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『泣いてもいいですか。』 作者:栗花落 / 恋愛小説 未分類
全角7696文字
容量15392 bytes
原稿用紙約22.9枚
最近のオシャレや恋愛話に疎い学生、佐伯本菜は誰も見つけたことのない図書室の死角を見つける。いつものように授業が終わり、いつものように死角へと到着すると、転校生、春日斗記と出会い、いつものような日々は一転する……。
   細い光と校庭からの笑い声が差し込む、探さないと見えない死角。
   いつもその場所に逃げ込むかのように、 いつもその場所に助けを求めるかのように、
   逃げて、隠れて、沈んでた。
   細い光と校庭からの笑い声が差し込む、この学校の図書室の死角。

   いつも地味な私は手を広げて作られた大きな輪の中には入れず、一人で一日を過ごすことが多かった。
   それでも私は泣かなかった。寂しかったけれどここで泣いてしまえば、自分の存在が涙でけされてしまいそうだったから。


 ある日、私はいつものように図書室へと向かった。――正確に言えば、図書室の死角へと。
ただ暗く静まり返っているその電気もついていない図書室のドアを静かに開けようと、ゆっくりドアを押すと、
たてつけが悪くなっているのか ギィ と、ドアが低く唸るような音で鳴る。
ただでさえ電気がついていなくて暗いのに、こんな音が鳴ったらさらに暗いイメージを溶け込ませてしまう。
 私は構造の悪い図書室の本棚の角を何回か曲がり、私の特等席の『死角』へと到着する。
到着すると私はすぐに普通の本棚より低く腰が掛けれる高さの本棚に座る。その本棚は日の光がちょうど差し込んできていて、本を読むのには電気代わりになるし、ポカポカとあたたかい。
 この死角にイスなんて置いているはずもなく、しかも人一人が入れるくらいの幅で、見つけても誰も近づこうとしない。見つける以前に、誰も見つけられないか。
だからこの死角を知っている生徒は数少ない。と、いうよりこの学校では図書室なんて授業のときに少し使うくらいで、放課中なんて誰も来ない。
この学校はなんと言うか……運動系の人物が多いらしく、男子はほとんど校庭でサッカーやら野球やらしている。
男子が校舎内にいたとしても女子を交えたおしゃべりか、教室で走り回るくらい。図書室なんて私ぐらいしか来ない。
そんな中女子は教室でのおしゃべりや、男子と戯れたり、化粧したり……。

 一方私は、秘密の死角を見つけてしまった、ちょっと変わり者。
この学校では私は浮きまくりの天然記念物みたいなものだ。
 そんな変わり者の私の名前は、  佐伯本菜  ――画数は少なくて簡単な感じなのだが、大抵の人からは『何て読むの ? 』なんて聞かれる。
私の名前をひらがなで書くと、  さえきもとな  。カタカナで書くと――、いや、こんなことはどうでもいいのだ。読み方さえ分かれば。

 今日も死角の本棚にある本を手にとる。
この死角の本棚にある本は、誰も手をつけないためジャンル別に分かれているわけもなく、さまざまな本が読めるのでなんか好き。
 私がここを見つけたときなんか蜘蛛の巣がはっていたし埃まみれで、物置状態だった。
最初目にしたとき、この場が図書室ということを忘れてしまった。
私の中の図書室のイメージは、あえてでも清楚で知的感が満ち溢れていて物静かで、それでいて大きな迫力のある……、
なのにあんな物置状態の本棚を見てしまったら誰でも驚く……であろう、汚さだった。
驚かなくとも不快におもうことは確かであろう。これは断言できる。
 だが、今ではこの綺麗な本棚。私が手入れをしたのだ。と、言ってもただ単に雑巾がけをしたりほうきで埃をはらったり……。

