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『world of sweet pain』 作者:りり華 / ファンタジー 未分類
全角14737.5文字
容量29475 bytes
原稿用紙約47.45枚
不思議の国のアリスに現代の問題を混ぜながら書きました。傷ついた夢見がちな少女は,別の少女の夢へ呼ばれます。そこは不思議の世界。そこで出会うどこか陰のある暖かい住人たちと非情な女王様,そしてアリス。少女は傷をこの世界でどう変えていくかがテーマです。
 ゆっくり静かに目を閉じて、過去に思いをはせると、泉のなかから泡がゆっくりひとつふたつ、上へ上へと昇ってくるように徐々に記憶がめぐる。そんな記憶の一番最初。
 私の記憶は、いつもむせかえるようなお香のにおいからはじまる。
 
 ただ、その記憶の紐を解くのははやすぎる……。



 私は走る。理由なんてとっくに忘れてしまった。
 私は追う。だってにげられたんだもの。
「まって! まってよ! うさぎさん!」
 何度叫んだかも忘れてしまったけれど、私はうさぎさんを追いかけている。
 白いふわふわの毛をまとい、赤い目を持つ十歳の子どもくらいのうさぎさんは私を不思議の世界へつれてきた。
『さあ、アリス捕まえて?』
 そうまるで私は『不思議の国のアリス』のお話のようにしゃべるうさぎに出会ったのだ。
 うさぎさんから目をそらして周りを見るとここが不思議の国だとわかる。飴のなる木に、歌う花たち、お空にいるお魚なんて猫は取れっこないわ。噴水からは甘い香りが立ち上り。思わず微笑んでしまう世界。そう、ここは不思議の国。
 私はアリスになったのだ。アリスはうさぎを追いかけるものだ。だから、私はうさぎさんを追いかける。
 お空にはずっと虹がかかってる。きっと宝物は虹の下、でも私はそれが欲しいんじゃないわ。
「まってよ! うさぎさん!」
 うさぎさんたら振り返ってもくれないわ。
 ふわふわのマシュマロの道は歩きにくいのにうさぎさんはお構いなしに私との距離を離して行く。

 ――ああ……追いつけないんだわ。

 そう思った瞬間、周りの景色が変わっていることに気付いた。マシュマロの道はただの土をならしただけの道へかわりただの木が生い茂る暗い森の中にいた。もうどちらから来たのかもわからない。
「うさぎさんたら、つかまえてなんて言って、私の前からいなくなったら捕まえられないわ。」 
 でもここは不思議の国。何も怖いことはない。そんなことを思いながら、私は童話のなかに出てくるような誇張された暗い森の中を進んでいく。虹の橋も、空飛ぶお魚も無くなってしまったけど、特に寂しいなんて思わなかった。なぜかしら?そんなことを考えながらしばらくいくと分かれ道。
「こういうときは……やっぱり直感よね。それにどっちに言ってもきっとうさぎさんに逢えるわよ。」
 だって不思議の世界だもん。
「直感なんかで……」
「選んじゃだめよ」
 ステレオ的な声がして、私が振り返ると誰もいない。おかしいな、と思ってもう一度分かれ道のほうを見ると。声と同じようなステレオ的な少女二人が立っていた。
「こん」
「にちわ」 
 右にいる子が先にしゃべり、左側の子がそれに続く。その二人は丁寧にお辞儀をして、私を見た。左右対称な彼女たちは髪型も、服装も何もかもが一緒だった。同じような無邪気な笑みを持って立っていた。その微笑みはなんだか、お手本のような無邪気な笑い方で、素直にかわいいなと思った。
こんにちは、と私も笑顔で挨拶すると彼女たちはさらに笑みを濃くして言った。
「ぼくの名前はみぎ」
「ボクの名前はひだり」
 もう一度軽くお辞儀をしながら言う自分のことを僕と呼ぶ彼女たちはなんだか楽しそうだ。みぎは右に、ひだりは左がわの道に立っていた。
「右に左? それが名前なの?」
 私は尋ねる。その記号は本当に名前なのか、ただの記号なのかわからなかったからだ。
「お父さんとお母さんが」
「付けてくれた名前なの」
「ぼくと」
「ボクを」
「みわけるため」
「だけに」
 右から左に規則正しくしゃべる様はなんて器用なんだろうとかどうでもいいことが気になったけど、どうやらみぎとひだりは彼女たちの親が付けてくれたちゃんとした名前らしい。
「そう、いい名前ね」
 実際はあんまりそうは思わなかったけど。彼女たちはそんなに気にしているようではないのであたり触りのない言葉を掛けておいた。 
「あなたの」
「お名前は?」
「私? 私はアリスよ?」
 ここは私の不思議の国。不思議の国はアリスの夢。私の夢は不思議の国。私はアリス。だからはっきりと言い切ったのに、二人は……みぎは左に、ひだりは右に首をかしげた。 
「あら、なにかおかしなことを言ったかしら?」
 アリスは自分から名乗らないものだったかと思わず不安になった。
「あなたは」
「撫子ちゃんでしょ?」

