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『ブラッククエスチョン 1話』 作者:天かすラヴァー / 異世界 ファンタジー
全角1312.5文字
容量2625 bytes
原稿用紙約4.5枚
 何人もの人が城内を駆け回る。城の中心には大広間があり、一番奥に大きな肖像画がある。初代国王、ヴァネィロ1世である。
そのちょうど足元に位置するところに大きな玉座があり、ちょこんと小さな少女が凛とした表情で腰をかけている。
 時の女王、キョウコ・ゴールデント・ライアングルだ。



 細く長い黒髪を丁寧にみつ編みにしたキョウコはとても急いでいた。
寝坊をし、つまり学校に遅刻しそうなのである。朝食も満足に取らず、学校では禁じられている自転車を必死にこいでいた。目指すは駅。
 7時35分発の電車に乗らなければ、どう急いでも遅刻する。今、ちょうど30分になったところ。よし、駅が見えてきた。これから自転車を駐輪場に置き、カギをかけ、電車に乗るまで充分間に合う。
「っしゃ!」
ホームに到着したのは33分。軽くガッツポーズをする。
 あんなに急いだのだからきっと髪の毛はボッサボサになってるだろうと思ったキョウコはかばんから手鏡を取り出し、前髪をパラパラをゆすって直す。
 そして電車に乗り、学校へ行った。



  授業なんかも特に問題なく終わり、日直だったので放課後一人で残り、日誌などの雑務をこなしていた。
「日誌です」
「あ、藤原さん。コレ第2理科室に持ってってくんない?」
キョウコが日誌を提出したときに担任が言った。

ダンボールに入った理科用具だ。キョウコは特に用事もないので、その任務を授かった。ダンボールは思ったよりも軽く、小柄なキョウコでも軽々と運べた。中身はどうせろ紙とかそのへんだろうなどと思いながら運ぶ。
 学校の廊下は異常なほどにひんやりと冷たく、その静かな足音さえも高く広く響く。

本館1階の職員室から別館3階の理科室までは長い渡り廊下を渡らなければいけない。

 渡り廊下に出ると一瞬強い風が吹き、長いみつ編みが風に踊る。荷物が比較的軽いため、体が風で揺らぎ一瞬ふらついた。
「なんだよもう!静まれー!クソー!」
 叫んだ。叫んだ。3階の渡り廊下の上から叫んだので軽く反響する。その瞬間、風が止んだ。おぉ何かやったぞ、と急いで廊下を渡り、理科室に入った。

 

 言われたとおり理科室の黒板にすぐ下にダンボールを置き、軽く息をつく。

どこかからカタンコトンと音が聞こえる。部屋を見渡すとそれは理科室からではなく、どうやら隣の部屋でドアで繋がっている理科準備室からのようだ。

「ちゃんと締めとけよ…」

 ドアを開ける。やはり窓が開いて、カーテンが揺らいでいた。
窓を閉め、鍵をかける。窓の外はもう陽が傾きかけていた。



 いきなり背後から大きな風が吹いた。



「え…?」

恐る恐る振り返る。
鏡。 全身がすっぽりうつる大きな鏡が置いてある。それにうつる長い髪、小柄な体のキョウコ。さらにいうと色白の肌。
 ゆっくり鏡近づく。一歩一歩。右手を伸ばして、鏡にうつるもう一人の自分に触れる。
そのとき右手の指先が光出した。自分の手では無く、鏡の中の自分の手が。

「え?ちょ…っ!何これ!」

離そうとしても離れない。

 光が大きくなり、鏡の中の自分は…



赤い髪の背の高い女の人になっていた。



「お帰りなさいませ、女王様」
「へ…?」





続く

2006/01/23(Mon)09:46:28 公開 / 天かすラヴァー
■この作品の著作権は天かすラヴァーさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
こんにちわ。
いつもSSばかりで逃避してる天かすでございます。
今回は長い間溜め込んでいたネタを巻き散らかそうと試みてみました。
短くてすみません。

がんばって更新するぞ…ッ!






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