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『鬼奇界開』 作者:瞬 / ファンタジー 未分類
全角3383文字
容量6766 bytes
原稿用紙約10.25枚
「はぁ、はぁ……この子だけは……」
薄暗い洞窟の中、とある女が赤ん坊を抱え命がけで走っている。汗をびっしょりとかいている強張った顔を見ると女がどれだけ必死に走っているかを想像することができる。
「あそこにいるぞ! 捕まえろ!」
鎧をきている男4、5人が女を追う。女は華奢な上、赤ん坊を抱えて走っている。一方で男たちは常に鍛えているのか、体型がガッチリとしており足が速い。
すぐに追いつかれてしまうのは一目瞭然である。しかし女は走り続けた、抱えている赤ん坊のために。赤ん坊は今の状況を当然理解出来ず、無邪気に眠っている。
「坊や、もう少しで逃げられるからね……」
女はこの赤ん坊の母親なのだろう。母親というものは子供のためならば自分の命がどうなろうとも、世間がなんて言おうとも関係ないと思うのであろう。その純粋な子供を守りたいという純粋な気持ちが世界を乱す原因になる事をこの女以外は誰もしらない。



その18年後



その赤ん坊は立派な青年になっていた。そこに女はいなかったが、鼻歌でも歌いながらのんきに古い台所で食事の準備をしていた。
「おい! 紅輝! ご飯の準備は出来たのか?」
「ま、まだぁ! ちょ、ちょっとまってぇ! もう少しで出来るから!」
青年は奥にある居間に向かって叫んだ。割烹着は180cmはあるであろう青年には似合わないはずなのだが、使い古されてるからなのかみごとにマッチしていた。見事な包丁さばきで長ネギを切っていき、そのネギをおいしそうなにおいのする豆腐入りの味噌汁に手際よくいれた。
「お父さん、出来たよ!」
青年はご飯と味噌汁、焼き魚をお盆に載せ居間へ持っていった。台所から居間までの廊下は丈夫とは言い難く、歩くたびミシミシといい下手すれば崩れてしまうのだが青年は要領よく軽やかに進んでいく。青年は居間に着いた。そこには丸いテーブルに座りながら、たくさんの資料を読んでいる男がいた。
「おまたせ。今日はね味噌汁のダシをあさりにしてみたんだよ。どぉかな?」
「わかった、ありがとう。そこに置いといてくれ」
男は脇目もみらず資料を読み続けている。
この青年の名前は鬼塚 紅輝(おにづか こうき)である。この家で料理などの家事全般を行っている。
それで居間にいた男は鬼塚 政輝(おにづか まさき)という。43歳の若さにして考古学の教授をしており、研究のためこの古臭い家を借りている。政輝の研究とは「鬼」である。おとぎ話でよく出てくる鬼だがさまざまな研究の結果、確かではないが鬼は実在していたようだ。そしてこの政輝たちが今住んでいる、この鬼が島に「鬼門」が存在するといわれている。それが事実かを調べるたけに政輝たちはこんな不便な場所に住んでいるのだ。
政輝は資料を隅に置き、食事を目の前に移動させる。
「いただきます。」
政輝は手を合わせ、箸をとり食べ始めた。
「あさりも悪くないな」
「でしょ? でしょ? トレーニング中にあさりのたくさんいる場所見つけてね、拾ってきたんだよ」
「まだトレーニング続けているのか? 別に必要なわけではないのに。」
「うん。何かね体動かしとかないと落ち着かないんだよね」
「お前はこんなに動かないと落ち着かないのか?」
政輝は笑いながら紅輝の今の壁に貼ってあるトレーニンングメニューをみていた。ランニングを20kmしたあと腹筋、腕立てなどの筋トレを満遍なく3時間かけてやり、その後10kgもある1、5m木刀の素振りを千回も行う。これを毎日しているのだから普通体が持たないのだが、これをもう6年続けており家事も立派にこなすので底無しの体力と根性だ。紅輝は別に剣道の全国大会を目指しているわけではない。ただなんとなくなのだ。目的が無いからこそ長く続けられるのかもしれない。
「でさ、お父さん話変わるけど、研究どこまですすんだの?」
「ん? そうだなぁ……一応鬼がいる事は確信したんだが証拠が無くてな。証拠さえあれば完璧なんだが」
「すごいじゃん!じゃあもうちょいで終わりそうなんだね」
「しかし、その証拠が問題なんだよなぁ。鬼さんがうちに来てくれれば一発なんだけどな」
「そんな事あったら僕たち死んじゃうよ」
二人でたわいのない話をしていると、政輝が資料をまとめ始めた。