 私はアリスじゃない? 私は……撫子? そうよ、撫子よ。だけれどここは不思議の国。じゃあ……アリスはだれ?
 急に心拍数が上がった。こめかみを圧迫されているように頭が痛い。突然の痛みに私は一瞬強い眩暈も感じた。
「気にしないで」
「あなたは知らなくていい」
 その言葉を聴いてこめかみでどくどくと脈を打っていた血管が落ち着き始め、次第に落ち着きを取り戻した。
「それも……点そうね。わからないことが不思議の世界にひとつやふたつあったほうがいいものね」
 きっとこれは何かの鍵になるものよね。ここで深く考えてなぞが解けちゃったらこの先楽しくないわ。私は考えるのをやめた。
 考えたくないから、私はアリスになりたかった。
「それより」
「どっちへ行くの?」
 二人は改めて私に道を聞く。
 どちらかを選べと言われてもどっちに何があるかなんてわからない。わからないときは聞くべきよね。どちらかが夢の終わりへ続いていたらこまるもの。
「ねえ。右には何があるの?」
 みぎは一度お辞儀をして私の瞳を見た。みぎの無垢なきれいな瞳に私が写っている。こんなに楽しそうな顔はいつ振りだろうなんて、すこし違うことに感情がいってしまう。そのくらいこんな自分の顔を見るのが久しぶりなのだ。
「右には女王様のお城があるわ」
左には何があるのかと、同じようにひだりに尋ねると、ひだりもしっかりとお辞儀をして言う。
「チェシャネコさんのおうちがあるわ」
「チェシャねこさん! 私チェシャねこさんに会いたい」
 チェシャねこさんがいるなんて! あの不思議な国を象徴するようなねこさんに絶対に会ってみたい。いったいどんなことを言うのかしら。
 それなら、と双子はついてきてくれるようで、みぎとひだりは手をつないで歌いながら歩き出した。
 
 さあ、さめることない夢を
 永遠の夢を守りましょう
 さあ、目の覚める痛みを
 あなたは痛みに恋焦がれる
 いたい、いたい、いたい、いたい、いたい、いたい、いたい、いたい、いたい、いたい
 それがあなたの現実なら
 おちる、おちる、おちる、おちる、おちる、おちる、おちる、おちる、おちる、おちる
 これがあなたの真実よ
 ウサギは不吉
 アリスはお肉
 二つで終わり
 さあ、眠ろう

「なんだか、その……不思議な詩ね」
 二人の歌声はきれいだが、歌詞はいただけない。それでも二人は繰り返し歌う。私はあきらめて、その二人の後について歩いた。
 
 痛みは愛おしい。自分がここにいると教えてくれる。痛いから私はここにいる。血が流れるから私は生きている。ああ、なんて痛みは愛おしいのだろう。
 私には与えられる痛みすべてが愛おしい。
 木と木の間から少し見える空はいつの間にか血のような赤に染まっていた。空は生きているんだわ。そんなことを思って歩いた。 



 しばらく行くと、一人の少年が道の真ん中に立っていた。どうやら泣いているようで目にはいっぱいの光を持っていた。どうしたのかと聞いても答えてはくれなくて私は双子に聞いた。
「あの子の両親は」
「女王様に殺されたの」
「なんですって?」
 信じられなくて、この不思議な世界でそんな恐ろしいことが起こっているなんて思わなくて、思わず大きな声が出た。でも,双子はなんでもないようにまた歌いだす、その歌がなんだかより現実からその事実を突き放すが、私はどうしてと聞かずにはいられない。双子はここだけ最初から最後まで、声をそろえていったのだ。
「女王様は良い人よ。女王様は私たちの世界を守ってる。この世界を壊す人を壊してるだけ。この世界を壊す人なんてしんでしまって当然よ」
 双子はさらにつけたす。
「どうして私たちの日常を」
「壊されなくちゃいけないの」
「でも,人が殺されるなんて……」
 やりすぎだと思う。
「私たちはここに」
「いたいの」
 ここがいいの。と言う双子は今までに無い感情を持っているのがわかった。
 確かに、それもそうよね。ここにいたいのなら、ルールに従わないといけない。この世界には世界のルールがあるのだろうから、私にそれを変えることなんてできない。それに、よく考えるといいことじゃないかしら。そのルールを守っていればいいわけだし。それで日々が何の問題もなく過ごせるなら、そのほうがいいじゃない。
守れば、傷つけられないのなら、そこから動かなければ良い。
 私の世界もそうあればいいのに。


