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『チビ彼 第二 話 』 作者:むた / 恋愛小説 未分類
全角6251.5文字
容量12503 bytes
原稿用紙約19.15枚
小さい彼と書いて、略して?チビ彼。主人公の上田美鈴は、遊びにもお洒落にもテンで興味の無い十八歳の女子高生、高校最後の夏休みにもかかわらず今日も大好物のコロッケ月見蕎麦をすするのだが。
「ひゃはははははっ!!。」
むせ返る湿気と土の匂い、ぬるぬると足に絡みつく泥が気持ちイイ、
気持ちがイイので顔からダイブ!!バチャバチャとバタ足、息苦しくなって仰向けになる、
泥パックのような顔、へばり付く前髪、泥んこの手で顔の泥を拭う。
目を焼くくらいの青空と青白い太陽が心地イイ、
ぬっと私の視界に入り込む泥んこの体操服の少年、6−3組青山省吾、
「ふはははっやっぱりあんたといると面白いよ、」
私は叫びながら、省吾の体操服を引っ張り泥んこの田んぼの中に引きずり込んだ。

頭の上をけたたましく走り去る電車の音、音割れ気味のテレビからは甲子園球児のイガグリ頭が
映し出される。
私は曇っためがねを気にせず蕎麦をすする、230円のたぬき蕎麦と80円のコロッケと90円の卵により完成されたコロッケ月見蕎麦、私の大好物だ。

午後三時、昼時をとうに過ぎた高架下の立ち食い蕎麦屋の店内は、
暇そうに新聞紙を広げ、時たまかかってくる携帯電話を適当に無視する頭の剥げかかった営業のサラリ―マンのオヤジと,この私、高校三年生、花も恥らう十八歳だと言うのに髪も染めずピアスも開けず、遊びにも往かず、バイトもだるくて三日で辞めた、高校最後の夏休みを超不完全燃焼、省エネ運転でダラダラと過ごす、この上田美鈴様くらいしかいないってもんよ!てな感じである。で、その私の唯一の愉しみが、このちょっと味濃い目のコロッケ月見蕎麦って訳、
タバコのヤニと油で黄ばんだ招き猫がなかせる、高架下のしょっぱい雰囲気の立ち食い蕎麦屋で、このしょっぱい蕎麦をすするのである。

蕎麦を一通り食べ終わると、お汁の良く染みたコロッケを頬張る。
・・・・・・美味しい、
クシャッとした衣とお汁の絶妙なハ−モ二―に、それにそっと割って入るジャガイモがにくい演出である、私は満足げに鼻で息をする「ムフ〜。」
モグモグとゆっくり咀嚼しながらジャガイモの舌触りを愉しむ、
でも本当の楽しみはここからである、コロッケを頬張りながら飲むお汁と卵の黄身といったら・・・・・、
私はどんぶりに口を付けた。

