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『AlicE』 作者:紅月 薄紅 / ショート*2
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原稿用紙約枚
「お姉さま。お話しを読んで?」
「昨日の続きね? アリス」

-AlicE-


 あたしの2つ違いの妹は、今度の誕生日で16になる。
 もう子供扱いされることを拒む、大人へと近づく年頃だ。
 そんな歳の妹に、あたしは毎日絵本を読んでいる。
 あるときは一冊だけ。
 あるときは半日も。
 もう何年も前からずっと読みつづけていた。
 今日もまた、いつものように庭の大きな木の下で並んで座り絵本を読んであげる。
「―――そしてウサギの兄弟は幸せに暮らしました。はい、終り」
 ぱたりと本を閉じると、妹は楽しそうに話し出した。
「よかった。ウサギさん達幸せになったのね」
 よかったよかった。
 何度もそう繰り返し、ニコニコと笑っている。
 

 アリスは幼い頃に自分のなかの時を止めてしまった。
 体が成長しても、心の中はいつまでも小さな頃のまま成長することがない。
 両親もあたしも、お医者さんに連れていったり、必死に原因を探したりした。
 でもなにも見つからなかったし、お医者さんに見せても治ることはなかった。
 

「あ・ちょうちょ」
 見て見てと指を指し、左手であたしの袖を引っ張る。
 本当ね。
 あたしは半分適当に答えて、無邪気に騒ぐ妹の横顔を見た。
 本当なら今、2人で好きな人や将来のことについてはなしているはずなのに―――。
 そんな姉妹での少し大人な会話はもうできないのか。
 ちらっと横目でアリスを見ると、いつの間に寝たのか、小さな寝息を立てていた。
「アリス……」
 太陽の光で輝く金色の綺麗な髪を手でなでる。
 同性で、しかも姉であるあたしから見ても可愛いと思えるほど、整った顔立ち。
 あたしとは姉妹なのに全然違う。
「アリス……あたしはときどき、あなたを疎ましく思えるのよ」
 あたしは小さく呟くと、絵本の表紙を開いた。
「ウサギの兄弟か……あたしもあなたみたいに、おとぎの国へ逃げてしまえたら良いのに」
 そうしたらどんなに楽なのだろう―――。
 絵本の中、楽しそうに微笑むウサギのお兄ちゃんの顔を、指でなでた。
「お姉さま……?」
「アリス……起きたの?」
 目をゴシゴシ擦りながら、アリスはあたしの腕にくっついてきた。
「お姉さま……夢を見たの」
「どんな夢?」
 そう聞くと、アリスは思い出すのも恐い、という顔をして話し出す。
「時計を持ったウサギさんが出てきたの……あたし追いかけて、それで―……」
 アリスは長い夢を語った。
 夢の中でも、アリスはおとぎの国にいる。
「それでね。あたしトランプの王女さまに殺されそうだったの……」
「そう……恐かったわね」
 話し終えたアリスの頭をなで、あたしは絵本の表紙をゆっくり閉じた。
「さぁ、そろそろ家に戻りましょう。おやつの時間だわ」
「おやつ!?」
 やったぁ、と大きな声を出しながら、アリスは背伸びをして立ちあがった。
「ご本、明日も読んでね? お姉さま」
「えぇ」
 頷いてあたしは、お尻についた土をパンパンとはらった。
 アリスは先に家の中へと入って行く。
 その後ろ姿は、16歳の女のこの物で。
 でもあの子の心は幼いまま、おとぎ話の中。
 明日も明後日も、きっと。
 アリスはおとぎの国で夢を見る。
 あたしの絵本を読む声は途切れない。
 だから、おとぎ話は続いていく。
 ―――でもそれはまた別のお話。


            end
2005/06/14(Tue)22:41:47 公開 / 紅月 薄紅
■この作品の著作権は紅月 薄紅さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
こんばんわ。薄紅でふ。
今回はSSを書かせて頂きました。
これはある時、「あ・アリスの話し書いてみたいなぁ」と思い書いたお話です。だいぶ短く少し痛い話しで、そのくせ上手くまとまっていないでしょうが……読んでやってくださると嬉しいです。でわでわ。
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