オリジナル小説 投稿掲示板『登竜門』へようこそ! ... 創作小説投稿/小説掲示板

 誤動作・不具合に気付いた際には管理板『バグ報告スレッド』へご一報お願い致します。

 システム拡張変更予定(感想書き込みできませんが、作品探したり読むのは早いかと)。
 全作品から原稿枚数順表示や、 評価(ポイント)合計順コメント数順ができます。
 利用者の方々に支えられて開設から10年、これまでで5400件以上の作品。作品の為にもシステムメンテ等して参ります。

 縦書きビューワがNoto Serif JP対応になりました(Androidスマホ対応)。是非「[縦] 」から読んでください。by 運営者:紅堂幹人(@MikitoKudow) Facebook

-20031231 -20040229 -20040430 -20040530 -20040731
-20040930 -20041130 -20050115 -20050315 -20050430
-20050615 -20050731 -20050915 -20051115 -20060120
-20060331 -20060430 -20060630 -20061231 -20070615
-20071031 -20080130 -20080730 -20081130 -20091031
-20100301 -20100831 -20110331 -20120331 -girls_compilation
-completed_01 -completed_02 -completed_03 -completed_04 -incomp_01
-incomp_02 -現行ログ
メニュー
お知らせ・概要など
必読【利用規約】
クッキー環境設定
RSS 1.0 feed
Atom 1.0 feed
リレー小説板β
雑談掲示板
討論・管理掲示板
サポートツール

『抱 き 枕』 作者:早 / ショート*2 未分類
全角1961.5文字
容量3923 bytes
原稿用紙約5.5枚
プロポーズ。マンホール。
 朝早く起きてどんな服を着ていこうか迷いながら、どの言葉にしようかも迷っていた。恭子さん、僕と結婚して下さい、というふうに普通にいってみるか、愛してる、という言葉を使って責めてみるか。プロポーズするときめてみるも、やはり当日の朝になってみればどうしようもなく緊張するものだ。
 公園の待ち合わせの場所に、恭子さんは先にきていた。絶好のいい天気だ。雲ひとつなく晴れている。二人で歩いているとき、色々と話をしようとしたが、緊張していてあまりできなかった。そして、噴水のすぐ近くのベンチに二人座る。恭子さんが左で、ぼくがその右。二人の間隔は30センチもなく、緊張する。ここで話しかけて、話を発展させて、そして…プロポーズしなければならない。今日すると決めたんだし、恭子さんも覚悟しているはずだ。今日しなければならない、絶対。そう思いながら噴水近くのベンチにて、僕は話しかけ、色々と話を発展させる。なかなかいい調子だ。すらすらと色々な話が出てくる。二人のこと、これからのことに、話をもっていく。いい調子だ。そろそろ決めの言葉を…そう思っていると、僕の右の足元に、マンホールがあるのが見えた。噴水の水道を管理するためだろうと思って、目を噴水に遣ると、綺麗な虹が見えた。あの虹のように綺麗に今日の一言を決めなければならない。よし、いまだ。と心に決めた瞬間、
……僕の抱き枕になってください……
という不思議な声が噴水の音に混じりながらどこからともなく聞こえ、なんだろうと思う。しかしそんなことに気をとられている暇はない、よし、いまだ、と心を決めた直後だったので、僕の口から言葉は出た。
「僕の抱き枕になってください」
しまった……。とんでもないことを言ってしまった。不思議な声につられて、その声の言葉通りに僕は言ってしまったのだ。人生最大の失態だ。恭子さんは冗談をあまり好まない、大人っぽくて高貴なところもある女性だ。僕の人生は終わったかもしれない。
「…..え?」 聞いてはいけない言葉を聞いてしまったかのように恭子さんはそう放った。
沈黙が10秒。まだ何も言葉が交わされない。
……1分。
…………2分。
僕は、どこからともなく聞こえてきたこえを恨んだ。そんなことを思っていると、噴水のあたりには人がだんだん少なくなってきている。誰もいない。もしかして僕の言葉を聞いてしまって……いやそんなはずはない、仮に聞こえたとしても人がいなくなるようなこととは関係しない。それにしても恭子さんはどうしたんだろう。こんな惨めな思いするくらいなら、もう僕のそばから離れて逃げてほしいくらいだ……。
それにしても沈黙は続く。
……3分。
僕は恭子さんの方をみた。目を閉じている。どうしたんだろう。呆れて気を失ったのか、さすがにそんなことはないだろう。
「恭子さん……ごめんなさい、今のは……」
僕は言葉を詰まらせた。でも恭子さんからは言葉はない。本当に気を失っているのかもしれない。もう2,3こと話かけても返事はない。そんなとき僕はふと思った。もしかしたら、右の足元にあるマンホールのなかに人が隠れていて、あの言葉を言って、僕を失敗させようとしたのかもしれない。くやしくなってきた。人生台無しだ。惨めだ。畜生。マンホールの中に人がいたらそいつに復讐しなければならない。今のうちつかまえないと水道を通って逃げるかもしれない。恭子さんは気を失っている。周りには人は誰も居ない。
そして僕はマンホールを開けた。
…………
……
男が、のっそりと這い上がってきた……。
つばが広く頭は上にとんがった魔法使いのような帽子。男の顔は、深いつばや不潔なひげや髪でよくわからない。服はぼろぼろだ。ぶかぶかのチノパンに、チェックの上着。破れていて継ぎはぎもある。男を観察していると。
「……僕の抱き枕になってください……」
男はそう言い放った。なにからなにまで支離滅裂だ。マンホールから出てきた不気味な男にプロポーズされるなんて。プロポーズじゃなくてただふざけているだけか。どちらにしても気持ち悪い。こんなことあってたまるか。しかもこいつが俺の人生を壊したんだ。何か言い返してやりたかった。激怒さえしたかった。しかし言葉が出ない。身体がなかなか動かない。そういえば恭子さんはもう逃げたのだろうか。動きにくい首を少し回転させる。見てはいけないものを見てしまった。いつのまにか、恭子さんは、ぬいぐるみのようなやわらかそうなマネキン、つまり人型の抱き枕になっているではないか。一体どういうことなんだ。そう思っていると、もう僕の首や四肢も動かなくなっていた。男が僕の身体を掴んだ。そして軽そうに持ち上げた。恭子さんも男に抱えられた。

二人は、男に、不気味な寝室まで、運ばれた。
2007/11/24(Sat)21:24:56 公開 /
http://beatriceuplift.blog122.fc2.com
■この作品の著作権は早さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
ふふ。
この作品に対する感想 - 昇順
感想記事の投稿は現在ありません。
名前 E-Mail 文章感想 簡易感想
簡易感想をラジオボタンで選択した場合、コメント欄の本文は無視され、選んだ定型文(0pt)が投稿されます。

この作品の投稿者 及び 運営スタッフ用編集口
スタッフ用:
投稿者用: 編集 削除