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『蒼い夢』 作者:瑠流 / 未分類 未分類
全角4936.5文字
容量9873 bytes
原稿用紙約16.3枚
ここはどこだろう・・・・・・。
蒼い空間の中だ。
上から光が差し込んでいる。
視界が蒼く揺らいでいる。
ただその中で漂っているだけだった。

第1話

白い天井が見える。香鈴はベットから身を起こした。自分の部屋だ。別に変わった事はない。また夢か、と香鈴は小さく呟いた。下の階から叔母が呼んでいる。香鈴には、両親がいなかった。香鈴が10歳の頃に亡くなったのだ。そのときに叔母が香鈴を引き取って13歳の今日まで我が子のように育ててくれた。叔母は、気さくで香鈴にも親しみやすかった。
今日の朝は、どうやらトーストのようだ。バターのいい匂いが2階の香鈴の部屋にも漂ってきた。香鈴は、制服を着てカバンを持って、リズムカルに階段をおりはじめた。下のダイニングでトーストをミルクティで流し込み、時計が7時40分を指す頃に家を出た。
香鈴の行っている学校は、全国的に有名で、制服が可愛いという評判の私立中学だ。制服も、茶色のチェックのミニスカート、白いブラウス、紺のブレザー、ブルーのリボンで皆、憧れの中学で毎年、受験では、志望者が殺到する事でも有名だ。
香鈴は、いつもの様に、学校の校門で親友の李深(りみ)を待っていた。ほどなくして、李深が来た。
「おはよ。香鈴」
「おはよ。李深」
2人の中では、決まりきった事だが、香鈴にはこの単調の毎日が好きだった。香鈴と李深は仲良く校内に入って行ってから、1人の少女が、現れた。まるで、その場に浮き出たかのように。しかし、誰もその少女には気づかなかった。
香鈴と李深が教室に入ると、クラスメイト達が、いくつかの、グループに分かれて、何かを話していた。香鈴と李深は不思議に思い、友達の、樹璃(じゅり)に聞いた。すると、樹璃は転校生が来ることを教えてくれた。しばらくすると、香鈴達の先生がHRの時間より、少し早めに来た。樹璃が隣の香鈴に目配せした。香鈴は、転校生が来た、ということが分かった。すると、先生が、1度教室の外に出た。一瞬クラスが静まった。そのチャンスを狙っていたのか、その一瞬で先生が、
「みんなは知っていると、思うが、転校生がこのクラスにきています。」
そこで1度言葉を切った。そして、ドアの方を見て、一言、
「入りなさい。」
と言った。すると、その言葉と同時にドアが、音も無く開いた。
入ってきたのは小柄な少女だった。しかし、皆が驚くくらい美人だった。髪は、腰まであり深い海を思うようなディープブルー。瞳は、蒼の入った緑。肌は、透けるような白。しかし、表情は大人びて近寄りがたいふいんきをかもし出していた。香鈴は、まるく口を開けたまま少女を見入ってしまった。先生が黒板に少女の名前をかいた。『夢中 世緒奈(ゆめなか せおな)』と。
「では、夢中さんは、香鈴さんの横の席に。」
先生の言葉で香鈴は、はっとした。夢中さん、は香鈴の横にすべるように来た。香鈴が驚いていると、夢中さんは
「はじめまして。香鈴、さん?」
と、よく通る声で小さく言った。そしてクスッと笑った。その瞬間、香鈴の周りから音と映像が消えた。















ココハ、ドコダロウ。


















真っ暗な視界が、だんだん蒼く変わってきた。
蒼い空間。
水の中のような空間。
でも、苦しいわけではない。
でも、すべての景色が揺らいでいる。
ただそこで漂っている、そんな空間。






どこかでみた空間だ。香鈴は瞳を細めた。上から光がさんさんと香鈴に降り注ぐ。香鈴は身体を起こし、周りを見た。そこは、いつもの見慣れた教室ではなく、全く別の場所だった。もちろん李深も樹璃もいるわけがない。香鈴は頭の中を整理してみる。
私は今まで教室にいた。そして、いつの間にかココにいる。やっぱりその気になる空間と教室の間に関係がある。
そうだ、あの娘だ。あの不思議なふいんきをもつ少女。たしか名前は、夢中世緒奈だ。    


