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『一番悲しい死に方…』 作者:今井詩鹿 / 未分類 未分類
全角1500文字
容量3000 bytes
原稿用紙約6.85枚
死ぬことは簡単にできる…

でも、生きることは難しい…

死にたくないのに死んでしまうから…

それが、たった一人の人間に生死を動かされ死ぬのなら…

一番悲しい死に方じゃないのだろうか…

案外…身近にそんなことが起こっていると思う。









「荒川!!この問題を解いてみろ!!」

最近、俺の学校に新しい小川先生が来た。小川は中学生の俺らにわざと大学受験の問題を出して、狙った生徒に問題を答えさせ、答えられなかったら放課後に体育倉庫に呼ばれて帰る頃には体のいたるところにアザや傷ができている…
まあ、率直に言うと教師と言う立場を使って生徒を虐待してるって事…

「今日の授業はこれでおわりだ!!…荒川大樹!!放課後、体育倉庫にこい!!」
「…・ハイ」

小川が立ち去った後、俺は大樹のところへ向かう
「あんな奴の言いなりになるな!!放課後行くなよ!!」
「でも「でもっじゃない!!」

「……・う」
俺の目の前にいる荒川大樹(あらかわ だいき)は小川に狙われている。
昔っから女みたいによわよわしい奴だけど、俺の親友でもある。

「荒川に変なことを言わないでくれるかい、飯高君?」

このタイミングの悪さ…
後ろを振り向くと…
「小川…先生…」
「飯高秀(いいだか しゅう)、荒川が困っているだろう?なぁ荒川」

「……ハイ」

大樹の顔は、迷惑している顔じゃなくて…

恐怖におびえる顔だった…

昔はそんな顔なんてしたことなかった。小川が来てから…

大樹は笑顔なんて見せたことがなかった…












放課後、家について一時間後くらいに大樹の母親から電話があった…
大樹はアザや傷を作りボロボロになって帰ってきたという…
大樹は転んだだけといって部屋に閉じこもっている。
俺は一瞬全てを話そうとしたが、大樹本人が言わないのなら俺も黙っておくことにした…








深夜12時
turururururururur

携帯が鳴る…ディスプレイを見ると“着信 大樹”

「もしもし…?」
「秀…どうしよう…僕・・もうやだよ」

今まで一人で考えていたのだろう…
「…大樹?」
「…僕…僕、死にたいよ…」

一瞬、頭が真っ白になった…死にたいなんて、今まで冗談でも言ったことのない大樹が…ただ一言…

死にたい…・と

「じゃあ…死ねよ…・それで、お前が楽になるのなら」
「…・・」

何が言いたいんだ…?俺は?

「死にたいなら、死ねばいい…でも、俺たちまだ中学生だぜ?色々やりたいことあるし…大樹もあるだろ?」

自分の言ってることがわからない…思考回路がめちゃくちゃだ!!
ただわかっていることは…・
大樹に死んで欲しくない…
生きて欲しいと思っていたことだった…

「お前が…死を望むなら何も言わない…でも生きてがんばれるなら…」


しばし続く沈黙…


「…がんばる…」

遠くのほうで大樹の声がした…

「…がんばれ…」

「…うん…」

「がんばれ…大樹」

(俺もお前とがんばるから…)





がんばると…・

死のうとしてた大樹が言った…

生きると…

だから俺もお前とがんばると誓ったのに…

「大樹ーーーーっ!!!!」

死んだ…

大樹が死んだ…

あの日からお前は生きる希望を見つけ次の日俺に笑顔を見せてくれた…
「ありがとう」と言って…・

これから生きようと…

がんばると言ったのに…

原因は前に小川に受けた暴力…
心臓に大きな刺激を与えられたらしく…今になって心臓が苦しくなり
呼吸ができなくなって…

たった一人の大人に…

今からという子供の生死を動かされた…

死ぬことは簡単だ…

でも、生きることは難しい…

生きる希望を持った鳥は汚れた人間に羽を折られてしまった…






END














2005/02/01(Tue)18:27:01 公開 / 今井詩鹿
■この作品の著作権は今井詩鹿さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
お題がなくて迷ってたら金八先生見て「死」をテーマに考えてみたら何か悲しくなっちゃった…。
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