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『私と彼』 作者:蒼蛾(そうが) / 未分類 未分類
全角1350文字
容量2700 bytes
原稿用紙約4.35枚
彼に初めて出会ったのはちょうど今から二年前になる。
あの頃、彼はあるデパートで接客係をしていた。彼はいつもほのかに微笑を湛え、どこか妖しく閃く薄い眼差しをしていた。私はそんな彼を見る度に、ドキドキと胸が震え出すのを感じた。
彼はいつも流行の最先端の服を恰好良く着こなし、ジャンルも様々な服を何故か上手く取り合わせ、絶妙なまでにキマっていた。
今、その彼と一緒に暮らしている事なんて、当時の私からすれば天地がひっくり反っても起こり得ない事だった。
しかし、私は今、彼と暮らしている。
世間ではそれを同棲と言うらしい。私はその甘く響く音が好きだ。
彼は、一年位前に勤めていたデパートが不況で潰れた時に私の家に転がりこんだのだ。それから私達の同棲が始まった。
彼は今は無職だが、私に安らぎを与えてくれる。私にとっては、それだけで余りある程の幸福である。

私は幸せに浸りながら彼を見つめた。
「ねえ隼都」
彼は滅多に答えない。しかし時々、私がイラついて地団駄を踏んだ時には少し体を優しく揺らして私を慰め、落ち着かせてくれる。
私は返事を諦めて、彼の美しく整った顔を見つめた。
陶器の様に白い、滑らかな肌。薄い茶の冷ややかな眼で虚空をぼんやりと見ている。彼は何を考えているのだろう?
しかし私はそんなミステリアスな彼が好きである。
市街に建つ、まあまあ新しいマンションの窓辺が彼の好きな場所である。百八十近い長身に彫りの深い容貌は、夜の街の光に良く似合う。
私は、ほぅっと息を吐いて自分の手元に視線を戻した。来週末までには案を提出しなければならない。
ゴミ箱には沢山の紙屑が溢れんばかりになっている。中々自分で納得できるものは少ないのだ。
「隼都」
こんな時は彼に手伝ってもらうしかない。
「そのまま動かないでね」
私は彼と用紙を交互に見つつ、2Bの柔らかい鉛筆を滑らせた。
…私はデザイナーである。弱冠二十六歳で市街のマンションの一室を買った並には売れているだろう。主に最近の、お洒落にもかなり気を遣う若い男性向けの服のデザインを手掛けている。
隼都はどんなタイプの服でも似合う。だから彼を見ながら手を滑らすと、意外と良い感じの服が描けたりするのだ。
高い鼻梁に涼しげな目元。すらりと伸びた手足に着せたい服を描いてゆく。
「よしっできた」
私は用紙にペン入れをして仕事机の脇に置いた。
彼はまだ窓の所にいる。
私は立ち上がって彼の傍に歩み寄った。そして、彼の手首に服の上から触れる。冷ややかな感触。
私はそのまま少し力をこめて彼の手首を握った。
その時―――

ボキっという音がした。
私は慌てて自分の手に握った物を見つめた。
そして私は、おもむろに金属製の仕事机の上からメジャーを取って来て彼に当てた。
「横幅は…肩幅が一番広くて五十センチで、縦は…百七十八ね」
私は棚から冊子を取り出してパラパラとめくり、目的のページを見つけて受話器を取り上げた。



「お電話ありがとうございます。こちらは粗大ごみ受付センターです。…ええ、はい。次の収集日は今週の火曜日になっております。大きさはどの位になりますでしょうか?…ええ、分かりました。」
受付センターの女性電話係はそう言うと、備え付けの用紙にペンを滑らせた。

マネキン一体。サイズは178×50。
2004/03/25(Thu)22:24:14 公開 / 蒼蛾(そうが)
http://souga.finito-web.com/
■この作品の著作権は蒼蛾(そうが)さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
短編はあまり書いたことがなくて、ドキドキ…。
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