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『異界人(いかいじん)』 作者:ずっぽぱ / 未分類 未分類
全角5498文字
容量10996 bytes
原稿用紙約16.15枚
 二〇〇五年、トウキョウ。この町の風は、いつも冷たく感じられる。山本静香はそう思っている。なぜなら、いつも退屈しているからだ。
 静香は、幸せであるはずの「当たり前」に飽きていた。少し御高い学校に通いはすれど、同じ程度の集まりであり、静香の気を引くようなモノは無かった。いわゆる、お嬢様である静香にとって、少し我儘に育ってしまった静香にとって、この町には、何も無いのと変わらなくなっていた。新しいものに感動しても、慣れてしまえば何のことは無い。最初からあったかのように感じてしまう。
「もし……そこのお嬢さん……」
 「お嬢さん」という単語に反応して、つい振り返ってしまった。振り返ったその先にいるモノを目にして、静香は少し後悔した。
 そこに立っていたのは全身、黒いローブを着ているモノだった。声を発した事から、人間であると分かるが、顔がしっかり隠れており、手足も先がちょこっと見えているだけだ。男か女か、一見しても分からなかった。
「なにか御用?」
 静香は、あくまでも平静を装った。自分はこの真っ黒な奴よりも高い所にいるんだ。という少し見下すような姿勢を崩したくは無かった。
「大変退屈しておられるようなので……どうぞこちらへ……」
「――?」
 ローブの人は、足音たてず歩いていく。それが思いのほか速かったので、静香は置いて行かれそうになった。なにくそ、負けるか。というような無意味な闘争心が、静香に生まれた。
 ローブの人は角を曲がった。その先は暗く、どこまで続いているのかよく分からなかった。その狭い路地を見つめていた静香は、その不変の闇に吸い込まれるかの如く、歩を進めた。
「こちらでございます――」
 いきなり声がしたので驚いた。「ひっ」という声と言えるのか分からないかすれた音が口から出た。さらに、驚きを増させたのは、その声が後ろから聞こえた所為だ。人一人やっとの広さである。すれ違う事が出来るはずが無い。では、ローブの人はこの路地に入っていなかったのか。否、そんな事はない。確かに、この目で、このローブの人がここに入るのを見た。――では何故?
 一瞬にして様々な憶測が頭の中を飛び交った。しかし、納得の行く答えは出ず、とりあえず振り返る事にした。
「――!!――?」
 そこには、一枚の扉があった。(――そんな馬鹿な!)と、静香は心の中で叫んだ。今しがた通ったその道に、扉なんて無かった。あれば気付いている。気付かなかったということは、無かった。ということである。
「この扉の向こうには……きっと、あなた様を満足させられるモノがあります……どうぞ……」
 その言葉と共に、扉が開いた。扉の先には、何のことは無い、路地の入口がしっかりと見えていた。
(――なーんだ……冷やかしかぁ……ちょっとビックリしたけど、なんか溜息でちゃうなぁ……)
 期待半分、恐怖半分だった静香は、いきなりの種明かしに驚きはしたものの、つまらない結果に溜息をついた。きっと、ワイヤーかなんかで色々やってたんだ。と、静香はそういう結論を出した。もはや、トリックを思案する意欲も湧かなかった。
 何はともあれ、帰る為にはこの扉をくぐらなければならない。静香は騙されたような気分になり、溜息と共にその扉をくぐった。

――――――――――――――

 先に地面に着いた右足が、砂を踏んだ。静香は溜息と共に閉じていた目を開けた。そして、周りを見渡した。
 そこに広がるのは広大な砂漠。遥か遠くに、建物らしき黒い影が見えた。「黒い影」という言葉を頭に思い浮かべ、ローブの人を思い出した静香は振り返った。いつの間にか、体全部が扉をくぐっていた。振り返った先に先程の扉は無く、これで三六〇度、砂漠が広がっている事が分かった。
 そして、もう二つ分かった事がある。一つは、自分が来た事の無い場所、知らない場所に居る事。そしてもう一つは、今、自分が危機的状況にあるという事。
 目の前には、見たことも無い化け物が立っている。よだれを垂らしながら、その大きな目でこちらを見ている。
(喰われる……)と、静香は反射の如くそう感じた。
「オオオオッ!! うまそうなニンゲンッ……喰うっ!」
 化け物は雄叫びをあげ、口をこれでもかと言うほど大きく開けた。
「きゃあああああ!!」
 恐怖する人間は、声を失うか、叫ぶかである。静香は、自分が後者なんだと認識し、心の隅で「さよなら」と言った。
「はいそこまでぇ!!」
 声と共に、二つのものがぶつかる音がした。その直後、ズウンという大きな音がした。恐る恐る目を開けると、先程の怪物が倒れており、傍らには一人の男が立っていた。