私はそんなことを思いながらも読み途中の赤色の本のページをめくろうと下のほうに手をかけたとき――



   ガタッ



 私は本を読みながら頭の中で過去のことやこの図書室に対するイメージを薄れていた記憶で振り返っていたら突然物音がする。
私はびっくりして『うひゃっ』なんて間抜けな声を出してしまった。
 私は条件反射で物音のしたほうを見た。そこには見たことのない、綺麗な顔立ちの青年がいた。
彼は私と目があうとニコリと微笑み綺麗な赤色の唇から『こんにちわ』と声を発した。
その声もまた綺麗で澄み渡っているような声で、耳から入ってきたその声は脳内でグルグルと駆け巡り、やまびこのように後から後からと声が響く。
 彼の顔を見て数秒するとさっきの私の声がどれだけ裏返って情けない声だったのかと頭の中で理解すると、顔が見る見るうちに赤くなっていくのが分かる。なんて声を出してしまったんだ私は……。

「えっと、佐伯……さん ? 」

 自己嫌悪で沈んでいるとき、彼は話しかけてきた。
どうして私の名前を知っているの ? なんて間抜けな質問をしかけた私はすぐに口をつぐみ、名札を見たんだ、と理解した。
 どうやらさっきの物音は彼らしい。足を本棚にぶつけてしまったと彼は笑っていた。
私は彼がこの死角を見つけたことに反面驚きつつ、仲間――死角仲間とでも言うのが自然なのだろうか……。
嗚呼、なんてネーミングセンスのない名前なんだ。私はまた自己嫌悪で沈み始めた……が、その死角仲間ができたことに喜びつつあった。
 彼と私は話が合い本の話について初対面なので遠慮しつつも盛り上がっていた。
彼の名前は春日斗記君と言うらしく、明日転校して来る生徒だった。今日は学校に早く馴染みたいということで校舎の確認をしていたらしい。
なんて、いい青年なんだ斗記君は……、私なんて面倒くさくてダルくなるからとこれまた本当に地味な理由をつけて家でゆったりしているだろう。
 斗記君はまた笑った。
右手を頭の後頭部周辺へと持っていきポリポリと掻きながら、エヘヘと笑った。
それはさっきの優しい笑みではなく照れくさそうな笑顔だった。



――――その笑顔に私は何か自分自身の違和感を感じた。



 私は変な違和感を感じながら斗記君の居なくなった図書室でまだ本を読んでいる。
特に何がしたいわけでもない。斗記君が居なくなったからって寂しいわけでもないし、嬉しいわけでもない。
ただ、なんとなく図書室から出たくなかっただけ。家に帰りたくなかっただけ。
静かで暗い図書室には私の呼吸の音と壁に掛けられた時計が時を刻む音。
 私は本を閉じた。まだ読み終わってない少し薄汚れた赤い本を両手で挟むように閉じた。
本を閉じると一定のリズムを保っている呼吸が一瞬だけ止まる。そのすぐあとに大きく息をすい、はく。
窓の外へ目をやればさっきまで赤く染まっていたと思っていた空はいつの間にか小さく見える屋根際まで来ていて、
その赤い空を覆い隠すように暗闇の空が広がっていた。その暗闇は赤い空を覆い隠すだけでなく、星をも殺すかのように黒く暗く悲しい色をしていた。

 私は図書室の壁にかけてある時計を見た。
時計の針は六時を指していた。ああ、冬なんだからこの時間帯は暗いわな、なんて一人で納得していると頭の中にまた別の話題が入ってくる。

