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『音沢保育園 第一話』 作者:FRD / 未分類 未分類
全角3950文字
容量7900 bytes
原稿用紙約14.05枚



「・・・正直、あの夏にしたことは今でも後悔していない。」

                  音沢保育園 職員A








音沢保育園 第一話   「母親」



「ただいまぁ〜!」
ぴしゃん、と玄関のドアが開く音よりも大きな声が聞こえた。
「おかえりなさい。今日のおやつはホットケーキよ。」
満面の笑みで私の前に現れたわが子、平石明日香はそのことを聞くなりテーブルの上に目を走らせた。
「わ〜い! ホットケーキだぁ!」
ホットケーキに伸びる明日香の手をぴしゃり、と軽くはたいた。
「こら! 手を洗ってうがいしてから食べなさい。また泥んこになるまで遊んできたんでしょ。」
明日香の手や服にはめいっぱい遊びまわった証拠に泥がついていた。
「だって楽しいんだもん! 今日はね、先生とお友達と一緒に泥団子作ったんだよ!」
明日香はニコニコ笑いながら手で泥団子の形を作った。
「わかったわかった、お母さんの負け。だから早く手を洗ってらっしゃい」
「は〜い!」
元気よく手を挙げてそういうと、明日香は洗面所へと走っていった。
私はやれやれ、と思いながらも娘の元気な姿を見てホッとしていた。
夫は有名な大手業者に勤めており、帰ってくるのは1週間に2回ほどでありおまけに飲み会だゴルフだなんだで帰ってくるのはいつも深夜であった。当然、明日香は眠っている時間である上、次の日も早朝に出かけてしまう。
その反動からか、私と夫は冷え切った関係になっていた。そのストレスが娘である明日香に向かったのはいつからだろうか・・・。このままではいけないと思い、近所の小さな保育園、「音沢保育園」に明日香を預けることにしたのだ。実際、その判断は間違っていなかった。以前より性格も明るくなり、毎日泥だらけになるまで遊んで帰って来る。母親としてこれ以上望むものは無いほどに保育園は素晴らしかった。ただ、規模が小さいためか、職員は2人しかおらず、どちらも男の人であった。しかし、性別なんて関係ないほどその人達の人柄は素晴らしいものであった。園児数も16人ほどだが、明日香にも友達ができて、文句のつけようが無いほど充実していた。
「洗ってきたよ〜! もう食べてもいい?」
 手を洗った明日香が早走りで戻ってきた。
「はいはい。じゃあ食べていいわよ」
明日香は「いただきます」と手を合わせて言うやいなやホットケーキにかぶりついた。おいしそうにホットケーキを食べる娘の姿を見るのが私の至福の時であった。
「あのね、24日に保育園でお泊まり会があるんだって! これ、しおりだよ。」
そう言うと明日香はバックからしおりを取り出した。
しおりには、「海のお泊まり会」と大きな文字で書かれていた。海の見えるペンションで花火やバーベキューをして楽しい想い出を作りましょう、と書かれていた。
「お泊り会かぁ。明日香、お母さんとはなれても大丈夫なの?」
ついつい母親っぽい過保護な発言が飛び出す。
「大丈夫だよ。先生もいるし、友達だってみんなで行くんだもん!」
明日香は得意げに答えた。母親としては少しさみしい気がしたが、素直に娘の成長を受け取った。
「じゃあ、申し込んでおくね。え〜っと、持ち物はリュックにお弁当・・・」
「お弁当にはタコさんウインナー入れてね! それから、おにぎりの中身は・・・」
明日香は思い思いの要望を私に言った。
「お泊まり会は24日でしょ? まだ17日だよ。明日香はせっかちなんだから〜」
明日香はえへへ、と笑いながら頭を書いた。しかし、お弁当なんて作るのはひさしぶりなので、私もたまには明日香の為に腕を振るってやろうと思っていた。
「あ、そういえば明日香のナプキン入れ穴開いてるんだっけ?」
私は思い出したように言った。保育園に入る時、デパートで買ったうさぎのナプキン入れ。
「うん。これじゃナプキンはいらないから、新しいの買ってよ〜」
明日香はちょっとねだるように言った。たしかにお泊まり会と言うイベントに穴が開いたナプキン入れをもたせては親としても恥ずかしい。
「わかった。 明日香の好きなヤツ、買ってあげるよ。」
「わ〜い! やった〜! 新しいナプキン♪」
飛び回る明日香を見て、やっぱり娘というものは可愛いなぁ、と感じていた。





+++++++++++++++++++++++++++++++








「最初から楽しませる気はなかった。ただ我々がどうやって楽しむか、それしか頭に無かった」        音沢保育園 職員B








第二話        「お泊まり会」





「おはよ〜。お母さん」
ジュージューという炒める音の鳴る台所へ眠そうに目を擦る明日香はやってきた。香ばしい香りが立ち込める台所に、明日香はすぐに目が覚めた。
「おはよう。もう少しでお弁当できるから待っててね。」
そう言うと私はウインナーをフライパンの上で転がした。
「ねぇ〜タコさんウインナーにした? おにぎりの具は・・・」
覗き込もうとする明日香を指でつん、とつっついた。
「開けてからのお楽しみだよ♪」
明日香はぷう、と頬をわざとらしく膨らめてみるが、やがて諦めたのかリュックに荷物をつめる。
「新しいナプキン入れ〜♪」
カメの絵が入ったナプキン入れをリュックに入れ、鼻歌を歌っている。その間に私はお弁当を仕上げる。タコさんウインナーにうさぎリンゴ。それと、ふんぱつして買ったスイカを入れて、朝5時起きで作った愛情たっぷりの特性弁当は完成した。








