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『LIMIT @⇒B』 作者:海神 / 未分類 未分類
全角5744.5文字
容量11489 bytes
原稿用紙約20.7枚



@

刺激。
俺に足りないものといえばそれだろう。

何かスリルが味わいたい。

マイブームもそろそろ飽きたし、作ろうにも作れない。
過激なほどのグロテスクなビデオだって見飽きた。
何か俺を楽しませてくれるものがあるのならそれを俺に。

俺は適当にパソコンで見つけたサイトを閲覧していた。
面白いこと、何一つ書いてない。つまらないページだ。
すぐさま窓を閉じ、パソコンを閉じようとした。

忘れるところでした。よくぞ思い出してくれました俺の脳。
褒められる脳の気持ちを考えてみる。無様な脳なこと。くくっ。
履歴からお気に入りのサイトを引っ張り出した。

【精神崩壊】

謎のリンク名、これを見るたびに、俺は不気味だと笑う。
学校では名の知れた俺。いわゆる有名人って奴?
趣味は最初に述べたろうが、誰も変には思わない。
その理由にまずあげられるのは、俺だから。
俺が学年での人気者だから。それ以上でも以下でもない。

新しい書き込みはないかな?とじっくり目を通してみる。
俺は一瞬で手の動きが止まった。同時に心臓が大きく揺れ出した。
タイトル――…【刺激遊楽】
気になる…見てみるにこしたことはないな。
俺は興奮のし過ぎか、クリックを十回くらいした。

『高校三年生専用の刺激遊楽。
高校生活も残りわずか!だけど楽しいことがない…そんな人もいるでしょう?
そんな貴方に楽しい遊びを紹介します。
危険度は高いけど刺激たっぷりで凄くスリルを味わえるよ!
やってみる価値は十分あり!今すぐチャレンジしよう!!』

ここまで読んでみたが何だ?
全て俺に該当してるじゃねぇか。
鼓動ばくばく。俺は再度、手を動かす。


『こんな中途半端な時期に投稿しちゃったけど許してください。
でも高校生活残り三ヶ月を効率良く刺激的に楽しむ方法…
それは私の考えた遊び!その遊び方を紹介します!!』

「さっさとしろ」俺は思わず声に出してしまった。
こんなとろとろとした奴の投稿か…と思えば嫌になるが
今回は別だ。何だって構わない。俺の大好物だ。続きを。


『いま貴方は沢山の友達がいますか?いればいるほど楽しめます!
失敗すれば今までの友達との関係を絶つことになるかもしれないけど…
でも楽しさは保証する!私を信じて★
これは学校を主に行う遊びです!どこでも可能ですが学校がおすすめ。
貴方は今までの友達に何か悪戯をする。勿論、スケールが大きいの!
最初の方は、靴隠しやら些細なものでもいいけどね!
ゲームクリアの方法は、それを行った人を違う人に思わせること!
たとえば、ここに私と友人AさんとBさんがいます。
そのとき、友人AさんとBさんは喧嘩中でした。会話さえしません。
私は友人Aさんがトイレに入っている時に、上から水を流しました。
誰にも見付からないようにせっせと逃げたのです。
Aさんは誰がやったのか分からないけど、いじめにはあっていません。
今の状況から考えると、犯人はBさんと勝手に決め付ける可能性があります。
そうすれば更に二人の関係は悪くなります。仲直りなんて出来ません。
そうならなくても、私が犯人だとバレなければ問題なしです。
ただし、自分が犯人だと知られてしまえばゲームオーバーです。
ゲーム失敗とともに友達も失います。それで高校生活は終わります。
どうです??失敗すれば楽しくない高校生活が続きます。
成功すれば、今までにないスリルを味わえます!
高校最後。やってみる価値はあり!是非、楽しんでくださいねー!』

ほうほう…こんなものか。少し面白そうだな。
俺は実際に想像して考えてみたがいまいちパッとせず。
だけどやらないよりはマシだ。やるしかないだろう。
…あれ?まだ何か書いてあるぞ。