「どこか行くの?」
「あ? うん。島の調査に行ってくる」
政輝は資料を古びたリュックに入れて立ち上がった。
「今日の夕方までには帰ってくるから。風呂とご飯の準備しといてくれよ」
「うん、分かったよ。今日は雨が降りそうだから出来る限り早めに帰ってきなよ」
「わかったよ。それじゃあ行ってくる」
膨らんだリュックを背負い、政輝は家を後にした。
「んじゃ僕も暇だし、家事終わらせたらトレーニングでもやろっかなぁ」
慣れた手つきで食器を片付けると割烹着を綺麗にたたんでジャージに着替えた。
「ひとまず20qくらい走っとこうかな。」
準備体操を念入りにし、紅輝は走り出した。
「ハッ……ハッ……ん? まさか……」
走り出して30分ぐらいたってからだろうか。紅輝の頭がひんやりしてきた。
「雨だ! 急いで帰らないと……」
鬼が島の土は特殊でとても柔らかい。なので作物はどこでも作ることができる。しかし雨が降ったらあまりにも柔らかいため地面が底無し沼のようになってしまい、非常に危険なのだ。もし鬼が島に何か大事なものを守るならば、雨とここの土の組み合わせは最強の防壁となるだろう。
紅輝は顔を真っ赤にしながら急いで家に戻った。
「ハァ……つ、疲れた」
全身に汗をびっしょりかいており、雨よりも汗でジャージはぬれているみたいだ。
「お……お父さんは?」
そのままの格好で部屋中をさがしたが政輝の姿は見当たらない。
「まだ帰ってきてないのかな……」
玄関から外を見るものの政輝の姿は一向に見当たらない。しかし雨は酷くなる一方だ。いつもは鳥の鳴き声などしか聞こえないのだが、今はもう雨だけ音しか聞こえない。
「んー。まだかなぁ……」
紅輝が顔をしかめて、廊下をうろちょろしていた。政輝はまだ帰ってきていない。紅輝の頭の中にはネガティブな事しか思い浮かばなかった。
「よしっ!」
紅輝は顔を上げ、何か決意をしたようだった。
「ちょっと怖いけどお父さんをむかえに行こう……」
空は薄暗く、耳の中には雨の音しか聞こえない。視界を邪魔する草むらの中を一歩一歩ゆっくり歩いていくがまるでだれかがひっぱるかのように地面は紅輝の動きを阻害していく。
「はぁ……はぁ」
雨はゆっくりと確実に紅輝の熱を奪い取っていき、そこ数歩あるいただけでも体力をかなり消費してしまう。常にトレーニングしており、運動をよくやっている紅輝でも底無し沼の道を進むのは非常に困難であった。
「と……とうさん……」
紅輝は老人のように前かがみになりゆっくりそして確実に進んでいく。ぼやけてはいるが調査場の目印である高く赤い岩を発見した。これでようやく調査場に着くことが出来た。政輝がここにいる可能性は高いが100%ではない。だがもしいなかったとしても何かてがかりがつかめるかもしれないという一心で紅輝は政輝をさがしはじめた。
意識が朦朧してきており、目の前の草木がまるで踊っているかのよう見える。泥は意思があるかのように紅輝の邪魔をしてくる。
「と……と、とうさん……」
周りを見渡すと少し先にくりぬかれたようにできた岩陰あった。雨宿りするには最適とは言い難いが、外にいるよりもましな場所だった。
「と……とうさん!」
紅輝は残されていない力を振り絞って声をあげたが雨音しか聞こえなかった。
「もしかしたら、倒れているのかも」
棒のような足をあげ紅輝は希望を持ちながら岩陰へゆっくりと歩いた。ようやく辿り着いたのだが、紅輝の希望は見事に裏切られた。
岩陰の下は雨で濡れておらず晴れの時とあまり変わらないが、人一人入るのがやっとであり、中は不快に感じるほどじめっとしており薄暗かった。
「あっ! 」
紅輝は地面が安定してることに安心してしまったのか足がくずれてしまった。
「た……たてない」
紅輝は必死に立とうとするが足が自分のものでないように言うことが聞かない。
「はやくしないと、父さんが……動けッ! 何で動かないんだ!」
足を思いっきり殴ってみるものも動くどころか痛みすら感じなかった。
2006/06/21(Wed)18:03:06 公開 /
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■作者からのメッセージ
小説書くのは初めてなので、暖かい目で見守ってください。
頑張って書きますので宜しくお願いします。
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