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『ゲーム』 作者:優 / リアル・現代 ショート*2
全角1758文字
容量3516 bytes
原稿用紙約5.4枚
「なあ、生きてるってなんだ?」

部屋でゴロゴロと幼馴染の瑠とゲームをしていたら瑠が急にゲームの電源を切り何も映ってない青いテレビの画面をじーっと見つめながら聞いて来た。もしかしたら独り言かもしれない、けれどなぜか私はその質問に何か返してあげないといけない気がした

「きっと普通に生活する事なんじゃないの?」

瑠に切られたゲームの電源をもう一度いれキャラクターを選びながら言った。
瑠はそうか、と少しため息交じりの返事をしてキャラクターを選び出した。
私も瑠も使うキャラクターが決まってさっきと同じステージで戦う。
私がボタンを押すとキャラクターはそのボタンに合わせた動きをして敵を倒す、瑠はゲームがとても上手でカチカチカチカチとボタンとコントローラスティックを使って見事なコンボ技を繰り出す。

「瑠少しは手加減してよ」

手加減無しでゲームをする瑠に私は少し怒り気味の口調で言うが、瑠はテレビの画面を見るだけで返事もせずにまた違う難しいコンボを繰り出す。
私はそんな瑠にイラっとしてゲームのリセットボタンを押した。

「何すんだよ」

瑠は持っていたコントローラーを置いて私の方を睨んできた。
私はスタート画面の映っているテレビの電源を消して瑠の方を向いた。

「瑠が手加減しないからでしょ」

私は少しも悪びれず瑠を睨みながら言った。
瑠は少しため息をついて床に寝転がった。
私は床に寝転がった瑠を見てからまだ電源の付いてるゲーム機の方を見た。
ウーとカセットを読み込んでいる音がゲーム機からする。
この音は耳障りが良くて私も瑠もこの音が大好きだった。
静かな部屋にはゲーム機からする音しか響かず私は目を閉じてズーッと黙り込んでその音を聞いていた。

「普通に生活するってどういう意味なんだ?」

瑠が起き上がって言った。
私は目を閉じたままわからないと答えた。
瑠はそっかと言ってまた床に寝転がった。
また沈黙が続く。

「急になんでそんな事聞くの?」

私は目を閉じたまま寝転がって目を閉じている瑠を手を触りながら言った。
瑠の手はとても冷たくて、ずっと触っていると体全体が冷えてしまいそうだった。
瑠は私の手をぎゅっと握ってどんどんと私の体温を奪っていく。

「こないだの職場体験何処行った?」

瑠が急にそんな事を聞いてきて私は話しを変えるなと瑠に怒鳴って瑠の手から自分の手を解放した。
瑠は少し寂しそうな顔をして体を丸めた。

「俺病院行ったんだよね、そこでお婆ちゃんと仲良くなったんだ。」

瑠はさらに体を丸めベットから布団を引きずり落とし自分にかぶせた。
瑠の声は小さいし布団をかぶっているから全然聞き取れなかったけれど、死んだんだという単語が私の耳に届いた。
その単語を境に布団が小刻みにふるふる震えて瑠の鼻水をすする音が聞こえる。

「生きるってきっと、こうやって悲しんだりする事なんじゃない?」

私は小刻みに震える布団を触りながらぽそっと言った。
布団からそんなの悲しすぎると声がした。

「ゲームみたいに楽しくてやり直しがきけば良いのに」

少し強めの口調で瑠が私に怒鳴って来た

「悲しむだけじゃない。喜んだり、怒ったり、楽しんだり。いろんな感情を表すことが生きるじゃない?それに人生が一度っきりだから、楽しいんじゃないの? やり直しがきいたら面白くないよ」

私はそう言ってテレビの電源を付けた。
テレビからは凄く場違いな愉快な音楽が流れとても幸せそうな映像が流れている。
瑠は布団から顔だけを出しその映像を食い入るように見る。

「なにがあったか私は知らないよ」

テレビを見るのを止め布団から出た瑠の髪の毛をいじりながら少し強めの声で瑠に言った。
瑠は目線だけを私の方に向けて何? というような顔で私を見てきた。

「でも、きっとそのお婆ちゃんも生きてたから。幸せだったから。」

本当に私は何があったか知らない。
けど、なぜか瑠にそう言ってしまった。
私は言ってしまった後に少し後悔した。
けど瑠はそっかと少し赤くなって腫れている顔でにっこり笑って、布団から出てきてコントローラーを握ってスタートボタンを押しゲームを始めた。
私は瑠の予想していなかった行動に少し戸惑いながらもコントローラーを握ってニコニコと笑っている瑠の横でまたキャラクターを選んだ。
2008/03/25(Tue)23:49:36 公開 /
■この作品の著作権は優さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
やっと2作目が書けたんですけど・・・
アドバイスお願いします。
題名と内容があまりかみ合ってないんですけど・・・大丈夫でしょうか?
なにか良い題名があったら教えてください。
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