 その時、小さいころの私が一生懸命に何かを叫んでいる姿が頭に走った。いやだ、とかここにいてとか、心から叫んでいる自分の姿。 
 私は、痛くてもよかったのに。
 そんなことを思っても、私には何のことかよくわからない。と言うかわかりたくない。閉めていたはすの扉が知らない間に開いたような不気味さを感じた。


「あ、そうだ。二人とも、うさぎさんを知らない?」
 この感覚を消し去りたくて私は探し物を二人に尋ねた。
「うさぎは」
「不吉」
 今までとは違う、少し陰のある言い方で私は少し気圧された。そういえばさっきの歌でもそんな詩があった。またなぜかと聞いてみる。
「なぜって」
「不吉だから」
 どうやらそれ以上言う気はないようだ。
 私はうさぎさんを追いかける。だって捕まえてと言われたから……それに
「さようなら、撫子ちゃん」
「ここで森は終わり」
「私たちは森から」
「出てはいけないの」
 いつの間にか土の道は光の方に伸びていて、暗い森は終わる。



 お父さんとお母さんに森から出るなと言われているから、と二人とは森の出口、光の手前で別れた。双子の話ではこのまっすぐな道の先にチェシャねこさんのおうちがあるらしい。
今度の道はお花の上だ。こんなにきれいな花の上を歩くなんて、悪いことをしている気持になる。たくさんの色の花が私の一歩で折られ、太陽から突き放される。
 私はなんて悪い子なんだろう。
 空は優しく私を見ているけど、本当に見ているだけ。助けてはくれない。そういえばと空を見上げると、さっきまでゆれる夕日だったのに、森を抜けると太陽はまた高い位置にあって私を見下ろしていた。太陽はいいわね。空はたとえあなたがどれだけ熱くてもずっと一緒にいてくれるものね。
「あら? また分かれ道?」
 双子はまっすぐだと言っていたのに……。
「困ったわね」
「お困りですか? お嬢さん」
 お花畑に低い声がこだまするように響き渡る。池の水に波紋を作るように、じんわりと響いた。
「だれ?」
「道に迷ったときは人に聞くべきですよ。お嬢さん」
「だからだれなの?」
 くるりと回って見たけれど、私の踏み潰した花の道と対照的な太陽に向かって咲く花しか見当たらない。
「誰でも道には迷うものだ。だからこそ人は夢を見る。でも夢は終わらせなくてはならないのですよ。お嬢さん」
「どこにいるの!」
 私の罪の後の方へ私の声もまた風にのって波紋を作りだが、だれかの響く声とは対照的に早く飛んで言った。
「ここですよ」
 背後からそう声がして、振り返ると背の高い男の人が立っていた。この世界では知らない間に後ろへ立つスキルをみんな手に入れるのだろうか。
「こんにちは、お嬢さん」
 見上げるような背の高い男の人はさらさらの髪を風になびかせながらきざに笑って、スーツを着て立っていた。シルクハットがよく似合う。
「あなたは……だれ?」
 思わず顔をしかめながら尋ねる腰からの丁寧なお辞儀をしながら失敬、と一言言った。
「私の名前は帽子屋。まことに遺憾ながら周りのものにはいかれ帽子屋と呼ばれています。お嬢さん」
「いかれ帽子屋さん?」
 いかれ帽子屋さんと言えばもちろん知っている。でも思っていたほどいかれているようには見えない。
「チェシャ猫くんの家へ行きたいのですか? お嬢さん。」
「あ……え、ええ、そうなの」
 考えごとをしているところにいきなり話しかけられ答えに詰まってしまった。しかし、そんなことは関係ないようで、いかれ帽子屋さんは私の手を取った。
「やめましょう。あそこにうさぎはいないのです。お嬢さん。」
 あなたはうさぎを捕まえなくてはいけないのです。と、今私が作ったばかりの道をもどろうとした。納得のいかない私は手を振りほどいた。
「質問その一。どうしてうさぎさんはチェシャねこさんのところにはいないなんてことがわかるの? 質問その二。どうしてあなたが私の行く先を決めるの? 質問その三。どうして私がうさぎを追いかけないといけないの!」
「回答その一。うさぎはねこが嫌いですからいるはずがありません。回答その二。いかれ帽子屋はこの世界で唯一、夢ではないからです。回答その三。あなたはアリスだからです。お嬢さん。」
 その場の思いつきの質問だったにもかかわらず、いかれ帽子屋さんはすべてにすばやく答えてくれた。しかし私はその答えに不振なところを聞いたような気がして聞き返した。
「私が、アリス……ですって?」
「ええ、そうです。あなたはアリスです。アリスは迷子ですから、あなたはアリスなのです。アリスは迷ったのでしょう?お嬢さん」
「そうね……道には迷ってるわ。だからって私はアリスなの?」
 さっき双子に違うと言われたばかりだ。
「いえ、あなたはアリス。傷ついたアリス。夢を見たかったアリスなのです。お嬢さん」