「あ……」

 小さく声を漏らす。特に大変な用事があったわけではないが、私は用事を思い出し急ぎ足で下駄箱へ向かう。
下駄箱には靴がチラホラとあった。おそらく運動部のミーティングで残っている人たちと私の靴だけだろう。
私は下駄箱の上に小さく張られている自分のシールの名前を確認せずに靴を取る。2年間もこの学校に通っていれば嫌でも自分の靴場所がわかる。
分かっても分かたなくても損得なしで差はないのだが……。
 私は足のサイズにピッタリとあっている靴をはくとうまい具合に踵からつま先まで隙間なく入った。
なんだろうか、漫画で効果音などを文字で表すが……『スポッ』みたいな感じだろうか。
 その足で私は自分の家ではなく学校近くでもあり私の家の近くでもあるコンビニエンスストアへ向かう。
コンビニに入ると店員さんはだらしなさそうな声で「いらっしゃいませェー」なんて言ってくる。もっとハキハキとした声で言え !
なんて思っていても用事は済まされない。早く用事を済ませよう。
――そう、私はこのもうどうでもいいよ的なコンビニに用意があったのだ。
私はコンビニの脇に並んでいる具材に手を伸ばし、それをポンポンとカゴの中に入れていく。
五分くらいで具材を選ぶとレジへ向かう。さっきのだらしない店員さんとは変わって、少し厳しそうなおばさんがレジをしていた。
さっきのだらしない店員さんは奥で休んでいるようだ。奥からかすかに音楽が聞こえる……、CDでもかけているのだろう。
もう少し音を絞れよ……なんてだらしない店員さんに不安を募らせながら手に持っていたカゴを渡す。
 私からカゴを受け取った厳しそうなおばさん店員は『なんで制服姿の女子高生がコンビニに……』みたいに怪訝そうにこちらを睨みつけている。
私はそんなことも気にせずお金を財布から取り出して渡してレシートを受け取ると、さっさとコンビニから出て行った。キッチリ払ったからおつりはない。
 コンビニから徒歩約十分でつく私の家がある高層マンションに到着すると、エレベーターのボタンを押して、自分の部屋へと向かう。
扉の前までくると鍵をカバンのポケットから取り出し開けた。

「ただいまー」

 なんて言ってみる。
『おかえり』なんて返事返ってくるはずもないのに……、自分で自分が馬鹿みたいに思えた。
 私は中学生だけど一人暮らし。親は居なく、引き取ってもらった叔母さんは私を白い目で見る。
一つ屋根の下で私と暮らすなんて嫌だと言って叔母さんの息子の家に居候しているらしい。叔父さんは世に言う嬶天下(かかあてんか)で、いつもおばさんの言いなり。
でも、叔父さんは私に優しかった。小さいころ叔母さんに遊んでもらえなくて一人で居たとき叔父さんだけが遊んでくれた。
たまにお菓子をくれたり……。そのときの叔父さんの『内緒だよ』という笑みも鮮明に覚えている。目が細くなって目の隣にしわが何重にもできていた。しわがれた一指し指を口元に持っていき小さいころに、『静かにしてね』という意で用いられた『シーッ』という形。
何もかもが鮮明に覚えている。それでも、叔母さんは私が嫌で叔父さんを連れて出て行った。
ちゃんと仕送りはもらっているし、生活に何不自由はない。でも……、寂しい…………。
 玄関に暗く突っ立っていた私は頭の中で闇を渦巻いていた。
でも、そんなことじゃいけない。私は明るく生きていくと誓ったんだ――。

「さっ、お夕飯の準備しよっとッ」

 私は靴を脱いで小走りでキッチンに向かう。右手に持っていたスクールバッグをソファの近くに置き、左手に持っているビニール袋をダイニングテーブルに置く。キッチンの隅に掛けられている黄色と緑色のチェック柄エプロンを制服のまま上から来てまな板を取り出す。
銀色に光る包丁をサッと水で洗い流してからビニール袋の中に入っている具材を次々に切っていく。トントンとテンポよく進む自分の手にあわせながら鼻歌を歌う。
 十分程度すると炒め終わった具材もキツネ色に変色し、それを鍋に入れて煮込む。
さらに十分程度すると鍋の中は茶色になっていく……、私はカレーを作っていたのだ。急いでいるときはカレーが一番手っ取り早い。
カレーのスパイシーな香りが漂う。うん、我ながら良い出来だ。
三十分程また煮込んでいるとインターフォンがなる。誰だろうとセキュリティ付の部屋のカメラを見るのが普通だが、私はどうもそのカメラを見る癖がついていない。
だから大抵『はーい』と返事をする。家に遊びに来る友達なんて居ないから殆ど叔母さんたちからの送り物。
返事をすれば『宅急便でーす』と語尾をのばして言う配達人からの返事――いつもはそうなのだが……。
インターフォンに対しての返事をすると外の相手からは返事がない。特に何を思うわけでもなく玄関を開けると目の前には…………

