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『幸福SKY』 作者:Cano / 未分類 未分類
全角4570.5文字
容量9141 bytes
原稿用紙約17.05枚
草の匂いがする
あたしはゆっくり目を開けると
一面に青い空が広がっていた
温かく心地よい太陽があたしの心まで包んでくれてる気がする
どうやら あたしは誠と手を繋ぎながら眠ってしまっていたみたい
「今時こんなデートってありなのかなぁ・・・」
眠ってしまった誠の顔を見つめながら呟く
少し茶色がかった髪。
長い睫に綺麗な二重。
あたしは彼の寝顔を見て微笑んだ
青く澄んだ空に浮かぶ雲を見てるとどうしてこんなに幸せな気持ちになれるんだろう
あたしは子供の頃 ふと寂しくなると青い空を絶えず見ていた
すっかり忘れていた こんな近くにある 幸せ


あたしの両親はあたしが3歳の頃離婚して あたしはママと2人で暮らしていた
だけど別に自分が不幸だなんて思わなかった
ママはあたしを何より一番に思ってくれているし
パパに会いたくて少し寂しくなる時もあったけど
ママのにおいやママの笑顔を見るとそんな気持ち吹っ飛んだ
あたしはある晩 トイレに行くためにベッドからでると
リビングの明かりがついてる
あたしが急いで行ってみると
ママが机にうつぶせになって眠っていた
あたしはそんなママを見て 
自分はママの為にがんばらなきゃって小さいながらに決めた事を覚えてる
寂しくても 泣き言ばかり言わず
わがままも言わないって決心してた
今思うとなんて愛らしいんだろう
自分で言うのも何だけど


あたしが6歳になった頃 
パパとママがあたしの親権をかけて争っていた
6歳以下の子供は 母親のほうが権利を得るのに有利らしいのだが
パパはママの過去の精神科の通院暦や
あることないことを言い
結局あたしは 2年間のママとの暮らしを終えた
パパとの2人きりの生活はとっても幸せだった
だけどあたしが7歳か8歳の誕生日を迎える頃に
知らない女の人を家に連れて帰ってきて
目の前にいるあたしの事なんか見えないかのようで
ものすごく嫌だった
それが一週間に3日くらいのペースになり
そのうち毎日入り浸りするようになった
そうなってくるとあたしの居場所はどんどんなくなっていった
一度パパに
「ママのところへ帰りたい ママのうちへ帰して」
となきながら言ったけど
パパはあたしの事を叱って押入れに閉じ込めた
夜ご飯になると パパはあたしの事を説得しようとした
あたしは言っても無駄だと思い ごめんなさいもうわがまま言わないから
と言うと押入れから出してもらえた
パパの新しい女の人はものすごく香水の匂いがきつかった
あたしはその匂いが嫌で嫌でたまらなかった


あたしの10歳の誕生日。
だけどパパはあたしの誕生日なんかすっかり忘れていた
パパがいつもと同じように 夜中に女の人と家に帰ってきて
あたしはその時自室で泣いていた
パパが帰ってきてから
あたしはわざと大きな声で泣いてみた
するとパパは血相を変えて部屋にはいってきて
「うるさい」と一言言うと
あたしの服をつかんで
いつもの押入れに閉じ込められた
「ごめんなさい 出して パパ」
「リナが悪いんだろ こんな夜中に大声だして 少しは反省しろ!」
「ごめんなさい ごめんなさい」
あたしがいくら謝っても返事はしなかった
返ってきたのは パパと女の人がいちゃつく声と大きな笑い声
あたしは朝押し入れの中で 眩しい光で目がさめた
パパが押入れを開けて
「ごめんな リナ パパちょっと言い過ぎた リナ一緒にご飯食べよう」
あたしは 大きく頷いて笑顔をつくった
もう女の人はうちにいなくて
パパち2人だけの朝食
パパはきっとあたしの事をわすれてたんだ
あたしはそう思ったけど パパには言わなかった


