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『mix lovers (大幅改正)』 作者:Cano / 未分類 未分類
全角8502.5文字
容量17005 bytes
原稿用紙約30.15枚
プロローグ

あたしとシンは付き合って1年3ヶ月
別れる瀬戸際まで来たこともあったけど
それなりに二人とも幸せ。

な筈だった。

「アカリ・・・別れてくれないか?」
あたしは思わず息を呑む
何度かあった別れ話
だけど何だかいつものとは雰囲気が違う・・・。
「どうして?!あたしに悪いところがあるなら 直すから・・・何でも言ってよ」
「ごめん そうじゃないんだ」
「じゃぁ何なの?ほかに好きな人でもできたの?」
コクンと頷く。
信じられなかった
ジョークだよって笑い飛ばされるかと思った
「あたしの知ってる人だったりする?」
黙って首を振る彼。
「もういい 別れよ さよなら」
あたしは喫茶の勘定の2000円を置いてその場を立ち去る
どうしてあたしあんな事いっちゃったんだろう・・・
本当は別れたくなんてなかったのに
思わずその場で泣き崩れる
あたしらしくもない
こんなあたし嫌・・・。

第1章 告白

シンとの別れから2週間
あたしの傷は未だ癒えず 相変わらず泣く日々が続いてる
「同棲なんてしなくてよかった・・・」
何度もでた同棲話 そのたびに何故か乗り気になれなかった
同棲なんかしたら 引越しとか大変だし・・・
今更そんな事まで考えてしまう 悲しい生活
友人に誘われて気晴らしにコンパにも言ったけど
まったく気なんか晴れない
あたしの心はシンに振り回されてる
腫れた目を氷で冷やしながら 無意識にテレビのリモコンに手を伸ばす

「女優の山本夏花 青年実業家とゴールイン・・・」

「どうせ直ぐに別れるくせに・・・」
あてつけのようにあたしは一言吐き即座にテレビの電源を切る
1人の男にすがりつくあたしは馬鹿だって分かってる
だけど忘れたくても忘れられない・・・
もう嫌だ・・・

また泣きそうになっていると 携帯が鳴る
シンだ・・・。
急いで電話にでる
「シン・・・?」
「ああ・・・アカリ悪いんだけど やっぱりちゃんと話しておきたいんだ 駅前の喫茶で待ってる」
「今更何話すって言うのよ・・・」
「お願いだから 俺待ってるから」
「わかった・・・行くよ」
もしかしたら やり直したいって言ってくるのかもしれない・・・
期待と不安を抱きながら準備する

シンと約束をしてこんなに緊張するのは初デート以来だ・・・
そんな事を思いながら家を出て
別れ話をしたいつもの喫茶に入る

「アカリ!こっち」
「シン・・・何?用って」
自分の内心を隠しながら 問いかけてみる
「俺・・・好きな人がいるって言っただろ?」
「うん。何?もしかして 嘘?」
「いや・・・」
「じゃぁ何よ?」
「あのさ・・・俺、バイセクシュアルなんだよ・・・」
あたしは一瞬を耳を疑った
聴きなれない言葉に少し軽蔑と不安を抱いた
「じゃぁ・・何だっていうの?
好きになったっていうのが男だって言うの?」
「ああ・・・」
「何であたしの気持ちをそんなに踏みにじらそうとするの?!そんなに楽しい?」
「ごめん・・・だけどそんなつもりで言ったんじゃない」
「じゃぁ何よ?」
「俺 アカリに一度もこんなこと言ってなかっただろ・・・騙してるみたいで嫌だったんだ」
「ふーん。言えるだけ言えたシンはいいだろうけど 聞いただけのあたしはどうなるのよ?」
「・・・・ごめん・・・」
あたしは自分のした発言を撤回したかった
別にバイセクシュアルに偏見とかそういうの持ってるわけじゃない
人にはそれぞれの恋愛があるし
それぞれの観点もある
そんなこととっくに知ってたはずなのに・・・・
シンは黙って席を立って勘定を済まし店をでた
あたしは何て事言ってしまったんだろう・・・
とりあえず気を落ち着かせる為に レモンティーを飲みながら深呼吸をしてみる
だめだ・・・やっぱりこのままじゃ・・・
あたしは一度家に帰り
シンに手紙を書いてみることにする
電話じゃ口論になるだけだろうし 
会ってもきまずいだけだ。
慣れない手紙だけど 少しずつ頭を整理しながら書いてみた
だけどこんな手紙渡せない・・・
あたしは丸めてゴミ箱に捨てた

