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『BlackHumor:笑えない冗談』 作者:凹凸 / 未分類 未分類
全角2943.5文字
容量5887 bytes
原稿用紙約11.05枚
〜片道切符〜

誰かに突き飛ばされた時、疎外感ってものを感じないかい?


フッと気が付く。線路を走る音、中吊り広告。電車の中のようだ。
良く覚えていない、電車に乗ったんだよな・・・・?
これから出勤だ。仕事の開始は九時。これなら間に合う。
・・・・出勤時間にしては人の少ない電車だ。
五、六人しかこの車両に乗っていない。
時間は・・・八時半。通勤ラッシュは終わっていない。
人も・・・変だ。疲れきった顔のサラリーマンはいない。
安らかな表情か絶望の表情。それしかないのだ。

可笑しい・・・あきらかに可笑しい。
何かが違うんだ。変だ・・・ココは変だ。

不安な気持ちを乗せて列車はひとつめの駅へ到着する。
ドアが開く。

ドアの開く音と共に入ってきたのは老人。そして・・・一六歳ほどの青年。

ドアが閉まる。

二人は私の横に座った。
何やら会話をしている。
・・・こんなときに聞き耳を立てるのが人の悪い癖だ。
「いやあ、本当に良い人生だったよ。息子娘、孫に看取られて本当に最高だった。八十四年の人生、もう悔いは無い・・・・」
「それは良かった。ところで、逝き先の件ですが・・・」

・・・・どういう事だ・・・・あの老人は死んだのか?
ボケているだけ・・・いや、違う。とてもボケ老人の言っている言葉ではない。ハキハキと、しっかりした口調。これは・・・本当だ。
ということは・・・・まさか・・・・・俺は・・・
逝き先・・・・まさか・・・
いや・・・そんな・・・・

車内に一人の男が入ってくる。車掌だろうか?
温和そうな顔をしている。
車掌らしき男はこちらを向いた。
「おや、あなたには担当者がおらっしゃらないのですな。おい、君!」
向かいの席に座っていた商社マン風の男が近寄ってくる。
「担当者が不在みたいなんだ。プランの方の話し合いを彼と行なってくれ。」
「かしこまりました。」
私の横に商社マン風の男が座る。
「私、プランナーの鈴木でございます。以後おみしきりを。」

「・・・・・ざけるな」
「・・・はい?」
「ふざけるな!!何だここは、何の真似だ!!」
「ああ、状況の方がまだ良くわからないのですね。ではご説明いたします。」

鈴木の説明は、私を落胆させる、いや、信じ難い物だった。

「ご説明致します。あなた様は死んだのです。午前八時二十五分、白線の外側に落下しそうになった初老の男性を助けた際――――」

あのとき・・・・私は・・・・
「・・・・そんなバカな!ありえない!夢だ・・・これは夢だ!」
「いえ、これは現実ですよ。あなた様の手を御覧なさい。」

・・・透けているのだよ。私の手は、透けていたのだ。

思い出した。全てを思い出した。
私は線路に落下しそうになった男性を助け―――線路に落ちた。線路に上ろうとした私は何者かに再び突き落とされ・・・・電車に・・・・

「――――様?大丈夫ですか?」

「あ・・・ああ。では、私は死んで・・・天界行きのこの列車にいる、と。」
「ええ。そういう事です。次にあなた様の逝き先ですが・・・」

まだ信じられない。信じることができない。

ドアが開く。駅のようだ。
無理矢理連れ出されていく男を私は覚えていた。
「・・・彼は・・・」
「先日死刑になった新宿連続爆破事件の犯人です。彼は地獄駅で下車、裁きを受けるのです。」

・・・・なんてこった。これは現実だ。

「・・・・わ・・・私はどうなる!?地獄に落ちてしまうのか!?」
「いえ、ご安心下さい。」
鈴木によると、私は現世で特に目だった悪行は行なっておらず、これなら天国に逝ける、だそうだ。

そして頭をよぎるもう一つの不安。
「・・・妻は・・妻と子供たちは!?」
「ご安心下さい。我々の方で資金の遠隔的バックアップを行なっております。どうぞ、ご心配なさらずに。」
「・・・そうか・・・私が現世にいる必要は・・・もう無いのか?」
「・・・・仕方の無いことですが、そういうことです。現実を受け入れてください。」


