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『世界の鍵  プロローグ〜第一話』 作者:名も無い作者 / 未分類 未分類
全角6133.5文字
容量12267 bytes
原稿用紙約22.6枚
プロローグ




〜真界〜


「ディオ、お別れだ。」
一人の兵士が走ってきた。
「ジャカ様、お怪我はございませ…これは!?」
「皆に伝えよ。ディオライド・アリーは封印した。これで世界は元に戻る、と。」
ジャカと兵士は目の前の氷づけにされている男を見つめる。氷づけにされている男は、とても穏やかな顔をしていて、夢のように美しい。その男の胸に、一本の槍が刺さっている。
「ジャカ様、ニーゲルの槍が石のようになっていますが、これは…?」
「ニーゲルの魂があるとディオの魂と干渉し、ニーゲルの力がディオに流れる恐れがある。そのようなことがあればディオは復活してしまうだろう。だからニーゲルの魂をぬいた…。」
ジャカは手に持っている光る球体を兵士に見せた。
「これは今からある器に入れてくる。このままの状態では魂がもたないからな。」
「その器とは…?」
ジャカはフッと笑う。
「それは誰にも教えれんよ。」



〜死界〜


「閻魔大王様!!死者の魂が氷からもとの形に戻りました!!」
「…ジャカがディライドを封印したんだろうな。」
閻魔大王カディは、少し悲しそうな顔を一瞬浮かべた。しかし閻魔大王のその言葉や表情に、誰も気づいてはいない。
「さぁ、俺たちも働くぞ。さっさと魂を人間界に生まれかえさせるんだ。でなきゃ人間がいなくなっちまう。」
「しかし閻魔大王様、まだ魂の裁判がすんでおられないのですが…。」
「あ〜も〜。今からパパッとやるんだよ!そら、早く行け!」



〜神界〜


「おぉ、お生まれになったぞ!次のめぐみの女神だ!!」
「水神様もお生まれになったぞ!」
神界では次代の神々が次々と生まれてきていた。
「おい、こっちに来てくれ!」
神官たちは一人の神官に呼ばれてそっちの方へ行ってみる。
「…次の神王様がお生まれになったぞ…!これで神界ももとに戻るんだ!!」
いっきに歓声がわきでた。その声はしだいに神界全土から聞こえるものになった。



〜人間界〜


西暦二〇〇〇年十二月


「お母さん!お母さん!雨がやんだよ!海もほら、おさまってるよ。」
「ねぇお母さん、お父さんはどこ〜?」
二人の子どもが母親にしがみついて言う。母親は泣きながら二人の子どもを抱きしめる。
「あなたたちだけでも無事でよかった…。」


「こりゃひどい…。」
救助隊の一人は目の前の光景を目にして呟く。地震によってできた断層。そのせいでビルなどは崩れ落ち、がれきの下にはまだたくさんの人が埋まっている。さっきまで降っていた豪雨と突風のせいで救助活動がおくれてしまった。だから生存者も少ないだろうとおもった。
「おいっ!こっちに生存者がいるぞ!」
駆けつけた。その生存者はまだ子どもだった。…片足がなくなっている。
「まだこんなに小さいのに…。」
泣きたくなった。なぜこんなことが起こったのだろう。こんな…。


「棗、大丈夫だよ。もう終わった。お母さん達を…庭に埋めてあげよう。」
二人で庭に母親と父親を埋める。
「…那々?」
那々の頬には涙がつたっている。
「…あたし、なにもできなかった。こんな力もってヒック。るのに、なにもできなかった。」
「しょうがないよ。俺たちは人間だから。人間は、見とく事だけしかできない生き物だから。」
「でも…あたしは力をヒック。持っている。あたしは化け物だ。お母さんも言っていた。お父さんも、皆も…ヒック。」
「俺は化け物だなんておもったことないよ?その証拠に俺は人間だ。かたわれの俺が人間ならお前だって人間だよ。双子だろ?俺たち。」
「そんなの意味わかんない…。」
「俺もわからない。」
棗は笑う。でもその表情は楽しいときに笑う顔じゃない。苦笑いでもない。なんともいえない笑い方だった。
「ほら、家片付けるぞ。」
棗は家のほうに向かう。那々は棗の後姿を見ながら呟く。
「でもね棗、あんたはただ覚えてないだけなんだよ…。そしておもいだしてはいけないんだよ…。」
那々のその言葉は棗には聞こえなかった。






