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『猫と.1〜7』 作者:九邪 / 未分類 未分類
全角5710.5文字
容量11421 bytes
原稿用紙約18.9枚
 
「マジかよ……!?」
俺は学校帰りの道の途中、裏山で3つの光りの点が目に入った。明らかに松明とかそういうのとは違う。何か神秘的な感じがする。
俺は好奇心に負けて自然に裏山へ歩を進めていた。
そのとき不思議と今日の学校での会話が思い出された。


1話.猫と同棲!?


昨日学校にて
「やぁ雅人。健やかなる眠りからお目覚めか?」
「……眠い」
俺は白峰雅人(しらみね まさと)八重(やえ)高校の1年生だ。今朝、学校で寝ていたのに隣の工事現場のせいで起こされてちょっと不機嫌だ。
今俺に話しかけてきたのは黒峰猛(くろみね たける)。名字が似ているので始めて会った時から何か気があった。
こいつはなぜか宇宙人やら、妖怪やらそういう系の話が好きな男だ。けど友達思いのいい奴だ。親友。そう呼べる間柄だと思う。
「ねぇ、昨日のテレビ見た?」
「……何の?」
俺はぶっきらぼうに答えた。しかし、猛は興奮しているようでまったく気にもしない。
「あれだよ。『怪奇・日本の妖怪ベスト20』だよ。」
「何だそのいかがわしい番組は?お前、いい加減その世界から足を洗った方がいいぞ?」
「なにを!お前なぁ、本当に妖怪ってのは居るんだよ?ただ僕たちが気付いていないだけさ」
「お〜い『白黒コンビ』。何話してんだ?」
「「その名前で呼ぶな!」」
俺と猛が同時に言った。俺たちはその名字と仲のよさから『白黒コンビ』と呼ばれている。俺と猛はあまり気に入ってない。
「なんか用か?良」
烏良一(からす りょういち)通称:良。ちょっと変わった名字のこれまた仲のいい友達だ。こいつは学校一の情報通でいろいろと便利な存在だ。こいつは大の女好きで、学校中の女に声をかけている。しかし、あまりもててはいない。俺のほうがもてるくらいだ。
「まあまあ、そう言わずにさ。いい情報があるんだよ。なんと、あのお堅い1−4の宗方が告白するらしいんだよ。相手はあの3組の木下だぞ!」
「マジかよ?宗方がねぇ。しかも、木下とは……」
「そんな事よりさっきの話しの続き!」
「あぁ、悪ぃ悪ぃ……」
内心、チッと舌打ちした。こいつのオカルト会話は長くなる。だからさっき、良が会話を途切れさせてくれた時は「よっしゃ!」と心で万歳したくらいだった。
「だからだねぇ、妖怪と言うのはいつも僕たちの近くにいるのだよ。ただ僕たちが気付かないだけ。たとえばそこらへんの猫だって、化け猫かもしれないし。教室の壁でさえヌリカベかもしれないんだよ?」
「まさか〜。そんなわけないだろ。それだったら、あの校庭の二宮金次郎も動いたりするのか?」
俺と良は笑った。猛はすねたように顔を膨らませた。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「おいおい……冗談だろ?」
俺が裏山で見た物は、明らかに普通の猫より2倍ほどでかい猫だった。
それだけならまだ良いにしても、なにやらぼんやりと青白く光っていたし、なんか空飛んでるんじゃねぇの?って思うくらいジャンプしたりと、確実に普通の猫と違った。猛、スマン。お前の言うことをもっと聞いておけばよかった。たとえば化け猫の倒し方とか。もし生きて帰れたら、明日、猛に謝ろう。そのうち2匹が1匹に襲い掛かっていた。ヤバイ状況だと思う。2匹の猫が1匹の猫を追い詰め、今にも飛び掛ろうとしていたのだった。
俺はとっさに助けに行った。
「ヤメロ!」
俺は飛びかかった猫と、追い詰められた猫の間に入った。その猫は止まらずに俺にぶつかってきた。俺は吹っ飛びがけ下に落ちていった。俺は意識が遠くなっていった――