『追記。あとねーこれ読んじゃったら最後ですよ。
これは高校生活が終わるまでに実行してね!失敗でも成功でも可!
もし何も出来ないまま高校生活を終えると…貴方の身に何かが起こります!
信じる信じないはお任せします。が、これは実際にあったことです。
この話を無視して、無残にも殺された女性がいるらしいのです。
さぁ貴方は行うしかありません!高校三年生専用です!
制限時間、リミットは三ヶ月間!じっくり考えて楽しんでください♪』

なんだよこういう話しかよ。まぁ問題ないな。
基本的に俺はこういうのは信じない。多少恐かったりはするが。
だが、やってみよう。友情関係を失う?たいしたことねぇよ。
刺激がもらえるのなら、それだけでいい。変か俺?

早速、明日から実行か。今は何も思いつかないけど、楽しみだ。
俺はそう心の中で思って軽く微笑むと、今度こそはとパソコンを閉じた。






A


強い風。冷たい風。寒い風。俺の身体に吹き付ける。
こんな寒い冬の季節、学ランなんかじゃ耐えられるわけがない。
俺は寝坊はしてないのだが、行く途中ふらふらと寄り道をして
遅刻しちゃっている身なのだが、走る素振りも見せず歩く。
でもなぁ…寒いし、体温だけでも上げとくべきか…

寒さに我慢できず俺はせっせと走り始めた。
行く途中、やっぱり気になる広告に目をちらつかせながらも
ポケットにしまい込んでた携帯を取り出し、時間を確認して
まぁいつもの事だし…と気にせずに笑って体温上昇中。

そろそろ学校の門が見える辺りになった。
いつもなら校長か教頭が門で生徒を待っているので、
俺は必死に頭を回転させて遅刻した理由の言い訳を考えていたが、
門の前には誰もおらず、ただ冷たい風だけが吹いた。
今度は携帯じゃなく校舎の時計で時間を確認すると、それもそうだと確信。
もう2時間目が終わる頃になっていた。

俺は手馴れた感じで門を越えると、急いで校舎に入っていった。
その拍子にチャイムが鳴る。2時間目終了の合図だ。
これから10分間休憩。良いタイミングに来たな俺。
だが、遠くから数学の教師、武田がこっちを見ながら
「おい浅倉悠二!!遅刻だ!何時だと思っている」と怒鳴った。
めんどうだったので「名前間違ってますよ」とは言わず
頭をペコっと下げて、無視して階段に足を掛けた。

3年の教室は2階。俺はそこまで上がっていく途中には
階段で不良たちが屯していた。タバコを吸って円満そうな表情。
俺は有効に休憩時間を使おうと急いで廊下に出ようとしたが
「おぉーっ!悠二!また遅刻ぁ?」くそ、千田…
「今日はコンビニで今までにないイイ本を見つけたからねー」はぁ…
「出た出た!またエロ本かよ!」田村は黙ってろ。
「ハハッ。んじゃ宿題やってねぇんで」と、教室のほうへと歩いて行った。

エロ本なんて嘘に決まってんだろ。18歳以下の閲覧は禁止なんだぞ。
それに制服で来たら絶対にバレるしまず開かねぇんだよ。
あの不良さんは相手するのもめんどうだ。1分潰した。バカ田村。

教室に入ると、いつものメンバーが俺に駆け寄る。
まずはいつものバカメンバーの1人、塚本。
「よっ悠二!今日は数学と国語を潰したな」あー今日国語あったわけ?
「んーってか沢村さーん!英語の宿題見せてくれねぇ?」
「ハイよこれ。写したら返してね」返さないわけないじゃん。

