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『ペンダント物語(仮)』 作者:山本 康平 / ファンタジー アクション
全角5796文字
容量11592 bytes
原稿用紙約19.1枚
小さい頃に失踪してしまった両親を探す旅に出る事を決意した“ジェイル・クォーター”。その中で、様々な出来事、人物と遭遇する。果たして彼の旅はどのようなものになるのか…?
第一話…『答えを求めて』

「お〜い、そろそろ行くぞ。」
聞き慣れた貫禄のある声が外から聞こえ、俺は部屋の窓を開けて身を乗り出す。
俺の部屋は二階にあり、見下ろしてその人物を視認する。
彼の名前は“ゲイル・ゴードン”。
その声色と風貌から見ても、誰も寄り付かないように見えるが、実際はとても温厚で子供好きなのである。
まぁ、こんな奴に寄り付かれたら泣き喚くのは必至だろう…。
ゲイルは俺の伯父さんで、物心付く前から面倒を見てもらっている。
だから、両親の事は全く覚えていないのだ。
さらに、何故両親が急に家を出て行ったのかも分からない。
「悪い、すぐ行く。」
荷物を一気に纏め、机に置いてある写真立てに手をやった。
先程、両親の事は覚えていないと言ったが、一枚だけ母親との写真が残っていたのだ。
俺はそれをずっと大切にしている。
写真に写る母さんは、満面の笑みで抱き抱えている俺を見ている。
「…母さん、待ってろよ。」
そして、写真だけを抜き取り、鞄の中へとしまう。
最後に忘れ物が無いか確認した後、立ち上がろうとした瞬間。
部屋のドアを優しく叩く音が聞こえた。
「ジェイ、準備出来た?」
再び聞き慣れたその声が、ドア越しで俺の耳に入る。
しかし、この声は伯父さんの物ではない。
マーサさんの声だった。
ドアが開き、そこにはやはりマーサさんが立っていた。
マーサさんは、伯父さんの妻。
つまり、俺の伯母さんにあたる。
そして、マーサさんが“ジェイ”と呼んだのは、俺である。
俺の名前は“ジェイル・クォーター”。
周りからは“ジェイ”と呼ばれ親しんでもらっている。
「あなたに渡したい物があるの。」
そう言うと、マーサさんは俺の手を取って、手のひらに何かを置いた。
俺はそれを凝視する。
「…これは?」
ペンダントのように見えるが、首掛けの鎖部分が無いのである。
「私にも分からないけど、あなたのお母さん“シンシア”さんが持っていたものよ。」
俺は驚いた表情を見せ、マーサさんを見やった。
「どうしてそれを…?」
マーサさんは俯き加減に少々沈んだ顔を見せるが、それ程深刻な表情ではない。
「実はね…、シンシアさんに頼まれていたのよ。“私に何かあったらこれを息子に渡して下さい”って。」
俺は今の今までそんな事知る由もなかったから、当然驚く他何も無かった。
「てことは、母さんは自分の身に何か起こると分かっていたのか!?」
俺は混乱して、頭の中が掻き回されていた。
その中、マーサさんの手が俺の手を強く握った。
「ジェイ、落ち着いて!あなたは今からその答えを探しに行くんでしょ?」
その言葉に、俺は再び我に返って、深く深呼吸をする。
「…そうだった。ありがとうマーサさん。…いや、母さん。」
俺はマーサさんに対して初めて“母さん”と呼んだ。
少々照れ臭かったが、今まで親代わりとして、俺をここまで育ててくれたせめてものお礼だ。
マーサさんもその言葉に、驚きの反面照れた表情を見せ、その後に柔らかい笑みを浮かべた。
「その言葉は、本当のお母さんと会えた時のために残しときなさい。」
その瞬間、目頭が急に熱くなり始め、俺は必死に堪える。
しかし、その感情は抑えられる程のものではなく、自分の意思とは関係なく涙が零れた。
その瞬間、我慢が切れて一気に涙があふれ出す。