第2章 終止符

バイトの帰りに何となく気になってシンのマンションの前を通って帰ろうと思った
どうせ家には行けないだろうけど・・・。
シンの家へ向かって歩いていていて 公園の前へさしかかると 人の気配がする
どうせアベックだろうと 無視してとおりすぎようしたけど
明らかにシンの声がする・・・。
「アキト・・・・・・・」
アキトと呼ばれる男はシンの意中の相手だろう
会話なんて聞くと 余計に自分が悲しくなるし やめようとおもったけど
このままとおりすぎるのもできない
2人がベンチに座った時
あたしは初めてアキトの顔を見ることができた
彼はたぶんハーフだと思う 端麗ではっきりした顔立ち 男臭くなくてあたしがみても思わずうっとりしてしまう・・・
二人はベンチに座ってから 会話をするでもなくキスをするでもなく黙っている
シンに未練があったくせに何故か邪魔してはいけないような空気が立ち込めていて
あたしは突然 シンとアキトの空間に入り込んではいけないと思った
そのままそこを立ち去ったあたしは 泣いてしまった
だけど この涙は アキトに嫉妬とかではなくて シンへの恨みでもなかった
一度でも軽蔑してしまったあたしを恥じる涙。
あの2人はそこらへんの馬鹿なカップルとは違う
無論 あたしがシンと付き合ってた時ともちがう

あたしはその瞬間 シンとの恋愛に終止符をうつことができたと思っていた

第3章 出会い

あたしは朝起きて 時計を見て驚く
バイトに大遅刻だ・・・。
おまけに寝癖がすごくて ランチタイムの忙しい時間が終わるまでに準備できそうにない
今日は頭が痛いってことにしよう・・・
卑怯な考えが直ぐに思いつくあたしは最低・・・、
やっぱり行くか・・・重い足取りで準備をして いつもは大混雑の電車にのる
もちろんこんな時間に殆ど人は乗っていなかった。
バイト先にいつもより遥かに遅くにつくと
もう忙しい時間はすでに終わっていてお客もちらほらとしかいない
店長に謝り仕事をしていると
見かけない女の子がお皿を拭きながらこっちを見ている
あたしが一礼すると恥ずかしそうに礼をかえしてきた
あとで同僚に聞くとその子は美穂という子で 最近入った新人のアルバイトの子らしい
とても可愛らしい子だったけど
その時は たいして話す事もなく ただのバイト仲間としか思わなかった
たまに目が合って にっこり礼をされると 女のあたしでも少しドキっとする事もあったけど
それから1ヶ月くらいたって 美穂と2人で後片付けをやらされるはめになった
「須藤さんって 彼女とかいるんですか?」
あたしは一瞬怯む
この子何を言ってんだろ・・・
「え?いるわけないじゃん ちなみに彼氏もいないけどね」
「そうなんですか 変なこと聞いちゃってごめんなさい」
「いいよ いいよ 美穂ちゃんは いるの?彼氏」
「いませんよ。だけど気になってる人はいます」
「そーなんだぁ うちの店にいたりとか?あーでも やっぱ学校か」
「秘密です。」
美穂は くすっと笑うと あたしに背を向けた

第4章  看護
あの日以来なんとなくあたしは美穂ちゃんと話す機会が多くなって
休みの日も連絡が取り合う日が多くなった 
ある日 2人で映画を見に行って
ぺちゃくちゃ映画の感想を言いながら歩いていると
あたしは突然吐き気に襲われて
美穂ちゃんに抱えられながら うちに帰った
最近 少し風邪っぽかったし 放置していたからそれが悪化したのだと思い
うつるといけないので 美穂ちゃんに帰るように言うと
彼女は寂しそうに頷くと 帰っていった
何故か 1人になると突然弱気になって けだるくなってまた吐き気がした
その日は早くに寝ようと思って布団に入ると
突然インターホンがなって 部屋に誰か入ってきた
それは美穂ちゃんで おかゆだけ作らせてくれという
あたしは ありがとうと言い 甘えさせてもらった
美穂ちゃんが おかゆを作ってくれている間
あたしは寝てはいけないと思いつつも 突然睡魔に襲われて
いつのまにか眠っていた
気がつくともう朝で まだ吐き気もあるし だるかった
美穂ちゃんの事を思い出して 机の横を見ると 冷めたおかゆが置いてある
ふとベッドの横を見ると 美穂ちゃんがあたしに寄り添って寝ていた
あたしは何かおかしな衝動が走り
美穂ちゃんの唇にそっとキスをした
すると眠っていたはずの美穂ちゃんが眼を覚まして にっこり笑った
「ごめん・・・」
「ずっと須藤さんの事好きでした・・・・」
「・・・・??」
「友達とかそういうんじゃなくて・・・須藤さんにものすごく憧れてて
だけどもうそれだけじゃ済まなくて・・・」
長い沈黙の後 あたしは一言。
「ごめん・・・美穂ちゃん・・・よくわからない・・・」
「はい・・・・今日は とりあえず帰ります お大事に。おかゆチンして食べてくださいね」
「うん ありがと・・・ごめんね いろいろ・・・」
あたしってば何してるんだろ・・・
べッドからでると また吐き気に襲われた