******************



保育園の前に止まったバスに乗り込む子供達。
笑顔で見送る親。その中には当然、私も含まれている。
「行ってきま〜す」
「海だ海だ〜楽しみだなぁ」
「早く行こうよ〜」
バスの窓からそれぞれ子供達の声が聞こえる。
バスの乗車口の前に立っている男性、この保育園の先生である三田先生と川上先生である。三田先生は30代半ばで、通称、ヒゲ先生と呼ばれるほど立派なヒゲを持っている。温和な性格で子供達によくいじられている。一方、川上先生は20代ほどの若い先生で、元気よく子供達と一緒にボール遊びをやっている。二人とも、信頼のある先生方だ。
「じゃあ、よろしくお願いします。」
私は先生にお辞儀をしながら言った。
「万全の準備をととのえて、安全で楽しい想い出を作ってきますよ。」
三田先生はニコっと笑って言った。
「三田先生〜、そろそろ行きますよ〜」
運転席から川上先生が顔を出す。
「では、行ってまいります。」
そういうと三田はバスに乗り、親たちの「行ってらっしゃい」という声と共にバスは走っていった。
それを見た三田は、にやりと不適な笑みを浮かべていた。






+++++++++++++++++++++





一面に広がる青い海と広い空。どこまでも続く砂浜に子供達は開いた口が塞がらないという状態だった。
「すごぉい・・・」
「きれ〜い」
「僕、海って初めて見た〜」
子供達はそれぞれの感想を漏らし、しばらく海を眺めていた。
「それじゃあここで海で遊ぼうか!」
川上が手を大きく広げて言った。その直後に子供達は気がついたようにわぁっとそれぞれ行動を始めた。初めての砂浜に転がる者、海に入ってみる者、砂遊びを始めたりと、それぞれいつもと違う遊びを楽しんだ。



あっという間に12時になってしまった。
「はい、そろそろお弁当にしましょう!」
三田はヒゲをゆらしながら大声で子供達に呼びかけた。
わぁっと集まってくる子供達を見て、三田は歯をぎりっとかみ締めた。
(三田先生、私もう我慢の限界です。)
(そろそろいいでしょう。もうこの子達は充分楽しんだ。)
子供達は楽しみにしていたお弁当をリュックから取り出し、そのおいしそうなお弁当を見てそれぞれ本当に楽しそうな顔をしていた。
「は〜い、みなさん食べる前には?」
子供達は声をそろえて言った。
「いただきます!」
しかし、三田は突然近くの子のお弁当を取り上げた。
その子供は何をするのかと目を丸くしている。
「ちがうでしょ? こういう物はね、こうするの」
三田はそのお弁当を砂浜に叩き付けた。そして、踏み潰した。タコさんウインナーも、サンドイッチも、子供の大好きなからあげも、母親が朝早く起きて作った、わが子の為にいっぱい愛情をこめて作られたそのお弁当をこれでもかといわんばかりに踏みにじった。
「う・・・う・・・うわぁぁぁぁん!!!!!!」
お弁当を取り上げられた子は何が起こったのかわからないが、自分の楽しみにしていたお弁当が台無しになったということだけは理解して泣きじゃくった。それを見ていた子供達の弁当も、川上と三田は容赦なく取り上げ、踏み潰した。当然、明日香のお弁当も踏みにじられた。
「ははは! お前ら残念だなぁ、大好きな弁当が滅茶苦茶になっちまってよ!!」
狂ったように川上が怒鳴り散らした。彼の足元には明日香の新しいナプキン入れもあった。
「それ、私の!! やめてよ!! 汚さないでよぉ!! ひっく・・・」
明日香は泣きじゃくりながら川上の足元に手をやった。そこには砂まみれになったカメがプリントされたナプキン入れがあった。
「なんだ?オニューなのか。ふふふ、それじゃあこうしないとね!」
そう言うと川上はおもむろにナプキン入れをつかみ、力をいれて真っ二つに引き裂いた。びりびりという音と共にそれは引き裂かれた。
「うわぁぁん!! 私の・・・ひっく・・・返して・・」
川上は引き裂いたナプキン入れを捨て、さらにつぶした。そこに明日香の小さな手がナプキンいれを取ろうと現れ、その小さな手に川上の足が勢い良く振り下ろされた。
ボキ、という嫌な音と共に小さな子供の悲鳴が砂浜に響いた。
「おっと・・・ッ悪い子だな。勝手に僕の靴の下に手なんか入れて・・・」







続く



2004/12/30(Thu)22:01:06 公開 / FRD
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■作者からのメッセージ
初めまして、FRDです。
初心者なので多少の文の破壊気味は勘弁してください(汗
この作品は一応ホラーなんで、そういうのダメな人はあまり読まないほうがいいと思います。
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