「え……?」
 静香には、何が起こったのか理解出来なかった。先程の大きな化け物が、同い年ぐらいの男の足元に倒れている。
「大丈夫か? 怪我は無い?」
「あ……はい……一応」
「一応? ……まあ、いいや。立てるか?」
 言われたので立ち上がろうとするが、腰が抜けて体が動かない。膝が笑っている。足が震えている。
 そういう静香の様子を見て、男は静香に歩み寄り、しゃがんだ。
 その時、その男が思ったより若く。せいぜい20位だと気付いた。黒のショートで、その黒い瞳にはどこか寂しげな印象がある。着ている黒い服は、ローブの人を連想させたので嫌だった。
「しゃーない。抱えてくぞ」
「え……」
 静香は間抜けな声を出しえしまった。と自分で思ったが、しかたなかった。たった今出会ったばかりの少年に、いわゆる「お姫様抱っこ」をされているのだ。
「ちょっ……降ろして! 恥ずかしいわ!!」
「歩けねえんだろ。静かにしてろ」
 静香を抱えた少年は身も軽くとんとんと走っていく。人一人抱えているとは思えない速さ。私を降ろしたらどれだけ速いのだろう。と、静香は思った。
「あ、やべっ」
「は?」
 少年がいきなり止まった。砂埃が舞い上がり、静香は咳き込んだ。少年も、砂埃と静香の長い茶髪が鼻にかかってくしゃみをした。
「どうしたの?」
 静香は、少年に急に止まった理由を訊いた。少年は黙って前を見ている。
「…………」
 少年の視線の先にあるものを見て、正直静香は絶望した。先程の化け物と同じようなヤツが数十体、行く手を阻んでいる。
「ちょっと……降ろすよ」
 そう言って少年は静香を降ろした。静香は何とか歩けたので、少し離れて、またペタンと座ってしまった。
 (大丈夫……なの?)と、心の中で少年に訊いた。さっきは一撃でのしてはいたが、今度もそう上手くいくか分からない上に、数が多い。静香は、駄目かな?と思い始めていた。
 しかし、その静香の不安も、いざ戦いが始まると一掃された。強い。これが静香の第一印象である。大きな化け物が次々に倒れていく。少年の顔には余裕すら窺える。良かった。静香は安心しきって、緊張を少し解いた。大きく溜息をつく。胸に手を当てて、目を瞑って。
 その瞬間、背後に気配を感じて振り返った。化け物がいる。今度は声が出なかった。
「っ……!!」
 少年がちらりとこちらを向いた。静香の危機に気付いた。こちらに走ってくる。速かった。すぐに静香と化け物の間に入り、殴り飛ばした。少年が右手につけている篭手が、太陽の光を受けて光った。静香はそれが眩しくて、目を瞑った。
「だっ……」
 静香ははっとして目を開けた。少年が自分の後ろに倒れている。頭から血が出ている。
「いや……死なないで……」
 咄嗟に「死ぬ」と言ってしまい体が強張る。そして、その言葉は少年を心配する気持ちより、自分の身を護るモノが無くなってしまわないかを心配する気持ちの方が大きかった。
「ち……まずった……」
 少年はよろめきながらも立ち上がる。血がポタポタと砂に落ち、赤い痕を作っていく。
 化け物が腕を振り上げた。少年は右手を構えるも、その姿はたまらなく頼りなかった。

――――――――――――――

 閃光が走った。その線は化け物の体を二つに分け、さらに四つに分けた。
「全く……アンタはここってとこでしくじるのね、ホントに」
 崩れた化け物の後ろから現れたのは、少年と同じ位の歳の女の子。腰辺りまである長い黒髪は、しっかり先が揃えてある。この少女も、少年と同じように黒い服を着て、右手に刀身の黒い刀を持ている。血が滴っている。
「そうだぜ。海……お前が死んだら困るんだからな」
 反対側からも声がした。今度は男で、やはり同じ位だろうが、その長髪が白かったので少し大人っぽく見えた。同様の黒い服に白髪は余計に目立った。左手には大きな刀が握られている。どうやらこの白髪の少年が、前方にいた残りの化け物を全滅させたらしい。たくさんの化け物が横たわっており、一体として立っているものはいなかった。
 静香は、いよいよこの世界のとんでもなさに気付いてきた。