それを見たマーサさんもまた、涙で溢れ返り、俺を優しく抱き寄せてくれた。
「…いい?何があっても諦めちゃ駄目よ?自分が納得いくまでしっかりと探してきなさい。例えそれが、悪い方向だとしてもよ。」
俺の耳元でマーサさんは優しくそう言ってくれた。
この時点で俺の顔は涙でぐしゃぐしゃになっており、返事すらも出来ないでいた。
「ジェイが泣くなんて何年振りかしらね。…ほら、いつまでもこうしてるとゲイルが怒鳴りに来るわよ。あの人、あなただけには厳しいから。」
マーサさんはそう言って、俺の荷物を持ち上げた。
俺もやっと泣き止み、マーサさんから俺の荷物を貰い受け、笑顔を見せた。
そして、二人で家を出て、俺は伯父さんの元へと歩み寄った。
「いつまで待たせる気だ!早く乗れ!」
伯父さんは仁王立ちで腕を組み、何とも険しい表情をしていた。
「悪い。」
ついさっきかなりの量の涙を流したから、おそらく目が充血しているだろうと思い、それを伯父さんに見られたくなかったので、俯き加減で早々と車へと乗り込んだ。
「それじゃ、こいつを送ったらすぐ帰ってくるが、それまで留守番頼んだぞ。」
伯父さんはマーサさんにそう言って、運転席へと乗り込んだ。
マーサさんは家の前に立っており、俺が見ると微笑んでくれた。
そして、俺も軽く頬笑み返す。
「忘れ物はないな?」
「ない。」
伯父さんがそれを言ったと同時に、俺は短く返答した。
その後、伯父さんの顔を伺うが、やはりムッとした表情をしていた。
そして俺は、車の窓を開けて上半身を窓の外に出す。
「マーサさん!俺が帰ってきたらまた手料理作ってくれよ!」
俺は手を大きく降りながらそう叫ぶ。
マーサさんも手を振り返して、頷いてくれた。
「あっ…!」
しかし、その途中に車が急発進し、俺は激しく窓枠に頭をぶつけた。
「ほら、危ないぞちゃんと座れ。」
俺は激痛に堪えながらも、体勢を整え、伯父さんを激しく睨め付けた。
伯父さんの表情はニンマリとしていた。
おそらく、先程の仕返しだろうが、ここまでする必要はないと思う。
だが、伯父さんとこうしていられるのも後ほんの僅か、ここは許してやるか。
そして、これからは母さんを探すための長い旅路となるだろう。
この先何があるのか何て全く分からない、いろんな人とも出会うだろう。
でも、俺は決めた。
絶対に母さんを探し出して見せるって。
そして、自分の中での答えを見つけるって。
俺は、今日から未だ見ぬ明日へと大きな一歩を踏み出したんだ。


第二話…『混沌の始まり』

一体いつまでこの景色が続くのだろうか。
かれこれ4時間はだだっ広い草原地帯だけが目に映っている。
「なぁ、一体いつになったら着くんだ?だいたい、何処に行くんだよ。」
俺は漠然としたその景色を、顔を窓に張り付けながら伯父さんに聞いた。
「………。」
しかし、伯父さんからの返答がない。
俺は多少苛立ちを見せながら、伯父さんの方へと振り向く。
そこには、ハンドルに頭を預けて完全に居眠りをしている伯父さんの姿があった。
「…って、おい!起きろよ!!何もないからっていくらなんでも寝るのはまずいだろうが!」
俺は必死に伯父さんの肩を揺さ振って起こそうとするが、同時にハンドルも左右に切られて車が小刻みにふらつく。
その揺れに気付いて、慌てて伯父さんが目を覚ました。
「…おっと。すっかり寝てしまった。」
目を擦りながらそう言って、車を安定させる。
そして、再び俺が同じ質問をする。
「で、後どれくらい?」
憮然とした態度でそう聞き、再び返答を待つ。
「だいたい、6時間ってとこか。遠くの方に大きい建物があるのが分かるか?」
伯父さんはそう言いながら、遠くの方を指差して見せた。
俺は目を凝らしてその指先の方へと目をやった。
微かだが、確かに大きい城みたいなものが見える。