俺は着席してすぐに英語の宿題を写そうとした、が
休憩時間が勿体無いと思い、授業中にしようと机をあとにした。

起立するとその直後、誰かが俺の背中に胸を寄せてきた。
むぎゅ。

「悠二ぃー今日は遅いじゃないの!昨日のこと忘れてない?」
誰かと思えば由美。小さな胸が俺の背中でムズムズする、こいつ。
「忘れてねーよ、メールの事だろ?まさか俺のことが好…」はは。
「いっ!何で言うの?!?!やめてよもー…」俺はその気ないんで。
「それより胸を押し付けるのやめてくれない?」最初に言えばよかった。
由美は、ニコッと笑って「ははゴメーン」って感じで去っていった。
まだ感触がある。あんな小さい胸に興味はないんだけどな。

「あー良いなー由美ちゃん可愛いなー」これまたバカメンバーの1人だ。
「可愛い?どこが?小さい胸が?」少しからかってみたり。
「顔も声も性格も体もだよ!」最後のはおかしいと思うが…
「木更津、でもお前彼女いるじゃん。綾ちゃん?」
そう言うと木更津は顔をむくっと膨らませて顔を赤らめた。
「綾の話は…しないでくれよ…」なに?別れたのか?

俺は気になってショボくれた木更津を指差して、塚本に聞いた。
「あー、綾ちゃんと木更津なんか最近気まずいらしいよ…」
「どうして?綾ちゃん浮気でもしてるの?」
てか、由美に比べると彩ちゃんは可愛いよな…って何だ俺。
「原因は木更津の女好きなトコ…加賀の調査によるとな」
「加賀?加賀くん?加賀くんが言うんなら間違いねぇな。はは。」愛想笑い。

まぁこのシーズンになると深刻な悩みも増えてくることだな…
ンまー俺もスリル感ある生活がしたいんだが…っあうあ!
忘れてた!昨日のこと。由美とのメールなんか覚える必要ないのに
こっち覚えとけばよかったよ!バカだな俺は。

精神崩壊―刺激遊楽

だが、簡単に実行できるわけがない。まずは作戦を練るんだ。
だからといってすぐに思いつくはずが無い。偏差値も低い俺だ。
んー…ダメだ。俺は何をやっても思いつかん。

そうやって頭を狂わせていたら
「悠二?今日も一緒に帰ってくれる?」といきなりのセクシーボイス。
真沙美だったか、驚いた。少し変な想像しちまってたよ。
「当たり前だろ?てか今日さぁ寄りたい店があるんだけど良い?」
「え?別に良いけど、悠二の寄りたい店ってどこ?」
「学校の近くのコンビニの裏にさ、新しい店建ったじゃん!そこ」
少し沈黙が流れた。
「悠二、その店ってエッチなとこ?」大正解ですね。
「行く?てか来てくれる?」まぁ冗談なんだが。
「んー別にいいよ、悠二と一緒なら」…まぁ冗談なんだが。

そんな感じで10分を過ごすとチャイムが鳴りまた授業が始まった。






B


「綾ちゃーん」と、教室を飛び出した木更津を塚本と加賀くんとで追いかけた。
遂に勇気を振り絞ったのか、いきなり元気になって立ち上がる木更津には、
クラス中の誰もが唖然とした。クラスの皆は俺たちに、
「あとで詳細聞かせて」と言わんばかりの表情で目線を寄せてきた。了解ー!

廊下をドスドス走って2組の綾ちゃんの元へと走っていく。…それも恐ろしい速度で。
閉まっていたドアを足で蹴り飛ばし、「いってぇ」と足を抑えて一瞬ひるみながらも
ドアをガラララと開けて、堂々と綾ちゃんを探し出した。
この状況にはさすがに黙ってみてる奴はおらず、笑いと文句が飛び交った。
綾ちゃんはいつもにましてクラスの男子にたかられるほどの人気だった。
何故木更津なんかと付き合っているのか、学校の9割が頭を悩ませているだろう。
ズカズカと他の男子を払い除け、綾ちゃんの手を引っ張る。
木更津は振り返りドアの方へとノシノシ走ってきた。俺らはすぐさまドアに隠れる。