小学校4年生になった頃
あたしは片親だという理由でいじめられていた
いつもひとりぼっちの帰り道
急にママが恋しくなって泣いていた日
ふと上を見上げると 真っ青で白い雲がゆっくりと移動している
ママは同じ空の下にいるんだ・・・そう思うとあたしは何故か涙が止まっていた
その日からあたしは毎日空に向かってママにメッセージを送っていた
そのメッセージが届いたかのように
ある日ママから突然電話がかかってきた
あたしにママは こう言った
「今度 一緒に遊園地いこうね」
あたしはうんっと思わず大きな声を出して返事をした
するとママの微かな笑顔が受話器から聞こえた

あたしはその事をパパに言うと
パパは怒ってあたしを何度も叩いた
あたしが何度謝ってもやめてくれなかった
女の人は煙草をくわえてこっちを黙って見ていた
パパははっと気がついたかのように
手を止めてあたしを抱きしめ
すまない と呟いた
あたしは泣きもせずに 黙って部屋を出た
今日はママにおやすみを言ってなかった


ママから電話があった日からすぐに夏休みに入って
パパと女の人は再婚した
女の人は”淳子”と言うらしい
あたしはどうも好きになれなかった
彼女は暴力を振るうわけでもなくあたしをいじめるのでもなく
何もしなかった
ご飯も作ってくれたけど
会話はしなかった
あたしはいつものように彼女の作ったインスタントラーメンを2人で黙って食べて
パパの帰りを待った
同じようにパパは あたしを叱る事もなくなって
この家ではパパと淳子さんの会話だけが響いていた
あたしはいつも黙って食事をして黙ってお風呂にはいって黙って眠っていた
学校でも会話する友達はいなかった
あたしはそんな風に過ごしているうちにママに唯一のメッセージを送る事も忘れていた
あたしはいつのまにか 言葉を発する事が億劫になって
そのうちに全く喋れなくなった
だけど喋る相手も居ないし
自分が孤独な事さえ忘れてしまうほど 無気力な日々が続いた


ある日あたしは 淳子さんに
「リナちゃん一緒にお買い物行く?」と問われた
あたしは未だ彼女の事が怖くて何も返事をしなかった
すると横にいたパパは
「お前は本当に失礼な奴だな。」と言いあたしを蹴飛ばした
もうパパは前のように自分を止める事ができなくなった
あたしなんかどうでもよくなったんだ
あたしは言葉と同時に泣く事さえできなくなっていた
まるで病人のようにすごす日々
ママはどうしてあたしに電話をしてくれないの?
一緒に遊ぶって言ったのに・・・。
「神様・・・あたしは一体何をしたの?あたしが何かしたならごめんなさい・・・。だけどあたしがどうか幸せになれますように」
あたしは心の中で祈った
誰もあたしがしゃべれない事に気がついてない
涙を流せない事も。
ううん。もしパパが気がついているとしてもあたしなんかどうでもいいんだ
あたしがいい子じゃないから・・・
神様もあたしにほんのちょっとの幸せさえくれない
あたしはいい子じゃないから・・・
ママも連絡さえくれない
あたしが我侭ばかり言ってるから

それから数日後 パパがあたしに言った
「リナのママはもう淳子さんなんだぞ。前のママはママじゃないんだ。わかるか?」
あたしはこくんと頷いた
しばらくして パパが会社に行った頃
淳子さんはあたしに聞いた
「口が利けないんだよね??」
あたしは首を振った
この人に弱みはみせたくない
そしたら淳子さんは
そっとあたしを優しく撫でてくれた後
あたしを優しく抱きしめてくれた
あの嫌いな香水の匂いがあたしの身体に染み付いた