第一話 群集の歓声




西暦二五〇〇年十二月。陽院学園高等部。


「失礼しゃ〜した〜。」
放課後、大きなたんこぶをつけて、森山司は職員室から出てきた。教室へ歩いていると、後ろからポンッと肩をたたかれた。
「つっかっさっく〜ん!説教ご苦労様〜。」
「ぁんだよ奈々。俺は今機嫌わりぃんだよ。」
「まぁまぁそんな事言わずにさ、さっさと教室行こうよっ!皆待ってるし。」
「何でお前が俺様の迎えに来てんの?…あ〜、そんなにはやく俺とあいたかったんだぁ。かわいい奈々ちゃ…」
「じゃんけんで負けたの。」
司はブツブツ言いながら奈々と廊下を歩く。


「お〜司〜。生きてた生きてた。」
「竜一、司は別に殺された訳じゃない。ドジな事をして山先生に怒られていただけだ。」
「文太、一言余計。」
「でもほんとのことでしょ?」
「うっせぇー。」
ガラッ。教室のドアが開き、梨紗と真也が来た。
「あっ、司だぁ。」
「司のバァカ。なに山センにつかまってんだよ。」
「お〜二人とも。んじゃそろったし話し始めようぜぇ。」
「何はなすんだ?」
「司さぁ、覚えてないの?クリスマスの話!今年はどこ行くかってことだよ。梨紗ちゃんと司に言ったじゃんかぁ。」
「あ、忘れてた。」
「奈々〜!梨紗もぉ司のバカさ加減にいやになってきた〜!」
「今にはじまった事じゃないでしょ。」
「お前らな〜いい加減にし…」
ガタ―――ン!!!
「司!?」
「…。」
「ちょっと司!?」
「司!」
「…あ〜いってぇ…!」
「…司?」
「大丈夫なのか?」
「一瞬頭がどっかいってた。」
「「「「「はぁ?」」」」」


「んじゃなぁ司、奈々〜。」
「バイバ〜イ!」
「司倒れるなよ。」
「うるせぇー。」
「またあとでなぁ〜♪」
梨紗と真也と竜一と文太と別れ、奈々と司は二人で帰り道を歩く。
「司、ホント大丈夫?」
「なんだぁ?そんなに俺が心配?あららぁ?」
「茶化さないでよ!」
「照れんなって〜。」
「あんたはホント…バカ…な…」
バタッ。家まであと数十メートルというところで奈々が倒れた。
「奈々!!……はぁ?」
奈々はただ眠っている。司は安堵し、奈々を担ぐ。
「いきなり寝るなよなぁ。まじびびった。それにしても何でいきなり寝るんだ?寝不足か?お肌に悪いことしてんなぁー。」


ピンポーン。
「はいはい?」
「「「愉快な仲間達でーす☆」」」
「文太だ。」
「あぁ、開いてるから入って。」


「あれ?何で奈々寝てるの?」
「おーい奈々ー?」
「あ〜だめだめ。そいつ帰り道の途中でいきなり寝やがって。それからぜんぜん起きないから。」
「寝不足か?」
「知らねぇ。」
「で、何で奈々は司の家で寝てるんだ?奈々の家で寝かせりゃいいじゃん。」
「まさかお前…キャーおまわりさーん!!」
「えっ、司そうなの!?梨紗見学していい?」
「何を言っているんだ?」
「バカだなぁ文太。男の家に女が一人。しかも女が寝ている。こんなときにやることと言えばぁ!!」
「うっせぇー!!!そんなんじゃねぇ!奈々の家今誰もいなかったからどうしようもなかったんだよ!!!」
「またまた照れちゃって〜。ねぇ梨紗さん?」
「ホント〜。見学くらいしてもいいじゃんかぁ〜。ねぇ竜一さん?」
「まったくだよなぁ。なぁ文太さん?」
「奈々起きたぞ。」
ズザッ!!!竜一と真也と梨紗は後ろに下がり土下座する。
「「「奈々様すいませんでした!!!」」」
「馬鹿かお前ら。」
「なに〜?ここ…司の家?なんで?」


「ふーん、べつに寝不足になるようなことしてないんだけどなぁ…。まぁいいや。」
「んじゃ奈々も起きたことだし、クリスマスどうするか決めようぜ。司が倒れたせいで決めれなかったし。」
「おっ俺は好きで倒れたんじゃねえよ!」
「もぉ〜どうでもいいじゃんそんなこと〜。」
しばらくクリスマスの予定について話した六人。話がまとまったときはすでに夜十時になっていた。


