんみりした感じが良かったです。日本のお年寄り(特に男性)には、不器用でシャイで、しかしそこはかとない温かみを感じさせるひとがしばしばいらっしゃるような気がします。
 
 ひとつだけ、これはあくまで僕の個人的印象ですけど、お葬式で「向こうで会えたらまた話そう」とかおっしゃるご老人って、結構本気でからっと明るく言っている方が多いような気がしますよ。そうでもないかな?

 最後に、羽堕さんもおっしゃっていますが、段落の頭を一文字下げるのは、この掲示板に限らず、日本語の基本的なルールのひとつです。メールとかならともかく、小説などを書かれる時には必ず守ってくださいね。
2009/02/04(Wed)23:17:340点中村ケイタロウ
まずお二人から指摘された段落下げの件は失念しており読みやすさ以外の部分でも失礼しました、次回からはしっかりしておきます。

>羽堕さん
その気持ちが伝わったなら書いた側としても何か安心できました。意図した部分が伝わるとやはり嬉しいものですね。

>中村ケイタロウさん
年配の熟した世代の人は知らない所で支えてくれてるイメージがありますね。でもそれを中々表現できないというか、やはり不器用な感じがします。
手を合わせに来る人もにこやかにというよりもどこか無理した感じがあるので明るくよりはそっちがいいかなと思った次第です。

それではまた次回も頑張らせて頂きます。
2009/02/05(Thu)01:23:160点鮎音
作品を読ませていただきました。不器用な人間関係が綺麗に描かれていましたね。ただ年配者の葬式ってもう少し明るい感じがするのですが……死者に対する哀悼はあるんだけど、同時に寿命という諦観もあり、乾いたような明るさがあると思います(無理に明るくしている部分もあると思いますが)。感情を偽った人々の中で主人公が祖父の気持ち、そして自分の気持ちに気付くという方が物語に明暗が出るんじゃないでしょうか。では、次回作品を期待しています。
2009/02/07(Sat)07:41:140点甘木
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