 ――ええ、そうよ……
 昔は、アリスになりたかった。寂しい世界から連れ出してくれることを願っていたからだと思う。いつか私の手を引いて、真っ白いしゃべるうさぎが私を不思議の世界へとつれて行ってくれないかと、幼かった私は行ってはいけないとうるさく言われた森へと行ったことがある。その森は昼間でも暗く、そのぽかんと開いた入り口が子どもを食べる化け物の口に見えたあのころ。化け物の口の前で、時計を見ながらあわてるうさぎを待った。もちろん、そんな白いうさぎは現れなかったし、化け物に食べられることも無かった。
 私はアリスではなかったのだと知った。私は一人になってしまったから。
 ああ、きっとその時ね、私の家族――私の世界はお母さんだけになったんだって分かったのは。


「さて、アリスはうさぎを追うものですが、どうします? お嬢さん」
「でも、私はアリスではないの」
 そうよ、私は迷ってはないもの。私は私のことをよく理解しているつもり。私はもう迷ってなんかいない。私の家族はお母さんだけだもん。
 だから、お母さんから与えられるものは何だって良かったの。
「アリス。君はアリスなのです。あなたなら、この世界を壊すことも、続けることも変えることもできる。だから君はアリスなのですよ。お嬢さん」
 急に、焦った口調になったいかれ帽子屋さんはよくわからないことを口にした。
 世界をこわす? かえる? 私が?
「どういうこと?」
「私はこの世界を変えるアリスを待っているのです」
 悲しそうで、寂しそうなその横顔はどこかで見たような顔だった。
「だからアリス――……」
「少し言い過ぎじゃあないかな。いかれ帽子屋」
 何か言おうとした帽子屋さんをさえぎって別れ道の片方から一人の男の子がやってきた。
「それ以上言ったらいくら君でも女王様に怒られてしまうよ?」
 いくら存在を約束された君であろうとね。と、大きさはそれこそ、うさぎさんとそんなに変わらない男の子だが口調や雰囲気はそれとはだいぶ違う。よく見ると紫色の猫の耳とくねくねとよく動く長くて細い尻尾を持っていた。
「もしかして……チェシャねこさん?」
 そうだよ。と言って私に向かって微笑む姿は本当に小さな子供のようにあどけない。
「はじめまして、撫子ちゃん。なかなか会いに来てくれないから、どこのいかれた人に捕まってるのかと思って探しに来てみたら、文字通りいかれ帽子屋なんかに絡まれてたんだね。」
 そういってちらりと帽子屋さんを睨むチェシャ猫さんの視線は冷たい。
「さあ、撫子ちゃん僕の家においでよ。雲の綿あめにおいしい蜂蜜の石鹸が手に入ったからご馳走するよ」
「はちみつ……のせっけん?」
「そんな人の話を聞いてないで僕とこの世界を散歩しよう?」
 なんだかとっても楽しそう。アリスとか、世界とか、そんな難しいことを考えるよりずっと。悪い人ではないようだし、と思っていたら、いかれ帽子屋さんが口を開く。
「女王様を知っていますか? お嬢さん」
 一言そういって私をまっすぐに見る。
「この世界はすべて女王様のものです。この花畑も、あの双子の命も、あの少年の両親の命も、チェシャ猫くんの命も……でもこの世界の絶対は決して女王様ではないのです。お嬢さん」
「やめなよ。そんなこと言うものじゃない。」
 どこにも行き場のない感情があるのだろう。対照的な二人の感情は私を置いて進んでいく。
「女王様は恐れているだけなんですよ。それはどうにかしてあげることができる。ですが、皮肉なことに夢ではない私にはその力がありません。そしてこの世界を動かすことも同じように私にはできない。一人の痛みを知り、罪を知り、痛みを愛するあなたならきっと彼女の心を動かせるのです。お嬢さん」
 
 一人ぼっちは痛みより痛い。私がどこにいて誰なのかわからなくなる。大切な人から、大切なものを奪ってしまった罰だというなら傷をくださいと願おう。それが私への愛だと知るから、それを道しるべにするから。
 お母さんはきっと私を愛していたと、理解したいから。