「んじゃそれに決定な。」
「あ、お前ら今日泊まってく?」
「俺泊まりたーい!」
「梨紗も〜。」
「俺も。」
「んじゃ俺も〜。」
「皆泊まるならあたしも。」
「んじゃ客室準備してくっからちょっと待ってろ。」
司は階段を下りて客室へ向かった。しばらく誰も家に泊めてなかったので、客室は汚かった。ベッドのシーツを伸ばし、そこらへんにあるゴミを片付けていると、真也が走ってきた。
「司!!!」
「んだよ真也。まだ準備できて…」
「梨紗と竜一と文太が倒れた!!!」


「梨紗…文太…竜一…しっかりしてよぉ。」
バタバタバタ。階段を上がってくる音がする。
「三人は!?」
「だめ。起きないよ。」
「おい竜一!…文太!…梨紗!」
「司、やめろ。動かさないほうがいい!」
「どうしてこんな…」
バタッ。突然、司と真也が倒れた。
「真也!司!」
なんで?どうして皆倒れるの?なんで…。


奈々は不快感を感じる。背後に寒気がした。身に覚えがある。とても嫌な感じ。そうだ。あいつだ。奈々はキッと後ろを見た。
そこに一人の少年が立っていた。
「…カディ…!」
「お?俺のこと覚えてくれたんだ〜。うれしいねぇ。」
「なんの用よ。なんであんたがここにいるの。」
奈々はカディを睨みつける。カディはそれを見て笑う。
「なんだよその顔。そんなに俺と会いたくなかったか?」
「会いたくなかった。一生ね。」
「まあしょうがないんだよ。お前もそろそろ戻らなきゃやばいんじゃないのか?今日いきなり眠っただろ?」
「何であんたが知ってるのよ。」
「まあ俺は人間界に用事があってね。んで、その用事のところにお前がいたわけ。」
「それで?なんであたしが戻らなきゃいけないのよ。」
「だから〜その身体もそろそろ限界なの。」
「…。」
「お前はもう戻らなきゃいけないんだよ。あきらめな。」


「…。でもこの五人は関係ないんだからさっさと起こして。」
しばらく沈黙が続く。カディは言いにくそうに言った。
「…俺の用事っていうのはその五人だよ。」
「何でこの五人に!!!!!!!」
「そいつらは『力もつ死神』だ。」
奈々はいっきに生気がぬける感じがした。今こいつなんて言った?『力もつ死神』って…司たちが?
「…この五人全員?」
「そうだ。『力もつ死神』がこんな風にまとまって見つかったのは初めてのケースだけどな。まあ俺としては楽だからべつにいいけど。」
「うそだ…。」
「うそじゃないよ。さ、そこどいて。そいつらの魂を狩ったらお前のその身体も壊すから。」
カディは「死の鎌」を取り出した。そして五人の身体をその大きい鎌で斬った。身体は斬られてはいなかったが、五人の魂が身体から出ていた。その魂を手にとって、カディは奈々のほうに向き直る。
「さ、次はお前の番だ。」
カディは鎌を奈々の身体めがけて振り下ろす。
奈々は呆然としていた。五人が?大好きな五人が?何で…何であたしの周りはいつも…。



「…ぁあ〜?」
司はだるさを感じながら起き上がった。そこは見たこともない部屋だった。目の前に広がる景色。自分の部屋では有り得ない景色。司は少し考えた。
「…ああ!」
これは夢だ。司はもう一度寝ようとする。すると後ろ頭をたたかれた。
「これは夢じゃねえよ。」
「ってぇ〜…竜一?俺たち…ここどこだ?」
「わからん。」
「梨紗たちもわからないから困ってるんだよ〜。」
「お前心当たりねぇの?お前の部屋だろ?」
「んなのあるわけねえだろ。どう見ても俺の部屋じゃねえし。」
「それじゃあここはいったい…。」
梨紗はあることに気づいた。
「ねえ、奈々は?」
「あ。」
「どこにもいない。」
「なんなんだよ〜。奈々だけここきてないのか?」
「それはちがうわよ。」
後ろからいきなり声がした。五人は後ろを振り向く。そこには茶色の髪を後ろに結った緑の目の少女がいた。顔立ちは整っていて、かわいらしい感じがする。
「おじょうさん、僕と今度お茶しませんか?」
女好きの真也がすばやく少女の手をとりナンパする。もちろん他の四人にたたかれた。少女はくすくす笑いながら五人を見ている。
「面白い人たちね。こっちにきて。奈々に会いたいんでしょ?」