第5章妊娠
近所の病院に診察に行くと ものすごく混んでて
人ごみに行くと更に吐き気が増した
「須藤さん 診察室へ」
「はい・・・。」
いろいろ聞かれてある程度診察が終わると 先生は
「恐らく 妊娠でしょうね ここではちゃんと調べられないので 産婦人科へ行ってください」
あたしは 言葉を失った・・・
妊娠・・・今まで考えつかなかった言葉。
おそらく妊娠しているとしたら シンの子。絶対シンの子・・・。
あたしはいろんなことを思いながら診察室を後にする
頭が錯乱する・・・。
シンと別れてから未だ2ヶ月もたってない
どうしよう・・・あせりと不安であたしは どうしようもなくなる
とりあえず 確認しなきゃ・・・
あたしはその足で産婦人科へ行き検査をした
案の定 妊娠していて 今3ヶ月だと言う。
赤ちゃんの写真をもらって 家でいろいろ考えてみた
シンには言わずに勝手におろそうか・・・でも・・・こんな小さな命殺せない
でも幸せなシンを不幸のどん底へ引きずり込みたくない
あたしは怖くて怖くて 昨夜の事なんてすっかり忘れてしまっていたあたしは美穂に電話していた
電話で妊娠と聞いた美穂は急いでうちに来てくれて
話を聞いてくれた
とりあえず気持ちは治まったけど
結論はでてない
やっぱり シンにしらせよう・・・。

第6章再会 
あたしはシンの家へ向かう。
電話で一応予定はあけてもらっていた
勇気をだしてインターホンを押す
「アカリ?」
「うん・・・」
「ちょっとまってて」
しばらくしてドアが開く
「どうしたの?」
「ちょっと大事な話があるの」
シンは不思議そうな顔をして 家に入れてくれる
お茶を入れながらシンは こっちを心配そうに見ている
「シン・・・あたし・・・妊娠したの」
「え??」
「シンの子なの・・・3ヶ月だって」
「・・・・・」
「どうすればいい??やっぱりシンはおろしてほしいよね・・・」
「ごめん・・・アカリ・・・。勿論 赤ん坊を殺す事は嫌だよ・・・だけどそれ以上にアカリ1人で育てるのは無理だと思うし・・・俺は・・・今つきやってる奴と別れる事はできない・・・ほんとごめん・・・・」
「うん・・・」
予想した言葉が本当に帰ってきた
「安心して ちゃんと自分でおろすから お金もいらない」
「それは無理だよ 俺が出す」
「いいよ そんなの。これはもうあたしの問題だから」
「・・・。」
あたしはそのまま勝手に家を出て泣くのをこらえていた
あたしってば少し期待してたシンはきっとやり直そうって言ってくれると思った
あたし 未だシンに未練があったんだ・・・

