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『ニンゲンとロボット T』 作者:夏海 蒼 / 未分類 未分類
全角894.5文字
容量1789 bytes
原稿用紙約2.65枚
T

授業終了のチャイムが響くと、大人しくノートにペンを走らせていた生徒達は、待ってましたとばかりに、一斉にざわつきはじめる。挨拶を終えれば、もう自由時間。教室はうってかわって、生徒達の無法地帯と化す。
そんな中で読書をするのは、並大抵の事ではない。雑音が嫌でも耳につき、知識の向上を妨げる。かといって、わざわざ移動するような余裕はない。校内はどこでも同じだろうから、移動するだけ時間の無駄だ。
千歳は、いつもそうやって割り切る事にしている。雑音も、多少の邪魔も仕方がないのだ、中学校とはそんな所なのだ、と。いつまでもうだうだしていては始まらない。本が読みたければ、他の事は何も考えず、本だけに集中すればいいのだ。しかし、タイミング悪く、クラスの中でもタチの悪い、二人のクラスメイトが、千歳の肩をぽんぽんと叩いた為、千歳の集中はぷつりと切れてしまった。
「千歳、いつも本ばっかり読んでるよね」
「友達いないからでしょー」
二人はケラケラ笑いながら、お決まりの言葉を口にする。慣れたものだ。
「友達なんていなくてもいいの。あたしは自分を高めたいだけ」
千歳が冷淡に言葉を返すと、二人は顔を見合わせ、フンと笑った。
「そんな事はどうでもいいの。それより、もらってほしいものがあるんだけど」
二人のうちの一人はそう言って、先程から後ろに隠し持っていた、黒い封筒を取り出した。そして、もう一人と顔を見合わせ、あからさまにニヤリと笑うと、その封筒を机の上に置いた。
「千歳なら、こんなの怖くないよね」
「まさか、他の人にまた回しちゃったりはしないよね」
二人組は相変わらずニヤニヤ笑っている。千歳が何も言わずに、封筒を机の中にしまいこむと、二人組はしてやったり、と言った顔で微笑み、グループの方へ戻っていった。時折こっちにちらりと目をやり、クスクス笑っている所を見ると、封筒の中身はあまり良い物ではないだろう。あの連中の前で封筒を開けるのは、やめておいた方が良さそうだ。それよりも、無駄に過ぎてしまった時間のロスを取り戻さなければ。
千歳は大きく溜息をつくと、再び、分厚い本に目を落とした。


続く… かな?(苦笑
2004/08/27(Fri)01:27:01 公開 / 夏海 蒼
■この作品の著作権は夏海 蒼さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
初めまして。
今までは素敵な作品を読み漁っているだけでしたが、
今回、勇気を出して初投稿です(笑
拙い作品ですが、読んで頂けると嬉しいです。
感想・批評よろしくお願いします。
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