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『少年呪符師 朝吹参る!』 作者:水風 青葉 / 未分類 未分類
全角2316.5文字
容量4633 bytes
原稿用紙約7.7枚
      〜プロローグ〜



 彼は目の前のその光景が信じられなかった―――。
 先程まではしゃでいたこの子供は、あろうことか、あの無数に居た妖(あやかし)をほんの数秒で祓ってみせたのだ。
 ―――ただの子供ではなかったのか?
 「お前…何者だ…?」
 額に眼を持つ人形(ひとがた)に近い青い鬼は、自分より何倍も小さな子供を訝るように見つめた。
 するとその子供はくるりとこちらに向き直り、にっこりと笑った。
「鬼さんとっても弱いから、ボクが守ってあげるよ」
「は?」
 最初鬼は子供に何を言われたのか分からなかった。だが少しして呑み込めた。自分はたかが人間の子供に弱いと馬鹿にされたのだ。
 鬼の腸は煮え返った。 
「図に乗るな!まだ物心もつく前の、貴様のような餓鬼よりこの俺が弱いというのか…!!」
 鬼は鋭くその子供を睨め付けた。だが、子供は特に脅えた様子も無く、しれっと言った。
「うん。そうだよ。ボクより鬼さんの方が弱いよ」
それどころか、また笑顔を見せる始末だ。
 鬼は益々腹を立てた。
「……て…ろ」
「へ?」
子供はその声がよく聞こえなくて首を傾げた。
 鬼はそれに応えるようにもう一度だけ低い声で怒鳴った。
「俺のどこが弱いか言ってみろ!!」
 大人気ないことは十分承知していた。だがたとえ何百倍も年下の子供が相手でも、最強とまで呼ばれる自分を弱いと笑って侮辱することは、どうしても許せなかったのだ。
すると子供は、しばらく「う〜ん」と考えてから「うん」と勝手に何か納得して頷くと、相変わらずにこにこした顔で鬼の問いに応えた。
「あのね、鬼さんは――」


*************************************************

       巻の一「少年呪符師」


「いいか、コウ。いくら十四歳の思春期でも、相手が女なら誰とでも寝ていいなんて思っちゃいけねぇぞ。とくに!幽霊とかそっちの類のもの!あれは絶対駄目だからな。噂じゃあき持ちいいとか言われてるけどなぁ、あれは魂連れてかれてるだけなんだ。だから間違っても霊とだけは駄目だからな!」
 黒猫は二本の尻尾をひょんひょんと揺らしながら、単(ひとえ)に青い馬乗り袴姿の少年に親切に教えてやった。
 コウと呼ばれたその少年は、素直に頷く。
「うん。それは十分心得てる」
「でも…」と、コウは自分の言うべき事を言って満足したのか、のんきに顔を洗うその猫を見下ろした。
 この猫には先に言ったように、尻尾が二本ある。さらにしゃべることからしてただの猫でないことは明らかだ。そう、彼は実は妖猫なのだ。一見とても可愛らしいのだが、口は悪いし寝相も悪い。だがコウがそれよりもっと許せないのは――。
「あのさ、八雲(やくも)?俺の名前はコウじゃなくて功(なる)だって何度言ったら分かるのかなぁ……」
 コウは…正確に言うと「コウ」と呼ばれる少年、本名―朝吹 功(あさぶき なる)はやはり小声でそう言うと、夜叉の如き形相で「八雲」と呼んだ猫を睨みつけた。
 八雲は「は〜」と溜息を一つつくと、器用に後ろ足で立ち上がり、前足を「チッチッチ」と横に振った。
「分かってねぇなぁ。名前なんて呼ばれちまえばそれがそいつの名前になんだよ。ほら、彼の大陰陽師安倍清明だっていってたじゃねぇか。名前は短い呪だってな」
 そう言うと彼は可愛らしくウィンクした。
 ブチリッ
 功のなかで何かが音を立てて切れた。
「何勝手なこと言ってんだよ!俺は…!誰がなんと言おうと……コウじゃ
なくて功だ――――っ!!!」
そう馬鹿でかい声で叫んだ。
 すると彼らのさらに隣でその様子を見守っていた金髪碧眼の見目麗しい青年が、「ついにやっちゃったか」と肩を落とした。
「功。大丈夫。お前をコウなんて呼ぶのは八雲だけだよ。それにそんなに大声出したらせっかく隠れているのに敵に居場所がばれてしまうだろ?」
「出雲(いずも)がそう言うなら…」
功は仕方なく止めに入った青年出雲のいうことを聞いて口を噤んだ。
 それから一拍おいて…
「もうばれてるけどね」
出雲がぼそりと言った。
「はい?」
なんだか嫌な予感がして顔を上げると、
「なっ…!」
そこには髪の長い白いワンピース姿のわりと美人な女性が居た。
 今は五月。それも夜だからまだ肌寒いというのに、彼女が着ているのは半袖のワンピースだ。それに顔も紙のように真っ白。
 功はおそるおそる八雲に訊ねた。
「ね、ねぇ。きょきょ、今日、俺たち…何しにここに来たんだっけ…?」
すると八雲はわざとらしく深い溜息をついた。
「おいおいしっかりしてくれよ。お前の脳みそはスポンジか?ほんの数時間前のことを忘れちまうなんてくぅぅぅなさけねぇ…ぐえ!」
 功は八雲の首をむんずと掴み、ほんの少し力を込めた。
「いいから言え」
「はぃ…」
八雲は「コホン」と咳払いをすると説明しはじめた。
「いいか、俺たちは当主さまの命令で、この工事現場に夜な夜な現れては悪さをするっていう女の霊を鎮めに来たんだ。思い出したか?」
 ――ああやっぱり…!
「つ、つまり…」
「そこに居る女性は間違いなくその幽霊だってことだな。――ていうかお前たち悠長だな。敵が近くに…いや、目の前に居るのに」
「お前のほうが悠長だろ!」とツッコミたくなるくらい冷静に出雲が言った。
 コウはそれを聞いて、もう一度女性の方を見た。
女性はにやりと口元を三日月形にして笑っているが、その目は全く笑っていなかった。
 功は「ス〜〜〜」と息を肺に溜め、叫びと共に一気に吐き出した。
「No―――――〜〜〜〜!!!」
静かな夜の空に、その声は高々と響き渡った。





2004/05/02(Sun)18:23:18 公開 / 水風 青葉
■この作品の著作権は水風 青葉さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
第二作目をつくりました。とは言っても時間の都合で途中ですがちょっとここまで。前作はとっても暗い話だったので明るく進める予定です。とくにしゃべる猫八雲の感想を聞きたいな。
これからご感想お待ちしております。
次回やっと呪符を使います。
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