「この世界を変えるなんて撫子ちゃんには無理だよ。いかれ帽子屋」
 あきらめた口調のチェシャねこさんは新たに花を折り道を作りながら言う。私は二人の話がほとんどといっていいほど理解できていない。あの泣いていた少年は、この世界が大好きな双子はどういう気持ちで女王様を見ているのだろう。仕方が無いと思っているのだろうか。それとも……
 私には無理だわ。だって私もここがいいもの。もう二度と、何も失いたくないから。
「白うさぎは相変わらず誰の声にも答えずに逃げ回っているし、この世界の絶対不可侵であるアリスだってあそこから出ようとしないじゃないか」
 チェシャねこさんは憎んでいるように言い放った。しかし私はそんな感情よりその言葉に驚愕した。
「アリス? アリスはいるの?」
 そう聞き返すとチェシャねこさんはしまったという顔をして空を見上げた。
「この世界の最初、すべての始まり、痛みを無にする少女。アリスはいますよ。お嬢さん」
 この不思議の世界の持ち主、この世界を始めた女の子。
「私、アリスに会ってみたい」
 痛みを無にする女の子。それはどんな世界なんだろう。
 この世界の絶対。それは、いったいどんなことなんだろう。 
 



 アリスは幽閉されています。と、いかれ帽子屋さんは言ったとき私は信じられなかった。
「アリスはお優しい方ですから。お嬢さん」
 問い詰める私に困ったように笑う彼をそれ以上責めることはできなかった。
「僕はアリスなんて嫌いだ……」
 チェシャねこさんはそんな文句を言いながらもしっかりついてくる。いかれ帽子屋さんが余計なことを言わないか見張るためらしい。あんまりにアリスのことをひどく言うから理由を聞こうとしたら帽子屋さんに遮られてしまった。
「いろいろあるんですよ。お嬢さん」
 彼はそういうとチェシャねこさんの尻尾を指差した。尻尾は左右に大きく揺れ、かなり力が入っているようだ。それがどうしたの? そう聞くと一言言った。
「チェシャ猫くんのあれは喜んでいるときの動きなのです。お嬢さん。」
 素直にねれない猫君ですから。そう言って笑っている姿は保護者のようだ。さっきとは逆の感じだが案外こちらの関係の方が普通なのかもしれない。

 花を折りながら歩く道をもどるとさっきまでいた暗い森。しかし、その前で知った顔に会った。
「こんにちは」
「またあえたね。」
 左右対称な容姿にしゃべり方。ただ少し疲れているのか表情が硬く、上手に笑えていない。
「みぎにひだり?」
 二人は両手いっぱいに花を摘んでいる。表情と同じく手もとは小刻みに震えている。
「どうしたの? 森から出てもいいの?」
 普通ではないその様子が心配になった。それに両親に外へ出てはいけないと言われていたのではなかったのかと、責めるつもりはなかったがつい口を開いてしまった。
「しんだわ」
 二人は声をそろえて、黙々と花を摘みながら言った。
「え…?」
「おとうさんもおかあさんも」
「ころされたの」
「だから森から出て」
「いいんだよ」
 ひとつ、ひとつ丁寧に花を摘む彼女たちの声には感情が含まれていないように聞こえた。
機械的に花を摘む姿は私が遠慮しながら歩いた花畑をもっと壊していたが、なんだか私の行為より神聖なものに思えて、思わず思考がストップした。
 どうして? と聞くまでもない。
「おとうさんも,おかあさんも」
「世界をこわしてたの」
「だから」
「しょうがない」
 みぎとひだりが交互に言う。そのしゃべり方がただ寂しくて私はそこから一歩も動けなかった。
  
 私も思っていた。しょうがないと。あの時私が何か言えば変わっていたのだろうとは思うけど、掛け違えたボタンに気付いたのはずいぶん後だった。
 あの時私が行かないで、と言ったなら私を愛してくれましたか?
 あの時私が連れて行かないで、と泣いたなら私は一人にはならなかったのですか?
 あの時……私が大好きだよ、と叫んだなら今、生きていてくれたのですか?
 今になって言葉はいっぱいあふれているのにそれを受け止めるお皿は割れてしまった。行き場のなくなった言葉はどうしたらいいの? しょうがないと言うにはもういっぱいになり過ぎだった。
 壊れた感情は落ちてバラバラになる。まとまらない感情は何も考えられなくなり私を壊す。完璧に壊す。崩れる。
 壊れたら、戻らない。落ちた物はひとりでには戻らない。砕けたものは戻らない。時が返らないのと同じように。

「うらまないの? 女王様を」
 そう聞くと彼女たちは言った。
「女王様がわたしたちのために」
「してることだから」
 そう、と私は言うしかなかった。でも世界を壊すからと言って簡単に人を殺していいはずがないわ。そんなのおかしい。
「撫子ちゃん、これがこの世界なんだよ。この夢はいつも危ないバランスで保たれてる。しょうがないんだよ」
 チェシャねこさんは私の手を取って森へと進んで行く。私は花を折る彼女たちをいつまでも目で追った。するとあの時と同じように歌が聞こえてきた。

