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『遺書』 作者:スナフキン / ショート*2 恋愛小説
全角549文字
容量1098 bytes
原稿用紙約1.8枚
「遺書」

耳鳴りを覚えるほど静まり返ったその日の夜、白銀に街を染めることなく消えるであろう
降り始めた雪の中、君へのラブレターを書こうと思った。
好きで、すきで、スキで……苦しいほどのこの胸の痛みを吐き出したくで
渡されることが決められていないこのラブレターに僕の思いを箇条書きにした。

クラスでもさほど目立たない僕と、活発で元気な幼馴染の彼女
君の好きな所を書いてみた。
元気で明るい所、笑顔が素敵な所、優しい所、「山崎まさよし」が好きな所……
今までの君との想い出を書いてみた。
失恋話で泣きあった事、逢いたくないほどケンカした事、夜遅くまで受験勉強した事
僕と今まで幼馴染で居てくれた事……
深夜0時、一息ついてから最後に綴ったのは僕の気持ちと僕について。
便箋に綴られた彼女に知ってもらいたかくて書いた文字は、自分の嫌な所ばかり
見えてきて、深夜2時開き直ってこんな僕を育ててくれた親に対して感謝の言葉を添えた
弟への謝罪の言葉とエールを送った。

君へのラブレターを書いていてつもりが『遺書』みたいになってしまって
半紙にくるんで筆で書いて、丁寧折りたたんで机の奥へしまった。
僕は薄明かりの中眠りについた。

次の日も、僕の内ポケットには彼女との少し距離のある写真が入れられていることだらう。



終わり
2006/07/23(Sun)00:17:51 公開 / スナフキン
■この作品の著作権はスナフキンさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
ラブレターって読み返すと変におかしな所ってありますよね。そんな作品にしました。
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