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『同性愛者的恋愛R指定 第一話』 作者:深海 / 未分類 未分類
全角4047文字
容量8094 bytes
原稿用紙約13.8枚




咲嶋裕太17歳



自分が同性愛者だと気づいたのが
いつの頃だったかなんて覚えていない
同性愛といっても男性だけしか愛せないわけじゃない。
女性とも機会があればこれから付き合っていくのかもしれない。
そういうのを専門用語ではバイと言うらしい・・
僕が物心ついたのは・・確か中学生の頃
同じクラスの男の子だった
あの頃の僕は幼くて自分の気持ちを伝えることも出来ずに
ただ自分の机から眺めることしかしなかった。
それで満足していたのだからやっぱり子供だったのだろう。

次は同じく中学生の頃
違うクラスの女子が好きでスキでたまらなかった。
なんども夢にでてきて授業中も彼女との楽しい妄想でいっぱいだった。
けれど不思議なことに夏休みがあけたとたん
彼女への想いがキレイに何処かに飛んでいってしまったのだ。不思議だ。

次は高校に入ったばかりのころ
今になって思うが正直スキだったのかわからない。
ただなんとなくクラスの女子と付き合ってみた。
もちろん長くは続かない。すぐに別れてそれっきり。

そして高校2年の今・・
興味本位でネットの出会い系で知り合った大人の男性に恋をしている。
もともと、会う気なんかなかった。ただメールできる友達が欲しかっただけ・・
夜を一人で過ごさなくていいように・・。
なのに、こんなにハマるなんて思いもしなかった。






目覚ましが鳴る。ジリジリジリ・・
僕は眉を寄せながら腕をのばし目覚ましをとめた。
朝が来た、朝は嫌いじゃない一人じゃないから。
それでも昨日遅くまでメールをしていた所為で
もう少しだけ夢を見ていたいと思ってしまう。
目覚ましを止めた後もなかなか布団から出られないでいた僕に追い討ちと言わんばかりに
ケイタイが鳴る。聴きなれたメロディー。僕は急いでケイタイを手に取りメールを見た。
口が自然とにやける。

お早う。
昨日はメール返さなくてごめんね。
学校いってらっしゃい(^^)

僕が寝不足の原因はこのメールを送ってきた張本人だ。
昨日はずっとこの人からのメールの返事を待っていた。
いくら待っても返事がこない・・昨日は12時をすぎても返ってこなかった。
そうなると、メールはもう返ってこない。
いつものパターンだと思い僕は煮え切れない気分で布団に潜り込む。
つまり僕にとって12時までが勝負なのだ。それ以降は向こうからメールが来ることは
まず皆無に等しい。これは僕が一番に学んだこと。
けれど、こんなに短い文なのに僕にとってはこれだけで今日を乗り切ることが出来るぐらいのパワーがあるのだからやはり恋は凄いなと思う。

眠い目を擦りながら欠伸をする。カーテンをあけて眩しい日差しを思いっきり浴びながら今日も一日頑張ろうと心の中で呟きまた視線をメールに移す。ニヤニヤ・・。
歯磨きをすまし着替えている途中にまたケイタイがなった。
今度は別のメロディーがながれる。

おはよー。今日プールあるっけ?

くだらないクラスメイトからのメールに眉を寄せながらも大人しく返信した。

おはよ。あるよ。

返事はもう来なかった。それぐらい自分で調べろよと愚痴を呟きながら
家を後にする。

学校へ行くまでの時間はスキ。好きな曲のMDを聴きながら自電車を扱いでいるといつの間にか学校についている。今日の気分は・・アイコ・・否、今日だけじゃない。
最近は毎日アイコばかり聴いている。片思いの時のキモチを表すのが巧く
つい、聴き入ってしまうのだ。普段は椎名林檎も聴いている。寧ろ本命は林檎だけど
片思いといったらやはりアイコのほうがしっくりくる気がする。

学校について席に座り最初にため息がでた。
正直学校は嫌いだ。友達らしい友達もいない。別に仲良くなりたいわけでもないから
上辺だけの関係を保っている。
その所為かまわりに不思議系だのクールだの言われる。
全然そんなことないのに・・などと心で呟くだけで声にはださない。
現にその先入観のおかげで得なこともある。女子(ギャル)から声をかけられないことだ。
うるさい奴は好きじゃないからそれは助かっている。でも、デメリットもある。
元々僕(学校では俺)の外見は悪くない。睫毛が長く自然にカールしていて
目も大きくパッチリしている。鼻もとおっていて顔が小さい。全て遺伝だ。
可愛い系という表現が一番当てはまる気がする。
だから女子にもモテる・・らしい。その所為で一部の男子に凄く敵視されるのだ。
まぁ、運良く 未だに物理的な攻撃をされないのが不幸中の幸いといったやつだろうか?
そんなことを考えているうちにいつの間にか担任が教室に入ってきた。
けれど、うるさい教室は相変わらず。困り果てた表情でどうにか静めようとする教師
まったく、何故自分がこんなところにいるのだろう。
いますぐ魔法を使ってこんなカラオケボックスのようなところからさっさと抜け出してしまいたい。なんて、少し夢見がちだろうか?
でもカラオケボックスとは巧く言ったものだ。
楽しい曲も
悲しい曲も
不安な曲も
怖い曲も
すべてこの教室に満ち溢れている。
そして、どの曲も自分を主張しすぎて狂想詩というには余りにも拙く
結局ただの雑音でしかなくなるんだ。だから居心地が悪いと感じるのかもしれない。
きっと今僕が奏でている曲はラメンテ−ション・・。学校は僕を憂鬱にさせる場所以外のなにものでもないと改めてわかっても嬉しくもなんともない。