「あ、こんばんわ、春日といいます――」

 彼、春日斗記君がいた。正確には、春日斗記君とその母親らしき人物のロングヘアーの優しそうな女性が立っていた。
彼の笑顔は止まったままで、私の笑顔も止まったままだった。彼も私が出てきたことに驚いたご様子。
数秒すると横から高い女性の声が入る。

「あのー……」

「あッ!! すみませんッ」

『あはは、ゴメン母さん』と彼は図書室でやった仕草と同じように頭をポリポリと掻いていた。やはり隣の女性は斗記君のお母さんらしい。それにしても若くて美しいな……。
 斗記君の手には綺麗な包装紙で包まれた箱があった。斗記君はその箱を私に渡すと、斗記君のお母さんに『今日会ったんだ』と説明した。
斗記君のお母さんは細い手を口元まで持っていき『それなら、二人で大丈夫よね』そう笑顔を向けて、私に挨拶をすると隣の部屋の扉を開けて会釈しながら入っていった。
 斗記君は私に向き直って笑顔を向けると話を切り出す。

「俺、隣に越してきたんだ。よろしくね」

「よろしくおねがいします。それにしても随分とお若いお母様なのね ? 」

 私は丁寧に挨拶を返した。普通なら美人なお母さんでも厚化粧とかが多いから大抵『きれいね』なんて言わない。
でも、あのお母さんは化粧なんてうっすらとしていただけで白い肌の隣に塗られた口紅くらいしか目立たなかった。それがまた美人さを際立たせた。
 彼は微笑しながらまた頭を掻き、言葉を発する。

「よく言われるよ……、それじゃあ今日はこの辺で。おやすみ」

「おやすみなさい」

私は笑顔を向けてくれた斗記君に笑顔を向け返して扉を閉める。鍵をゆっくり閉めると、カレーの匂いが鼻に染みた。
あ、いい具合だな。と、私はキッチンへと向かい、カレーをご飯の入ったお皿に流し込む。
ダイニングテーブルに一人座り、カレーを食べながら斗記君からもらった箱の包装紙を丁寧にはがし、中を見る。
中には綺麗に並べられた一口サイズのチョコレート。よし、これを食後のデザートにしよう。
 私はカレーを食べ終わると、そのチョコレートが入った箱を冷蔵庫の中へ入れた。
さすがに食べたすぐ後に口に含むのは手が進まない。もうすこし時間を置いてから食べることにした。
今の時刻は七時半。お風呂を沸かして、出た後に食べることにしよう。
 私は大まかな先の計画を建てて自分の部屋へと向かう。部屋といっても寝室に勉強机やクローゼットがあるだけだが……。
私は基本的薄い色が好きなので、白と薄ピンク色でその寝室はそろえられている。薄ピンク色のカーテン、白いベッド、白い勉強机に薄いピンク色のゆうたん。こんな寝室に他人を入れたら絶対に引かれる……、地味な私がこんな色が好きだなんて知れ渡ったら……。ああ、考えただけでも恐ろしい……。
 私は自分自身の想像で恐怖に恐れながら、さっきの計画を崩しまいとお風呂を沸かしている間に宿題と勉強を終わらせることにした。
数十分すると無機質な機会音が鳴る『お風呂が沸きました お風呂が沸きました』。
お風呂が沸いたんだと察した私は着替えを持っていきお風呂へと向かった。
 気持ちよく入浴した後、私はタオルで長い髪の水気を取りながらキッチンへ向かい冷蔵庫の中からさっきもらったチョコレートを取り出した。
お風呂上りでポカポカしている私の口に入るとゆっくり溶けていきほんのり甘かった。最近お菓子なんて食べてないから何か幸せ気分……。
うっとりと幸せ気分を感じながら二,三個つまむと残りのチョコレートは冷蔵庫の中に入れた。冷蔵庫についているデジタル時計は十時七分を棒線で表していた。
 私はもう一度寝室へ向かい、音楽を聴きながら勉強をしていた。甘いお菓子を食べた幸せ気分がまだ残っているけど勉強とは別。頑張って損はないんだから、勉強はしなきゃね。
 ふと時計を見ると時計の針は一時と五と六の間を指していた。気がつけばもう一時二十七分……。一度集中してしまうと中々抜けだせないのが私の短所だ。
歯を磨きに行ったあと、私はすぐに一人分としては大きすぎる白いベッドへもぐりこんだ。