「あそこまで行くのか?結構、デカそうな街だな。」
俺は伯父さんが住んでいる村以外、他の街に行ったことが無かったから、どれも初めて見る景色だった。
しかし、ここまで草原地帯が続いているとは思ってもみなかった。
「あそこは、“王都ベルグランディア”。ここの大陸の中央都市だ。お前が生まれて間もない時、俺とお前の両親もあそこに住んでいたんだ。」
意外だった。
俺はてっきり、伯父さんも両親もあの村に住んでいるものだと思っていたから。
「お前は外の世界は何も知らんだろう。今まで、あの村の榧に収まっていたんだからな。まぁ、街に入ったら驚くだろうな。」
伯父さんは笑いながら俺にそう言う。
確かに、村の人以外の人間を見たことがないし、きっとかなりの人数がいるとは想像してはいるものの、いまいちピンとこない。
ただ一つ分かる事は、両親が住んでいた街だから何かしら手掛かりはあると思う。
それに、王都というだけはあるのだから、各地方からも人が集まり、情報収集もしやすいと言うものか。
俺は頭の中で思案しながら、徐に鞄からペンダントを取り出した。
マーサさんから貰った時はあまりよく見てはいなかったが、銀製の物で、表面には何やら模様が施されており、その下には文字が刻まれている。
「“混沌の始まり”。…ん?どういう意味だ?」
俺は暫く、そのペンダントを凝視した。
伯父さんも横目でそのペンダントに目をやった。
「…それを受け取ったか。」
伯父さんは少々暗い表情を見せてそう言った。
「伯父さんはこれが何か知ってるのか?」
そう言って、俺は伯父さんにペンダントを手渡した。
伯父さんの目は何処か懐かしいような物を見る眼差しでそれを見つめていた。
そして、ゆっくりと伯父さんの口が開かれる。
「…お前にはいつか話さなくてはならないとは思っていたんだが、結局この日まで喋れなかったな。」
哀愁漂う表情で、伯父さんは俺にそう言った。
俺は何のことか全く分からないので。呆然と伯父さんの顔を見ていた。
「いいか。信じるも信じないもお前の勝手だ。だがな、今から話すことは全て事実だ。…結論から言う。お前の両親は今も生きている。」
だが、俺はその言葉にたいした反応を見せる事はなかった。
何故なら、俺の両親は生きているとずっと信じているからだ。
だが、伯父さんのその言葉が切っ掛けに、それは確実なものとなり、自信へと繋がる。
「生きてなきゃ困る。」
澄ました態度で俺はそう言い返した。
そして再び、伯父さんが口を開ける。
「実はお前の両親はな…。」
その時、大きな地響きのような物が聞こえた。
しかし、地響きにしてはやけに音が近い。
それは、爆音だった。
刹那、爆音と共に車が大きく傾き、俺はそこら中で体を打ちつける。
「ぐあっ!!」
何が起こったのか全く理解出来なかった。
数秒後、車の動きが止まった。
俺は激痛に堪えながらも、今のこの状況を把握しようと落ち着きを取り戻そうとする。
が、ある臭いが嗅覚を刺激する。
「ガソリン!?」
俺は慌てて、伯父さんの姿を目に入れる。
何とか生きてはいるものの、気絶しているらしく、こちらの応答に答える様子がない。
この時既に痛みという感覚は忘れており、伯父さんを引きづり出すことで精一杯だった。
そして、何とか車から脱出できたものの、次に待ちかまえるものは漆黒のローブを纏った人物だった。
フードを被っていたので、顔までは伺う事は出来なかったが、何とも冷たい視線が注がれている感じがした。
そして、その人物が唇を微かに動かす。
「こ…世に……グナ…を。」
声があまりにも小さいため、全てを聞くことは出来なかった。
俺はその人物が追い剥ぎかと思い、咄嗟にそいつを取り押さえにかかるため、突進する。
が、眼前にしてその人物は姿を消した。
俺はそのままの勢いで地面へと倒れ込んだ。
訳が分からない。