ユメナカ セオナ



口に出して呟いてみる。不思議な感じ。李深や樹璃のように感情をストレートに出さない少女。

そのとき香鈴は鋭い視線を感じた。後ろを振り返るとクスッと笑いとともに夢中世緒奈が現れた。そして彼女は
「ごめんなさいね。香鈴さんこんなところにつれてきて。でもしょうがないのよ。あなたは、『夢追い人』だから。」
香鈴は訳が分からなかった。夢中世緒奈は、そんな香鈴を見て耳元でこう囁いた。
「また、今晩お会いしましょう。」
と。     














第2話

隣に樹璃がいる。別に変わった事は何も無い。周りもいつもの教室で蒼い空間なんてあるわけがない。でも、確かに香鈴は蒼い空間の中にいた。それが今は何も無かったように時が動いている。まるで、香鈴が空間の中にいた間だけ時間がすっぽりと抜けているかのように。そのせいで香鈴は全く授業な集中できなかったのだ。
最後の授業のチャイムがなりHRも終わり、香鈴が李深と家に帰ろうとすると後ろから夢中世緒奈が香鈴の肩に手を置いた。そして、
「帰り、ご一緒してもいいかしら?」
と2人に聞いた。香鈴はともかく李深は世緒奈をぜんぜん知らないので、
「いいわよ。ね、香鈴?」
と香鈴に同意を求めた。香鈴も嫌とは言えずただ頷く事しか出来なかった。 
世緒奈も加わり3人で歩き始めた。李深は世緒奈に色々話かけている。世緒奈が、その質問一つ一つ丁寧に答えている。でも香鈴には何も聞こえなかった。耳が自らシャットダウンするみたいに音は聞こえない。香鈴はずっと悩んでいた。それは蒼い空間からここの世界へ戻ってきたときの事だ。実は、香鈴の手に飴玉大の石があったのだ。色は青くてとても深い色。恐ろしいほどあの空間の色と似ているのだ。
そのとき李深が香鈴に手を掛けた。香鈴は驚いて返事の声が裏返ってしまった。李深も驚いたように香鈴の顔をまじまじと見ている。香鈴は瞳をそらしてしまった。ほんの少しの間2人の中に気まずい空気が流れている。その沈黙を破ったのは世緒奈だった。彼女は香鈴の肩に手を回し李深に目配せして歩き出した。
「やっぱりまだあのことを悩んでいるの?」
しばらく歩いてから世緒奈は唐突に言い出した。香鈴ははっとして顔をあげた。世緒奈はただ微笑んで香鈴を見ているだけだった。香鈴はそっと
「やっぱりあなただったのね?」
と聞いた。世緒奈は頷いた。そしてまた2人は歩き出した。角の別れ道まで来てやっと世緒奈は口を開いた。
「あなたが本当の夢追い人だったら今日の夢は何かちがうわ。」
呆然とする香鈴を残して世緒奈は去って行った。
世緒奈と別れてから香鈴は走り出した。身体にまとわりついてくるような不安を振り払うかのように。
家が見えてきてから香鈴の足の速さが一段と速くなった。一気にドアの所まで行き、勢いよく開けた。しかし人の気配は無かった。香鈴は恐る恐る中に入り鍵を閉めた。叔母はいなくなっていた。今までずっと一緒にいた頃は何も思わなかったのに急にいなくなると叔母の存在が、いつも自分を待ってくれていた人の存在がどんなに大切かということが分かった。
すると香鈴の瞳から涙が零れた。止めようと思ってもどんどん溢れてくる涙は久しぶりだった。こんなに泣いたのは両親が死んでしまった時以来だった。身体から力が抜けて香鈴は壁沿いにうずくまった。両腕で自分自身の身体を力の限り抱きしめて声が枯れるまで泣いた。このまま自分も水のように蒸発して無くなればいいと思いながら・・・・・・。

どのくらい時間がたったのだろう?

香鈴は薄目を開けた。もうあたりは暗くて日は沈みそうだった。香鈴は泣きすぎて痛くなった頭を抑えながら電気のスイッチを押した。薄暗い部屋に温かい光が灯った。しかし香鈴の心は冷たくなっていて光だけでは温められなかった。1人で夕食の準備をして1人で静かな夕食を過ごした。それは香鈴にとって耐えかねられない辛さだった。
自室に戻る前にリビングにあるテレビを消した。すると本当に何も無くなった。以前ならあり得ない事だった。香鈴と叔母が食事を終えて香鈴が自室に戻るときでも叔母はリビングに残り香鈴が宿題を終えて寝るまでずっと起きていてくれていた。香鈴は小さく溜息をつき自室に戻った。
宿題をしていつもより早くベットに入った。入っても部屋の空気が変だった。落ち着かない空気だ。必死に香鈴は瞳を閉じて眠ろうとした。

