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『ママ』 作者:Cano / 未分類 未分類
全角2495.5文字
容量4991 bytes
原稿用紙約9.15枚
小学校2年生の夏、私の両親は離婚。
父の家庭内暴力が原因だった。
それを知ったのは中学校に入ってからだった
母は一人苦しんでいた・・・。
母は私の手を引いて自ら家を出た
幼い私は何もわからないまま 母に連れられた
電車の中で傷だらけの母に
私はただ 無邪気に言った
「パパが今日遊園地に連れて行ってくれるってゆったのに!
ママどうしてお出かけなんてするの?ゆかり、遊園地がいい!
ママの馬鹿!」
母は泣きながら ごめんねごめんねと小さく呟いていた
乱暴に切られ、油っぽくふけだらけの髪の毛
化粧もせず、あざだらけの顔。
手首の深い傷跡。
皮が向けた手のひら。
ぼろぼろの服。
私はそんな母が大嫌いだった。
授業参観にくる友達のママは皆綺麗に着飾って
笑顔で皆を見守っている
だけどうちの母はみすぼらしい格好でクマだらけの顔で微笑んでいた。

母と暮らすワンルームのアパート
壁はしみだらけで 夜寝るときも天井を見るのが怖かった
シミがお化けみたいに見えたから。
だけど母と寝る事だけは嫌だった
一度拒否したら 母は頷いて私の布団を敷き
自分はソファーで横たわって寝ていた
それが何日も続いた

ある日、母がパートに出ていて、家の電話が鳴った
相手は父だった。
「ゆかり、元気にしてるかぁ?この前は遊園地いけなくってごめんなぁ」
「いいの。パパは悪くないもん!」
「ははは。また今度いこうなぁ。ママ、いるか?」
「ううん。お仕事。ゆかりつまんない。ママといてもちっとも楽しくないもん
おうちも汚いし」
「ママのゆうこと聞かなきゃだめだぞぉ ゆかり」
「パパと一緒がいいよぅ」
「パパはお仕事で忙しいんだ。ゆかり今度一緒にご飯食べような」
そういって電話を切った
私はふてくされて ランドセルから宿題をだして
小さなちゃぶ台で黙々と数字を書いていく
ママが帰ってくる前に終わらせないと
またとやかく言われる
この前だってそう。
ゆかりが宿題をやってるのに
ママが横からしゃべりかけてきて 結局次の日に間に合わなかった
この家は自分の部屋もない
早くおうちにかえりたい。
宿題を終え、以前の家より4分の1も小さくなったテレビをつける
たぶん私は世界で一番不幸な子供だ
そんなことを思っていた
おやつは母がふかしたさつまいも
耐えられない
ちょっと前までは 綺麗な洋服も着れて おやつもケーキだった
テレビももっと大きくて 皆に羨ましがられていた
しばらくすると 母が帰宅し
ただいま と小さく呟き家に入る
私はおかえりも言わないまま
母を睨み付ける
全部ママが悪い
ママが居なければもっと幸せでいられた
ママは私と目を合わせないように台所に行き
疲れた顔で手を洗い、野菜を切り、鍋に火をかけて
お米をといで・・・せかせかと料理をしている
初めて真近でみる母の姿
私は少しだけ・・・母に謝りたくなった

その日の夕食は私の大好物のカレーだった
「おいしいね」母は一人呟く
しばらく沈黙が続く
「うん・・・」
会話を交わしたのは 何日ぶりだろう
母は嬉しそうにカレーを食べている
その笑顔は今までに見たことのないほどの母の幸せな顔だった気がした

両親が離婚してから学校に通うのが苦痛だった
同級生からのいじめ。
だけど私は母に言えなかった
母にだけは 弱音を吐きたくなかった
片親しかいない、ただそれだけの理由で
いじめられた
ある日一人の女子が
「この子なんかくさいよ」
そんな根も葉もないようなうそを言い出した
それからどんどんうわさが広がり
私とすれ違えば 皆を鼻をつまみ 嫌な顔をした
それだけじゃなかった
黒板にシネ・シドウ と書かれたこともあった
担任は黙ってそれを消して、何も言わなかった
家に帰っても7時まで母は帰ってこない
毎日こっそり押入れで泣いていた
母はそれに気がついていたのかもしれない
毎晩こっそり私の頭を撫でて泣きながらごめんなさいと呟いているのを知っている
そんなことより、私はただ話をきいてほしかった
何もわかってない 母にも腹が立った
結局誰も私のことなんて気に掛けてくれない
そんな風に思うようになっていた
ある日、私が家にたいそう服を忘れて
母が持ってきてくれたことがあった
教室へ駆けつける 化粧もしていない薄汚い服をきた母親は
クラスで私をいじめる奴らには良いネタだった
母が帰った後、
「きったねぇ 母ちゃんだったなぁ。やっぱり親子だからなぁ」
誰かがそう言った途端 クラスは笑いの渦になり
私は一日中 それを言われ続けた
家に帰ると母が おかえりと笑顔で言った
そんな母を見るなりあたしは
「ママ!どうして学校にきたの?」
「だって・・・たいそ・・・」
「ママが来たせいで 私はずっと笑われてた。
そんな汚い格好でこないでよ
お化粧しないで学校に来ないでよ」
私は泣き叫びながらそう言った
「たいそう服なきゃ・・・困るかなって・・・ごめんね・・・ゆかりちゃん・・・」
母は泣いてた
私は苛立って母にクッションを投げつけると
目標がずれて机の上の小さな箱に当たった
母はあっっと声をあげる
机の上の箱は空しく机のしたに落ち小さく音を立てた
母は急いでそれを開けると
そこには潰れたひとつのショートケーキがあった
小さなカードにゆかりお誕生日おめでとう ママと書かれていた
誕生日ケーキなんてママと暮らしてから初めてだった
ママは呆然とそこに座り込んだまま
ごめんねと泣いていた
「ママは悪くないじゃない!」
私は泣き叫んだ
溜め込んでいたものが全部吐き出されそうなくらいに
私の名前を呼んでいる母の声が聞こえる
母のごめんねと言う言葉があたしの中でこだましてる
母に謝られるたびに私の心は締め付けらる


泣きつかれていつのまにか眠ってしまったのだろうか・・・
私はいつのまにか布団の中に入っていた
ふと隣を見ると 母は小さくなってソファの上で寝ていた
私はママの手をこっそり握ってみた
とてもあったかい 細くて白い手。
あたしはママに自分の布団を掛け
ママの傷だらけの顔を眺めていた
この傷はいったいどうやってついたの?
もう跡になってしまっている
眉毛のあたりから頬のあたりまでいくつもの痣がある
気がつけば私の手は母の傷をさすっていた

------続く
2004/11/01(Mon)01:23:11 公開 / Cano
■この作品の著作権はCanoさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
久しぶりに投稿させて頂きます。
前作のほうの更新が諸事情により
できなくなってしまました。
ご了承くださいませ。

今回の作品は今までの作風のイメージとは
少しかえてみたつもりですw
私の文章の不足がありました・・・
これは続きモノですw
これからどんどん話が進んで行きますので
お付き合いくださいませ

駄文ですが読んでくださった方本当に感謝です。
よろしければ、批評お願い致します。
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