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『アイ LOVE スケッチ』 作者:千夏 / 未分類 未分類
全角4726.5文字
容量9453 bytes
原稿用紙約15.15枚
:はじまり
私の名前は神野リナ。美術部所属。
「神野は今度どんなん描きたいん?」
横で鉛筆を動かし、こちらを見ずに言う彼は同じクラスの渡部愛斗。京都からの転校生。
「うーん、人・・・かな」
「人ってなんや。おっさんでもええんかいな」
気にしない様子で絵を描き続けるアイ。愛斗なので私はアイと呼んでいる。アイは「面白いからええで」と言って何も嫌とかは言わない。というかむしろ「いい」らしい。面白いからというのは関西特有の楽天さかと思われる。
スケッチから目を離しアイは私を見て
「俺、神野描こう思うねんけど」
「はい?」
間の抜けた返事を返す。
これが私とアイの面白おかしい放課後の始まりだった――

:アイは美術部
「神野ー。はよ来いやー」
呼ばれて私はバッグに教科書を詰めこんだ。これからモデルになる。
「先行ってていいよ」
私は先に行くように言うと、アイは「絶対来ーへんと怒るで」と言って教室を出た。
私は教科書を詰めこんで重くなったバッグを肩にかけ、スケッチブックを片手に教室を後にした。
「遅いわ。もう一枚描いてしもたわ」
美術室にはアイ一人。悲しいことに、この学校には美術部は私とアイしかいない。なぜなら、この学校は体育会系だからだ。もちろん、私とアイだって運動はそこそこできる。ただ、絵を描くのが大好きなだけなのだ。
「ゴメン。私、どこに座ればいい?」
「そこの、窓んとこ居てな、普通にしててな」
ニコッと微笑みながら言うアイは可愛い。私はこのアイが描きたいといつも思う。
モデルになるのは恥ずかしくない。部員が二人となると、どっちかがモデルをしなくてはいけないからだ。
少し経つとアイは「あー。走りたいわ」とか「野球してホームラン打ちたい」とか思ったことを口にする。体育が好きなのがよく分かる。そんな彼がなぜ美術好きなのか、一度聞いたことがある。私はそれをきっかけに美術を本格的に始めたから、今でも鮮明に思い出せる。

:きっかけ
それは、アイの引越して来た時にした自己紹介だった。
彼は黒板に力強く「渡部愛斗」と書き、前を向くと堂々と言った。
「渡部愛斗、京都から来ました。俺の好きなことは運動と、絵を描くことです。絵を描くのはホンマにおすすめです。それは・・・。どの教科にも答えってあります。でも先生は最初に答えを出すことって無いです。当たり前のことなんやけど。けど絵は、答えは目の前にあって、目の前にあるんやけれども、上手くいかないもんです。でも上手くいくことが絶対に何回かはあるんです。その何回かに巡り会えた時、それがめっちゃ嬉しくて、よっしゃ上手くいったわって思えて、それが俺には何にも変えられない喜びで、だから好きなんです。めっちゃ好きなんです。とにかく好きなんです。みんなにすすめます」
熱く語った後、彼は「あ、ちょっと長すぎました?スンマセン」とクラスの笑いを誘った。聞いてたみんなは「サイコー!」「渡部君面白い!」とか言っていたけど、私はそんな中、心を打たれた。元々絵が好きだったけれど、ここまで言えるのは凄いと思った。
それがきっかけ。私が絵を始めたきっかけは、アイのこの語りだった。

:鉛筆を削るアイ
「外、暗くなり始めたよ」
真剣に私を描くアイに伝えた。ハッとして「あ、ホンマに!?ゴメンなー、こんな時間まで。神野帰ってええよ。明日またやるし」と笑って言った。
「アイはまだ残るの?モデルいないのに?」
「いや、明日やるで。ただちょっと鉛筆を削って行こうと思っただけや」
アイはそう言うと、丸くなった鉛筆を置いてペンケースからカッターを取り出した。
「アイ、一緒に帰ろう」
「あ?いいでー。ちょっと待っててや」
「うん」と返し私は鉛筆を削るアイを見た。
鉛筆をじっと見ながら慎重に削るアイは、とてもカッコイイ。彼は何気にカッコイイのだ。色黒の肌はワイルドだし、でも黒髪っていうのが妙にマッチしてるし、整った顔立ちだし。
多分それを知っているのは私だけだろう。いつもは笑っているから、こんなにちゃんとしたアイを何回も見ているのは私だけ。整った顔立ちをしているのを知っているのも、きっと私だけなんだ。
少しボケーとしてたらしく、アイが「おーい」と起こすように言っていた。
「あ、ゴメン。行こうか」
私はモデルをしていた位置から少し動いて、バッグを肩にかけた。スケッチブックを片手に持って。