「んー……片付いたし、ぱっぱと帰っか」
 海と呼ばれた少年は、先程の怪我を気にする事無くそう言った。静香が「手当てをしなくて大丈夫なんですか?」と、半分、泣いた目で言った。目じりに水が溜まっている。
「ダーイジョブ。こんなん日常茶飯事よ――そうそう、自己紹介せんとね。おれ、裏羽海。十八!よろしく」
 「うらは・かい」という少年は、血の流れている左のこめかみを無造作にぐしゃぐしゃと上下左右に擦っている。やはりちょっとは気になるらしい。さっきからやたらいじっている。
「あ、そんで、こっちの白髪のが浅間理人。んで、こっちのこのお姉さんは黒峰燕。十八と十七!――君は?」
 なんで歳まで言うんだろうと不思議に思ったが、まあいい。ここはどこだか分からないが、名前と肌の色からして日本人だと分かって、静香の不安も少しは解かれた。今まで張り詰めていただけに、ふっと体の力が抜けてしりもちをついてしまった。そして、溜めていた涙も流れ出してしまった。一度流れ出すとなかなか止まらない。静香は涙と共に流れてくる鼻水を啜りながら自分の名前を言った。
「――山……本……静香……です――十五です」
 一応歳も言った。教えてもらったので、なにやら教えなければいけないような気がしたのだ。
「――……山本!?」
 一瞬の無音の後に、三人同時に聞き返してきた。何をそんなに驚くのか分からない静香は、ひそひそと会談している三人を、無言で見詰めるのみである。
 ふと、海が振り返り、言った。
「えっと、字、書いてみて」
 と、砂を指差して言った。山本と言ったら山本しかないと思っていた静香は、ちょっとムッとした。山本以外にやまもとがあろうか。と再び思った。
「嫌です。指が汚れちゃいます」
 半分本音。半分嫌味でそう答えた。すると燕という少女が歩み寄り、物凄い目つきで睨んでいる。殺されるかと思ったほどだ。眉がつりあがったりはしていないが、真っ直ぐにこちらを見る黒い瞳には、吸い込まれるような、はたまた傷つけられそうな、何ともいえない凄みがあった。
 静香はしぶしぶ指を砂につけた。この人には逆らっちゃ駄目だ。と心に決めた。
 静香が砂に「山本」と記し終えると、また三人は少し離れて会談を始めてしまった。「まさかあの人の?」「いや、聞いた事ないよ」と、断片的に言葉が拾えるが、話の筋は分からなかった。そもそも、言葉が通じる事自体奇跡なのだと、静香は今更気付いた。
 しばらく――といってもほんの一分程度だが――すると、三人は戻ってきて、静香にこう言った。
「とりあえず、君をおれ達の家に連れてく。詳しい話はそれからだ」
 そう言って、また静香を抱える。
「ちょっと!もう自分で歩けますから、降ろして下さい!」
 年上と分かって丁寧語を使う。しかし、そんな静香の言葉に耳を貸さずに海は言った。
「君の足じゃ、おれらにはついて来れないよ。どう頑張ってもね。時間が惜しいから飛ばしてくよ」
「その子抱えたままで大丈夫?置いてかれない?」
 理人が言った。自分達と併走できるか、という意味なのだが、静香には「その子置いていってはいけないのか?」と言う風に感じられ、疎外感を覚えた。
「落っこちないようにしっかり捕まってなさいよ」
 横から燕がアドバイスをくれた。いくらなんでも、落ちるはずが無い。静香がそう思っていられたのも、燕がその言葉をかけてくれたところまでだった。燕の言葉と並行して、海が「行くよ」と言っていたのを静香は聞いていなかった。そのため、突然背景が動き出した時は、文字通り心臓が飛び出るか。と言うぐらい驚いた。
 目の前の景色が、一瞬後には既に何メートルも彼方にあった。静香はまるで電車に乗っているような感じだった。外の景色が凄い速さで送られていく。同系の色が帯になって見える。爽快だった。自身が動く事によって生まれる風が、自慢の長髪をなびかせる。海と言葉を交わす余裕は無いが、この感じは、CMで見た、恋人同士がバイクに乗って道路を走っていく、あの感じに似ているのだろうと密かに考えて笑った。

 数分も経たない内に、その爽快感は失われた。単に海が止まっただけなのだが。海が静香を降ろして言った。
「ここがおれ達の家さ」
 言われて静香は前方にある白い建物を見上げた。どこまで行くのか、屋根はなかなか見えてこない。やっと屋根らしき部分を静香が目で捉えた時、静香の顔は限界まで頭をあげていた。静香は首が痛くなって頭を元に戻す。裕福な自分の家よりも遥かに大きい。こんな家に住んでるの?と、やはり油断できない。とばかりに後ろで雑談をしている三人を静香は緊張の眼差しで見つめた。
2005/04/01(Fri)23:27:59 公開 / ずっぽぱ
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■作者からのメッセージ
半分位思いつきで書いてしまいました。続ける事が出来るか心配です。ある程度話は考えていますが、どうなる事やら……(おいおい)
誤字・脱字・言葉の使い方の間違いなど、また、作品向上のためのご指摘等がありましたらなるたけ易しい言葉でお願いします。
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