気づくと朝のホームルームは終わっていた。
自分の世界に入っていると時間をたつのがすごく早い。
光よりも早いかな?なんて、また懲りずに自分の世界に入り込む。

お昼まではどうにかそうやって切り抜けた。
だが、なんだかんだいって一人でご飯を食べるほどの勇気は生憎持ち合わせていない。
だからそういうときはケイタイのメールを読み返し・・元気をもらう。
そして、上辺だけの関係のクラスメイトと楽しくないお昼休みを費やすんだ。

「咲嶋、今朝サンキュー」

食事を終えてゆっくりしていると隣の男子が声をかけてきた。
朝のくだらないメールを送ってきたのは彼だ。

「別に、どういたしまして。」

本当は文句でもいってやりたいがあまりかかわりあいたくないので適当に答えた。
もちろん嫌味に聞こえないニュアンスで・・。



午後の授業はやけに長く感じ退屈だ。お腹がいっぱいになった所為で睡魔が襲う。
そして、襲ってきた睡魔に抵抗すらせず午後の時間僕はずっと机にへばりついていた。

帰りのホームルームが終わりやっとこれで開放される。
このときばかりは僕の表情も和らぎほんの少しだけ笑顔が生まれる
まるで100キロのバーベルを投げ飛ばした時の様な開放感が僕を包む。
もちろんバーベルなんてもったこともないし100キロなんて投げ飛ばせるとも
思わないけど、比喩するとまさにそんな感じだ。

帰り道は行き同様アイコを聴きながら帰った。

家に帰るなり早速制服を脱ぐ。
制服を着ている限り自分が自分でなく何か別のもののような気がしてならないからだ。

制服を脱ぎ終わると後はひたすらメールを読み返す。
何故だろうどんなに読み返しても飽きることがないのは・・
何度も何度も読んで内容は完璧に暗記しているぐらいなのに・・
そういうとき自分は本当に恋をしているな〜と感じる。

夜になって晩御飯を済ませると僕はすぐにメールを送った。
相手は今まさに僕が恋をしている人。新山直樹(ニイヤマ ナオキ)だ。
僕は直ちゃんと呼んでいる。直ちゃんは31歳で僕の14歳も年上。
普通なら援助交際ものだ(笑)直ちゃんとは出会い系サイトで知り合った。
もちろん同性愛者の出会いサイトで。直ちゃんはプロのスロットマン(と僕は呼んでいる)で何時も夜遅くまで仕事をしているから九時以降じゃないとメールは送れない。
送ってもいいのだけれど返事は返ってこない・・
それに出来るだけ仕事の邪魔になるようなことはしたくない。

今晩和★
朝のメールありがとね!!
直ちゃんは今日どうだった??

メールの内容に?マークは欠かせない。
?マークを入れるだけで返信してくる確立がかなりアップする。
これも直ちゃんとメールし始めてから学んだことだ。

直ちゃんはメールを返すのが遅い。
それは僕がどうでもいい相手だから・・ってことはないと思いたい!!
けれど直ちゃんのメールを待つのはスキだ。待っている間はいろんな妄想で遊んでいる。

直ちゃんとは今まで2回会ったことがある。
一回目は直ちゃんの住んでいる昭島で。お互い初対面で僕はかなり緊張していた。
直ちゃんは、顔にはでてなかったけど緊張していたんじゃないかと思う。
二人で会ってご飯を食べてビリヤードをして・・
他にもいろんなところに連れていってくれたけど緊張しすぎてよく覚えてない。
唯一覚えているのは
「直ちゃんの家ってこの近くなの?」と聞いたときに返ってきた言葉だ。

「来たい?でも駄目。襲わない自信が無いから」

この時僕は恋に落ちた、そうどん底まで。
口ではそんなことをいっているのに何処か余裕があってそのギャップにすごく惹かれた。

その日は大人しく僕は家に帰った。直ちゃんが駅まで送ってくれた。
帰りの電車の中で僕はドキドキが止まらなかった。
恋をするのが久しぶりで免疫が減ってしまったのか、どうしても興奮がおさまらない。

そんなカッコ善いことを言った直ちゃんだったけど
二回目に新宿で会ったときはそのまま車で直ちゃんの家に直行した(笑)
僕はまた緊張して巧くしゃべれなかった。

「嫌なら何もしないし今のところする気もないよ」

そんな僕をみて直ちゃんは苦笑しながら言った。
その言葉がどういう意味なのか理解するのに時間がかかったけれど
理解した後はすぐに赤くなり一気に青くなった。
つまり、何もの「何」は夜の営みのことで(ここで僕は赤くなる)
次に、「する気もない」ということは僕は恋愛対象として見られていないということだ
(ここで僕は青くなった)
安心やら悲しいやら複雑な気持ちで直ちゃんの家についた。




2004/09/02(Thu)22:54:25 公開 / 深海
■この作品の著作権は深海さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
今回同性愛について取り上げてみました。
その際にもう一度利用規約を読みかえしましたがボーイズラブは禁止だそうで・・
そうならないと思いますが、読んで何か気づいた方がいましたら忠告してやって下さい。
でわ失礼。
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