 さあ、痛みのための血を 
 永遠の傷を付けましょう
 さあ、それがあなたの道しるべ
 あなたにはナイフの感触を
 いたい、いたい、いたい、いたい、いたい、いたい、いたい、いたい、いたい、いたい
 それがあなたの現実なら
 おちる、おちる、おちる、おちる、おちる、おちる、おちる、おちる、おちる、おちる
 これがあなたの真実よ
 ウサギの望み
 アリスの中身
 二つで呪い
 さあ、ころそう

 さっきと同じようなきれいな声が響く。いつまでも、いつまでも。

「ここは……」
 二人に連れられるまま歩くといつかの別れ道にやってきた。
「もしかして、アリスは女王様のところにいるの?」
 私の記憶が正しければお花畑への道ではないほうは女王様のお城へ続いていると聞いた。でもどうやら違うようだ。
「あんな人のところへ行くくらいなら私は一生チェシャ猫くんの家に住んでもいいですよ。お嬢さん」
 どういう意味だ。とチェシャねこさんは怒っていた。
「じゃあ、どこにあるの。森をこのまま出て行くの?」
 このまままっすぐ行くとマシュマロの道に出るはずだ。違いますよ。と帽子屋さんは言ってシルクハットをとりながらお花畑の左道とお城への右道のちょうど真ん中に立って叫んだ。
「うさぎのみみ!」
 すると2本だった別れ道の真ん中に細い細い道が現れた。木々がわきにつめるような動きをして道を造った。
「さあ、この先がアリスの家です。お嬢さん」
 私の手をとり細い道を進む。チェシャねこさんは私たちより先に入っていってもう見えない。
 みどりみどりみどり、どのくらい歩いただろう。かなりの時間がかかる。その間私に見えるのはただの緑と大きな帽子屋さんの背中だった。
 大きな背中の記憶が私にはある。
 小さいころの記憶だ。幼稚園の返り道。月に一度だけお父さんが迎えに来てくれる日があった。その帰り道は必ずお父さんに背負ってもらった。ゆれる夕日の暖かさのなか、私は大きな背中に精一杯しがみついてなんでもない話をする。それがたまらなく好きで、大きな背中は私の憧れだった。そんな記憶。
 帽子屋さんの上着をあいている手でぎゅっとつかんでみた。いつか返ってくると信じていた日常がそこにあるような気がしたのだ。二度と戻らないとわかっていても信じていた日常。
「さあ。ここがアリスの家です。お嬢さん」
 やがて緑と背中の景色は終わり広いところに出るとそこにはお菓子の家と甘い香りの池があった。
「これが?」
 チョコレートの屋根にビスケットの壁、色とりどりのキャンディで彩られているかわいいお菓子の家だった。周りは一枚の岩にぐるりと囲まれ、私たちが通ってきたところだけが森へつながっているようだ。