「何なの?!離してよ!」「あぁ話す!話があるんだ!」バカかお前。皆がくすり。
「俺はお前が好きなんだ!他のどんな女だって興味ねぇよ!まじで!」
さっきまで由美を可愛いと連呼していた奴が何を、と俺はケラケラと小声で笑う。
というより大半が驚く以前に大爆笑していた。
木更津の顔は真っ赤で、いかにも真剣だった。笑うなよ。いや俺が言えねぇ。
勿論、真後ろで塚本は口に手をあて大爆笑。気持ちは分かる。
そして加賀くんはというと何らかのノートに必死に状況を書き留めていた。
まさかこいつの情報網はこの繊細な描写から全てを読み取っていたのか。
というか絵を書いている。しかも物凄く上手い。それに速い。
もし加賀くんが状態、様子、表情から推理をしているんだったら
こいつは天才以外に言いようがないぞ、と感心した。

そんなことより返事が気になる。誰もがそう思っている、はずだ。

「こんな所でそんなこと言わないでよ!あ、あきら…もう…」
さぁ誰もが答えを求めるトコロ、どうする綾ちゃん。黙り込む皆の視線は綾ちゃんへ。
焦る綾ちゃん、慌てる木更津、求める観衆。そして生まれるプレッシャー。
言えるわけないな、と、そう思った瞬間だった。

「あたしだって彰を好きだよ…」い、言っちゃった。
教室は拍手と大声援が響く。あまりにも唐突過ぎる。
だけど、こういう変なのも良いんじゃないかな?と俺は笑いながら自分のクラスに戻る。
それに気付いた塚本も「傑作だな悠二」と笑って教室に戻り、みんなに報告。
口の上手い塚本の説明で、みんなもシミジミ感動。だがやはりその場にいないからか、
誰も笑う者は由美くらいしかいなかった。由美…あとで木更津を茶化す気だな。

下校時間になった。今日はいろいろとありましたね。だがスリルは無い。
そうだ。俺、真沙美と帰るんだった。教室にはもういないな。
俺は階段をせっせと降りていた。そして下駄箱の前で
「悠二?ホントにエッチな店に行くの?」あ、真沙美いたの。
「あんなの冗談に決まってるじゃんエロ娘」周りには誰もいなかった。
「悠二が言い出したのに…」とりあえず俺たちは足を揃え帰り始めた。
俺は鼻をクィッとさせてニヤって笑う。自分の長い髪を靡かせて。
門を出て、俺の帰り道とは正反対の道に行く。

「悠二どっか店に寄ってかない?」思えばこいついつも俺の名前を呼ぶ。
「何の店ですか」もし「どこでもいい」と返事がいたら俺はこいつをホテルに連れて行く。

「んー…どこでもいいよ?悠二の行きたい場所」…この女。
「ホテル、よし行こう」俺はくすっと笑って真沙美の手を引っ張る。
「えぇっ!そんな時間ないよぉ」やる気あったんだね。
この道はいつも誰もいないため静かで好きだ。今までの話題はリセットして、
話の展開は意味の分からん話になった。北朝鮮がどうちゃら…

リセット。

何時の間にか真沙美の家についた。真沙美は「ありがとね」と微笑んだ。
そして手を振って別れを告げる。いやぁー可愛いな。
別に俺たちは付き合っているわけではない。そうではないんだが。なにか…
この関係をゲームで使う。面白い、確かに面白いが俺のプライドが許さない。
やっぱり、あんなゲームする必要ないのでないか。そう考え直してみた。
俺には必要ないのか。だが答えは出なかった。






2005/08/23(Tue)01:22:42 公開 / 海神
■この作品の著作権は海神さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
少し恐怖を織り交ぜた学園痛快コメディ。
現実からの逃避。人間味の消滅。そして友情を失うこと。それが起こり得る状況。
スリルを味わいたい人、ファンタジー系が苦手って人にも読んでもらいたい小説です。

B…少し時間が無かったので短めです。
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