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『D』 作者:ドイ / 異世界 アクション
全角1662.5文字
容量3325 bytes
原稿用紙約5.65枚
いつからのことだろうか?
人間が主権を握っていたこの世界が…化け物共に脅かされるようになったのは…。
やつらは突然現われ、人間から微笑みと自由を奪った。
人々はその化け物「D」になすすべはなかったという。
…当時の人間にはの話だが。
Dには特殊な能力を使うために太刀打ちができなかったのだ。
しかし、Dが世に放たれた時、人間にもある異変が起きていた。
念力とか、魔法とか超能力と言われている特殊能力を得たのだ。
だが、それは幸といえるものなのかは…わからないという。

この世界は腐っていた。大量に排出される有機ガスは人間には毒なのだ。
しかし、Dはそんなことは100も承知の上でのこと…人間を殺すのが目的なのさ。
だから、朝でも黒く濁っている世界がある。
もちろん、そんなところには人間は存在しなくなった。
多くの人間は都に移ったり、地下におりる「アンダーグランダー」という人間も存在する。人間には希望があった…この世を照らす一筋の光「ハンター」という。

少年は浮かれていた。いつもそんな人たちの背中しかみたことのない少年が…ハンターになったのだ…浮かれるのもしかたのないことだった。
ちっこいのに強大な槍を腰に提げた金髪の少年…。
ただ、まだ見習いであって正式なハンターではない。
そのことを忘れている。。
少年の暮らす都は有機ガスに害されることなく自然を保っていた。
ハンターも多くが集まっており、Dの侵入は皆無に等しいことだ。
そんな環境で育った10歳の少年「アース」は自然とハンターに引かれていった。
子供から見ればハンターとはヒーローのようなものだからだろう。
だが、それだけでもない、少年の母親はハンター会でも高位の「天女」という称号を手にするハンター…あこがれの人物だったのだろう。
少年はその母の高貴な息子としてではなく、未来のハンターとしてハンター本部で厳しく育てられた。
本部といっても巨大な城であって少年の我が家である。
それも城下の民のレンガの家と違って大きいものだった。
少年は我が家の長い廊下を全速力でかけぬける。
履いていた不似合いな巨大な黒靴がぺたぺたと音をたてて。
そして長い廊下の正面の部屋にたどり着いた。
「お母様〜」少年は大声で母親を呼んだ。
すると、ドアがひとりでに開きだし、中へと吸い込まれたのだった。

気がつくとそこは部屋の中だった。
そこにはこちらを見つめる一人の美女の姿があった。
清純な顔つきと流れる黒髪が「天女」という名にふさわしい。
「母上、ついにぼくもハンターだよ」
アースは自慢げに母にネックレスを見せた。
母は澄んだ目でアースを見つめる。
「アース、今日からはあなたは一人のハンターです。ここからはあなたの人生ですよ…好きにいきなさい」
そんな母の目はまるで悲しんでいるようだ。
「母上?」幼いアースには母の考えはわからなかった。
自分は憧れのハンターになれた…母はほめてくれるはずなのに。

その後、一言も話すことはなかった…少年の心は少し揺れる。
しかし、「行ってまいります」とだけ部屋のドアの前でなきながら口にした。

「もう行くのかな?アース」
話しかけてきたのは包帯の不気味な男だった。
「いままでありがとうね、師匠」
男は少年を長い間みつめる。
「お前なかなか見ごたえのある弟子だった。」
とだけ言ってとりすぎていってしまった。
弟子の自分ですら不気味だと思ってしまったアース。
「ありがとうございました」

ハンターとは善意でDを狩る仕事ではあるが…それ以前に悪をつむ仕事なのだ。
もちろん人間に牙をむくこともある。
そんな仕事を紹介するのが「情報屋」なのだが…。
「なんにもないねえ〜」「はい?」任務とは過酷なもので…成り立てはあまり仕事がないのだ。「だいたい、お前みたいな小僧は信用ならねえんでな」とあっさり断られてしまった。アースは仕方なく街をでることだけはしておくことにする。
その道中、「じ〜〜〜〜〜」という視線を感じた。
木の陰からこちらをみつめていた同い年ほどの少女。
「なんだろうか?」



2006/01/25(Wed)16:38:44 公開 / ドイ
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