五人は少女についていき階段を上がる。すると、ある大きな扉の前に立どりついた。扉の前には門番が立っている。少女が門番に何か話しかけている。門番はこちらをチラッと見た後、扉を開けた。
「さあ、こっちよ。」
長い長い廊下。五人はただついていくだけしかできなかった。ここはぜんぜん知らないところだし、相手は奈々がどこにいるか知っていて、連れて行ってくれるという。それがたとえ嘘でも、さっきの場所でボーっとしているよりましだ。
「ところでさ〜。」
「?」
「君の名前何ていうの?」
「ああ、教えてなかったわね。カナよ。私の名前はカナ。」
「へえ〜カナちゃんっていうんだあ。かわいいね。」
「ありがとう、真也君。」
「へ?何で俺の名前知ってるの?」
カナはクスと笑う。
「あなた達はもう有名だから。なんたって『力もつ死神』の出現ですもの。もう死界全土にそれは伝わっているわ。」
「『力持つ死神』?」
「お前知ってるか?」
「梨紗しらないよ〜?」
「さあついたわ。」
カナは一つの扉の前で立ち止まる。
「わたし達はあなた方を待っていました。歓迎いたします。力もつ死神たちよ。」


カナが扉を開けた。扉の向こうは屋上で、眺めがとてもいい。建物の下を除いてみると、建物の下にはフードをかぶった人間が数えられないほどいた。そして五人の姿を見た瞬間に、全員からものすごい歓声が上がる。
五人は何がなんだかわからなかった。
「なんだよこれ…俺のファンか?」
「バカ司!そんなんじゃねえに決まってるだろうが!」
「ねえカナちゃん。これって…。」
五人は一瞬驚いた。カナの後ろにいきなり自分と同じ16歳ぐらいの少年がいたからである。少年の髪は鉄色で、瞳も鉄色だ。ものすごい威厳を感じる。
「うおっ!」
「お前誰?」
「かっこいい〜♡」
「あんた誰?」
「誰だ。」
カナがクスクス笑いながら説明する。
「この方は閻魔大王様。死界…この世界の王様みたいなものよ。まあ名前ぐらいは知ってるでしょ?」
「「「「「はあ!?」」」」」
「閻魔大王って…あの!?」
「死んだ奴裁判するって…。」
「たしかおひげが生えてるイメージの?」
「それはあまり関係ないんじゃ…。」
閻魔大王は笑い出す。いきなりのことでカナ以外の全員が驚く。
「面白いなお前ら。まあ説明はあとで。それより下の奴らの前で紹介しなきゃいけねえんだ。それを先にさせてもらう。カナ。」
「はい。」
カナは群集のほうに向かって静粛の合図を送る。すると、歓声が一瞬のうちに静まり返った。閻魔大王は群集のほうへ歩き、五人を呼んだ。
「ほら、お前らこっちこい。」
五人はわけわからずに閻魔大王の言うとおりにする。
「おいてめえら聞きやがれ!この五人が俺たちが出現するのを待ちどおしにしていた最後の『力もつ死神』達だ!これで人数はそろった!もう心配いらねえぜ!」
ワァ―――!!!!!また歓声が沸きあがる。そして歓声の中、五人は皆あることをおもう。
…こいつホントに偉いのか?
2004/12/12(Sun)23:44:04 公開 / 名も無い作者
■この作品の著作権は名も無い作者さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
初めまして、名も無い作者です。
今回初めて小説書いてみました。もぉドッキドキですよ(ー◇−;)
とにかく何か書きたくなったので、想像がついただけ書いてみました。でもまぁ続きも頑張って想像したいと思ってます^^)
一応見直した時点ではありませんでしたが、わかりにくいところや、誤字・脱字があるかもしれません。ホントすんません(>_<)これから上達していきたいと思ってるんで、頑張ります!
ぜひ、アドバイスやご感想などを下されば光栄です☆彡でわ、ここまで読んでくださってありがとうどざいました。
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この作品の投稿者 及び 運営スタッフ用編集口
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