第7章 命
その帰り道 あたしは美穂に電話をした 
それで あたしは美穂に電話をして妊娠したこと・・そしてこの前の美穂の告白について話そうと思った
「須藤さん この前のお返事聞かせてもらってもいいですか・・・?」
「ごめん・・・やっぱり美穂ちゃんとは付き合うとかできない・・・美穂ちゃんは可愛いし 妹みたいで大好きだけど
ずっと親友でいたいから」
「じゃぁ・・・じゃぁこの前のキスは何だったんですか?」
「あれは・・・ただ・・・何かいきなり したくなっちゃって」
「それって美穂の事好きって言ってくれてるんじゃないんですか?」
「ごめん・・・美穂ちゃん」
「ごめんなさい 美穂のほうこそ 取り乱してしまって いきなり好きだなんて言っても
びっくりしちゃうだけですもんね」
「ごめん・・・ほんとに・・・」
「それで もうひとつの話って何ですか?」
「いいの?話しても」
「どうぞ 須藤さんのお話なら なんでも」
さらっと言ってしまった後美穂は何だか恥ずかしそうに前言撤回してもいいですかっと言った
あたしは軽く笑って話を続けた
「妊娠・・・したの」
「え?でも 須藤さんって彼氏いなかったんじゃ・・・?」
「うん・・・前の彼氏の子」
「そうなんですか・・・あの須藤さん・・・電話じゃ何だから これから会ったりとかできませんか?」
「うん 大丈夫だけど・・・美穂ちゃんはいいの?」
「ええ それじゃ 須藤さんのおうちにお伺いしてもいいですか?」
「けど悪いよ あたしが行こうか?今丁度 お店の近くにいるんだけどバイト先から近いの?」
「ええ それじゃ そこでまっててください」
それから15分くらいして美穂が駆け足でこっちへ向かってきた
かなり走ったみたいで 息も荒く声も枯れてる
「すいません・・・須藤さん 遅れちゃって」
「ううん。あたしは大丈夫だけど 美穂ちゃんこそ大丈夫??」
「はい 須藤さんのためなら」
あっと焦ったように美穂は下を向いて真っ赤になっていた
あたしはこんなに愛してくれてる美穂にあんなに簡単な返事をしたけれど
本当によかったのだろうか
何か胸がもどかしくて苦しくなった
「こっちです 須藤さん」
家に招待されたあたしは 部屋の中をみて驚く
いかにも美穂らしい ピンクな部屋で 棚にはぬいぐるみがどっさり置いてあって
部屋は綺麗に整頓されていた
「それで さっきの電話の続きですけど・・・」
「うん・・・あたしね ちょっと前に彼氏と別れたの」
「はい・・」
「それで この前美穂ちゃんと映画見に行った日、あの日気持ち悪くなったでしょ それで病院言ったら妊娠だって・・・3ヶ月・・」
「そうなんですか・・・須藤さんはどうしたいんですか?」
「あたしは・・・おろそうと思う シン・・彼もそのほうがいいって言うし やり直せないって」
何だかあたしは 自分の発言がものすごく安易でシンが全て悪いような言い方をしたとも思い
急いで修正した
「シンはあたしを一番心配してくれてる シンは今の彼と別れる事ができないって でもあたしも2人は別れてほしくないから」
「彼?シンっていう方は同性愛者なんですか?」
「うん・・・」
あたしは何か話しが大きく反れてしまうのが怖かった 
同性愛なんてどうでもいい・・・少しイラだってしまう
これも妊娠の兆候なのだろうか
「それじゃ 美穂と同じなんですね」
ぽつりと言った美穂は何か少し寂しげな表情に見えた
「だけど 須藤さん・・・赤ちゃん・・・本当におろしちゃうの?」
「だってそれしか道はないもん・・・」
あたしが1人で育てられるわけもない
そんなことを思い ふと美穂の顔を見てみる
そしたら美穂は泣いていて ごめんなさいと漏らした
「美穂ちゃん・・・」
「須藤さん・・・赤ちゃん・・・おろさないで・・・」
あたしはシンに一番言って欲しかった言葉だったけど 
シンには全く逆の答えを出された今 一番聞きたくない言葉でもあった
「あたしも おろしたくない・・・だけど 1人でなんて育てられない・・・
 この子がこの世に産まれてきたとき 幸せにしてあげられる自信がない・・・」
「赤ちゃんは・・・須藤さんのお腹に宿ったんでしょ・・・赤ちゃんの一番の幸せは この世に生まれてくる事だと思うよ 須藤さんの子に・・・」
美穂はすすり泣きながら言った
「ありがとう 美穂ちゃん・・・」
あたしは美穂ちゃんのお蔭でこの子を産もうと決心することができた


第8章 アキト
あたしは赤ちゃんを産むと決めた事はシンには言わないでおこうと思った
きっと反対されるに決まってる
あたしは赤ちゃんの為にも強くなろうと思った
美穂の為にも・・・。

あたしは吐き気と眩暈に耐えつつもバイトを2つ増やし忙しい日々を送っていた
ある日帰り道にあたしは 美穂を見かけた
1人でぽつんとたたずむ彼女には やっぱり不思議な空気が漂っていて
あたしの前で見せる極上の笑顔とは違う寂しい顔をしていた
声をかけようとした時 彼女から10mくらいはなれたところにいる男性をみて
あたしは声を殺す。
あたしが見た人は アキトだった
彼は誰かと待ち合わせをしているみたいで
時計をやたらと気にしていた
あたしはアキトに顔を知られてはいないが
シンが現れそうで怖かった
すると美穂があたしに気がつき こっちへ走ってきた
「須藤さん!お久しぶりです!! 今お友達と待ち合わせしてるんですけど・・・」
あたしが首を傾げると 美穂は突然
「あんなところにいた!」と叫んだ
彼女の指差す方向には アキトがいた