「・・・見えてまいりました。あちらが天国駅でございます。」
減速する車両、開くドア。降りるのは私と・・・先ほどの老人。
「おや、あなたもこちらですか。」老人が問う。
「ええ。」私が答える。
「時代を作るのは新しい人間なのです。古い人間はこうして、違った世界で生き、再び現世に戻る。輪廻転生の意味がやっとわかった気がしますよ。」
「ええ・・・死後の世界も、捨てたものじゃないでしょう。私達にはどんな未来があるのでしょう?」
「さあ・・・行ってみれば、わかるんじゃないでしょうか、ね。」

死とは、人間が新しく生まれ変わるための新しい第一歩である。これは、終わりではなく始まりなのだ。











「・・・・鈴木君」
「なんでしょうか、車掌さん。」
「本当のことを言わなくてよかったのかい?突き落としたのは彼の奥さんの使いで、保険金が目当てだった、という事。これは全て仕組まれた計画殺人だった、ということ。」
「まあ・・・・・『知らぬが仏』という言葉もあるでしょう。」


〜fin〜



















〜拡大する〜

誰かに感化されて何かを行なうことは悪いことじゃないよ。いいことでもないけど。

「じゃあ、ものもらいが酷くなって目が見えなくなったの?」
「まあ・・・・うん。でも、主治医の先生はすぐに良くなるって言ってたよ?だからそんなに心配しないで?」
消毒の匂い、白い壁。待合室の人々に、杖で歩いている僕。
横にはクラスメイトの女の子。
「なら・・・いいけど。」
「あ、それとさ。」
「ん、何?」
「退院したらノート、見せてよ。もうすぐ高校受験だしさ、期末も近いし――――」

「ふざけるな!!」
待合室に響く低い声。目を向けると・・・何かあったのだろうか。
若い男と医者が話をしている。
「ただの捻挫だろ、どういうことだよ、緊急入院って!!」
「ですから、捻挫の部分が悪化していて・・・」
「御託を並べるな!!もういい、帰るぞ!」
「お待ち下さい、お話だけでも!!」

「・・・・びっくりしちゃった。いきなりあんな声で怒鳴るんだもの・・」
「確かに。あそこまで怒鳴ること無いんじゃないかな・・・・?」
・・・男の人はしぶしぶ診察室へと連れていかれていた。
・・・その時はまだ気づいてもいなかったのだ。

こ れ が 悪 夢 の 始 ま り だ っ た 。    

翌日。
朝から病院は慌しく、いつもの巡回も無かった。
昼ごろ・・・・だろうか。昨日の彼女がノートを届に来てくれた。
これはその時の会話。

「慌しいけど・・・何かあったのかな?」
「んっと・・・それがね・・・」
「・・・??」
「昨日待合室で騒いでいた人が・・・・死んだって。」
「・・・・・え?」
「全身の血を抜かれて・・・・死んでたって。刑事さんたちが話してたの・・・聞こえたんだ。」
「・・・そんな・・・」
「それと・・・」
「ん?」
「遺書が可笑しかったって話もしてた。『地下1回には近づくな』っていう内容だったらしいの・・・」


この病院は全七階。
1〜6階・・・そして、地下1階。
たしか地下1階は立ち入り禁止。
・・・・地下1階にあるのはなんなのだろう。
屍と化した彼は誰に殺されたのだろう?
・・・何のために殺されたのだろう。
2004/06/27(Sun)11:07:42 公開 / 凹凸
■この作品の著作権は凹凸さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
どうも、凹凸(おうとつ)です。
この作品が処女作、ということになりますが、うーん・・・小説とはなかなか難しい物ですね。
さて、この「片道切符」ですが、『BlackHumor:笑えない冗談』という大きなカテゴリのなかの一作品、という形で理解していただけたら幸いです。ご指摘を元に、多少修正してみました。


そして、第2話『拡大する』を書き始めました。『心情変化を書き入れた方がいい』『短すぎる』などのご指摘がございましたので、今回は長めに、スケールの大きなBlackHumorをお楽しみ頂きたいと思います。
以上、凹凸でした。
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