「馬鹿か、お前は!」

 中からは決してかわいらしい声色は聞こえてこなかった。
 家の扉を開くと中にはチェシャねこさんと一人の女の子がいた。思わず息を呑む人形のような容姿の女の子だ。長いシルバーブロンドの髪を優雅に流し、赤を基調としたドレス。
瞳もきれいな紅だった。童話のアリスの容姿とはだいぶ違うがどこからどう見ても美少女だ。
「お前の趣味は信じられない!」
 口からはその容姿からは想像がつかないような大きな声を発していた。どうやらチェシャねこさんとケンカになっているらしい。
「顔を会わせるといつもこうなのですよ。お嬢さん」
 やめなさいと二人をたしなめ、帽子屋さんが何とかその場を落ち着かせた。
 美少女は私をちらりと見て、お茶を入れてくると行ってその場を跡にし、私たちは蕗の薹の椅子に腰掛けた。
 なんだか思っていたような子と違うなと思ったのが、単純な感想だ。もう少し夢見がちなおとなしい女の子だと思っていたのに……見た目に関してはメルヘンのお姫様のようで予想通りだったのに、となんだか少し残念だった。
 少しのあいだ考え事をしていると美少女が甘い香りの液体をカップに注ぎ運んできた。
「で、また何のようだ。なんだ? 帽子屋と猫がケンカしたというのは単なるうわさにしか過ぎなかったのか?」 
 まぁ、猫はケンカをするのが趣味なんだろうが……と付けたし、彼女はカップを口元へ運んだ。
「このお嬢さんがあなたに会いたいといったのですよ。アリス」
 帽子屋さんがそう言うと、美少女は私をじっとにらんできた。なんだかいたたまれなくなって目をそらした。
「お前、名は?」
 その状態のまま彼女に名前を聞かれ、私は視線を合わせてしまった。血の様に赤いその瞳には薄く私が映っていた。
「な、撫子です」
「撫子か。私の名はアリスだ。聞くが、どうして私に会いたかったんだ?」
 目をそらさないアリスは私に問う。
「あ……この、この世界を始めたのはあなただと聞いたから……」
「だから?」
アリスはさらに聞く。なんだか意地の悪い学校の先生と話しているみたいだ。
「この世界はあなたのものだと聞いたけど…実際はそうじゃないから、それで、いいのかなって…おもったから」
 きつい目で睨まれて思わず、です、と最後に付けなおし恐る恐る視線を合わせる。するともう一口カップに口を付けてため息をついた。
「私がこの世界の者に嫌われているからだよ。」
そして自嘲ぎみに薄く笑う。
「私はここじゃない世界ですごく疲れて、疲れきった。消えたくても消える勇気もなくて、そして夢の世界へ逃げたんだよ。そしてここにいる。最初はすべてが楽しかったよ。ただ道を歩くことも、そこの馬鹿猫とじゃれあうのも、帽子屋と語るのも……」
 女王とお茶をするのもな。といってまた私をちらりと見た。
「じゃあ、どうしてこんなところにいるの?」
 アリスが答える前に帽子屋さんが答えた。
「夢はいつか終わるのですよ。お嬢さん」
 そして目を伏せるアリスの変わりに今度はチェシャねこさんが言う。
「夢が終わると、世界も終わる。女王はそれを恐れたんだ」
 夢の世界は、所詮、夢。目が覚めてしまえばそれはあっという間の話。この世界が消える。それはこの世界がすべての人にとっては絶対的な終わり。
「でも私はこの世界を終わらせる気はない。だから、うさぎ(きぼう) を逃がしたんだ。ここじゃない世界をたった一つ愛してやまなかった理由。私の希望を私から切り離して逃がしたんだ」
 それが……あのうさぎ。
「でも、それならこんなところにいなくたっていいじゃない。女王様だってわかってくれるわよ」
「それが、そうはいかなかったのです。お嬢さん」
 長い長い髪を遊ばせながら少女はその言葉に続けて言った。
「女王は、壊れてしまった」
「壊れてしまったんだよ」
「壊れてしまったのですよ。お嬢さん」
 三人は、まるで今しがた起こったことを憂うような表情となって言った。
「こわれる?」
「言葉のとおりだ。女王は壊れたんだよ。心を壊し、今はこの世界の邪魔な物を破壊するだけだ。見てきただろう?」
 それはあの少年だったり、双子だったり、きっとそれまでにもいっぱい、いっぱいあるのだろう。憂うその表情には明らかな悲劇を連想させた。
「そんなの……おかしいわよ。あなたは希望を捨ててまでこの世界を思っているのに、ひどすぎるわよ」
「知ったようなことは言うなよ」
 凛とした糸のような言葉は私の心を突き通った。
「女王は、私の悲しみをすべて取り除いてくれたんだ。女王は私の悲劇をすべて引き受けてくれた。女王に許容量以上の私の悲劇を与えて壊れないはずはなかったんだ」
 アリスは一言一言確かめるようにつむぐ。
「でも…。そんなの巻き込まれてる他の人たちは?」
 あの泣いていた少年や双子。あの子達までその悲劇に遭うことはない。
「皆、女王様のことは知っているのですよ。お嬢さん」
 だから、みんな耐えられるんだよ。とチェシャねこさんは付け足す。
「それでも、傷つけられてまで耐える必要がどこにあるの?」
 そう言うと、私はつめたい視線に動けなくなった。ふっと前を見ると今度は睨むのではない、ただ見ていると言う表情でアリスは私を瞳に映している。血の瞳は揺らぐこともない。
「お前は、どうなんだ?」
「わ、私?」
急に聞かれて、驚いているとアリスはまだ中身の残るカップをいきなり窓から池に投げ込んだ。ちゃぷんという音がしたとたん目の前が真っ白になる。

 自分の姿も分からない白い空間にアリスの声が響く。
『お前の母親は,お前を殴るのだろう?』
 そうよ…私はいっぱいお母さんに殴られるわ。
『どうして?』
 私が……お父さんを殺したから。
『それで殴られるのを絶えるのか?』
 ちがうわ。違う。
『どうして?』
 
 大好きだったから。優しいお母さんを知っているからよ。

 そう言うと次第に白い世界は色を取り戻していき、私はお菓子の家の中に返ってきた。 

「そうだ。私たちも同じだ。みんな女王が大好きなんだ。優しい女王を知っている。だから耐えられるんだよ」
 アリスはそう言うと、いつの間にか私の近くに立っていてゆっくり私の頭をなでた。