「ゴホッゴホホホッウフェッ、」

口に手を当てることも無く、新聞紙をめくりながら盛大に、タンの絡まったセキをするリ―マンオヤジ、私は一瞬どんぶりから口を離した。

「ウッフウウンッウンッウッウンッ」
喉に絡んだタンを切る為か、気合の入ったセキ払いを連発するオヤジ、時々タンの絡む音が聞こえる・・・・。

「チッ」
私は軽く舌打ちをしてどんぶりを置いた、
とてもあんなセキ払いを聞いた後に、生卵の白身をすする気にはなれないからだ。


ジャ―ンジャ―ンチャッチャラチャチャチャラララランッ♪
けたたましい音のパチンコ屋、店の脇を通るだけでこもったタバコの匂いがする。
私は底の磨り減ったコンバ―スのスニ−カ―を擦らせながら歩く、
夏の青白い日差しが頭の上を焼く、窒息寸前のセミの鳴き声に揺ら揺らと陽炎の波が見えるバスのロ―タリ―、バスの後ろからも揺ら揺らと発せられる熱気に、見ているだけてジットリト汗を描いてしまう、ペットりとおでこに貼りつくうっとうしい前髪、蕎麦を食べてた時から気になってた、
下唇を上げておでこに息を吹きかけて後ろに反らす、以外に涼しくて気持ちイイ,
でもとにかくここは熱い、道行く人もバス待ちの人もハンカチや手をパタパタパタパタ、
私も脳みそ溶けそうなので涼しい場所に非難する、白い壁に大げさなほど大きいガラス、
最近は中を見せることがお洒落なのだろうか駅前開発で最近出来たばかりの本屋。
涼しい店内に本の匂い、そして本棚の上から浮かんで見える黒い頭の群れ、
珍しい物好きの人間や、暇を持て余す人間が、只単に涼みたい人間もいるのだろうが
(まあ私も含めてだけど。)
不思議なほど良く混んでいる、まるで指定席があるように並ぶ立ち読み客。
私もその中に入り、立ち読みスタイルをとり適当に雑誌などを抜き取る ,
今年の夏は大きめのフリルでキメッ!・・・・「パサッ」
つまらないので少年マガジンの列の上に置く。
節約&効果的!!米ぬか洗顔で美白の女王に、主婦の節約術、楽しく便利に減らしてへそくりでグワム旅行も夢じゃない!?
「パサッ」今度は少年サンデ―の列の上に、ついでにジャンプとサンデ―を手に取りペラペラめくる、
薄緑と青の誌面が懐かしい。
「コナン・・・まだやってんの、犬夜叉も話わかんなくなちゃったな・・・、ワンピ―スも微妙〜ブリ―チ?なんだかな〜。」
やたらに白抜きの人物やコマが多いと独り言を漫画に投げかける。
なんか最近漫画つまんなくなったな〜、内容は変わってない気がするけど、
小学生の頃はこれが毎週楽しみで、学校終わると一目散に本屋さんに駆け込んだような、
「時代は変わったな(謎)」
私はつまらないと感じる自分に少し疑問を持ちながらジャンプを置くと、軽く伸びとあくびをして店を出た、さっきまで涼しいところに居たためか、やたらとむわっとした熱気がズボンのジャ―ジやら、ティ―シャツの裾に這い上がってくる、ジワッと汗がシャツの中や首筋から吹き出る。

「あっれえええ〜美鈴じゃない、久しぶり〜。」
バスのロ―タリ―に響く必要以上に大きな声、いかにも偶然私は貴方に会いましたよ的なことを強調するようなワント―ン声質を上げたようなこの呼び声。
少し声質高めの聞き覚えの在る声、狭山彩、高校に入ってから出来た友達だ。
「ああ〜っ彩どしたの、おひさ〜。」
私も相手に声のト―ンを会わせる、少し手と身体のアクションをつけながら、
これがいつも友達と会った時の儀式、いかにも偶然在ったことに驚きながら
それでいて嬉しそうに、あんたがサイコ―の友達だよと言った感じで振舞わらなければならないのだから、ホントつかれる。
「ねえねえ美鈴最近どうしたの?メアド換えた?送っても返信ってこないしさ〜この前もカラオケ誘おうとしたのに留守電になってるし今度合コンも在るし新しいメアドとか知りたいんだけど〜、あっもしかして彼氏でも出来た?。」
最後にキャハハハと笑い付きで一方的に向こうから喋くり始めた、わたしは適当に話をかわそうとする。
「あっゴメン、私ドジだから、携帯トイレに落としちゃって登録全部消えちゃって新しいのにはしたんだけど・・・・・・。」
とりあえず声のト―ンを下げて話す、携帯替えたのはホントだけどトイレに落としたのは嘘、
ホントは用も無いのに来るメ−ルもワン切りもウザかったから、携帯壊れたことにすれば
無視したのもお咎めが無いかな?なんて思ったからだ。
「っ・・・えっああっ全然、気にしてないよ!じゃ〜機種変したんだ?
私もさ〜前にトイレに落としちゃって、チエからも聞いたでしょ?そうそう、それでさ〜もう用足しちゃった後だから大変〜キャハハハハ。」
私のト―ン下げ作戦が効いたのか、一歩下がり気味になる彩、
そうそう、空元気出しても私と話しても面白くないよ〜帰れ帰れ。
私は密かに念を送る。

「あっ、」
突然そんな短い叫びを上げると、
何を入れるのか判らないような小さいバックから、スヌ―ピ―やらお茶犬やらアフロ犬やら平井賢やらキティ―ちゃんやらがゴチャゴチャ付いたショッキングピンクのケバイ携帯を取出した。
パキャックリックリッカチカチカチカチッ・・・。
突然会話を中断させると鬼のような勢いで携帯を押し始めた、まるでチュンリ―の百列キックのような親指捌きである。
「ちょっと携帯貸して。」携帯の画面を覗きながら右手を差し出す「うっうん。」私は言われるがまま携帯を差し出す、パチッカチックリクリッカチカチッ、カチカチカチカチカチカチッ!
彩は両手に携帯を持つと同時に操作し始めた、顔は首振り扇風機のように左右に振れている、
ちょっと面白い、時々バスのクラクションや近くの音の出る信号機のヒヨコのようなピヨピヨ音が聞こえる、そして私は中国雑技団の一芸のような携帯捌きをポカンと馬鹿みたいに口を開けて眺めている、シュ―ルだ非常にシュ―ルだ、大して言葉の意味も知らないのにシュ―ルな空間だと思った。