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


次の日、俺は何食わぬ顔で学校に来ていた。
「ふぁ〜。眠い……」
「君はいつも眠い眠い言っとるのぉ」
大きな欠伸をした俺のもとに猛が来た。なんか変な口調だ。じじくせぇ……
「しかも、何?その顔の引っかき傷は?猫にでもやられたの?」
「あぁ……化け猫にね……」
俺は顔に無数にある引っかき傷をなでる。触れるとまだ少し痛かった。
「何!?雅人、遂に君も妖怪に目覚めてくれたか。くぅ、この日のために切々と君に妖怪の素晴らしさを伝えた甲斐があったよ。思えばそれは僕たちが始めてであった頃からか……あのときの君は――」
猛は俺が妖怪に目覚めたと勘違いして、その嬉しさの余りなにやらブツブツと喋ってる。今話しかけても無駄だ、と思い、俺は良のところに行く。
「おい良、何見てんだ?」
良は自分の席でノートを見ていた。こいつは貴重な休み時間に勉強するタイプじゃないので俺は尋ねてみた。
「んあ?あぁ雅人か。これはな『良一特製・八重高の全て』と言う俺の情報誌だ。これに俺の全ての情報が書き込んである。全校生徒のテストの点から、校長のカツラ疑惑の真偽まで全て、だ。」
「マジで!?すげぇな。で、校長はやっぱりヅラなのか?」
「おっと、お客さん。ここから先はこれもらわないといけねぇな」
良は右手の親指と人差し指を合わせ円を作る。ようは金よこせ、てことだろう。
「どうだい?お客さん。気になるあの子の好きな人。お安くしとくよ?」
「別に俺はこの学校に気になる女なんていねぇよ。」
俺がそう言うと、良はつまらなそうに舌を鳴らす。
「なんでぇ。お前それでも高校生か?もっと青春しろよ」
「大きなお世話だ!」
「………ところでお前その顔の傷はどうしたい?」
「ん?あぁ、ちょっと化け猫に襲われてな」
「何ー!?雅人、お前まで猛と一緒のオカルトブラザーズになっちまったのか?……なんて事だ」
良は口ではガッカリした様子だったがノートに今、俺が言った事を書き込もうとしているのを俺は見逃さなかった。こいつは何か面白いことを知ったら次の日には学校中の生徒が知っているというくらいい降らす奴なのだ。俺は慌てて「冗談だよ。」といって止める。
「―――と言う訳で、僕と君が妖怪好きになったのは運命であって……て、あれ?雅人ーー?」
猛はまだ一人で話し続けていたらしい、今ようやく俺がいないことに気付いたようだ。


「ただいまー」
俺は家のドアを開け、中に入る。
俺はこの高校に入るため上京して独り暮らしをしている。あ、故郷から来た妹の白峰明菜(しらみね あきな)もいるから二人暮らしか……。妹は俺が言うのもなんだが、かなりのお兄ちゃん子で俺を追っかけて家出当然で俺の家に転がりこんできた。妹は中学1年、今は学校に行っている。なら、何で家のドアが開いてるのかって?泥棒?違う違う。まぁ入れば判るって。
「お、雅人。帰ってきたのか」
「あのなぁ、せんべい食いながらテレビ見てんじゃねぇよ」
「いや、この“てれび”なる物が面白くてな。」
家の中には一人の小柄な可愛い女がいた。せんべい食いながら寝ながらテレビを見ている。おばちゃんみたいだ。
こいつは俺の彼女でもなんでもない。ていうか人ですらない。まぁ、途中だった裏山での出来事を話してやろう。


