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『死を見つめて(ショート)』 作者:樂大和 / 未分類 未分類
全角1243文字
容量2486 bytes
原稿用紙約3.65枚
 今まで何人の人間の生と死を見つめてきただろう。

 この病院に来たのはいつの事だったか。最近ではよほどモウロクした私だが、初々しく仕事していた時代は今も色褪せず思い出す。私が一番輝いていた時代。私がここに来てから何人の人が笑い、泣き、この病院で過ごし、何人の人が生きて、あるいは死んで、この病院を去っただろう。

 人の命は不思議だ。誰一人として同じ死に様はいない。また同様、同じ生き様もいないのだろう。一見、丈夫そう体をもった人が病気で入院し見るも無惨に変わり果ててここを去る場合があるように、大病を患い今にも消えそうな小さな命が、奇跡のような回復を見せる事もある。

 私はたくさんの人間の死を目の当たりにしてきた。いろんな人達がいたものだ。死を前にして恐怖し涙にくれる人。自分の死を受け入れ、残りの人生を精一杯生きようとする人。そして、それぞれの遺族…死に逝く者もそれぞれだろうが、残される者もそれぞれだ。父親の死を受け止めることが出来ず、横たわる父にしがみつき号泣する子供たち、かたや、今しがた亡くなった母親の亡骸の前で遺産相続についていがみ合いを始める相続人達・・・。果たして、死とは去り逝く者と残される者、どちらが辛いのだろうと考える事もしばしばだ。毎日、病院にいると実に多様な人種を見ることが出来る。

 私はこの病院に来て、がむしゃらに働き続けてきた。夜中であろうと患者の容態が急変すれば叩き起される事だってあった。あの、輝かしい時代に今の自分が想像出来ただろうか。いや、無理だろう。衰えを意識する暇も無いくらい私は輝いていた。今、こうして、これまで私が見てきた患者達と同じように最後を待つ自分自身の姿など、想像できる訳がない。

 こうして見慣れた病室の白い壁に囲まれて最後を迎えるのが不思議だと思う。この壁を見ているとまた、いくらでも働けそうな気がしてくる。しかし、現実は厳しいものだ。ここ何日かの衰えは目に見えてわかるものだ。意識を失う回数もかなり増えた。私もラストを迎えるのだろう。


 さっきから・・・意識がはっきりしない・・・いよいよなのだろう・・・せめて、この病院で…働き続けた者として患者達を不安に陥れることなく最後を迎えたいものだ…私はここにこれて感謝している・・・本当に・・・ほんと・・・うに・・・


「は〜い、みなさん!採血のお時間ですよぉ」
 病室にみょうに明るい看護士の声が響く。患者たちが一斉に顔をしかめた。ニヤニヤとした顔つきで病室に入ってきた看護士は採血の道具を取り出しながらベッドを見渡した。ふと、部屋の隅の方が目に付いた。一番奥のベッドの老人が上を向いたまま、微動だにしないのだ。看護士は慌てて患者に呼びかけた。
「滝本のおじいちゃん!?大丈夫!?どうかしたの?具合が悪いの?」
上を見上げた滝本老人は震える指で天井を指差し、おぼつかない口調で答えた
「ここ、に、二、三日、ちょ、調子が悪かったんじゃがのぅ・・・つ、ついに、け、蛍光灯が消えてしもうた…取り替えてくれんかのぅ…」

2004/10/19(Tue)16:36:25 公開 / 樂大和
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■作者からのメッセージ
どうも、物シリーズ(勝手にシリーズ化)第2弾です(笑)個人的にはオチにインパクトがないように感じてしまいました。なんとか、仕上がったので読んで、酷評、感想など頂ければ嬉しいです!
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