:一緒に帰る
「そういえば神野と帰るのって俺、はじめてやん!」
「俺っていうか私もなんだけど」
「あはは」と笑って「それもそうやな」と言った。
「アイって電車だよね?私も電車だから駅までは行けるね」
「うーん。俺歩いても行けるんやで?三キロとかそんなもんやし」
三キロとサラッと言うので私は少し驚いた。三キロが「そんなもん」というのは有り得ないだろう。当の本人は「でも徒歩は実はちょっときついもんな。電車や電車」とか言っている。
「電車のほうがいいと思うよ。絶対。三キロってマラソンできるよ」
短いマラソンだ。私には一キロだって疲れるというのに。
「マラソンか!ちょっとしてみたいやん!・・・もちろん、今日はせえへんけどな」
「アイにとって三キロって何?」
なんとなくした質問。こんなのでもちゃんと答えてくれるアイ。
「小学校ん時はなんもない田舎やったから三キロくらい歩いてたで。中学はチャリ通やったけどな。で今は電車。なんかどんどんハイテクになってるやん」
「はは、そうだね。大学行ったらどうするの」
「うー・・・ん。もうヘリコプターしかないわ!」
「飛行機じゃなくてヘリコプターなんだ。もっと科学が発達したらタケコプターになるかもね」
「なんや不便になってるやん!」
あははと二人で笑いあった。駅がすぐそこまで迫っていた。
私たちは「バイバイ」と言ってあっち側のホームとこっち側のホームに別れた。

:授業中
私の席一番後ろで、人の隙間からアイが見える。けれど今日は見えない。それはなぜか、アイが伏せて寝ているからだ。滅多に見ることのない寝ているアイ。昨日はただ普通に帰ったはずなのだが・・・。
教卓で授業を進める先生が「え〜じゃ、ここ誰かに答えてもらおっかな」と言った。
すると私の視界には何本の手が挙がっていくのが見えた。私も一応挙げた。
こういう時に当てられるのは大体決まっているのだ。
「じゃー、私の授業が寝るほど退屈に感じているらしい渡部愛斗!」
やっぱり。手を挙げたほうがけっこう当たらないものだ。
アイの隣りの男子が「渡部!お前だよお前!」と揺り起こす。
ガバッと勢い良く起き上がり、「ヤバイ!俺今寝てたん!?初めて寝たんやけど!」と言った。クラス中が笑い、先生が怒る。
「渡部ー。私の授業そんなにつまんない?」
意外に天然なアイの答えはまた笑える。
「先生だけじゃないから安心してやー。美術以外はおもろないもん」
「放課後生徒指導室集合」
言うと授業が再開される。アイの周りの子たちが「バカじゃん」と言って笑っている。私もアイと近くの席だったらな。

:放課後の中で
私が一番好きな時間がやってきた。放課後の部活。
昨日と同じようにモデルをやっていると、さっきの生徒指導室のことを思い出した。
「あっ。生徒指導室・・・行ったの?」
アイは鉛筆を動かす手を止め、「行ってないけどー?」と軽く言った。
「え!ダメじゃん!いいの?」
次の言葉で、私はアイへの気持ちがヒートアップする。
「だって、レディを待たせたらあかんやろ?」
「アイなんか面白い」
なにー!?と言って怒るので私は可笑しくなって笑った。
笑いが静まるとアイは真面目な顔で微笑んで、
「でも神野を待たせたら悪いってホンマに思ってた」
その瞬間、アイは私の方へ近づいてきた。
私は何も言えず、モデルの格好のまま動けなくなった。
「俺、もう神野に気持ち隠す気ないで。分かってるやろ?・・・好きだってこと」
その瞬間アイは私を抱きしめた。
私の頭の中は、真っ白だった。

