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『毒林檎ガールズ』 作者:洋子 / 未分類 未分類
全角2772文字
容量5544 bytes
原稿用紙約11.05枚
生きるために成し遂げること。
死ぬために達成すること。




貴方は、できますか?







―ONE―


「ユカ!!宿題やって来た??見せて見せて!!」
「ユカ頭いいじゃぁん!!特に数学なんか。」
「いいなぁ〜ユカは。」

クラスで口々にかかる声。
かけられる側は、これはほめ言葉になるのか、嫌味になるのか。
まぁ、ユカは私じゃないけども・・・。


私は 櫻。
本名の櫻と言う文字は難しいので、皆、桜と書く。
何で櫻って名前になったのか、親もいない、孤児院で育てられた私にはわからない。施設を出て、大企業の子供のいない社長の養子となった。
頭のワルい、冴えないという女の私。
誰にも素の自分を見せたくなかった。見せたらオワリ。


彼女は ユカ。
珍しく片仮名の名前で笑うと笑窪ができる女の子。
可愛くはないが、私と一緒で、親がいない。今は叔母の家に住んでいるらしい。頭が良くて冴える。私と逆タイプ。ありがち。


こんな私達。似てない同士。


「毒林檎ガールズ」
というバンドを結成している。
ダブルボーカルで、ありのままに寂しく孤独に詠う。
2人いるのにソロで活動してる感じ。
ユカと喋るのも、1週間に2回位。バンド組んでるのか分からないくらい喋らんし。

鄙びた窓に当たる日差しがカーテンから漏れて顔に当たる。
目をやるとふと、ユカと目が合う。

ユカは見つめる。
あたしだって負けずに見つめる。



見つめられて
見つめて。




規則というレールから暴走してはみだした2人。
行き先なんて、ない。
新しい男の腕の中でもいい、
布団に包まってでもいい、
自分で孤独を感じてもいい。



今夜は互いの事を忘れよう。

ギターの弦を切ってもいい。
ドラムをぶち壊してもいい。


毒林檎を食べたような、あの瞬間を。













―TWO―


「櫻、私のデータによると櫻のハスキーボイスでは無理。インディースデビューも儚く果てない夢で終わってしまうよ。だから私一人ボーカルで櫻は、ギター上手いんだから、ギターで行こうよ。毒林檎ガールズは。」

「ユカ、ユカの歌唱力は小学生のカラオケにも及ばない。合唱のテストで下手で最後まで歌ってたのは何処の誰だっけ??」

また始まったよ。二人の争い。
あぁでもないこうでもない何て言って。


クラスメートによく聞かれる。何で櫻とユカがバンドを組んだのか。


―1年前―

私、櫻はこの春見事志望校に合格した。
初めて見る仲間。友達。先生。先輩。何もかもが新鮮で飽きない。
こんな平凡校だけど、斬新な生活に私は思う。
ただ情けない授業を右耳から聞き、左耳からそれが出て行ったとしても、
隣に、マキが居てくれたから。楽しかった。

マキは軽音部に入っていて、そりゃぁ歌が上手かった。
3オクターブ出るとかと言う声。私も一緒にカラオケに行って聞いたときビックリした。
マキは中学からの友達で、私が一番ダイスキで半径3メートル以内にいないととてつもなく孤独にさせられる存在だった。
体のあちこちに穴が開いていて、その穴を塞いでくれる存在=マキだった。
マキは私の孤独を解消してくれた。だから私もマキの笑顔を何回も見られるように頑張った。

マキと私は、バンドを組んだ。
マキは「櫻じゃないと、私ダメな気がする。組もう??」



―櫻じゃないと、私ダメな気がする。―


マキは私が居ないとダメなんだなぁ・・・・・・何て思うと心に淀んでいた小さな物体がダイヤモンドのように、キラキラ輝く。


―私も、マキがいないとダメ―


「死んでもいいくらい、頑張るよ。後悔はさせない。」


カラオケしか行ったことのない私が頑張った歌。
マキと低音高音でハモる。
情熱が失われてそこから、微かな絶妙なコンビが生まれてきた。

文化祭でも1曲だけだけど、二人で歌った。

マキが作詞作曲をした「白雪姫」
歌詞がストレートだった。ストレートを投げて、ホームランを打たれたような後悔、残り、が残る感じ。

文化祭では大成功を期した。クラスメートにも大人気になった。
あるクラスメートの愛が、

「ねぇねぇ、櫻、マキ!!あの歌最高だったよー!!でさぁ、二人のバンド名は何なの??うちら二人のバンドのファンクラブ作りたいんだけどなぁ。」

マキがゴクリと息を呑む。そして口を開く。

「私達、白雪姫に立ちはばかる壁でいたい。美しいものに加わる醜いものになりたい。だからバンド名は・・・・・・ね、櫻!!」

私に話が振るとは思わなかったけど、マキの話と聞いてると妙に納得する。
右耳に二個空けたピアスの穴から風が通る。

私は、マキの要望に答えた。

「バンド名は 毒林檎ガールズだよ。」


緊張だけが胸に染み付いた。笑顔が無くなる。一言言うだけで汗だく。


「毒林檎ガールズ?!いいねぇ!!じゃぁ早速うちら作るね!また、感動させてよ!」
愛はそう言って、グループの中に入っていく。
―毒林檎ガールズ。―いいじゃん―

美しいものには醜いものがつき物。それが私達。
醜いものには美しいものがつき物。それが私達。


そんな私達に醜いものなりの悲劇が起きた。


大雨が降る部活帰り。私は帰宅部だったし今日はたまたま熱があったので学校を休んだ。振ってくる雨。雨。雨。
ピンと嫌な予感がした。しただけなのに、5秒もたたないうちにベットから体を出す。

携帯の着信音が鳴る。鳴る。

「もしもし?櫻です。」

「あ、櫻?!ちょっと・・・・・今総合病院にいるんだけど、」
声の主はクラスメートの愛だった。声のトーンが下がっているのに私は嫌な予感がした。

「何かあったの??」
恐る恐る聞いてみる。嫌な答えが出ないように必死に祈る。




「今、学校の前の交差点で、マキがっ・・・マキが!!」

愛の応答を聞いて、マキに何かあったんだと思った。
もうその時点で電話を切った。ただ今はマキに会いたかった。
熱の熱る体にカーディガンをきせて、雨の中走った。
これが今私のするべきことだったから。

髪がぬれたって、カーディガンが濡れて体が透けたって構いはしない。
今、毒林檎ガールズはヤバいんだ。マキ。ヤバいよ。


学校の近くの総合病院に辿り着いた。救急車のサイレンと、なぜがたくさんの車が来ていた。嫌な予感だけがした。怪我をしたのかな。マキ。

自動ドアの門を潜る。すでにそこに愛がいた。マキの両親もいた。マキのカレシ、元カレ数名さえいた。軽音部の部長らもいた。先生もいた。

「愛、マキは??何処なの?!ねぇ!!早く!!」
焦る私はまるで、何も考えていない鮫のようだった。

愛の口が静かに開く。

「マキ、学校の前の交差点でトラックに跳ねられて・・・・・・死んだ。」

その一文が言い終わった直後、マキの母親と愛は「いやぁー!!」と言って泣き出した。崩れたもがいた。


「マキが・・・・・・死んだ・・・・・・?」

2004/04/29(Thu)19:30:07 公開 / 洋子
■この作品の著作権は洋子さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
バンド物語って感じです。
性格も違う2人が、毒林檎ガールズというバンドで見つめなおすという感じでいきたいと思います
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