蒼い空間だ。やっぱり香鈴はあの夢の中に入っていたのだ。そして世緒奈が立っている。でも瞳からはいつものような光は消えていた。香鈴はいぶかしんで近づいた。突然世緒奈の身体がグラリと傾いた。香鈴は走って行った。
なんとか支えた。すると世緒奈の瞼が細かく震えた。香鈴は世緒奈を床に置いた。そして肩を叩いた。世緒奈の瞳が開いた。身体を起こすと驚いたように香鈴を見た。香鈴も世緒奈がこんなに感情を出すのは初めてだった。
世緒奈はフッと微笑むと香鈴にこう囁いた。
「やっぱり力を使いすぎたようね。」
すると世緒奈から光が溢れて香鈴を包んだ。

辺りは暗かった。真の闇だ。真っ暗な闇の中、香鈴は1人歩いていた。
突然景色が変わった。道路に人だかりが出来ている。誰かが交通事故を起こしたようだ。車が横倒しになって、ガードレールの一部が無くなっている。
香鈴はもっと近くへ行こうと人を掻き分け前へ出た。丁度、中に乗っていた人が病院の担架に乗せられ出てきたところだった。その人を見て香鈴の身体から力が抜けた。それは香鈴の両親だった。2人は血まみれになっていた。近づこうとすると1人の少女が出てきた。10歳の頃の香鈴自身だった。
10歳の香鈴は両親の元へ走り2人にすがりついた。しかし息は無かった。
「お母さんっ お父さんっ。」
幼い頃の香鈴が声を上げて泣いていた。ずっと見ていた人々は10歳の香鈴の涙をみて
「可哀相に。」
とハンカチを目頭に当てた。
香鈴は思い出した。この記憶は二度と思い出さないと誓ったはずだった。そして最も悲しい記憶だった。10歳の香鈴には辛すぎる思い出だった。
人ごみから一人の女性が出てきた。女性は遺体にすがりついている少女の肩を抱いて遺体から引き離した。その女性は香鈴の叔母だった。

辺りが蒼く揺らめいた。世緒奈が目の前を立っている。そして口を開いた。
「そう。それがあなたの封印した記憶ね。両親を亡くした思い出。」
香鈴は怒りで手が震えた。世緒奈は香鈴の記憶を引きずり出したのだ。一番思い出したくない記憶を。そして香鈴は世緒奈の頬を叩いた。パシッという乾いた音が響いた。こんな子に同情なんてしなけりゃよかったんだ。
世緒奈は赤く腫れた頬を一瞬、手で触れた。すると赤く腫れた頬が元に戻った。
「今のあなたでは無理。あなたの力では私を傷つけることはできない。」
世緒奈は香鈴を見ていった。そして
「もともと夢追い人はダメージを回復することができる。」
と呟いた。
「どういうことなの? いったい夢追い人って何なの?」
香鈴は世緒奈につかみかかりそうな勢いで聞いた。世緒奈は息を吐いて
「分かった。全部あなたに話すわ。」
そういった。

















第3話

「あなたに全部話すわ。」
世緒奈は言った。そしてもう一度息を吐いた。瞳をつむり口を開いた。

夢追い人。それは人の夢を自由に動かすことができる。人が見る夢の内容は夢追い人が見せているという。夢追い人はその人が見たい夢を見せることができるがその夢を見たいという気持ちが強くないと見せることは出来ない。何も見れないときはその人の強さが足りないときだ。
昔、夢追い人はこの世界に約100人いた。皆人の夢を操作し、力の足りない人でも皆で力を合わせて夢を見せ続けていた。しかし今世紀では2人の夢追い人しかいない。もともと夢追い人の血筋は特別で家柄に関係なくある。実は夢追い人の最初は夢の操作を司る神『レファリディ』であると言われる。レファリディは使者を使い人々の夢を操作していた。しかし人が増えて来るにつれてレファリディだけでは手に負えなくなり使者達に夢を操る力を授けた。その使者達が今の夢追い人の祖先だ。しかし血の繋がりは以前として分からず、謎に包まれている。







2004/05/04(Tue)21:56:56 公開 / 瑠流
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■作者からのメッセージ
小説を書くのは今回初めての瑠流です。
あまり時間がないので少しずつしか、書けませんが、よろしくおねがいします。
みなさんからのコメントで勉強していく
つもりなのでお願いします。
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