ピピピピピピピピピピピピピ――――――

 五月蝿い音が寝室中に響き渡る。薄ピンク色と白色のストライプの柄をした目覚まし時計が少々左右に揺れながら私を起こそうとしている。
私は手を伸ばしその時計の音を止める。針はいつもどおり五時ジャストを示していた。約四時間しか寝ていない……が、毎朝この時間に起きることにしているのは私なんだから我侭言っちゃいけないッ!! ので、白色のウィンドブレーカーを着て髪の毛を一つに束ねる。別に朝の服がジャージってわけではない。いつもこの馬鹿でかいマンションの周りを5週ほど走るだけだ。朝の運動ということ。
 本当に馬鹿でかいマンションの周りを五週走るのは女の私にとってかなりキツイのだが、もう慣れた。このおかげで肺活量が増えて運動が苦手だった私も今では大得意。でも、普通漫画とか小説じゃ地味な子は勉強も運動も容姿も駄目、とかのパターンかガリ勉って言うのが多い。
私はこのどちらにも値しない、勉強と運動は出来るほうだけど、容姿が……。
ああ、こんなことを思っていたらこの晴天の下で走ることを断念してしまいそうだ。プラス思考プラス思考。

 一応三十分程五週走ったので今度はエレベーターではなく階段を走って部屋に入った。
今、時計は五時四十分を指しているので簡単な朝食を作ろうと手を洗ってキッチンへ向かう。焼けた食パンを九等分の正方形に切り、その上から昨日の晩に作ったカレーと一緒に耐熱皿に流し込んだ。オーブンで五分ほど焼きそれをダイニングテーブルに持っていって食べた。
寒い季節には美味しくて暖かい朝食だな。食べ終わったお皿をキッチンの流しに置いて水につける。TVの電源をつけると良いニュースや悪いニュースが報道されていた。中には『あの有名芸能人が年下一般男性と結婚!!』なんて記事もある。
そうこうしている間に時はすでに六時三十分。夢中になるとこうも時間を忘れてしまうものなのかといつも思ってしまう。
 私は学校に持っていく用具で入れ忘れたものがないかどうか確認し、棚においてある本を手に取る。
挟まれているしおりを抜き縦にズラズラと並んでいる漢字や平仮名、片仮名、時には記号で表現されている文章を黙読していく。
ソファに座り一人小さくなりながら、一枚一枚ページをめくっていく。この本を読んでいる時間が私にとって一番好きな時間かもしれない。

 哀しい本を読めば、その本に引き込まれ哀しい気持ちになりながら涙流す。
 楽しい本を読めば、その本に引き込まれ楽しい気持ちになりながら笑溢す。

 人の感情はこうも簡単に左右される。それでもちゃんとした“人”なのだと思える自分が此処にいる。それは喜ばしいことだ。
薄いけれど内容的にはしっかりとしていた本を閉じると私は玄関へ向かった。学校指定の白を基調とした運動靴を履き玄関のドアノブに手をかけた。
冷たい銀色のドアノブが鳥肌にさせる。一瞬の出来事だった鳥肌はすぐにやみ、外へ出る。今まで暖かかった顔や足は外の空気に覆われ冷たさを覚えた。
いくら走りにいっても長いこと暖かい場所にいるとやはり体が反応してしまう。ああ、冬はなんと寒いのだ。私的には暑いより好きだけれどね。
 鍵をしっかりかけたことを確認すると学校へ向かう。
2008/01/30(Wed)18:42:01 公開 / 栗花落
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■この作品の著作権は栗花落さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
此処では初めて投稿する栗花落です。
何もかもが初です。
恋愛小説投稿も初、ここでの小説投稿も初、
初だらけで少し戸惑うかもしれませんが、よろしくお願いします。
佐伯本菜と春日斗記の進展が気になる方はどうぞお読みください……。
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