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『不思議なブリキの店』 作者:ヤシの実 / 未分類 未分類
全角2206.5文字
容量4413 bytes
原稿用紙約7.95枚
 どこの町にでもある様な街角。
そこの、とある中学生。彼が、いつもの帰り道を歩いていた。
 ふぅ、とため息をついた、といっても、彼は嫌な事がある訳でもない。
彼は、とてつもなく『暇』だった。
 理由は、『部活に所属していない事』だった。
部活に所属していない理由というのは、彼は手先が器用なわけでもなく、運動も
できる訳ではなく、そして何より、彼は『疲れる事』を何より嫌だったからだ。
 しかし、家にいても、特に面白い事はなかった。むしろ、楽しくはなかった。
母親が『勉強しろ』の一点張りだったからだ。
 家に帰っても、いつもの様に、『勉強しろ』だろうなぁ。
そう思いながら、いつもの帰り道を、なんとなく見回す。
 今まで気にもしなかった、ビルの間のむこうに、小綺麗な店があった。
裏路地に入る分類の位地にあるな。大丈夫か?
考えるよりも早く、自然とそっちに足を進めていた。
じめじめとした、ビルの間を歩く。両側のビルが大きく、なかなかそこに辿りつかなかった。彼は、それがかなり長く思えた。いや、実際にもの凄く長かったのだ。
 ビルの間を抜けると、周りは『裏路地』と思えないほどに明るかった。
周りには見向きもせず、一番にその店の前へ来た。
 店は、大きい訳ではなく、こぢんまりとした、店で、外は白い壁だった。
だが、見かけとは対照的に、中は木でできた、こげ茶色だった。
 ガラスのドアのタブを回す、すると、中から木の独特な香りがした。
中に置いてある物は、どうやら昔のブリキでできたおもちゃ、電動のブリキがたくさん並べられていた。大きな物は二メートルを越した物があり、小さなものでは、五センチ程の物もあり、ブリキの時計、車、飛行機等、たくさんある。
「おや、珍しい、お客さんかね」
ふいに声がし、そっちへ急いで顔を向けた。
「あーあー、そんな驚かんでもいいよ、一応店主の者だよ」
その声の主は、腰が軽く曲がり、手にはパイプを持った、男の老人だった。
「あ・・・お邪魔してます」
彼は言い、軽くお辞儀をする。
「可愛らしい、お客さんだね」
老人が棚の上を見て言った。
 誰にふってるんだ?と思うより早く、にゃーお、というネコの声がした。
ネコがいたのか、と思いながら、ブリキの方へ眼を戻した。



☆★☆★



 一通り、眼を通し終えると、彼は何時間経っただろうか、ブリキの時計へ眼をやる。ブリキの親指が五を差し、人差し指が、四十五分を差していた。
そろそろ帰らなきゃな、と思い、彼が一番気に入ったサルと木の時計を持った。
 それは、時計の針にサルがぶら下がった物だった。
一時間毎にうきー、という様な金属音がする、ちょっとヘンな物だった。
「これ頂けますか?」
パイプをふかしていた老人がその時計へ眼をやる。
「ああ、それかね。ええ、いいですとも。持ってきて下さりますかな?」
はいと彼は答え、老人のほうへ持っていく。にゃお、ネコが一鳴きする。
「それは、八百円だよ」
彼が、ポケットへ手をつっこむ。
カサ、という紙の擦れる音と共に、千円札が出る。
 その千円を老人に手渡すと、老人はそれを木でできた机の、ブリキでできた、箱へ入れ、カチ、カチとゼンマイを回す音がする。
 机の真ん中に穴が開き、ブリキの銀色の箱が見える。
彼は眼を見開いて、それを凝視というべく眼で見つめた。
「すご・・・い・・・ですね」
はは、と老人が微笑み、パイプを口にやる。
彼は少し何かをためらうような仕草が見えたが、そのお釣りを受け取る。
「お客さん、時間はあるかね?」
老人優しい声で、話し掛けてくる。
「えっ、ええ、少しだけなら」
 それを訊くなり、椅子から立ち上がり、机の後ろのドアへ歩くと、彼を呼び寄せる様に、指をくい、くいっと動かす。
「?」
不思議そうな表情で彼が早足で、老人の後ろ側へ立つ。
「じゃ、いくよ」
ガチャリ、とドアのタブを回し、老人が中へ入る。
 ハアっ、と彼が感嘆の息を漏らし、数分眺め続けた。
ドアの向こう側には、人間が二人乗れる位の、飛行機があった。
といっても、ほとんどがブリキなのか、コックピットが物凄く小さい。
「これって・・・」
ああ、老人は応え、
「飛行機だよ」
と懐かしむような声を漏らす。
「これって、飛ぶんですか?」
彼は、何も考えずに頭が思ったダイレクトな言葉が口から自然と出た。
「ああ、一応はね」
「す・・・ごい・・・。いつか、飛ぶのを見さしてください!」
期待に満ちた声が彼から発せられる。
「ああ、いいよ。いつか、飛ばしてあげよう」
「ありがとうごさいます!」
「おお、もうこんな時間か」
老人が腕時計を見る。彼もさっき買ったブリキの時計を見ると、今は七時を差していた。
「あ、やっべ。帰ります」
彼が、ブリキの時計を鞄に入れる。
「ああ、はいはい」
「では」
言うなり、一目散に家を目指して彼は、帰った。



★☆★☆



次の日、の放課後、昨日と、同じビルの間をふと見る。
「・・・?」
昨日と光景が違った。その空間には、じめじめとしたビルの向こう側。
そこには、すぐに壁があった。
急いで、そこへ彼は走った。できる限り全速力で。
 ぺた、ぺた、と壁を触るが、消える訳もなく、そこには壁しか、なかった。
「あれ・・・? 昨日は・・・ここに・・・店が・・・」
と独り言が舌を突いた。
「・・・」




<その後、あのブリキの店を見た者は誰もいない>

2004/07/20(Tue)14:48:06 公開 / ヤシの実
■この作品の著作権はヤシの実さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
短編書きましたー。。
この頃、忙しくて急いでパパッと仕上げた物です。グダグダですみません^^;
感想等、頂けたら嬉しいです。では
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