 お母さんは、私を殴った。気に入らないことがあったりしたときは特にひどく殴られた。でも、ある日お母さんはいなくなった。私を傷付けるからと、大人が連れて行ったのだ。
私からずっと遠いところへ。その日まで私はお母さんが大嫌いだったけれど、いなくなってからは心に穴が開いたように寂しくて、寂しくて。いつも森の前に立っていた。不思議の国へ行ってしまいたかったから。ここじゃないどこかへ行きたかったから。
 その日からよくお父さんのお葬式を思い出すようになった。大きな背中のお父さんは小さな棺の中に納まってしまって、信じられなかった。お香が嫌いになったのはこの日からだ。
 私はしょうがないとあきらめていた。私がお父さんを事故に巻き込んで死なせてしまったからという理由で傷ついたお母さんと向き合うのを逃げてしまったから。
 
 あの時私が行かないで、と言ったなら私を愛してくれましたか?
 あの時私が連れて行かないで、と泣いたなら私は一人にはならなかったのですか?
 あの時……私が大好きだよ、と叫んだなら今、生きていてくれたのですか?
 
 こんなに後悔をしたのに、次にあったら伝えたい言葉があったのに、お母さんは消えてしまった。世界のどこにもいなくなってしまったのだ。
 今ならちゃんと伝えられる。お母さんに絶対に言いたいことがある。
 後悔はもうしたくない。

「耐えて……気持が伝わるなら、後悔なんてしないの」
 あの時の後悔を、あの時の悲劇をもう二度と、どこにも起こらないように、私は言うわ。
「女王様が好きなら、大好きなら、止めてあげるべきじゃないの?」
「なに?」
 なでていた手が止まる。
「その人は自分がこんなことをするのを望んでいるの? 世界を守っても、この世界に生きる人を壊していたら、いつかこの世界を壊すのは女王様自身よ。それを女王様は、望んでいるの?」
今度は私がまっすぐ赤い目を見る。
「しかし、この世界はもう壊れすぎている,今更動いたって大きな意味はないだろうよ」
「女王様が壊すくらいなら、あなたが壊してしまえばいい。アリス」
 後ろで帽子屋が言い、アリスは振り返る。
「あなたの夢ですよ? 失敬。あなたが壊すのは壊すとは言わない。終わらせると言うのです。アリス」
 その表情は穏やかで、微笑みは暖かい。
「でも、そんなことをしたらお前たちまで……」
 アリスの瞳は大きく揺らぐ。
「結局僕らは逃げてただけなんだよ」
 チェシャねこさんがアリスの長いシルバーの光を放つ揺れる髪を梳きながら言う。
「アリス? キミは勘違いをしている。僕らは女王様のこと大好きだけど、アリスのことも同じくらい好きなんだよ?」
「そんな…私だって、私だってこの世界が大好きだ。この世界を終わらせたくなんてない!」
 そう叫ぶアリスの目は悲しみの光で満ちていた。今にもこぼれそうなこの光の粒は綺麗だった。
「おわらせなくたっていいじゃない」
 はっきりとそういうと、私は椅子から立ち上がる。
「女王様を元に戻せばいいのだから」
「馬鹿を言うな! 女王は壊れてしまったんだぞ? 私のために、心を壊してしまったんだ。」
 壊れた物は戻らない? そんなことはないわ。
「拾ってあげればいいじゃない。一人で拾えないなら皆で拾って直してあげればいいじゃない」
 不細工でも、なんでもひとつずつ拾ってもう一度作り上げればいいじゃない。あの時私が拾わなかったお母さんの心。お母さんはもう心も体もなくしてしまったから戻れはしないけど、女王様はまだきっと間に合うわ。
「泣き言は、すべてをやった後にしましょう」
 そう言い切ると、アリスはしっかりと涙をぬぐった。
「ありがとう。」

 伝えることできっと変わるよ? 変えられる。
 逃げずに鏡に向き合おう? あなたの言葉で救われる人がきっといるから。
  
 あなたをきっと待ってる誰かのために,今日も自分のために生きよう。
 
 ああ、今日も私はここにいる。



 空が青い。お香の香りがあちこちから立ち上るここは私のはじまりの場所だ。そしてもう一度ここからはじめよう。
 そのための一言をあなたに送る。

「大好きだよ。お母さん」
 
 今日も、楽しい夢をみよう。



うさぎさん。
 あなたは希望のうさぎさん。
 私はいつまでもあなたを追い続けるわ。
 だってあなたは希望のうさぎ。
 小さな少女の夢のカケラ。
 ああ、ここは不思議の国。
2008/06/10(Tue)21:57:23 公開 / りり華
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■作者からのメッセージ
初めて書くこともあり書き方がおかしいかもしれませんのでご指摘お願いします。
少女はこの不思議な世界のイレギュラーな存在です。だからこそ世界を動かせる。自分の体験も冷静にみることができるのだと思います。
読みにくい世界観で申し訳ありません。
感想などお待ちしています。
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