「じゃっ、美鈴私の番号とメアド入れたからメ―ルして、夏はまだ長いよ!じゃねっ。」
彼女は、私の携帯に職人的な速さで自分のメアドを打ちこむと、風のように去っていった、
強いコロンの匂いと、余所行きの薄いアウタ―付きの服から観て、多分合コンだろうか?
まあイイやそんなこと、ここは熱くて構わんお家に帰ろっ。

  第二話

 ミ〜ンミ〜ンミンミ〜ン、タ〜ケヤ〜サオダケ〜。
錆びれた商店街から空を見上げる、青い空を長方形に切り取ったような夏空、
所々剥げかかった緑の歩道を歩く、何処からか聞こえる風鈴の音、周りには黄ばんだ漆喰の壁や剥き出しの張りや柱が良い雰囲気の日本家屋、それが所々点々と並ぶ、その隙間を埋めるようにとたん屋根の家やツタの絡まったアパ―ト、とっくの昔に閉店したのに、電球のチカチカする大層な看板だけが外に置かれ営業中のままのラ―メン屋。
来週の商店街の夏祭りに備えて皆、店先や電柱には紅白のピンポンの付いた花飾り、向かい合った家を繋いでのシャラシャラと銀や赤の短冊の飾りが風に舞っている。
緑地に赤のしましまのビニ―ル製所々破れ錆び汁で汚れたひさしの和菓子屋、みたらしのタレの良い匂いがする。
三角巾をかぶりちょこんとショ―ケ―スから顔を出す店番のお婆さんと目が合った、私の小さい頃からまるで顔も形も変わっていない、大きな牛乳便の底の様な眼鏡と時折唇が乾くのかパクッパクッと
下唇が上唇に入り込んだしわくちゃの口を甲羅干しする亀のように閉じたり開いたり。
通称カメ……では無く、安直だがあずきババアと言われている。
「今日は暑いね〜。」なんだか羊の鳴き声のような余韻の在る声「だね〜。」私は同じように返事する、でもたしか正月でも同じことを言われた気がする。
金物屋の店先でノコギリの目立てをするオヤジ、剥げかかった頭、襟足部分に僅かに残ったチリチリの白髪をコリコリ掻きながら「よお、みっちゃん毛ヶ生えたか?。」頭を傾け見上げながら私の顔を覗きこむ「頭に分けてあげようか?。」私はオヤジの頭に毛を植える仕草をする。
「バァ〜ロ〜おめぇ〜っがハハハハハ」十年以上前から同じ挨拶である、家のすぐ近くだと言うことも会って皆気さくに声をかけてくる、ガタガタと高架の上を忙しく走り去って行く電車、世話しなく夕刊を配るカブの音、いつもと変わらぬ、気持ちが落ち着く商店街の風景、でもちょっと変わって欲しいのは私の家。
私の家はこの助平な金物屋の三軒先の工務店、あずき色のシャッタ―とブリキの壁のしょっぱい造りのこの家は、強い風が吹くだけでギシギシと病人のように身体を震わせる、家を治したり立てたりするはずの工務店の家がこんなもんだから、医者のなんとかとは良く言ったものだ。
とか何とか言っているうちに家の前に到着、ガタガタと爆走するトラックの熱気と風圧でシャッタ―
がガタガタと揺れる、一応車庫兼玄関のシャッタ―に私はしゃがんで手をかけた。

「ヨオッ美鈴、彼氏できたか?。」
擦れた少年声に私は立ちあがり振り向く、白い体操服が眩しい彼はコンビニの袋を下げガリガリ君をかじりながら私のことを呼びとめた”6-3組青山省吾”胸に大きい名札、5を強引に足して6にしてある。
「よおチビィ〜、毛ヶ生えたか?。」
私は彼の日に焼けた茶色がかった短髪をがしっと抑えつけ撫で回した。
私と彼は、隣同士に住むご近所さんだ、彼の小さい時から私は良く遊んでやっている、
で、彼のあだ名は私が付けたチビである、今となっては別にそんなに背が小さいと言うわけでもないし、最近はギリギリ私の背がリ―ドしている程度でほとんど背丈は変わらないのだが、
小さい頃から、それこそホントにチビだった頃からの付き合いなので、私の彼のあだ名は今でも
チビである。