目と鼻の先にいた奴が、急に姿を消すのだ。
そして、後ろを振り返ると奴は静かに佇んでいた。
俺はさらに苛立ちを増して、再び漆黒のローブを纏った人物へと突進する。
が、結果は同じだった。
またもや、眼前で姿を消し、俺の後ろへと回り込んでいた。
「一体、お前は何なんだ!!追い剥ぎか!?」
俺はその人物に声を荒げて口走る。
だが、その人物が返事する様子はなく、さらに俺を苛立たせるだけであった。
「この世にラグナロクを。」
突拍子もなく、その人物が静かに、また、冷たい声色でそう呟いた。
今度は確実に耳に届いた。
声からして、男であることが分かる。
そして、俺は再び声を荒げる。
「目的は何だ!今時、テロ何て流行らないぞ。」
この状況にも拘わらず、何故か俺は冷静さを取り戻していた。
だが、漆黒のローブの男はまたもや沈黙を守っている。
俺は横に倒れている伯父さんに一度目をやった。
やはり、まだ気絶しているようだ。
幸い、骨が折れている様子もないため、特に応急処置を施す必要もないので、再び視線を漆黒のローブの男に戻す。
が、今度は眼前まで迫っていた。
こちらに寄ってくる気配は全く感じなかったのに、何故か今俺の目の前に立っている。
その途端、俺は全身に緊張の糸が張る。
額からは汗が滲み出て、唾を飲み込んだ。
「創造だ。」
冷や汗で体が冷え、さらにその男の声色でさらに温度が低下したような感覚に陥る。
フードの中で動く唇は、最後に口端をつり上げて、不気味な笑みを浮かべていた。
数秒ほど、再び沈黙が続くが次に声を上げたのは伯父さんだった。
「ジェイ!逃げろぉ!」
その声が聞こえた瞬間、緊張の糸が緩む。
どうやら、意識を取り戻したらしく、しっかりと両足で力強く立っている伯父さんの姿がそこにはあった。
だが、伯父さんの手には見たこともない機械のようなものがはめられている。
いや、装着されていると言った方が正しいのかもしれない。
それには、刃物のような物がついており、切っ先はとても鋭く、全体が黒光りしている。
だが、伯父さんの荷物の中にはそんなものは一切なかった。
一体どこから出したのか俺には分からなかった。
「いいか、城へ行け。行けば全てが分かる。お前の両親の事もな!」
伯父さんの表情はいつになく険しい表情で、若干だが、焦りの色も伺える。
だが俺は、伯父さんを置いて行けないと思い、口を開こうとするが、それよりも先に伯父さんが再び口走る。
「いいから早く行け!!俺は大丈夫だ!これから、お前の長い旅が始まるんだ!ここで終わるわけには行かないだろうが!」
伯父さんは一方的にそう言ってのけた。
俺は信じるしかなかった。
マーサさんとの約束のため、それ以上に自分のために。
今は解らない事だらけだが、両親が住んでいた街へ行けば、伯父さんが言っていた城へ行けば、きっと分かるんだ。
だから、信じるしかない。
「待ってろよ、伯父さん!絶対、助けに来るから!!」
そして、俺は全速力で王都ベルグランディアへと走り出した。
すると、伯父さんがいた方から激しい轟音が鳴り響いた。
後ろを咄嗟に振り返ると、濃い砂煙が空高く舞い上がっていた。
「…絶対、助けにいくからな!!」
2007/11/04(Sun)18:27:49 公開 / 山本 康平
■この作品の著作権は山本 康平さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
始めに言います。残念ながら「処女作」です。
至らない部分が数多くあると思います。
勉強しながら、頑張って書いていこうと思ってますので、応援の方よろしくおねがいします。
ちなみに、神話を参考に書いていこうと思っております。
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