:自然体アイ
予鈴が鳴った。私はいつもこのギリギリ遅刻にはならない時間に来るのだ。
教室の前で立ち止まる。
アイに会うのは気まずいというのに、目の前にはアイがいる。
「お・・・おはよう、アイ」
「おはようさん神野」
ニッコリと微笑みかけるアイの言葉の最後に、まるでハートでも付いているのではないかと思う。どうやら挨拶をしに来ただけらしく、自分の席へ駆けて行った。
私は自分の席につき、バッグの中身を机に入れる。
ふと後ろを向くと親友の暁由加里が私を驚かそうとしているところだった。
「おはよう暁。何くだらない事してるの」
「いや、驚かそうと思って。っていうかあんた!渡部君どうしちゃったの!?朝からかなりニッコニコしてるんだけど!そりゃ、いつも渡部君は愛想のよろしい男の子だけどね。けど今日はちょっと・・・不気味なの!あんたなんか知らないの?」
彼女はこのクラスでも目立つ方だ。私の周りはアイや暁のようにはっちゃけた人が多いのである。
「いや・・・。あっほら、先生来るから!席つかなきゃ!」
丁度良く先生が入って来た。暁はしぶしぶ席に戻る。暁の席は私の列の前から二番目なのだ。
「号令!」
「起立、礼」
「おはようございます」という声が教室に響いた。

:自然体アイ2
「これこれこういうわけでアイはきっと不気味なんだと思う」
何度も聞いて来るので私はとうとう暁に昨日の事を全部話した。前の席の子には無断で暁は座っている。
「そうなんだ〜。渡部君ならいいじゃん。私だったら付き合うよ」
「いや・・・。うん。あのね、暁、私実は・・・」
暁の耳元で言った。
「マジで!?なんだ!両想っ・・・」
大声を出すので私は暁の口を塞いだ。「声っ大きい!」と言うと、暁は「ゴメン」と苦笑した。
「っていうか返事するだけじゃん。今日部活あるんでしょ?」
「だって!無理に決まってるでしょ!恥ずかしいし、それに」
「神野!なんの話してるん?俺も混ぜて〜」
私は顔が赤くなるのが分かった。
「いいよいいよ。渡部君、あんた面白いし」
「マジ?俺コメディアンちゃうよ」とかなんとか言って、暁とアイはとても仲良さ気に打ち解けている。
「けれど残念。一限がもう始まるのであっちの席の渡部君は行ったほうがいいわよ」
「そうそう。アイはもう行きなって。次、アイの大好きな綾ちゃんだよ」
綾ちゃんというのはいつだかにアイを生徒指導室に呼んだ女のサバサバした先生である。
アイは「綾ちゃん別に嫌いちゃうけど好きやないもん」と言うが、私は促し席につけさせた。
「渡部君あんたのこと気ぃ使ってるんじゃないの。自然に話してくれてるんだよ」
そう言うと暁は自分の席へ戻った。

:最初の一歩
部活に姿を現さなくなり一週間が経とうとしていた。それなのにアイは普通に接してくれているし、顧問もいないし、ある意味都合が良いのだが私には寂しく思えた。
アイの絵の続きが気になる。
今日も放課後はアイが「無理せんといて。でも来れたら来てな」と言いに来るのだった。私はいつも行こうとするのだけれどいけない。返事が出来なくなるのだ。アイは告白についての話には触れないので言いにくいのである。私のことを想っているのがよく分かる。だから私が言わないといけない。
「アイ私・・・」
アイは少し真面目な顔になる。
「神野、今日、部室来おへん?話があるんやけど」
「私も、正直に話したいの」
するとアイは脱力した風に「ふはー」と言って床に座った。
「ゴメン、なんでもないわ。じゃ、掃除終わったら部室な」
微笑んで、アイは部室へ向かった。
ふと前を向くと、
「神野さん、掃除サボらないでくれる」
学級委員の山田太郎が私に言ったのだった。
(つづく)
2004/11/04(Thu)16:09:02 公開 / 千夏
■この作品の著作権は千夏さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
今日和〜vv
話が思いつかないにも関らずなんとか更新。
このムードを早く無くしたい!!ので、
次回きっと「うわ」みたいのをしますvv
ちょっと話が思いついてきたのでがんばります!!
それではvv
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