「うぬ、目が覚めたか?」
俺は目を開けたら、目の前には猫がいた。さっきの猫か?どうやらこいつが手当てしてくれたらしい。ん?手当て……?しかも、喋っ…た…?
「ギャーーーーー!!!!!!!!!!!ね、ねね、猫がーー!!」
猫は少々俺の声に驚いたようだが、やがて、叫びまくってる俺に目掛けて一発パンチを御見舞した。これが猫パンチか!!
「落ち着け、このたわけが!」
俺は猫のなんともいえない威厳に押されてピタッと静まった。
「私は『猫又』という妖怪だ。かれこれ200年ほど生きておる。さっきひょんなことから、仲間に襲われての……もう、猫又の里には戻れん。主は私を助けてくれた。よって私もお前を助けた。」
俺は次第に落ち着いていった。猛の妖怪話がなかったら気絶していたかもしれない。猛に感謝……するべきなのか?
「私は仲間を裏切り里を追われた。そして、禁じられている人との交流もしてしまった。私にはもういくところがない……ではさらば」
俺は猫又の悲しげな背中を見て思わず引き止めてしまった。
「なぁ、よかったら俺の家に住まない?原因の半分は俺なんだしさ。」
猫またはこっちを振り返り少しいぶかしげにこっちを見ていた。「何か企んでいるのか?」と言う感じだったが、やがてこちらに寄ってきた。
「おぬしの目は嘘をついていない。私はナエ。しばらく世話になろう……」
「うん、よろしく。」
猛が聞いたら目を輝かして喜びそうな話だと思った。


「む!雅人。これは何だ?」
ナエは電子レンジをぺたぺたと触っている。
「あぁ、それは電子レンジっていって、物を温める機械さ。」
「ほぅ、人間界は便利だのぉ」
そういえばなぜナエが人の姿をしているかと言うと、ナエは200年生きた妖怪だから人に化けるのなど造作もないとか何とか。服は妹のをやった。
しかし、ナエの人間の姿は俺は心当たりがあった。その人が写った写真をじっと見ていたらナエが気付いた。
「何だ?誰だそれは?」
「あぁ、こいつは俺の幼馴染の加藤弥生(かとう やよい)って奴さ。去年引っ越したんだ。「忘れないでね」ってこの写真くれたんだ」
ナエはその写真を見ていた。どうやら自分と似ていると気付いてないようだ。
「惚れていたのか?」
「バ、バッカヤロー。そんなわけあるか!」
「ニャニャニャニャニャ。赤くなって、可愛い奴だのう」
ナエは猫丸出しの笑い声で笑いながらそう言う。俺はますます赤くなった。
「ただいま〜」
妹の声だ。どうやら帰ってきたようだ。時計を見ると、4時半。ちょうどいつもと同じ時間だ。
「ナエ、妹が帰ってきたから隠れてくれ。飯は後で持っていく。」
「うむ、早くしろよ。」
ナエは俺の部屋のタンスの中で暮らしている。朝飯、夕飯は俺が持っていくが昼は俺は学校にいるので、猫の姿でどこかから取って来るらしい。
「お兄ちゃん、ただいまv」
妹が俺に飛びついてきた。
「こら、重いだろ」
「あ〜失礼しちゃうな。あたしこれでも軽くなったんだよ?」
「へっどうだかな」
「そんなこと言うと、ご飯作ってあげないよ?」
「へいへい、悪かったよ」
「よろしい!じゃあ、ご飯用意するね」
妹はエプロンをつけて台所へ向かった。俺は料理が下手で妹が来るまではインスタント食品ばかり食っていた。だから妹が家に来たのは大助かりだ。

