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『桜舞い上がる日』 作者:いってつ / 未分類 未分類
全角3198.5文字
容量6397 bytes
原稿用紙約11.2枚
 この話は1986年春のことでした。私の5歳になる一人息子の春樹の話です。
 春樹は、生まれたころからの肺炎で、手術をしたが、治らず余命半年と言う宣告を背負っています。
それでも私は、春樹に少しでも心配をかけてはいけないと、このことを言っていませんでした。
 季節は冬、春樹のいる桜美病院に、お見舞いに行きました。


「春樹、おじいちゃんとおばあちゃんから花束が贈られてきたわよ。」

そういうと私は、花瓶にある、ゆりの花を取ってから祖母、祖父から贈られてきた
芍薬を花瓶に入れたました。 すると


「お母さんそれ絵美理ちゃんからもらった花だからおじいちゃんたちのちがうところに入れてよ〜。」

と春樹はそういうのです。絵美理ちゃんと言うのは、前まで同じ病室にいた春樹と同い年の少女でした。


「わかったわ、花瓶持ってくるからちょっとまっててね。」

そういって私は、病室を出ました。
病院から花瓶を借りて部屋に戻るとそこには、ベットから倒れた春樹の姿が見えました。




 急いで私はナースコールを押し呼びました。
結果は一時的な発作でした。
そのまま春樹はすやすやと眠りました。
先生は、大丈夫と言うので、花瓶に芍薬をいれ病室を出ました。

 翌日、春樹の担当医の浅岡先生から電話がありました。

「息子の春樹君のことですが、電話では言いにくいので、一度桜美病院へ来てください。」

そういわれ、私は桜美病院へ向かいました。
そして、先生はこう言いました。

「春樹君の容体が昨日の発作の後診察すると、肺炎の症状が悪化しています。余命が推測だと後2ヶ月ぐらいしか持ちませんでしょう。」

その宣告を聞いた私は、雷に打たれたような衝撃が走りました。

「私には、何もできなくてすいません。精一杯のことは、やったつもりです。」

浅岡先生を見ると、眼に涙を浮かばせていました。
私は、先生は悪くない、と言い部屋を後にしました。
 春樹の病室に行くと春樹は寝ていました。すやすやとまるで自分の死を見つめているように、寝ていました。
そんな春樹を見ると、自分は何もできないと、思い涙を流しました。
すると、春樹が眼を覚ましました。
 
「泣かないでお母さん、何がそんなに悲しいの?なんでお母さんは泣いてるの?」

春樹が見つめるように見ていました。

「ううん、なんでもないわ。お母さんそろそろ帰るね。」

立ち上がろうとした瞬間春樹はこういいました。

「お母さん僕死ぬの?ねぇ、なんで、また泣いてるの?」

春樹が、そこまで悟っていたのが驚きました。

「大丈夫。春樹はきっと助かるわ」

そういい残し部屋を出ました。後ろでは春樹がさびしそうな眼でこっちを見ていました。
 



 月日は流れ3月の下旬ごろになりました。最近は春樹のお見舞いに行くと、何かを紙に書いていました。
病室に入るとすぐにその紙を隠します。

「今日は、絵美理ちゃんが来てるわよ。」

照れながら絵美理ちゃんは言ってきました。

「久しぶり春樹君、体は大丈夫?どこかしんどくない?本当の本当に大丈夫?」

「うん!大丈夫だよ!」

と元気そうに言ったのを見て絵美理ちゃんは、安心していました。

「春樹君、今日は春樹君の5歳のお誕生日だよ。」

絵美理ちゃんがお誕生日カードのようなものを春樹に渡しました。春樹は早生まれでした

「うわ〜ありがとう!覚えててくれたんだね。」
そういうと誕生日カードを受け取りました。

「春樹、おじいちゃん達からもプレゼントがあるわよ。」

それは、春樹が生まれたころの写真でした。
春樹はそれをうれしがってもらいました。
それはちょうどそのときでした。再び春樹が苦しみ出したのです。



 絵美理ちゃんが悲鳴を上げ、私はとっさにナースコールを呼びました。
浅岡先生が、かけつけ診査を行いました。私と絵美理ちゃんは、部屋から出て、待っていました。
絵美理ちゃんは、いまだに状況が飲み込めないようでした。
 連絡を受けて夫と祖父と祖母がかけつけました。ーまさか誕生日にこんなことがあるなんて...ー
時間はもう6時半でした。空は、黒ずみ一雨降りそうなでした。
夫が雨が降らないうちに絵美理ちゃんを家まで送りました。
 それから30分ほどした後に浅岡先生が出てきました。とても深刻な表情をして。