その後の話によると
美穂はアキトと待ち合わせをしていたのだけど
10mはなれていたアキトにきがつかなかったみたい
美穂らしいなぁと思いあたしは少し笑った
するとアキトが澄んだ眼でこっちをみてにこりと笑った
「この人が須藤さん、彼はアキト。お爺さんがイギリス人なの」
「もしかして 美穂ちゃんの彼氏?」
「違うよ!!」
あたしとアキトは思わず目を見合わせて笑った

美穂が3人で遊ぼうと言ってあたしは遠慮したのだけど
アキトと美穂の強引な誘いで断れなくなった
アキトと話すあたしの心情はものすごく複雑だった
あたしのお腹の中には アキトの恋人のシンとあたしの子がいる
お腹の子は今 何を思っているのだろう

第9章 催眠

アキトは未だ目立たないあたしお腹に触れて言った
「この子はきっと幸せになるよ」
「どうして?」
「だって 君みたいな人が母親なんだから・・・」
さりげなくされた会話だけど
あたしは 不安でいっぱいだった気持ちがスーっと期待に変わっていく気がした
「女の子?」
「未だわからない」
たわりのない会話をしていると
あたしは何処か アキトの催眠にかかったかのように気がらくになった
シンが アキトに惚れた理由が分かった気がする

酔った美穂を2人で家へ送り届けた後 公園でビールを買って2人で話していた
会話の中で彼は 昔の恋人の話はするのに 今の恋人の話はひとつもしなかった
あたしは アキトはもしかしてあたしの事を知っているのかもしれないと悟った
別れ際にアキトはあたしの頬にキスをしてこういった
「May you are fortunate!(あなたが幸せでありますように)」
あたしは ありがとうと言いアキトと別れた

家へ帰るとあたしは脱力感に襲われた
あたしどうしてあんなふうにアキトと話す事ができたんだろう
この子の父親の愛する人なのに
あたしは 彼の言った言葉の一つ一つが忘れられなかった

翌朝 早くにあたしは腹痛に襲われ目がさめた
何だか嫌な予感がした
あたしは 美穂に連絡をしたがでてくれない
きっとバイトの時間だ
あたしは意識がそのままなくなり 目が覚めた時には病院だった

最終章

あたしが意識がなくなってから 美穂が着信に気づき 電話をしたが出ないので
気になって家に来た時、あたしは倒れていたらしい
それで その時にはもう手遅れだったみたいだ
流産・・・。
あたしはその言葉を聞いて息を飲んだ
原因は働きすぎによる疲労とストレスだと言う事だった
あたしは無意識のうちに悩みでストレスを溜め込んでいたみたいだ
「ごめんなさい・・・」
あたしはもうあたしの中には居ない赤ちゃんに話しかけた
先生が病室から出たあとも あたしは何度も何度も謝った
「ごめんね・・・本当にごめんね あたしがこんな母親だったばっかりに・・・ごめんね・・・」
アキトが言ったようにあたしはあの子を幸せにはできなかった
あたしは いきなり不幸のどん底に突き落とされた。
シンに突然別れを告げられた時よりも もっともっと深い底へ
あたしは 退院後相変わらず あの子の死を悲観していた
美穂はあたしに気を使ってくれていて 病院にはこなかった
退院後しばらくして 美穂が来てくれて
美穂はあたしの顔を見るなり大泣きした
美穂は何にも悪くないよ そういって促すのに
美穂は泣き続けていた
たぶん 美穂が電話に気がついていても 間に合わなかったと思う
それにあたしが一番悪いのだから


あたしは今でもあの子の写真を 手帳に入れて毎日持ち歩いている
あれから何度も夢にでてきた
だけどあたしは 夢の中で 笑顔だった
そして あの子にこう言ってるんだ
「あたしのところへ来てくれてありがとう。あたしあなたのお陰で強くなることができたよ」


2004/04/03(Sat)03:03:25 公開 / Cano
■この作品の著作権はCanoさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
少しBoys loveまじってますです。
利用規約違反にならないよう心がけましたが規約に違反していると思われたら即削除しますので・・・。

※改正版前まで少し自分の中でもしっかり考えるべき内容になってしまって 思わず書き直してしまいました
話の方向も大幅に変わってしまいましたし
投稿しようか迷ったのですがやはり投稿することにしました

駄文ですみませんです
変な所で終わってますが 一応それが最後になってます・・・(恥
批評お願いいたします
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