あんなことがあってもあたしは淳子さんの事が好きにはなれなかった
ある日あたしは前に何度か行った事があるママのママのうち 
おばあちゃんの家に行こうと決めた。
パパはきっと怒る
だけどあたしはママに会いたい・・・
あたしが黙って外へ出ようとした時
淳子さんがあたしを呼び止めた
あたしが振り返ると 淳子さんが自分の財布にたくさんのお金を入れて
あたしに渡してくれた
そして一言 ごめんね と呟いた
あたしは そのまま走って駅へ向かった
1人で行くのは怖くて怖くてたまらないはずなのに
そんなに怖くなかった
ママに会いたい・・・
あたしはその気持ちでいっぱいだったから
駅員さんに淳子さんからもらったお金を出して
ママの住所の書いた紙を見せた
すると駅員さんはにこっと笑ってきっぷをくれた
「電車を途中でおりちゃだめだよ。最後に駅員さんが降りていいよ。って言うまで」
あたしは頷いた
電車にのっていろんな人が電車から降りるのを見て不安になった
するとさっきとは違う駅員さんがあたしのところへきた 
「此処でおりていいよ お疲れ様」
あたしは声がでないのに悔やんだ
大きく礼をしてホームから出た
すると見覚えのある田舎町についた
あたしは少し安心すると
今までの緊張の糸がプツンと切れた
そしたら道がわからなくなった
気がついたらあたしは泣いていた
ママにあたしが泣いているのがテレパシーみたいに伝わって真っ直ぐ飛んできてくれるような気がしたから
すると ママじゃないけど近くにいた人たちが沢山集まってきた
「どうしたの?」
答えたくても答えられない
すると遠くに見覚えのある体格の女性が立っている
「ママーー!!」
あたしは何故か大きな声でママを呼ぶことができた
するとママは 走ってきてあたしに抱きついた


その晩 ママのおうちにパパから電話がかかってきて
ママがパパに
「明日帰らせますから 今夜だけ一緒に居させて」
と言った
あたしはそれを聞いていないふりをして絵を書いていた
ママとあたしが二人で遊園地へ行く時の絵を。
二人でメリーゴーランドにのって観覧車にも乗るんだ
色鉛筆で最後に ママへ リナより と書いた
ママが電話を終えてこっちへ来た
誰が電話の相手かも言わなかった
「さぁ ご飯にしよ」
「うんっ」
二人でご飯を食べたあと一緒にお風呂に入って一緒の布団で寝た
久しぶりに感じたママの温もり。
ママはあたしの手を繋いで
「リナ あのねリナはパパのおうちにいなきゃ行けないの。ママもリナと一緒にずっとこうやっていたいけどそれはできないの・・・」
「どうして??」
「パパはねママよりずっと寂しくてリナと一緒にいたいんだって」
「そんなことない。パパはリナの事嫌いなんだよ」
「リナそんな事言っちゃだめよ。パパはリナの事嫌いだなんて思った事ないわよ」
「じゃぁパパは・・ママの事は嫌いになっちゃったの?」
ママは少し黙ったあと 小さく頷いた
「ごめんね・・・リナ。」
やっぱり神様はあたしを幸せにはしてくれなかった。
「リナ・・・ママね。いっつも空を見てたの」
「空??」
「うん。このひろーいお空の下にママもリナも一緒に住んでるんだなーって」
「リナもだよ」
「リナも??」
「うん。毎日ね ママにお手紙してたの」
「お空にむかって?」
「うん。」
「そっかぁ ごめんね お返事送れて」
「ほんとだよ ママぜんぜんお返事くれないんだから・・・」
あたしの目から涙が毀れだしてきた
するとママはあたしのおでこにキスをして
ぎゅうっと抱きしめた
「お返事のお手紙お預かりしました」
あたしは飛び切りの笑顔でママに言った
ママはあたしをもう一度抱きしめた


春ももう直ぐおわっちゃうよ 誠
もうこんな風にぽかぽかした気分でいられるのも今のうちだけなんだよ
そっと誠の髪を撫でると
彼は少しうっとおしそうに伸びをした
「ごめん・・・すっかり気持ちよくなっちゃって」
「ううん あたしも。こんなに外でゆっくりしたの久しぶり」
「たまにはこんなデートもいいだろ?」
あたしは頷きもう一度上を見上げた
2004/04/06(Tue)22:22:57 公開 / Cano
■この作品の著作権はCanoさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
何だかあまり内容がない話になってしまいました すいません・・・。
今までの作品とは違いHAPPY ENDになっております。
よろしければ批評お願いします。

※今回は誤文修正させていただきました・・・あげてしまいすみません
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