「おい、明菜。今日はちょっと味が薄いんじゃないか?」
俺は妹が作った料理を食いながら不満を漏らす。
「しょうがないでしょ。何でか知らないけど、台所からダシの煮干が減ってるんだから。なんでだろうね?お兄ちゃん食べた?」
「バカヤロー!猫じゃあるまいし、そんな物……」
俺はそこまで言ったとき犯人がわかった。
俺は飯を食い終わると急いで終えの部屋へいった。
「おい、ナエ!」
俺はずっこけそうになった。なぜかナエは俺の漫画を堂々と読んでいたからだ。妹が掃除に来たりしたら大変だった。
「コラー。何でタンスに入ってないんだ!?」
「あんな窮屈なところになど入っておれるか!」
なぜかナエは逆切れした。
「だいたい、お主は飯を持ってくるのも遅いし、タンスは汚いし……む、まさか、私を監禁するのが目的?」
「何だそりゃ?どこでそんな言葉覚えたんだよ?」
こいつは昼間テレビばっかり見てるから自然と覚えたんだろう……
「あ、そうそう。お前台所の煮干食った?」
「………食ってないぞ」
「何だ今の間は……?」
ナエは汗を垂らして、わざとらしく俺から視線をそらした。はい、犯人決定。
「お前って奴はー!!」
「うるさ〜いこのたわけが!!」
こうして俺の顔に引っかき傷が増えていくわけです。どう考えてもナエのが悪いと思うんだけど。
兎にも角も、俺と化け猫の奇妙な共同生活が始まったわけである。


2話.化け猫だけに猫かぶり!?


「お兄ちゃん!早く起きないと遅刻しちゃうよ!」
「あ、あと5分見逃してくれ〜」
俺は部屋から悲痛な声を漏らす。俺は父親に似て朝は弱いし、料理も掃除もからきし。妹は母に似て、全く俺と正反対の性格だ。妹は呆れて溜息を着いてから俺の部屋に入ろうとする。俺はドアノブが回る音を聴いた瞬間飛び起きた。
「ワワワ!明菜。ホラ俺起きたからさ。下行っててくれよ。」
俺がこんなに焦る理由。それは部屋には案の定、タンスから落ちて床で寝ているナエがいたからだ。いくら妹でも兄の部屋に知らない女がいるのを見たらさすがにヤバイだろう。俺はナエを足でつついて起こす。
(ナエ。タンスに戻れ!)
俺は小声でナエに言う。ナエはのっそりとタンスに戻る。
「お兄ちゃん。早く来てよね」
「はい………。行ったか?」
俺はドアを開けて妹が下に行ったのを確認すると制服に着替えた。そして、ナエの服を置いていく。
「早くしないと、猛くんと良一くん来ちゃうよ?私も遅刻しちゃう」
「ハファッヘフ(判ってる)」
俺はパンを銜えていたので変な声が出る。そのとき、玄関から声がした。
「お〜い、雅人!行くぞ〜!」
良の声だ。多分猛もいるだろう。
「ホラ!来ちゃったじゃない」
「いってきま〜す」
俺はパンを銜えながら玄関へ向かった。
「御待たせ」
「ったく、毎度毎度、遅いんだよお前は!明菜ちゃんに迷惑だろ!」
「まったくその通りよ。良一くんの言うとおりだわ」
「お、明菜ちゃんおはよう」
「おはよう。じゃあ、お兄ちゃんよろしくね」
妹はまた家に入っていった。
「うん、明菜ちゃんやっぱり可愛いなぁ。誰かさんの妹にはもったいねぇぜ」
「悪かったな……ていうか明菜に手ぇ出すなよ?」
良は俺の問に何も答えなかった。妹はお兄ちゃん子だけど俺も充分兄バカな様だ。
「あ、そうだ。雅人知ってる?きょう転校生が来るらしいぞ」
「おい、そういう話題は情報通の俺からだろう?」
俺と猛は無視して話しを続けた。
「へぇ、男?女?」
「女の人らしいけど」
「マジで!?楽しみだな。美人だといいな〜」
良がニヤニヤしながら何か想像しているようだ。
「まったく、お前の頭には女の子としかないのか?」
「ない!!」
良はきっぱりと言い放った。ここまできっぱり言われる%
2004/04/13(Tue)17:49:57 公開 / 九邪
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