「春樹君は、危篤状態におちいっています。後は、家族の皆さんで何とかしてみてください。」

そう言われるとすぐに、病室へ駆け込みました。春樹は、酸素マスクを付けられ、点滴も打たれていました。
外からは、雨の音が聞こえていました。
 





 それからほぼ毎日、お見舞いをしていました。夫も祖父も祖母も、くる回数が増えていました。
今はもう4月、外は、満開の桜でした。
容体も少しましになった春樹が、こういいました。

「外...へ行って...桜が...見たい。」

私は、反対をしようか賛成しようか、少し迷いました。
先生からはもう外出許可が出てるので、行ってもいいのだけど大事を取って、休んだほうがいいと思っていました。
だけど、なぜか断れなかった。春樹を車椅子に乗せて外へ出ました。
 桜美病院は、有名な桜の名所と言われるぐらい桜が綺麗でした。
春樹は、微笑んでいました。

「綺麗...だ...ね。」

「そうねとても綺麗ね。」

その瞬間、地面に落ちていた桜の花びらが、風もなく、空へ舞い上がっていきました。果てしなく広い大空へ。
 !? 私は、春樹の体の変化にきずきました。
春樹が震えていたのです。
「...お母...さん...いままで...あり...がとう...」
春樹が、静かに眼を閉じ、空へ桜とともに、旅立っていきました。




 人の価値は、葬式で涙を流した、人の数だけ価値があるのです。
春樹の葬式では、涙を流した人はいませんでした。みんな春樹が悲しまないように、涙をこらえていました。
絵美理ちゃんも、浅岡先生も、看護婦さんたちもみんな、こらえていました。
 病室にある遺品を、整理していたら、1枚のくしゃくしゃになった、紙が落ちました。
きずいて拾うと、それは、前に春樹が書いていた紙でした。読んでみると、こう書かれていました...

【おかあさん、おかあさんがこれをよむときは、もうぼくはしんでいるとおもいます。でもかなしまないで、
 おかあさんたちは、ひみつにしてたみたいだけど、びょうきのこといつしぬのかぼくはしっていました
 でもっこれをいうとおかあさんはかなしむからぼくはかなしんでいるところよりわらっているところのほうがうれしいです】

どうやら手紙は、遺書のようなものになっていたようです。私はその紙をポケットに入れました。





 それから15年後の冬、私は、春樹のお墓に拝んでいました。
いろんなことを思い出し、思いに耽っていました。
すると誰かが私の肩をたたきました。振り向くと、綺麗な浴衣姿の女性が立っていました。
それは、絵美理ちゃんでした。20歳になり、成人式もすました、綺麗な姿の絵美理ちゃんがっ立っていました。

「春樹君のおばさん、なんで、お墓を拝んでるの?」

「突然、春樹に会いたくなってねぇここに来たんだよ。春樹、絵美理ちゃんだよ、もう20歳になるんだよ。
そういえば、あなたも生きていたら今年で20歳だねぇ」

「おばさん、春樹君は、今でも、おばさんを暖かく見守っているよ。私も浅岡先生も春樹君のおじいちゃん、
おばあちゃん、お父さんもそのほかの人もみんな春樹君が見守ってくれてるんだよ。」

その時、まだ1月だとゆうのに、温かい風が、吹きました。まるで春樹が微笑んだように。

「ねっおばさん春樹君もそうだといってるよ。」
  
「そうね春樹もきっと笑っているわよ。」

私は、春樹にいろんなことを教わりました。命の大切さ、そして、絶望のときでも、笑顔を忘れないと言うことを。
ね、春樹。           
                                 完
2004/03/23(Tue)20:39:43 公開 / いってつ
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■作者からのメッセージ
初投稿です。
かなり出来が悪いかもしれないと思いますが、これからもよろしくお願いします。
話が急展開になっていますが
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