「るせぇ〜っ、脇剃るのも忘れんなよ嫌われるぞ、」「ていっ」「痛っ。」
彼に鼻先を指でピンと弾かれた、(結構痛いのよこれが)私は鼻を抑えしゃがみこむ
彼はこちらを見つめながら後ずさり、私は彼の目を睨みつける、すると彼は、にっと笑ったかと思うと走りだした、私には彼が来いよと言う合図のように見えた、私も後を追いかけるように走り出す。

狭い路地裏、再放送の水戸黄門の音に蚊取り線香の匂い、ガタガタとドブ板を踏み鳴らしながら時々ひょいと錆びたガ―ドレ―ルを飛び越える、
カ―ブミラ―に曲がって見える二人の走る姿、省吾の持ったコンビニ袋がバタバタとはためく、
ペタペタペタペタ、タッタッタッタッ響く足音、砂利砂を敷き詰めた駐車場を横切り、コケの生えたドブの端を走り人の家の庭を横切る、塀の上の猫と顔を見合わせる、小六の彼と仲良くランデブ―、小粋なデ−トスポットだ(笑)バタバタ走りまわっている間に、いつのまにか隣の地区の住宅街の中の公園、まあ公園といっても家と家の間にぽっかりと開いた分譲住宅一軒分のの空間に、ブランコと錆びだらけの滑らない滑り台の置かれた、私の胸の高さまで雑草に覆われた小さな公園、先に着いた省吾は中央で立ち止まり呆けたように空を見上げている。
……
「へへっ、捕まえたああ〜。」
私は後ろから彼に抱きつき、頬っぺたを引っ張りグニグニした、ちょっと運動して汗ばんだ暖かく柔らかな感触が心地いい。
……
頬っぺたを引っ張られているのに何故かノ―リアクションの省吾、私は手を離した「どしたの?。」
カサッ、一歩前進したあと回れ右をして私の顔を見つめる省吾、一瞬の静寂、ミンミンジワジワとセミの声と雑草に潜む小さな虫の音二人の息ずかいがBGMとして流れる。
省吾ってなんだか最近顔つきが少し変わったかも、私はいつも観なれた顔をもう一度まじまじと再確認した、丸さから少しあごのラインは何処と無くすらっとし、眼もまん丸でくりくりと言う感じより、
目じりの方はきりっと切れの良い感じ。
ふ〜んっ私は思った、結構この子は良いオトコになるかもね、ちょっとオバサンじみた言い方ですけど。

とそんな一人言を心の中で呟いている間、まだじっと私の顔を観つづける省吾、「なっ、なによ、私の顔になんか付いてる?。」言いかけたその時。
「とらああ〜いっ。」
いきなり省吾は私に抱きついてきた、まるで飼い主を待っていた子犬のように、むぎゅむぎゅと胸にもお腹にも、彼の顔があたる、顔の凹凸がくすぐったいが気持ち良い。
「ちっちょっとアンタ、なにやってんのよ、ほらっチビッ、チビ助やめなさいってっこらっきゃはははははっ。」
ついでに脇もコチョコチョしてきた、細い華奢な指が脇の間を行ったり来り。
「ひゃああああっ、やああっ、ほらっうひゃあああ」
「うりゃうりゃ」
「いやった、だめっそこおお」
「おりゃあ、奥しゃ〜ん奥しゃ〜ん」
「ひゃああああ、ホントッだめっやっ」
「ええが、ええんか?ここがええんか、んん?」
「ひゃはははってもう、いい加減にしなさい!!」
私は、思いっきり省吾を草の上に押し倒した、
「でっ。」
私も一緒に向かい合って倒れた、鼻と鼻が、つんと当たった。
二人の鼓動が感じるぐらいの超接近、なんだか恋愛ドラマでありありのシュチュエ―ションだ、
二人の目と目が合う、グビッとつばでも飲みこんだのか、省吾の喉がヒクヒクと動いている、
ミンミンとやたらセミの声が耳に張り付いた。













2005/10/21(Fri)17:39:06 公開 / むた
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■作者からのメッセージ
なんだかつたない上に、量も少ないですが書いてみました。
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