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『ディオスクロイと毎週木曜のドラマ』 作者:天かすラヴァー / 恋愛小説 ショート*2
全角977文字
容量1954 bytes
原稿用紙約3.05枚


 自販機で130円と割高な緑茶を買って、それをカイロ代わりに手の中に沈める。
気温も段々と下がり、口から吐く吐息は白濁色。時刻は毎週見てるドラマが終わったころで、空はとっぷり暗い。
 
 彼女の気まぐれか、すぐ来てくれというメールが入ったのは、そのドラマが終わる少し前で、駆けつけると星が綺麗だから一緒に見ようというものだった。
てっきり何か事件でもあったのかと急いで駆けつけた僕は、安心すると同時にそんなのんきな彼女がどこか憎めない気持ちでいっぱいになる。

 寒くなると星が本当に綺麗だね、と緑茶を少しずつすすりながら彼女は言った。
僕は思ったまま、そうだねと答える。
「寒くなると空気が透明になるから星がよくみえるんだよ」
と自慢げに言うので、あぁそうなんだと驚いてみたけどごめんね。実はもう知ってたよ。

 僕らが住んでいる町は、田舎とも都会ともいいにくいとても微妙なところだ。
どちらかといえば田舎かな。駅のほうにいけばどうでもないが、住宅街はまだ発展途上で都市開発が少しずつ進んでいる。
 無駄に広い公園のベンチに座り、空を見上げる。周りに大きな建物が本当にないので、見るまま全てが空で、星だ。
 

 突然彼女が、何で冬に花火をしないのかなと言い出した。
僕は少し考えて、まぁ寒いからねと言ったらあっさりと否定された。
「星が綺麗だから花火は必要ないの」
と、まったく彼女らしいことを言う。僕がそうだねと言うとそうかもねと返された。
「昔の人はあの星に物語をつけて、形をつくったんだよね」
いきなり星座の話をしだした。前から興味があったのか意外に詳しく、星座と簡単な由来を教えてくれた。
「ふたご座は神様の息子の双子でカストルとポルックス。弟のポルックスは神の一人で永遠の命があったけど、お兄さんのカストルは人間でいつか死ぬ運命だったの。弟は上位の神に頼み込んで自分の不死の力を兄に半分移したっていう話があるんだって」
「へーよっぽど仲のいい兄弟だったんだね」
もし自分が弟の立場だったら自分の命を僕に半分譲るというので、僕もそうするといったら嬉しそうにお茶を飲んでいた。
僕も飲んだけど、気温が低いせいかお茶は大分ぬるくなっていた。


 他の人からみたら本当にどうでもいいことだけど、僕にとっては毎週見ていたドラマの最終回よりも大事なこと。

 録画してるしね。

2005/12/08(Thu)13:03:20 公開 / 天かすラヴァー
■この作品の著作権は天かすラヴァーさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
クリスマス前にこういうのほほんとしたのを書きたかったので。
短すぎるかなと思ったのですが、これ以上ウダウダ長いよりいいと思ったのでそのままにしました。
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