オリジナル小説 投稿掲示板『登竜門』へようこそ! ... 創作小説投稿/小説掲示板

 誤動作・不具合に気付いた際には管理板『バグ報告スレッド』へご一報お願い致します。

 システム拡張変更予定(感想書き込みできませんが、作品探したり読むのは早いかと)。
 全作品から原稿枚数順表示や、 評価(ポイント)合計順コメント数順ができます。
 利用者の方々に支えられて開設から10年、これまでで5400件以上の作品。作品の為にもシステムメンテ等して参ります。

 縦書きビューワがNoto Serif JP対応になりました(Androidスマホ対応)。是非「[縦] 」から読んでください。by 運営者:紅堂幹人(@MikitoKudow) Facebook

-20031231 -20040229 -20040430 -20040530 -20040731
-20040930 -20041130 -20050115 -20050315 -20050430
-20050615 -20050731 -20050915 -20051115 -20060120
-20060331 -20060430 -20060630 -20061231 -20070615
-20071031 -20080130 -20080730 -20081130 -20091031
-20100301 -20100831 -20110331 -20120331 -girls_compilation
-completed_01 -completed_02 -completed_03 -completed_04 -incomp_01
-incomp_02 -現行ログ
メニュー
お知らせ・概要など
必読【利用規約】
クッキー環境設定
RSS 1.0 feed
Atom 1.0 feed
リレー小説板β
雑談掲示板
討論・管理掲示板
サポートツール

『月の涙』 作者:五条アリカ / ショート*2 リアル・現代
全角759文字
容量1518 bytes
原稿用紙約2.3枚
「あの月は泣いているのかな」
 そんな、問いとも独語ともとれる言葉が、私の耳朶を揺らした。見上げた先には満月が、光のない空に独り浮かんでいた。人気のない河原に二人、草の上に腰を下ろし、空の鏡を静かに見上げる。
 月を遮る雲はない。しかし、暗い夜空には星もなかった。透き通る闇の中で、月だけがぼんやりと空に佇んでいる。星の儚い光は月光に塗り潰されて、一つ残らずなりをひそめているのだろう。
「……わからない。でも、独りで輝く月を見てると」
 ――涙が出そうになる。
 その言葉が私の口から零れることはなく、代わりに真白な息だけが漏れた。冬の澄んだ空気を、暖かい吐息がくぐり抜ける。白く濁ったそれは、冷気に滲んで、間もなくとけた。
 ふと、思う。
 月は太陽の光を受けて、切れるような、冷たい銀光を放っている。月は太陽の光を反射して輝くが、太陽が月の光に気づくことはない。その様は、永劫届くことのない太陽に向かって、届かないとわかっていても必死になって手を伸ばしているようで、
「あの月は……可哀想だ」
 知らず、私はそんな言葉を口走っていた。
 ――あなたも、この空の繋がるどこかで、この月を見上げているのですか? そこでは、優しい涙を流せていたらいいのだけれど。
 月がその問いに答えるはずもなく、ただその銀色の瞳で、変わらぬ光を地上に零す。
 私の隣で月を見上げる横顔が、ゆっくりとこちらに向けられた。
「そうだね、そうかも知れない。でも……今日は、いい月夜だと思わない?」
 そう言って私を見つめるその顔には、優しげな笑みが浮かんでいる。
「ああ、それは間違いないね」
 だから、私も笑って月を見上げた。月を遮る雲はなく、空を彩る星もなかった。
 ただ空に輝く満月に、心奪われていた冬の夜。
 またひとすじ、銀の雫が零れて落ちた。
2008/08/18(Mon)15:50:26 公開 / 五条アリカ
■この作品の著作権は五条アリカさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
二人が会話している、ただそれだけの作品です。
それでも、何か心に残るものがありますように。
この作品に対する感想 - 昇順
感想記事の投稿は現在ありません。
名前 E-Mail 文章感想 簡易感想
簡易感想をラジオボタンで選択した場合、コメント欄の本文は無視され、選んだ定型文(0pt)が投稿されます。

この作品の投稿者 及び 運営スタッフ用編集口
スタッフ用:
投稿者用: 編集 削除